完全で瀟洒な従者の兄+紅魔館の(非)日常   作:新幹線刈り上げ

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 どうも、人妖さんです。前の投稿から一週間以上ぶりですね。遅れたには少し言い訳が有ります。それはプロットの書き直しと、今年受験生というのもあり投稿ペースについて親とかと話し合っていたのです。そして、ネタが思いつかなくて執筆が進まなかった事です。他にも今後の事で忙しかったという事も有ります。
 
 まぁ、当然遅れるのは目に見えているものです。なので、一週間に一話を投稿するという事がほぼ決まりました。曜日については予定が明白になり次第決まるのですが、この作品に集中したいので『東方人妖伝』をリメイクするという企画が完璧に途絶えてしまいました。微レ存でも楽しみにしていただいた方には本当に申し訳ございません。
 
 後、今までは約4500文字を意識して書いてきたこの作品で一度、文字数の事情で次回予告詐欺をしたという失態がありました。が、これからはそれを防ぐために文字数を気にせず投稿していきますので当然、文字数は毎回偏ってきたりします。
 
 毎回見て頂いている方、最近見始めた方、本当に申し訳ございませんでした。そして、これからもこの『完全で瀟洒な従者の兄+紅魔館の(非)日常』と今回、コラボを誘って頂いた和菓子ぃ様の作品である『幻想と夢想と空想と』を宜しくお願い致します。
 
 


 長文で本当に申し訳ございません。では、お楽しみください。


第09日 満月の狂気は狂騒の知らせ

 ノエル side

 

 「どう…いうこと…だ…?」

 

 僕ことノエルはアリスと別れて紅魔館へと帰ってきた時、見るも無残な天狗の死体が山積みになっていて、すぐに紅魔館が戦場に成り果てているということを理解した。

 

 玄関を開けて、それが始めての言葉だった。それは誰も居ないのにも関わらず、鍔の無い日本刀と血が淡々と外へと続いていく様に付いている光景だった。恐らく誰かが戦い、重傷を負ったまま出て行ったのだろう。

 日本刀が気になり、拾い上げると刀の下には鍔が見つかった。しかし、刀の持ち主も分からない上誰と戦ってこんな事になったのかも分からない。全てにおいて理解し難い光景が広がっているばかりだ。

 

 心配になった僕は皆を探すため紅魔館を探したところ、図書館でフラン様と咲夜に出会ってこの惨状の内容を知った。どうやら、僕抜きで秘密裏に作戦を立てて僕抜きで天狗達と戦っていたらしく、あの玄関近くの大広間で待機していたのは愛優ということも分かった。取りあえず咲夜とフラン様の安否を確認できただけでドッと疲れが吹き出てきた。

 

 お嬢様は、上辺面では人質として敵に明け渡してその時が来る次第内側から暴れるということで大丈夫だろう。しかしこの作戦をたてた愛優、アイツは許さない。人の主を勝手に人質にするとは正に人外だ。まぁ、咲夜とかがOKしたのだから間違いは無かったんだろう。

 

 外を確認すると、すでに戦いは終わっていたらしく門前で天狗の残骸の上で寝そべっている美鈴を見つけ、その近くにも魔法陣の中で倒れているパチュリー様を見つけた。唯月を見つけることはできなかったが、誰も死ななかっただけマシだっただろう。

 

 僕はそう思って二人を抱えながら紅魔館へと再びを足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 ??? side

 

 

 「あ~ぶなかったねぇ~。唯月君にゃあ、死んでもらっちゃ困るもんなぁ~」

 

 「えぇ、まだ実験が終わっていない。完全なアギト化を目指すためです。まだまだ悲劇を演じさせなければね」

 

 「酷いねぇ~、スメラギも。それで、“もう一人”の方はどうするんでい?」

 

 「…あのものは憎き友の生まれ変わりです。六百年に渡るこの運命(ひげき)も、もうすぐ終わるでしょう。」

 

 

 

 

 

 愛優 side

 

 

 「…計画…どおり、か」

 

 俺は博麗神社の中にある寝室で寝ていた、というより目が覚めるまで看病を受けていたらしい。霊夢曰く、どうやら作戦は上手くいったらしいが唯月の姿が見つからなかったところ誰かが連れ帰ったか、奇跡的に誰にも気づかれずに逃げ切れたか、だ。確率が高いの前者だ。でも、どうやって連れ帰ったかも疑問に思うところだ。

 

 俺が考えていると、廊下からテンポ良く早い足音が聞こえて、それは段々大きく聞こえてきた。止まったらと思いきや襖が大きな音を立てて開く。

 

 「愛優…寝ている暇は無い。行くぞ」

 

 来たのはノエルだった。後ろにはフランも居た。怪我が完全に治った訳ではないが行かない言い訳には一切ならない。俺は何も返さずすぐさま、布団から起き上がって近くに置かれていた服を取ってそれに着替える。

 

 「行くか」

 

 「あぁ、お嬢様を取り戻しに」

 

 「せっかく売った喧嘩を買ってくれたんだ。だが、客だからって容赦しねェぞ」

 

 今宵は満月。月の狂気に満ちて“妖怪”達が狂騒をする日だ。

 

 

 

 

 

 ノエル side

 

 

 「で、妖怪の山ってのはぁこんなに大きかったっけ? なぁノエル君。君もそう思うだろう?」

 

 愛優達三人は妖怪の山の麓にて武器を構えながら突っ立っていた。いつもと違い、山には無数の松明が灯っているのが見えてこちらの奇襲を警戒している感じだった。紅魔館にて約死体は三百匹はあったが、それでもその数が一握りと思うぐらい兵が多い。

 そんな中、僕と愛優は…

 

 「ふざけるな。僕とフラン様とお前。たったこの三人で、命のドンパチしようとする時にボケようとするな」

 

 「そんなことはどうでも良いけど、お姉様は脱出の合図って知っているの?」

 

「「あ」」

 

 僕と愛優の口からそんな情け無い言葉が漏れた。

 

 「知らないのね。というか、あのゴミって全て壊して良い物なの?」

 

 フラン様はその幼児な顔とは裏腹にえげつない事を言うが僕はそれにも動じない。まぁ、異変を起こす前まではもっと酷かったからもう慣れたのだ。満月の発する狂気を浴びたせいか、フラン様の目も紅く発光していた。

 

 「えぇ、今宵は満月です。あそこにいる物全ての目を壊しても構いません。」

 

 「いや、お前ら自分の主が説明不足で危険っていう時に暢気すぎるだろ」

 

 「どこをどう見て今の会話を暢気と取れるんだよ。っていうか、人質作戦考えたのはお前だろうが、お嬢様に何かあったら切腹だからな」

 

 僕と愛優は互いに胸倉を掴み合い、互いにメンチをきっていた。

 

 「おっいいのかよ。この俺が腹切ったぐらいで死ぬと思うなよ? あぁん?」

 

 「っていうか、腹切る覚悟無いだろーがこのニート妖怪」

 

 「あ?」

 

 「お?」

 

 「上等だ。あの天狗等よりも戦場のゴミ掃除と行こうじゃないか。」

 

 「は? 言っておくがお前の飛び散った血を掃除するのは僕だからな?」

 

 「あ?」

 

 「お?」

 

 そんなフラン様は呆れて物も言えなかったのか、代わりに右手を本気で握りしめて息をかけ、その拳骨を僕と愛優の頭にぶつけてきた。勿論、僕たちあ忌憚な悲鳴を上げながら悶絶するがフラン様は全然気にしてないようだ。

 

 痛みが引いてきた二人は何とか立ち上がるが未だに文句を言い合っていた。山に一歩踏み入ったと同時にフラン様の足元にある木の枝が割れる音がなり一気に敵がこちらを見つけてた「敵襲だァー!!」と大声をあげて集まってきた。

 

 敵は剣では無くて弓を武器として構え、麓付近に居る三人には圧倒的不利だった。天狗達が矢を番え、放ったと同時に愛優がとっさに近くの木へと僕とフラン様を抱えて飛び込んでくれた。一掃目は無事だったが、敵は次の攻撃のためにもう一度矢を番え始めた。

 

 「感謝しろよな。これで借りという訳だ。このまま隠れて行くのも良いがどうするよ」

 

 「それなら、囮を一人そこに置いて残った二人で隠密に行くとか?」

 

 フラン様がさっきまで居た蜂の巣になりかけたところに指を刺しながら言う。フラン様の提案に僕は感動するも愛優には“嫌な予感”という物を感じたのか、苦い顔をしてフラン様を見る。僕は何となく察して愛優の背後へと瞬時に回った。

 

 「囮ですか。それならここに居ますよ」

 

 僕はそういって敵が矢を番えている中、僕は愛優をさっき居たところへと蹴り飛ばした。すると、愛優は、敵から格好の的となり無数の矢が愛優を襲いに来た。その間に僕は能力を使い、フラン様を抱えて空中へと瞬間移動した。当然敵は、僕たちの存在には気づかなかった。

 

 「いや何で俺ぇぇぇぇぇっ!!??」

 

 愛優はそう言いつつ、咄嗟にだした草薙の剣で矢をさばいていく。流儀は知らないがむちゃくちゃにしているようでしてないようなそんなさばき方だ。

 愛優は二掃目も突破した時、ビシッと人差し指を僕とフラン様が居るところへと指して、

 

 「おい皆!上からノエルが来るぞ気をつけろ!!」

 

 敵達は愛優のミスディレクションに引っかかり、僕たちの方向へと視線を移す。その間に愛優も全力疾走で山を登り始めた。僕はそんな愛優に渾身の叫びをあげた。

 

 「いや、もう奇襲の意味無いだろーがぁぁぁ!!!」

 

 「さっきのやり返しだ馬鹿野朗ぉぉぉ!!!」

 

 敵は当たり前の様、僕たちへと狙いを定めて矢を番う。そして、フラン様は僕から離れて、右手を開く。

 

 「知ってた?スカーレット家に伝わる秘伝っていうのがあるの」

 

 そう言うとフランの右手には紅い魔槍が姿を形作り始めた。月の狂気のせいか、魔力がとても大きくて通常よりも倍以上な大きさのレーヴァテインがフランの右手に現れた。

 

 「スカーレットオーバードラァァァイブッッ!!」

 

 フランはそう叫びながら右手に持った、巨大なレーヴァテインを弓兵目掛けて投げる。すると、地面に触れた瞬間レーヴァテインが爆発し始め、敵たちを一掃していった。

 

 「いや、それジョ○サンの技ぁぁぁ!!!」

 

 愛優はそう言い残して爆風で飛ばされていき、すぐさま戻ってきた。山には大きなクレーターができており、さっきまで居た敵は黒く焦げてしまい後欠片も無く消えていた。予想以上の威力で、投げたフラン様もその状態を見て目を輝かせていた。

 山頂までは半分以上もあり、敵兵もまだ数え切れないほど居る様だ。しかし、フラン差は半発狂状態なのかスカーレットオーバードライブもといレーヴァテインを次々と投げて敵兵を破壊していく。

 

 「おい、ノエル。フランがさきさき行ってるじゃねェか。危ねェんじゃねェの?」

 

 「フラン様もあれ程の兵ではやられないのは知ってるだろう? だったらほっておいてもいいじゃないか」

 

 見た感じフラン様も奇怪な声で叫びながらレーヴァテインを投げている様に敵兵は怯えている様だ。だったら、このままフラン様に頼んで僕たちはその後ろについて残党狩りに徹する方が安全のような気がしてきた。

 

 

 

 そういえば誰か忘れている様な…。

 

 

 

 

 

 レミリア side

 

 

 「愛優…エル…私はいつここから出れば良いのよ…」

 

 わざと、敵の人質としてこの檻に入ったは良いもののいつ抜け出してどこへ行けばいいのか聞くのを忘れていた。盲目だ、この私がそんなことに気づけなかったとは結構恥ずかしいものだ。

 どこに居るのかも分からないままだ。だけど、外から爆発音が絶えなく聞こえているところ妖怪の山でエルたちが暴れているのは分かる。う~ん、今すぐ私も行きたい。けど、今出ても厄介なだけじゃないのか…。

 

 私がそう考えていると番人の一人がキョロキョロと回りを見渡しているのが見えた。余りにもキョロキョロしているので私もそっちに目が入る。するとその番人は檻の鍵を指先でクルクルと回してから私の目の前に投げてきた。

 

 「どうします? そこから逃げてノエルさんの元へ行きますか? まぁ、それは任せますけどどうなっても知りませんよ?」

 

 「どういうこと? アナタは敵なの? それとも味方なのかしら?」

 

 顔を見たいものの天狗のお面で隠されてて見えない。声もくぐもっていて特定はできない。分かるといえば女という事。だけどこの幻想郷に女は五万と居る。その中から一人を当てるなど愚の骨頂だ。

 

 「う~ん。“今は”言えないですね~まぁ、一つ言えるのは天魔さんの近くに居るという事ですね。“敵でも味方でも無い”そう思っていてください」

 

 益々こんがらがってきた。どういうことだ? 天魔といえば天狗の大将首じゃないか。敵の側近ならば敵ということなのだろうか。では何故この人は私に鍵を渡して来たのだ。結局この人は“私達のため”にしているのか。だとしても私は変身してここから出て行けるから無意味なのよね…。まぁ、番兵がこっち側でも敵側でも無いのであれば面倒事にはならないしいずれ誰かも分かる事だろう。

 

 「それじゃあ、お言葉に甘えてここから出て行こうかしら? と言っても私は鍵が無くとも簡単に出れたのだけどね」

 

 「知っていますとも、“吸血鬼は変身などの能力を無闇に使うと体力を消耗する”ってことも」

 

 「あら? それこそどういうことかしら? 吸血鬼(わたしたち)は高貴な大妖怪よ? 疲労など誰にも見せないようにしているはずだからアナタが知る由も無いはずよ?」

 

 「いえ、“こっち側”にも“吸血鬼(あなたたち)みたい”のが居るんですよね。まぁ異例中の異例な吸血鬼ですけど」

 

私達二人以外にもこの幻想郷(せかい)に居るのだろうか? 私が知る限り居ないはずだけど…。気になるわね、異例の吸血鬼。

 

 「へぇ、一度は会ってみたいわね。」

 

 「アレ? 会った事無いんですか?」

 

 この言葉を聞いた瞬間、私は“能力”と“吸血鬼としての感”が相まってこの上無い“嫌な予感”というものを感じた。

 

 

 

 

 次回へと続く…




 
 どうでしたか? 視点を変える際、『side』を入れてみたのですが分かりやかったでしょうか? 前回も少しやってみた結果sideが無いから見にくかったのでは? と思い、入れてみました。そして、今回伏線をばらまき過ぎたかも知れませんね。まぁ、感の良い人は“誰か”が分かると思います。戦闘も次々出てくる予定ですのでお楽しみください。

 愚の骨頂・・・この上なく愚かな事。

 レミリアは、無意味な事をするのは愚かという意味で使いました。

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