完全で瀟洒な従者の兄+紅魔館の(非)日常 作:新幹線刈り上げ
ノエルside
僕は今、少し悩んでいた。それは、お嬢様のゲームの事だ。最近幻想郷で流行っているゲームは何故か「ニトリス」らしい。簡単な箱詰めパズルで様々な形をした四つの正方形でできたパズルブロック(ニトリミノ)が上から落ちて重なっていき、列ができると消えて下へと詰めていくというゲームで頭を使う点ではとても難しくて面白いゲームなのだが、それ故中毒性もある。
お嬢様は毎晩毎晩ニトリスでネット対戦をしていて、偶に僕も誘われて一緒にすることもある。まぁ楽しい事に変わりが無いのだが、それに没頭してしまわないか少し心配するところがある。
お嬢様は比較的に強くて他のゲームとかでもあるレートはずば抜けて高い。それを自慢する事は無いが勝つ度に誇るその態度はまさに吸血鬼らしく思う。
幻想郷では誰もが気軽にできるゲームが多く、その殆どが河童妖怪の河城にとりが作っていたりする。人間にもその評判が良くて時代の進化をゲームが遂げたのだ。
しかし、そんなにとりはゲスいところがあり、ゲームに変な仕掛けを入れたり嫌がらせをする事がある。
にとりside
「また、勝った~」
私こと河城にとりは自分で作ったゲーム「ニトリス」をネット対戦をして優越感に浸っていた。相手とは3戦中2戦勝って、勝敗は揺るぐことは無いが最後の一戦を残しているところだった。我ながら上出来なゲームで、決して某有名『セ○』とは関係無いし著作権も知らない。
始めは、売る気が無かったものの友達である椛が「ニトリス」にド嵌りして、うっかり(絶対技とだと確信しているが)他の仲間やあの射命丸文に存在がバレてしまい、なんやかんやで売れたという訳である。まぁ、人里の人間にも人気があるってことで収入とかでチャラにはなったが何故か満足できない。やっぱりパクr…参考にしたものと酷似していたせいだろうか?。そして、この一件で椛の口の軽さが素粒子並みだという事が判明した。
ネットでは本名が分からないようにはしているが一部見ただけで分かるハンドルネームがあったりする。例えば今対戦している『月のお姫様(ニートじゃないお)』さんとか、他にもいる。
さすがニート姫という事もあって中々の強者だが作者にはやはり勝てない。まぁ、作者特権の『チート』と呼ばれるものを行使しているから当たり前なんだけどな。
最近アップデートで、新しい仕掛けを導入したのだが妖怪の賢者に怒られるかが少し心配だな。え、どんな内容かって? 教えないよ~
「ん? あ、切れた」
何故か、エラーっぽいのが起きてしまった。体外このニート姫と戦っているといきなり切れたりするがやっぱり迷いの竹林の電波は悪かったりするのかな。
私は頭の隅っこでそう考えながら、次の対戦者を待機していた。
◇
ここは永遠亭の中にある私の部屋。私こと蓬莱山輝夜は今、さっきまでゲームをしていたにも関わらずいきなりプツンという音と共に真っ暗になったテレビ画面を見つめていた。
「永琳…この仕打ちは酷過ぎない? 2時間オーバーしただけじゃない…」
私はつい2時間前に、今目の前でテレビの電源コードを握り締めながら不適な笑みを浮かべる永琳に「今すぐゲームを止めて仕事をしないとプロバイダーを解約します」と言われたにも関わらず今までゲームをしていたのだ。確かに、仕事をサボって「ニトリス」をしていたのは悪いとは思うけどそこまでする? 酷いわ。もしドラクエの竜王を倒したと同時に消されていたなら発狂していたところよ。
「姫様。ゲームは一日5時間、仕事は一日25時間というルールを決めたではありませんか」
「いや、オーバーワーク過ぎるわ!! そんなルールは決めていないし、労働基準法を犯しているわよ」
「何を仰っているのですか? 労働基準法(月の)では一日40時間までは大丈夫なはずでしたが?」
「お願い! お願いだから
私の懇願を永琳はクスクスと笑いながら軽く受け流す。そうは言うが、月の基準法でもそんなに長く無かったはずなんだけどね。っていうか、相手の『初音ミ○似の胡瓜好き妖怪』とかいう奴強かったわね。『チート』使ってるんじゃないか、と思うぐらいよ。
「取りあえず、ゲームを止めていい加減仕事をしてください」
「そんな事言ったって私の仕事って何よ」
「それは・・・。と、取りあえず次来る時まで仕事を探してきますから。」
「仕事無かったのね私…。もういいやゲームしよ」