完全で瀟洒な従者の兄+紅魔館の(非)日常   作:新幹線刈り上げ

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*パチュリー・ノーレッジのプロフィール*

Talent 日月火水木金土の魔法を使う程度の能力

Hobby 読書、ティータイムなど

Like 本や魔導書、紅茶など

Size 特定不能(というかオリキャラ以外はほぼ全て判断できないorz)

 紅魔館の図書館に住み着き、ず~っと本を読んでいる。しかし、レミリアは運動の足りない生活を気にしている。レミリアの相談役兼親友でとても紅魔館の者に愛されている。
 定期的に本を盗(か)りに来る魔理沙に対し、余り対策をしようとしない。甘いのか優しいのか、返せとは言うものの深くまでは追求しない。むしろ持ち主でない咲夜が返せと急かす。
 後、魔法使いにも関わらず長ったらしい魔法の詠唱は体力の足りなさゆえに失敗が多い。あまり無理すると呼吸困難になる時もある為に、2分以上の詠唱を行う時はこあ達が傍で待機をしている。(ピチュリー・ノーザンキ…)




第05日 女性の介抱は誤解を招く前に速やかに済ませましょう

 夜にも関わらずこのジリジリとした暑さ、そして歩くだけで体中にまとわり付くベタベタの汗。なんとも夏というのはまことに鬱陶しいものだ。だが、子どもならばこの暑さを松岡修○並みの暑苦しさでぶっとばすだろう。しかし、大人にとったらそれさえも体に伝わるぐらい暑苦しい。

 

 そして、ここはアリス宅。アリスとノエルはアリスの肩を持ってどうにか家まで着いたのだ。しかし、ノエルはアリスが起きてしまう前にさっさとベッドに寝かせようと必死に考えているのだが、どうもアリスを寝かせる方法が思いつかない。普通に抱えてベッドへ寝かす。この行為は思うは簡単だがいざ実行を考えると難しい。何度も何度も最後には『お姫様抱っこ』をするという案に至るのだが、それをするのはレミリアだけだと心に誓っている。

 

「どうしたものか・・・」

 

 ノエルが悩んで、呟いた言葉は虚しくも部屋に響くだけでソファで横たわっているアリスからの返事はない。聞こえるのは、アリスの小さい寝息だけだ。ノエルは悩む。このまま帰っても大丈夫かもしれないが寝返り打って転げ落ちたら可哀想だし、もし起きられても嫌な感じしかない(実体験済み)。そして、数十秒後考えた結果が。

 

 

 

 

「僕も泊まろう。ここで…」

 

 今にも寝そうなぐらい重そうな目蓋を渾身の力で持ち上げている現状なのだ。その結果に辿り着くのも可笑しくない、とノエルは考えた。考えた時にはもう実行を始めていたノエルは取りあえず布団を探す気が起きなかったために自分の上着をアリスに掛ける。そして、次に考えるのは自分の寝る場所。ウトウトとしていて、意識が朦朧としていた。まず、頭で無意識に思い描く寝床の条件は『アリス付近』ということだった。そして、ついにノエルは膝を折って意識を夢の中へと引きずり込まれていった。

 

 

***

 

 そして朝。アリスはベッドではなく、体が慣れていないソファの上で目覚めた。いつの間に寝ていたんだろう…と昨日の記憶を思い返そうとしたところでお腹に何か重い物が乗っているのと、見覚えのある上着が気になり始めた。

 

「何だろう…ってノエルっ!?」

 

 アリスは咲夜の髪の色と似た銀色の髪、ゴツゴツとした筋肉の体をしている時点で無意識にそれをノエルと断定して頭が考えるよりも早く驚きの声を発する。すると、急に顔が高揚し始め頭がショートしていく。

 

 

 普通に考えると居酒屋で寝た私をノエルが送ってくれたってことよね…?それなら何でこんなことになってるのよ。え?分かんない何で何で何で何で(ry

 

 

 アリスの思考回路はすでに現状を理解するには難しくなっていた。真っ赤な顔で、必死に考えようとするが結局行き着くところは全て同じ。しかし、それは自分の思い込みなのではと思っては消えての繰り返し。暫く考えているとノエルの顔がさっきの声に反応したのかピクリと動かす。

 

「・・・ここは・・・あれ?僕確か…てアリスか、おはよう」

 

 ゆっくりと顔を上げて周囲を見渡してからアリスの顔が目に止まり、自然に挨拶を交わす。あまりにも自然に交わされた挨拶にアリスも「お、おはよう…」と返す。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

 再びアリスの家に静寂が訪れる。気まずいと思ったのか、アリスが持ち前の根性ならぬコミュ障を発揮してこの静寂を打ち破ろうとする。

 

「そ、その…あっ、ありがとう…」

 

「え?あ、あぁうん…当たり前の事をしただけだよ」

 

 ノエルは眠そうに立ち上がりながらそう言う。しかし、アリスはまだショートしているのか「あっ、当たり前っ!?」とまたも驚いた表情を浮かべる。そしてアリスは足をソファから下ろしてノエルの上着を膝掛けに使う。するとアリスは無表情で自分の空いた隣の席を軽く叩いて座るように誘導させる。それを察したノエルも欠伸をしながらそこに座る。

 

「んで?他の娘達はどうしたのよ」

 

「ん?あぁ文は僕が、天子は愛優が連れて帰っていったよ」

 

「ふぅん、あの新聞記者も寝てたんだ。」

 

 実は酒に慣れていないアリスが先に寝て、次に天子でその次が文でこのままじゃ皆寝てしまうってことで、愛優がノエルをひっぱ叩いて起こしたというわけだ。

 

「というか、あの『愛優』っていう人は誰なの?」

 

「あれ?知らなかったのか?てっきり知っているものかと」

 

「いや、魔理沙に好きな人が居るとは聞いたけどそれがその愛優さんだなんて思わなかったわよ。紅茶を淹れるけどいる?」

 

 アリスは「上着ありがと」と付け加えてソファから立ち上がり台所へと消えていく。ノエルも返された上着を着ながら「いただこうか」と言う。そして続け様に言葉を続ける。

 

「別に、アイツのことは『さん』付けしなくても良いと思うよ」

 

「何でよ。失礼じゃない?」

 

「そうだけど…」

 

 物言いたげな表情をして途中で言葉を止める。アリスはソーサーを乗せたティーカップを二つ、長方形のテーブルの上にそっと置く。ノエルはそれを軽く頭を下げてから一つ自分の手の届く場所へと引き寄せる。

 

「というか、魔理沙が知っているのは分かるけど接点の無い貴方がなんで知っているのよ」

 

「え?じゃあ、僕と咲夜がおz…レミリア様に拾われたのは知っているだろ?」

 

「えぇ、まぁね。」

 

「実は僕たちが拾われた時にはすでに紅魔館は幻想郷にあったんだ。」

 

「あれ?貴方達が異変起こした時に貴方達も一緒に来た感じだったけど?」

 

 二人はティーカップに覆われたソーサーを取ってパックを引き抜き、カップの下にソーサーを敷く。ティーカップからは蜂蜜のような少し甘い香りが漂い、甘い物には目が無いノエルはすぐさまカップを口へと運ぶ。そして、ノエルは「あ~」と幸せそうな顔をしてから質問に答える。

 

「うん、実は霧の湖。あれもレミリア様の能力なんだよ。それを異変を起こすまでは霧で隠していたんだ。僕たちは、霧で隠された紅魔館に辿り着いて色々とあって拾ってもらったんだ。そして、それを知らされたのは異変の後すぐ。」

 

「へぇ、吸血鬼ってそういうことできたんだ。何か、あの二人のせいでそういう恐ろしい印象を忘れていたわよ。」

 

 アリスはそういって残った紅茶を一気に飲み干す。

 

「確かに、人間から見たらまだ幼い子どもみたいだからな。それで、話し戻すけど愛優とは、僕と咲夜がその紅魔館に行くまでに出会ったんだ。といってもまだ愛優はその時、博麗神社には居ずに森の近くで息を潜めていたらしいよ。」

 

「息を潜めていた?つまり、隠れていたってこと?」

 

 アリスが軽く眉間にしわを寄せてノエルに聞く。

 

「う~ん、ごめん。何というかそこで暮らしていたっていうか。僕も詳しくは知らないんだ。」

 

「へぇ~、何か以外だわ。ならノエルと咲夜ってどこから来たのよ」

 

「それは・・・――――」

 

 ノエルが続きを言おうとしたときにアリスの家のドアが開く音が鳴り、二人はそこへと視線が移動する。そして、そこに立っていたのは余程いそいで来たのか金色の髪が乱れている魔理沙だった。魔理沙は家を入るなり、ノエルの姿を目視して叫びだす。

 

「なんか、レミリアが『ノエルが出て行った』って言いながら泣崩れていたんだぜ!」

 

 一瞬の出来事だったため、詳しくは状況を理解できなかったノエルだがレミリアに何かがあったということは理解できた。

 

「それは本当か!?今すぐ、戻ろう!アリス、紅茶ありがとう。美味しかったよ!」

 

 ノエルがそう言い残した時にはノエルはアリスの家から消えていた。

 残された二人は互いに目を合わせるが、言葉が出ない。しかし、基本嫌という程いつもいる仲なので沈黙は逆に気まずい。そう、思ったのか魔理沙は先ほどまでノエルが座っていた場所にドスンと女の子らしいとは思えない座り方をする。

そして、その沈黙を破る。

 

「…アリスってノエルとはどういう関係なんだぜ?」

 

 アリスは「え…?」と漏らして、すぐにさっきまでショートしていた頭でまた考える。そして、数秒後アリスは考える時に無意識に下げていた顔を上げて開口する。

 

「…普通に、酒を呑んだりこうして話したりするだけのお友達よ…」

 

「へぇ~(ニヤニヤ)」

 

 魔理沙はこの上無い程に気味の悪い表情を浮かべる。

 

「朝っぱらから、ノエルとお家デートか~?やはり、私は邪魔だったんだぜ」

 

「ちっ違うわよ!そんなんじゃないわよ。」

 

 必死に弁解しようとするがすでに顔は真っ赤に染まっていた。魔理沙は調子に乗っていじり続ける。

 

「へぇ~、じゃあ何でまだ9時前なのにノエルがアリスの家で茶をしているんだぜ?」

 

「昨日、ノエルが私を介抱してくれたらしくて。だけど何故かノエルが私の上で寝てたから…」

 

「いや、本当にどういう関係なんだぜ…?」

 

 魔理沙はソファから立ち上がって一歩離れて、恐る恐る聞く。

 

「いやいやいやいや!そういうわけじゃないから。ただ、寝ていたら腹に頭があっただけで…」

 

「はぁ!?それって…もしかして…アレか!?アレなのか!?でも、ノエルに限ってそれは無いか…いや、しかしあの能力の時点で色々とアウトなんだよな~だって痴漢し放題ってことだろ?」

 

 魔理沙の妄想をアリスははじめはまとも聞いていたが後半は呆れたように手で頭を抱えて首を振る。

 

「はぁ…。魔理沙も朝っぱらから何言っているのよ。アレとかアウトとか意味が分からないわよ」

 

「アリス!よ~く聞いてくれ!」

 

 魔理沙はアリスの言葉を聞かずにアリスの肩を強く持ちながらガシガシと揺らす。

 

「な、何よ」

 

 いきなり、肩を揺さぶられて混乱したのか目の焦点が微妙に合っておらず正常になるまでに少し時間を要した。

 

「アリスは昨日の夜中に…」

 

 アリスは、唾をごくりと喉を通る音がしっかりと聞こえるぐらいに冷静に魔理沙の言葉を待った。しかし、魔理沙はアリスの予想を遥かに上回っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「多分、ノエルに襲われたんだと思う…。うん、そうだ。いやぁ、ノエルもひでぇよなぁいくら美しょうzy(天誅ぅぅぅ!!!」

 

 魔理沙はうんうんと頷いて納得しているところをアリスの渾身のガゼルパンチにより、その場で腹を抱えて悶絶する。そして、アリスは魔理沙を見下ろしながら言い放った。

 

「全く…ノエルに限ってそんな事する訳無いでしょう?次、同じようなこと言ったらデンプシーロールか低空スマッシュするから。」

 

 アリスはそういって適当にピーカブースタイルに入るフリをする。

 

「うぅっ、いっいやそれっ絶対嫌なんだ…ぜ…」

 

 魔理沙はそう言い残して悶絶した状態で失神してしまった。アリスはそこで要約やりすぎたことに気づき、魔理沙をベッドへと運ぶ。

 

 ノエルも私をこんな風に運んだのかな…?と考えるうちにこうも思った。何故、ベッドまで運んでくれなかったのか、と。確かにアリスの部屋はソファとベッドは近いわけでそこまで運んでくれても良かったものの、高さ30cmぐらいのソファで寝かせて何の意味があるのか。アリスはまた聞こうと、頭の片隅に置きながら魔理沙を『お姫様抱っこ』をしてベッドに横たわらせる。

 

******

 

 ノエルは、体力の限界まで本気で紅魔館へと直行していた。何故なら、数秒前に自分の所為で自分の主が泣いた、と告げられたからだ。そして、今はその門前で息を切らしながら立ち尽くしていた。いつもなら、美鈴が寝ているはずが居ないということで事の重大さが理解できた。

 取りあえず息を整えて、紅魔館の開いた門を潜って館内へと入る。すると、すぐそこにはレミリアが蹲っておりその周りに咲夜やパチュリー、フランや美鈴が慰めているように見えた。

 

「すみません!今、戻りました!!」

 

 ノエルは、頭を深く下げて謝った途端皆がノエルを見て、真っ先にレミリアが懐に飛び込んできた。そのまま、ノエルは衝撃で尻餅を付く。

 

「本当にすみませんでした。もう、泣き止みましたか?」

 

 優しく囁きかけるノエルにレミリアは顔を埋めながら、首を縦に振って頷く。しかし、顔を上げないところ、まだ少し泣いているところ恥んでいるのだろうか。そう思ったノエルは少しそんなレミリアが愛おしく感じた。

 

「どこで何をしていたのよ?今日はいつもより朝早く起きたのにどこ探しても居ないんだもん。」

 

「え?あぁいや、その…友達とお酒を呑んでいました…ハイ…。」

 

 あながち間違ってはいないことを言って、レミリアの納得の言葉を待つが帰ってきたのは「ふぅ~ん」という曖昧な返事だった。

 

「取りあえず昼御飯の前に私の部屋に来てくれない?話があるから」

 

 レミリアとノエルは立ち上がり、レミリアは自分の部屋へと帰っていった。すると、次はフランが抱きついてきた。

 

「ねぇ!ねぇ!お姉さまとっても心配してたのよ!?私を置いて出て行っちゃった!なんて言うからさ。」

 

「いえ、本当に心配をかけてごめんなさい。ちょっと友達が寝ちゃったから家まで帰していたのです。」

 

 さっきまで、友達(女)の家で寝てたなんてこんな純粋で無垢な一寸の曇りの無い目に向かって嘘が吐けない。そう思うノエルは咄嗟に本当の事を言う。

 

「それって誰!?どんな人!?」

 

《何だ…この目は…フラン様の前では何故か嘘がつけない…これも吸血鬼の能力!?何て恐ろしい…》

 

 ノエルは長年ここで従者をしているが改めて吸血鬼の恐ろしさ(笑)を目の当たりにする。

 

「えっ、それは…何と言うかその…とても手が器用何ですけど引き篭りがちな方で余り喋るのが苦手な方です。だけど、その人は裁縫が上手くて特にお人形とかも・・・」

 

 無理に早口で話すノエルにフランは一生懸命に相槌を打って聞く。

 

「う~ん、つまり引き篭りがち(ニート)手の器用さ(キーボードの早打ち)を応用して裁縫が得意と…しかし、余り喋るのが苦手(コミュ障)。何て恐ろしい友達なんだ…」

 

「いえ、フラン様の勘違いの仕方とルビの振り方に僕の方が恐怖を覚えています・・・」

 

 ノエルはフランは明るい満面な笑みを浮かべながら発する言葉に対し、どこでそんな言葉を覚えたのかをガッカリして膝を折り、静かに突っ込む。

 

 

次回へと続く…!?




『教えて!人妖先生!!』

え~始まりました。始まってしまいました。おはようございます。こんにちは。こんばんわ。人妖さんです。今回の質問はこれです。

ペンネーム 紅魔館に住む、引き篭もりの秘書(匿名というか名無し)

Q、

 前から思っていたのですが何故こあには『こあ』という名前があるのに、ナイスバディで超美人の私には名前が『小悪魔』何でしょうか?そして、私たちには能力があったりするのでしょうか?気になって仕方ありません。教えてください。

A、

 貴方は、親がその身を削って産んで出てきたんです。しかも、立派に『小悪魔』という名前を貰ってそれ以外に何が必要と言うんですか?能力?そうですね、そちらはまた大分先で公開されるでしょう(逃避)。後、コラボをお誘いくださった和菓子ぃ様。もう少しお待ちいただけると幸いです。

作者の一(人)言

アリスの『はじめの一歩』ネタわかる人が居るのだろうか…?。あ、ちなみに作者の好きな戦いは鷹村VSイーグル戦と千堂VS幕ノ内戦が好きです。キャラは猫田(現役)さんと鷹村です。

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