完全で瀟洒な従者の兄+紅魔館の(非)日常   作:新幹線刈り上げ

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はい、大変お久しぶりでございます。人妖でございます。今までの書き方と全く違った様に見えるかもしれませんがそれでも一向に構わん!って方はこのまま下へどーぞっ!


第12日 天に轟くは魂の剣戟(Ⅲ)

 ノエルside

 

 

 僕は、目の前にいる親友の唯月に対して畏れと違いを感じていた。いきなり、唯月が吸血鬼だと言われて理解に追いつかなかった。そのせいか、体中や口元が落ち着かなかい。

 唯月は、そんな僕のことを知るか知らないかは分からないが懐から一本のナイフを右手に握ってこっちへ向けてきた。

 もしかして戦うのだろうか? 祭りの時に殺すと言ったから戦うのは覚悟していたが、まさかそんな事実を知った後で戦うとは想定すらしていなかった。僕は、そんな唯月に見習って覚束無い仕草で懐からナイフを取り出す。

 

 「ごめん、エル。俺はもう…戻れそうにねェや…だから、今回で決着をつける」

 

 決着。この言葉に僕は深く心に傷が入った気がした。もう、終わり。もう、帰ってこない。たったこんな二文字なのに…日常が帰ってこない気がした。

 僕は震える口元を抑えようと、勇気を振り絞る。

 

 「なぁ…ほ、本当に吸血鬼なのか…ッ!?」

 

 「そうだな…いきなりんなこと言われても納得しねェよな…」

 

 唯月はそういって、ナイフを左手首に持っていっていきなり斬り付けた。一瞬、目を強張ったが唯月の手首から大量の鮮血が飛び出る。しかし、斬ったはずの左手首から煙のようなものが噴出し始めた。煙は傷を修復していき煙が消えた時にはさっきまでの傷が全く見えなくなっていた。

 

 

 見る限りお嬢様や妹様みたいな大妖怪並の回復力…いや、少なくとも他の妖怪よりは回復力があるように見えた。 

 

 「この通り、人間のような体じゃあ無くなっちまった…」

 

 その声からして悲しそうに聞こえた気がした。唯月のそんな姿は久しく見た気がする。

 

 「嘘だ…何で…何で唯月はあの時…」

 

 「あの時って今日のことか。何で、出て行ったかってことか?」

 

 「そうだ、何でお嬢様たちを見捨てて出て行ったんだ…? やっぱり…」

 

 「それは・・・――――

 

 

 

 

 

 ・・・――――お前が知る必要は無いッ!!!」

 

 「ッ!?」

 

 唯月は、ナイフを構えて目にも留まらぬ速さで間合いをつめてきた。僕はとても驚いたが、反応して剣先を弾いた。しかし、そこで終わることは無くて賺さずナイフを上から振り下ろす。

 

 それをナイフで受け止めた瞬間、腹に唯月の蹴りが飛んでくる。僕は塞ぐことができずに後方へと飛ばされてしまう。

 

 確かに、これは今までにない攻撃力だ。この戦い、長続きすれば体力的にも持たない。

 

 僕は追撃に対して準備をするために唯月から目を離さなかった。唯月もその鋭い眼光が目を射抜くように見つめ返してきた。

 

 突如、視界から唯月が消えた瞬間に“感覚”という理由だけでその場に踏みとどまりつつ、勢いで左横に回し蹴りをかましてみる。

 

 ヒット。

 

 しかし蹴りは、見事に唯月の顔を捉えるが顔が横に向くだけで骨を砕く音はなく、ダメージが入ったようには見えない。

 

 どちらかというと僕の足の方が痛みが多かったはずだ。もしこれが戦いじゃなければ次の瞬間に右足のすねを抱えて叫びあがっていたと思う。

 というか何だよこの硬さ。昔、唯月と頭突きで頭の硬さ勝負をしたことがあったが、昔とは比ではない。尋常じゃないのは身体能力だけでは無いんだな。

 

 そして僕は完璧に蹴り抜くために思いっきり足を振りぬいてしまった。たとえ、顔で勢いをセーブされたとはいえ反動は大きい。今すぐにでも反撃に備えたいが足に痛みにも似た痺れで体が瞬間的に言う事を聞かなかった。

 

 「弱ェなぁ…お前。ふんッ!」

 

 瞬間、僕の振り切った足は左手に握られていてその手で思いっきり真下へ投げられた。慣れた空中飛行にも関わらず、意図と解さない速さで飛ばされたことによりぐらりと揺れた酔いが頭中を襲った。

 それをぐっと堪えた僕は言うこと聞かない体をどうにか奮い立たせて地面への直撃を避けるため、能力を使って地面ギリギリにとどまった。

 

 着地と同時に真上からナイフを構えた唯月が凄い形相で飛んでくる。急いでナイフで攻撃を防ぐが勢いで踵が地面にめり込む。それでも止まない勢いにとうとう押し負けてしまった。

 

「終わりだ...スペル『グラビティ』」

 

唯月は僕の背中にそっと手を置くとそう唱えた。すると、尋常じゃない程の重力が全身に掛かった。

 

「ぐはっ!!」

 

「これが俺が手に入れた力、もうお前は俺には勝てない」

 

吸血鬼になった代償があるのか、と思っていたが逆にこんな能力を得ていたとは。だけどあるはずだ、どれだけ強い力にも核みたいにすぐに崩れてしまう欠点が。

どれだけの猛者にも絶対に直せない戦いの型がある。それは幾千幾万と唯月と交えた僕だから分かるはずなんだ。

 

「まだ...まだ見失ってはいない! 勝機はある!」

 

「だったら、やってみろよ。この状況から抜け出せる秘策を出してみろ」

 

唯月はまた手を思いっきり背中に押し付けた。重力がまた強くなる。

 

「そう...か...お前、手で触れ...ないと力が...出ないな...?」

 

図星なのか、唯月の顔が顰める。そして隙をついて時間を止める。やっぱり重力はそのまま、だけど背中から手が離れるとすっと体が軽くなった。唯月がナイフをさっきまで僕が居たところに向けていた。もうすこしで殺られていただろうな。

体力の事を考えて時間を戻すと唯月はすぐに僕の方へと視線を向ける。

 

「諦めが悪いな、やっぱり。昔っからよぉ!」

 

唯月はそう言いながら、こっちに向かって飛翔して来た。それを迎え撃つようにナイフを構え、僕も走った。

 

「唯月ぃぃぃぃー!!!」

 

「ノエルゥゥゥゥー!!!

 

僕は唯月のナイフを避けてカウンターで心臓に向かってナイフをぶっ刺した。血を吐いて前のめりに倒れていくのをスローで確認していくと同時に僕は嫌な予感を感じた。そう、目に光が残っていたから、絶対に負けないという執念にも似た信念が。

段々と懐に入っていく唯月は振り切った腕を引いてそのままナイフは僕の腹を貫いた。

 

「ぐっ!?」

 

僕は急激な痛みに耐え切れずそのまま前へと倒れてしまった。

 

「………七百十二勝……七百十一敗……俺がまた・・・ーーーー

 

 

 

 

ーーーー・・・追い抜いたな……」

そんな言葉が聞こえたような気がした...

 

 

 

sideout...

 

 

 

 

 

 

 

 

愛優side

 

 

文との決着が着いた後、フランと文と俺の三人でノエルが飛んで行った方へと向かっていた。背中に居るフランは寝息を立てて寝ている。文は、風を操って山の消火活動を行っていた。

そうして、山を登っていると文がふと口を開いた。

 

「その妹さん、これだけの事やっといて良くそんな顔で寝れますよね。」

 

「逆だろ。これだけ暴れた上に、 誰かさんに腸殺られたんだからな。」

 

俺が軽げに笑いながら言うと、文はまた一層落ち込んだような表情になった。

 

「んで、その扇子見たいな奴何? 芭◯扇? か、何かか?」

 

「はい、あの芭◯扇です。」

 

”あの”とか言うな、パクった見たいじゃねーか、っていうか何で文が芭◯扇持ってんの? まさか亀◯人殺ったのか?

「そんじゃ、二扇ぎしたら乱雲とか出んのかよ」

 

「いや、そこまで再現してませんよ。」

 

だから”再現”とか言うなってパク(ry

 

「ですが代わりに・・・ーーー」

 

文は、大きく芭◯扇を振ると...

 

「ーーー・・・キュウリが出ます。」

 

芭◯扇から大量の千切りしたキュウリが出てきた。そのキュウリたちは無残にも山の中へと落下していく。

 

そして俺は思わず叫んだ…

 

「何でだぁぁぁ!!」

 

よぉーし分かった! 俺、犯人分かったわ。どーせカッパのにとりだろーなぁ! この、お値段異常にとり!

 

っていうかすげーな、芭◯扇振ったらキュウリ出るって。まさにハイテクっていう奴だ。まぁ、技術の無駄使いだけどな!

 

「ちょっと静かにしてください! 妹さんが起きてしまうじゃないですか!気をつけてくださいよ」

 

文は、キュウリの事は全く気にしせず俺の音量を気にしているようだ。妖怪の中じゃあ普通なのか? こういうのは。まぁ、俺も妖怪だけどな! 天狗の技術もここまで進化していたとはな、まぁ、技術の(ry

 

「悪かったよ...」

 

幸い、フランは起きては居ない。しかしにとりの奴、どーやって文にこれを押し売りしたんだ? 文の事だから立場的にも上からボロクソ言うと思ったんだけど。

 

「んで、それってどーせカッパが作った奴だろ?」

 

しかし、文は首を振って答えた。

 

「いや、これは私が作ったんですよ。カッパに売って儲けようとしたんですけどキュウリの量に怯えて買ってくれませんでした」

 

「いや、押し売りしたのお前だったんかい!!」

 

カッパもカッパでキュウリの量に怯えてって何だよ!何に怯えたの!? キュウリが人質にでも見えたの!? 馬鹿かよカッパは…まぁ、俺も馬鹿だけどな!(良い意味で)

 

「愛優、見てください! ノエルさんが倒れています!」

 

文の大きな声に我に帰った俺は文が指差す方に見るとそこにはノエルが居た。しかしそこには唯月が居なかった。デジャブを感じた俺は山の辺り軽く探すが見渡す限り木だけで、妖怪も人間の気配も無かった。もう、とっくに遠いところに行ったのか。今は、ノエルの容態の安否を確保して急速に永遠亭に向かわなければ。

 

「愛優さん! ノエルさんの息はまだありますが腹から大量の血が!」

 

「あぁ、分かった。今行く」

 

唯月を探している間に文がノエルの元に駆け寄ってくれていたらしい。

俺も容態を確認してみると大量出血によるショックで気絶しているみたいだな。一般の市民だと、死んでいたかもしれないがコイツの根性が異常なのか、はたまた見つけてまだ時間が経ってないのか、どちらにせよノエルが強かった故に助かったんだろう

な。まぁ、強かったらこんな事には成らなかっただろうけどな! 本当に無茶しやがって...

 

「それでは。ノエルさんの容態の安否もできましたので、お別れですね」

 

文はそう言って風のような速さで去って行った。

 

何で文はここまでしてくれるんだ? って聞こうとしたが愚問だったかもな。

 

酒友だから。これだけの理由以外に助ける理由なんていらねェか。

 

俺は、何か忘れている事がある気がしたが思い出せないので考えるのを止めて、ノエルとフランを担ぎ直してから永遠亭へと向かった。

 

fadeout…

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア・スカーレットside

 

 

「もう! 一体どうなってるっていうのよ!!」

 

そう大きく声を荒げても誰も返答を成さない。向かってくるのは天狗だけ。別に助けが欲しい訳じゃないけど、さすがに寂しい。

「死ねー! この化け物がぁっ!!」

 

オマエモナー

 

あー、飽きたわ。っていうかもう日が昇るじゃないの。このままだと死んでしまうじゃない。いっそ、究極生命体なって日光浴でもしてみたいわね。また今度、カッパに頼んで石仮面を作らそうかしら。エイジャの赤石はないけど。勝てば良かろうなのだぁー!!なんつって。

 

私は後十人ぐらい殺して暫く、空から見ると誰か居るのでは、と思ってみたがそんな事はなく見渡す限り木だけ。匂いは木の焦げた匂いが強すぎて探るのは無理。

 

うーん、どうしよう。もう敵も減ってきたしな〜。

 

私が悩んでいると、すぐ横を何かがもの凄い速さで過ぎ去っていくのを感じた。すると、それはすぐ後ろで止まり、声を掛けてきた。

 

「あややっ!? ”また”会いましたね!」

 

「あら、どこぞの新聞屋じゃない。それで”また”って言ったけど私といつ会ったかしら?」

 

射命丸は、苦虫でも口に放り込まれたかのような顔をして「い、いや〜その〜」と濁す。

 

もしかしてーー

 

「もしかして、牢屋で会ったのは貴女かしら?」

 

図星なのか射命丸は明らかに凹んだ表情になった。

 

「はい…あれは私です……なんちって! 私は今の今まで香霖堂に居ましたので。」

 

何だ、違ったのか。それじゃあさっきの反応はなんだったのよ。少し気になるわね。

 

「そう。じゃあ、エル達がどこに居るのか知っているかしら。」

 

「あ、はい。確か永遠亭に行くとか愛優さんが言ってました」

 

やっぱり、引っかかったわね。

 

「ふぅん?じゃあ何故それを知っているのかしら?」

 

すると、またさっきと同じような顔をした。

 

射命丸って仕事柄、ポーカーフェイスが得意かと思ってたけど結構表情が顔に出てるわね。コイツもどこかのBBAみたいに胡散臭いから、それすらもポーカーフェイスな気もするわ。

 

「それは、さっき通りがかった時に傷付いてるノエルさんと貴女の妹さんを抱えてる愛優さんと会ったからです!」

 

「それは本当かしら!?」

 

「はい、本当です!」

 

「分かったわ、ありがとうね。この恩は新聞で返すわ」

 

私はそう言い残してすぐ様、永遠亭へと向かった。

 

fadeout…

 

次回へ続く……

 

 

 




誰かー! ここのチョロインと入れ替えてー! はい!ここで会ったが百年目! 人妖です! 結構日が経ちましたね。最近、リアルが忙しくなってきたので投稿が遅れてしまいました! っていうか、私の事覚えてる人いるのか? まぁそんな虚しい事を置いといて。
これからもこんな風に遅れる可能性があるので、太平洋並の大きな心を持って頂いて、これからも読んで頂けると嬉しいです!

それでは、シーユーアゲイン!

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