完全で瀟洒な従者の兄+紅魔館の(非)日常 作:新幹線刈り上げ
Talent 公開NG
Hobby 居酒屋に行くこと、外界旅行など
Like 居酒屋の酒、ノエルとの勝負など
Size 身長 180 体重 59
元紅魔館の従者? 昔は紅魔館で『完全で殊勝な従者』と呼ばれるほどで、勿論レミリアのお墨付き。ナイフの投擲技術は、ノエル以上だったりする。紅魔館を出るまではノエルと唯月と咲夜で呑んでいたり、居酒屋で皆と呑んだりと割と社交的だったりしていた。文とは特に付き合いが長く、特別仲が良かったりする。そして、数少ない文の秘密を知るものである。十六夜という苗字だが、ノエルたちとは特に血縁関係はない。
ノエルには何かしら因縁があるらしく、今後少しづつ明かされていく模様。
作者の戯言
投稿が遅れてしまい申し訳ございません。お気に入りが四十を超えていたことに少し感動しました。遅れた言い訳として、修学旅行に行っていたということがありますね。今!? となる人が居るかも知れないですが、そうです。今です。まぁ、どうであれ遅れたので謝ります。そして謝罪の念を込めていつもより字数を増やしました。
それでは、今回もご覧ください。
後、我が親友が投稿した作品があるのでぜひ読んであげてくださいな。
『東方魂力伝』
https://novel.syosetu.org/85703/
愛優side
「Indecision is often worse than wrong action.」
(決断しないことは、時として間違った行動よりもたちが悪い)
天魔はどこか遠くを見るように、そうつぶやいた。その言葉に俺は一瞬理解できなかったが、聞いたことがある言葉だったので何秒かしてその意味を察した。
昔、ノエルが教えてくれた言葉。ヘンリー・フォードという偉人の言葉だ。
今の俺に現実を受け止めろとでも言いたいのだろうか。前世の自分の記憶は全く無いというのに。
だったら俺は…
「Change before you have to.」
(変革せよ、変革を迫られる前に)
「うむ。君は考えを放棄するのかい?」
俺は、さっきの言葉について気になることがあるがそんな事で心の“変革”を迫られてはいけねェ。だから俺はこの言葉を選んだ。
「二人称が安定しねェなお前…『君』か『お前』かはっきりしろよ。」
「それを君が言うのか。大体、君は変革の意味を知っているのか?」
「生憎、日本語は察しかたで意味が変わってくるんでね。俺の心が揺らぐ前に、フランの傷の取り返しが付かなくなる前にお前をぶっとばす!!」
俺がもし、忍空隊だったなら『勝身の煙』が出ているだろう。要するに本気だってことだ。天空龍とか出てこないかな…。
フランのことを悪く言うつもりじゃないが、少なくとも戦いの邪魔になるだろう。
ここは、汚いがマジになって戦うしかねェな。
俺は、取りあえず妖力を練って刀に妖気を纏わせた。その刀は黒く染まり、一層に禍々しく黒く輝き始めた。
いつも通り、いつもの様なごっこ遊びの様に妖刀にしたがいつもとは違う。それは、命を刈り取る遊びという事だ。
「それじゃあ、始めよっか。」
天魔が付けている天狗の仮面の奥の表情は分からないが、声の質的に暗い感じでは無いことが分かる。
さっきの俺の命が繰り返されている、俺の命を殺すことはできないという言葉について、問いただしたいところだが今はそんな暇じゃないし考えても邪念にしかならない。
「弾幕ごっこ…じゃ無理か。男は黙って殺し合いだな。」
弾幕ごっこは先代の巫女の事件の後、霊夢と紫が発案したルールだ。“ごっこ”というだけあって女の子がするお遊戯みたいなもので、男がするようなものではない。というか紫は女の子じゃない気がする。
「ふんッ!!」
天魔はとんでもない速さで俺の間合いに入り、鞘から刀を抜いてそれは腹を狙って切り上げてきた。
俺は咲夜の能力である『時間を操る程度の能力』を駆使して、時間を止める。
そして、俺は止まった時間の中で、止まっている天魔の首を斜めからなぎ払う様に斬った。
『そして、時は動き出す!』
勿論、天魔の首が跳ね飛ばされて天魔の動きがとま・・・らずに俺の腹に大きな切傷を刻み込んだ…
「ぐっ!?」
さっきから理解できない事が多い。何でだ!? 何で首の無い奴が攻撃を続けることができるんだ!?
俺は考えを巡らせている間に斬られた胸から大量の出血と共に気が遠くなることを感じながらもなにもできずにフランと落下していき、燃えている山に落ちていった…
*
あれ…俺は…苦し…い…ここは…あぁ…山か…天魔にやられた…のか…?
それ…じゃあ…フランは…? 一緒に落ち…たの…か…?
負けたのか…? 見えない…視界が真っ赤な炎で埋め尽くされている…
でも…浮いている? 苦しい、今見える! 目の前に天魔が居る!
「はい、おはよう」
天魔は空いている左手で仮面を外して、首を傾げつつにっこりと笑った。天魔が…いや…紛れもねェ・・・――――
・・・――――
俺は今までに無いぐらい大きく目を開けひらいて、もう一度文ということを確認する。俺の状況とは言うと、文が俺の首根っこを締めながら持ち上げていること。そして、長いその日本刀を首元に当てられていた。
「あやや…残念ですねぇ~そのまま寝ていたのであれば楽に息の根を止めていてあげられたというのに…」
「俺も…残…念だった…な…まさ…か…お前…が…天魔…だったとは…」
「んー、半分正解半分間違いですね。」
「そーかいっ!!!」
俺は言い終わると同時に文の右手首を両手で掴み、その勢いで両足を文の首に引っ掛ける。そして、掴んでいた両手で文の両手の首に力を入れて強制的に首を離させる。
「あややっ!?」
文は、刀を薙ぎ払ってきた。その速さに驚きつつも背中を後ろに反らしてその勢いで両手を地面に付ける。この時だけ体の柔らかさが生きたと感じた。
そして、俺は地面についた両手を軸として、体をしならせて両足に挟まった文の首を体ごと空中へとぶっ飛ばした。
俺は次の追撃のため、すぐに手元にあった刀をふらふらする体を整えるために地面に刺して飛んでいった文を目視する。
文は、木に向かって飛んでいったが当たる前に体勢を整えて木の幹を両足で蹴ってまたこっちに向かって飛んできた。
「てめェ…何もんだ…ッ!?」
確かに昔から文とは馴染みがあったが詳しいことは知らなかった。文はにやっと笑いながら刀を鞘に収めて俺のほうへと向かってきた。
「私は…清く正しい射命丸文でも有り、全天狗を統べる王の天魔でもありますから…ねッ!!」
文は俺の目の前で鞘から再び刀を抜いてさっきと同じように腹を狙って切り上げてきた。しかし、学習能力に自信がある俺は首を狙わずに一先ず鍔競り合いに持ち込んだ。
金属音の鈍い音が鍔競り合いにより生じた。文は、瞬間刀を引いて顔に向かって突いてくる。
俺はそれを首に右横に振って避けたが、残った長髪が斬られて宙に舞う。
「おいおいッ! この髪気に入ってたっつうのによぉッ!」
俺は、空いている右手で拳を握り締めてアッパーを喰らわせた。拳は見事文の顎を捕らえて、そのまま文は宙をまたも舞った。
すかさずに俺は左手に持っている刀を改めて握りなおして、追撃の準備をする。
「あやややっ!?」
文はすぐさま空中で体勢を整えて俺の追撃の備えを始める。俺は、そんなことはさせまいとそれよりも速くに飛翔して真上から刀を振り落とす。
それを文は不安定なまま刀でうけとめた。しかし、俺の勢いが強かったため文はそのまま地面へと叩き付ける。
「あやや、痛いじゃないですかー」
俺は無視して、剣を再び構えて尻餅をついている文の腹に向かって急降下する。思い通り、文の腹に刀が刺さって血が吹き出る。
しかし、文は、
「捕ま~えたっ!」
そういって俺の刀を左手で握り、右手に握っている長刀を首目掛けてなぎ払って来た。
俺は何故かこの瞬間、“文を殺す”という事に戸惑いを感じてしまった。
それ故か、俺は刀を両手から落として時間を止め、止まった時間の中というのにも関わらず全ての行動がゆっくりに見えていた。
離した両手で俺は“息の根”を止めるために文の首を思いっきり握り締める。
無意識に時間が動き始めると、文は一瞬うめき声を出してから気絶した…
しかしすぐに目を開き、文は刀を握りなおした。
「愛優さんは、甘いですね。それが命取りになるんですよッ!」
その言葉と同時に俺の腹に、拳が入る。
「ぐッ!?」
俺は痛みに我慢して、文の腹から刀を抜いてすぐさまそこから離れた。しかし、すでに振っていた刀は俺の首の代わりに左足を切り捨てた。
足首からは異常な程の鮮血が飛び散る。
ぐらりと揺らいだ俺の反応を見逃さず文は、立ち上がって刀を縦に振り落とす。
俺はそれに避け切れずに大きく胸に切傷ができる。
「彼方のせいでッ!」
俺は、一先ず空へと逃げた。人里のほうにちらりと視線を移すと家々は灯りが付いており何十人もの人が外に出ていて俺のことを指先で指している人も居た。
「私たちは・・・」
文は、言葉を止めて俺に向かって飛翔してきた。俺も文の攻撃に備えるために刀を構えなおす。
「呪いにかかってしまったッ!!」
さっきから文の言っていることに俺は理解できない。何もした覚えはないし何かした訳でもない。さらに“呪い”という言葉に何故か引っかかるものがある。
俺の知らないこと…それは、俺じゃないこと…まさか、
「俺の前世のことかッ!?」
自分でも何を言っているのかわからない。しかし、文は俺のことを言う。でも俺は知らないということはそれしか無いと思った。
「前世かも知れない…でも、容姿が全く一緒なんですよッ! 無駄に似合うその浴衣にその長髪。顔も、体も性格も。挙句の果てに、傍にはいつも霊夢さんたちが居る。」
「そのお前が言う“俺”が何の呪いをかけたと言うんだ!」
言い終わると同時に文の刀と俺の刀が鍔競り合いになった。
「そうですねぇッ! 彼方はどんなことがあろうと博麗の巫女を失うことを恐れていた! それが人間の余りにも短い寿命だとしても! それと同時に私たちが離れていくことも恐れていた! それ故、彼方は呪いをかけた!」
「だから何の呪いなんだよ!」
文は、何も言わずに一歩後ろに下がって刀を構える。
「それを彼方に言う必要はもうありません、では。」
その瞬間、目にも止まらぬ速さで俺の腹に刀が刺さっていた。俺はそのまま物凄い速さで、人里のほうへと飛んでいき地面へと叩き付けられた。
腹からは、血が滲み出ていて意識が朦朧としている。周りが悲鳴の声が響いて耳が痛くなるほどうるさい。
「いてて…」
俺はゆっくりと起き上がり、山に居る文を凝視する。文は俺が人里に飛んでいったことを確認するとこちらのほうへと向かってきた。
急いで俺も刀を構えて文のほうへと飛ぶ。ある程度の距離が近づくと文は鞘に直して居合いの構えになる。
またも鍔競り合いになって、次は俺が一歩下がったフリをして後ろに回った。しかし、それを見抜いていたのか回ったと同時に腹に後ろ蹴りが入った。
今度は山のほうに飛んでいった俺は、時間を止めて勢いを殺してその場に留まった。そして、止まった時間の中で文を切り刻もうとしたがまたも躊躇してできなかった。
時を動かし始めると、
「今、また時間を止めましたね。殺そうと思えば殺せたはずです。」
「いや、無駄だ。この“時間自体”が無駄だ。どっちもどっちかが死ぬまで立ち上がるからな」
言い訳を言おうとしたが実際、首を摩り下ろしても死なない文を殺すというのは不可能だし、文曰く俺も“繰り返される命”らしく死ぬことすらままならない。
それなのに、“殺し合い”などと無駄なことを今はしている。
「私“は”死にますよ。ただこの体が頑丈なだけで死ぬことができる生き物です。」
「それだと、俺が生き物じゃないみたいじゃねェか」
「えー、んじゃあ…“死んでいない”ことを生きている、とするならば“死ぬことが無い”愛優さんは“生き物”と呼べるのですか?」
「確かに…なぁ、文が俺を殺す理由と文が知っている俺の前世を教えてくれないか?」
「それは、自分の胸に手を当てて感じれば・・・」
「いや、そういうの良いから!」
今のボケと突っ込みのせいで何故か緊張感の無い空間が出来上がってしまった。これは、もう戦わなくてもいいルートに行けるか?
「あ~いや~、前世のことは紫さんにでも聞いてください。殺す理由は話しを聞くと分かってきます。
はぁ…何かもう、いつも見たいな感じになって殺意が無くなってきちゃいました。」
そういって、文は鞘に刀を直してから大きく肩の力を抜いた。
よし、良いルートに入ったのは嬉しいが何で“紫”が、俺の前世に絡んでいるんだ?まぁ、文ももう話す気無いだろうしそれも紫に聞くことにしようか。
というか、いつも俺の話にあの“八雲紫”が一枚噛んでいて、教えてと聞いても対して教えてくれないし…あれ、紫って俺にとってどんな奴だっけ…?
「俺にとっちゃあ、嬉しい限りだがな。」
「えぇ、ですが種族間の争いはどうします? 紅魔館の中の一人ぐらい殺せると思っていましたけど、彼方が加担したせいでこちらの被害が嵩益ししちゃったじゃないですか…。」
「え、いや…それは…アレだよ、アレ。」
俺は引きつった顔で、後ろでずっと光り輝いている満月に向かって指を刺した。すると、文も月のほうへと視線を移した。文も大妖怪だからか、俺の言いたいことを察してくれたようだ。
「まぁ、あの炎といい死体の数といいあの吸血鬼の妹のせいでもありますよね。この戦いは一時中断ということで。」
「また、やる気か?」
「はい、また機会があればですけど。次はぜひ、“戦い”ではなく“喧嘩”でやりましょうね」
喧嘩って意見が違った時にやるモンだった気がするのは気のせいか・・・?
まぁ、いっか。サシでやり合える相手が増えたことだし。
「それで、妹さんはどうするんですか?」
「妹さん」というのはフランのことだろうか?
そうだ、フランのことを忘れていた。俺は天魔を倒してフランを永遠亭に連れて行く予定だった。しかし、戦っていた天魔は実は文? だったのだ。
それで、肝心のフランはどこに居るのだろうか。
「今すぐにでも探して、治療をしたい。」
「そうですか、では。」
そういって、山のほうへと踵を返そうとする文を俺は呼びかけて塞き止める。
「おい、ちょっと待て」
「何ですか? 唯月さんのところにも行かなくてはならならいんですが」
「それもあるだろうが、“お前”はどうするんだ? お前は。文は、天魔はこれからどううやって生きていくんだ? 立場では俺たちの敵となるわけだが」
そうだ、この戦いの果てに文が少なからず敵とみなす必要ができた。これから、俺たちは文とはどうなるんだろうか? もう、あの場所で一緒に酒を呑むことは無いのだろうか。
「そうですね、暫くは無理ですね。唯月さんとノエルさんの因縁も決着が着いていないので。」
因縁? そういえば、ノエルは唯月を旧友と言っていたが因縁があるのか。まぁ、
「俺も、フランのついでにノエルんとこに行くか。っつうことで、フランを一緒に探してくれないか?」
「えー、良いんじゃないですか? ほらそこに」
文がだるそうに人差し指で俺の肩らへんを指したと思ったら、肩に重く何かがのしかかって来た。
何かと、思って不意に見るとそこには傷つきながらもいつものような笑顔で肩にのしかかっているフランだった。
「おはよー、愛優お兄ちゃん!」
フランは二カッと笑いながら挨拶をする。フランにお兄ちゃんと呼ばれたのは久しぶりな気がするが何か照れくさいな。
というか、この笑顔が何というか愛くるしい感じがしてならん。
「おはよう…っつうか良いのかよ、お前。」
「ん? 何が?」
「いや、その傷だよ。そこの文にやられたんだろ?」
フランは、はっとした顔になって文を天敵のように凝視し始めた。文はドキッとしたような反応をしてからフランの冷たい視線から目を逸らす。
「あ~いや~すいません。あの時はその~何と言うか、事の成り行きでして。」
「まぁ、今回は許してあげるわ。私もこうして落ち着くことができたしね。」
「んじゃ、仲直りもできたみたいだしさっさとノエルと唯月のところに行くか。」
「え~、疲れたし時間止めて運んでよ~」
フランは無意識か、すんごい可愛らしい上目遣いで子どもの所謂『抱っこ』を求めるように両手をこちらに向けて広げてきた。
少々迷ったが文も居ることだし断ることにした。別に、文が居なくても断ってたからな!? 俺には霊夢が居るからな!?
「駄目だ。お兄ちゃんも文と戦って疲れてんの。」
「えー!? それじゃあー・・・おんぶっ!!」
無論、
「それならいいぞ」
Yes! ロリータ、Go! タッチ!!
俺はグッジョブをしながら満面の笑みを浮かべた。
愛優fadeout…
◇
ノエル&唯月side
「………七百十二勝……七百十一敗……俺がまた・・・――――
・・・――――追い抜いたな……」
後ろで大量の血を腹から出して倒れているノエルの前で唯月はぐらりと揺れて倒れながら呟いた・・・
ノエル&唯月fadeout…
次回へと続く…
文が言っていた愛優の前世とは? 『繰り返す命』、『呪い』など、謎が深まる中、唯月とノエルの戦いが決着した。
全ては六百年前に通ずる!?
そして次回はノエルVS唯月の全貌が明かされる。
次回! 『天に轟くは魂の剣戟(Ⅲ)』
後、愛優はロリコンなのか!? 作者的にはロリコンとは思いたくない。