卍月χ日
今日はチィちゃんのコピー・・・アンジュに会うことになっている。
ホノカさんと違って赤子の状態から生み出したらしいアンジュは、現在10歳だそうだ。
女の子はこの年頃になるとませてくるもんだが、アンジュはどうなんだろうな?
それにいきなり現れた叔父さん相手じゃ警戒するだろう。
ならばここはプレゼント作戦といくか。
女の子は甘いものが好きだからプルンを作っていって食べさせれば話のきっかけになるかもしれん。
そう思ってプルン持参で会いに行ったんだが、あろうことか一発で懐かれた。
何この子チョロ過ぎるんだが。
最初会った時は兄貴の傍でモジモジしながらコチラの様子を伺っていたアンジュだが、挨拶してプルンをプレゼントし、それを食べると大興奮。
はしゃぎながら、
「なんじゃこれは!?なんじゃこれは!?叔父上!!プルプルトロ~ンで美味しいのじゃ!!」
と目を輝かせながら話しかけてきてくれた。
そして、プルンについてや俺が居た村について話してるうちにドンドン近づいてきて最終的には膝の上に座って俺の話を聞いていた。
いくらなんでも警戒心が無さ過ぎやしないか?
こんなんじゃ簡単に誘拐されてしまいそうで心配になる。
とはいえ、懐かれる事自体は別に悪いことではないし、彼女の性格について知れたのも良かった。
「天真爛漫」
アンジュはまさにそれを体現している。
・・・これなら二人を重ねて見ずにすみそうだ。
チィちゃんはだいぶませた性格をしていたからな。
そんな風に思っているとアンジュが話の続きをせがんできた。
俺は分かった分かった、と言いながらふと兄貴達の方を向くと優しい眼差しで俺達を見ていた。
兄貴はきっと昔の事を思い出しているのだろう。
俺と兄貴とチィちゃんとホノカさんの4人で笑い合っていたあの暖かな日々を。
しかし、失ってしまった過去は取り戻せない。
だから、今の優しい想い出をこれから作っていこう。
少しでも兄貴の孤独を癒せるように。
卍月♯日
今日は居酒屋の常連客連中と女性のどんな仕草に萌えるかで盛り上がり、いつもの倍近く酒を飲んでだいぶ酔っ払ってしまった。
俺はフラフラと歩きながら近道をしようと思い、裏道に入ると遠くから警笛の音が聞こえてきた。
酔った頭でそういえば最近義賊が出るんだったな、と思い出し、どうせこっちには来ないだろうと考え、そのまま裏道を進んでいると警笛の音がだんだん近づいてきた。
あー、なんかまずそうだなー、とボンヤリ思っていると脇から何者かが出てきて俺にぶつかった。
咄嗟にそいつを受け止めた俺は、そのまま建物の間の隙間まで押されていき、
「すまない。少しの間静かにしていてくれ。」
と押さえつけられてしまった。
暗がりで姿は分からなかったが声からして若い女だろう。
その際俺の腕に何やら柔らかいものが触れたんだが、俺はその何かが物凄く気になり思わず鷲掴みにしていた。
もみゅもみゅ
「ひゃっ!?」
うーん。なんだこれは。凄く柔らかくて気持ちいい。水風船?
「ふわっ!?ばっ、バカッ!何やってる!?やめっ!?」
なんだ?なんかコリコリしたものが付いてるな。これを摘むのが楽しい気がする。
「んっ!?あっ!?あぁぁぁ!?」
あ~。なんか一生揉んでいたくなる揉み心地だ。これを枕にするのも良いかもしれん。
「~~~!!~~~!!」ビクンビクン
そうしてその謎の物体φを楽しんでいるとバタバタと足音が聞こえてきて俺が居た建物の間の隙間の前を通り過ぎていった。
そこで俺は帰る途中だったことを思い出し、名残惜しく思いながらもその謎の物体φから手を離し帰路についたのだった。
それにしてもあの謎の物体φはなんだったのだろうか。
是非また触ってみたいもんだ。
卍月ε日
今日は露天風呂に入る事にした。
ここ白楼閣には大浴場と露天の二種類の風呂がある。
この浴槽に湯を満たして全身で浸かるという方式は蒸し風呂が一般的なヤマトでは珍しく、これを目当てに訪れる客も多いようだ。
そして今回入る露天風呂だがこちらは大浴場と違って混浴であるため入る時には注意が必要だ。
うっかり女性客と鉢合わせたら気まずくなること請け合いである。
まぁ、あわよくば若い女性と混浴をと考える男連中も居るだろうが、俺の場合は冷たい空気の中熱い風呂で一杯って思ったからだ。
こんなだからウルゥルとサラァナに枯れてると言われるのか。
そんな事を思いながら部屋の外に出るとウルゥルとサラァナが風呂用具片手に出待ちしていた。
「約束」
「お背中をお流しします。」
Oh・・・そういえばそんな約束をしてしまっていたな。
別に断ってもいいんだが、それをすると何を仕出かすか分からないのでタオル着用を条件に一緒に露天に行くことに。
脱衣所の前で別れて服を脱ぎ、腰のタオルをしっかり結び露天に出ると冷たい空気に体が震える。
俺は湯気のせいで視界が悪い中、かけ湯をしようと風呂に近づくが風呂の中央に置かれた岩の上に誰かが座っているのが見えた。
恐らく女性だと思われるその人物から咄嗟に視線を外した俺はどうしようかと考える。
すると相手の方もこちらに気付いたようで、あちらから声をかけてきた。
どこかで聞いた声だとそちらの方を向くとだんだん湯気が晴れてきて、岩に座った女将の姿を浮かび上がらせた。
女将のその一糸纏わぬ裸体は驚く程美しく、いっそ芸術的ですらあった。
思わずその姿に見惚れていると両脇に強い痛みが走った。
その痛みに我に返って周りを見てみると頬を膨らませたウルゥルとサラァナに脇を抓られていた。
「ひどいです叔父様」
「見るなら私たちを見る」
いやいやいや。発展途上のお前たちと成熟した大人の女性。
見るなら後者に決まってんだろ。
その言葉に更に頬を膨らませた二人は俺の腕に抱きついてくるが、哀しいかな発展途上な上にタオル越しではなんとも思わん。
残念だったな!最近じゃお前たちのせいで耐性も付いてきたからその程度では最早狼狽えんよ!
なんて男として終わってるんじゃないかともとれる事を考えながら二人を引き剥がそうとしていると女将に笑われてしまった。
騒がしくてすみませんと謝り、後で出直そうとしたら、酒瓶片手に誘われてしまった。
いや~しょうがない。しょうがないな。せっかく女将が誘ってくれたんだから断るのは失礼だ。いやいやホントしょうがない。決して酒に釣られたわけではないぞ~!
なんて思いながら女将のところに行こうとしたら、姪っ子二人に洗い場まで連れて行かれて全身を洗われてしまった。むろんタオルの下は死守したが。
あと体で洗おうとしてきたのでチョップしておいた。
その後、姪っ子二人を両脇に侍らせ女将に酌をしてもらいながら露天を満喫した。
いや~、極楽だな。露天に浸かりながら良い女に酌をされながら飲む酒は格別だ。
と思ってるとふと疑問に思った事があるので女将に聞いてみることにした。
この帝都では水は管理されており、大量に使うには許可と金が必要だ。
それなのにここ白楼閣では毎日湯を沸かすために大量に水を使っているが大丈夫なのかと。
すると強力な術士である友人に水脈を引かせてそれを使っているという答えが返ってきた。
は?水脈を引っ張る?。パードゥン?
それは流石に無理だろうと思い、同じ術師であるウルゥルとサラァナに聞いてみると鎖の
そして、自分たちも俺の愛があればイケると言っていた。
まぁ、水脈を動かすなんてそうそう必要ないだろうが、何かの役に立つかも知れないから覚えておくか。
そう考えていると入口の方から誰かが入ってくる音が聞こえた。
その人物はペタペタと一直線にこちらに向かってきて、俺の姿を確認すると体を硬直させてしまった。
それは誰か?やはりトウカである。しかも全裸だ。
そして、トウカだから別にいいかとガン見しているとトウカの顔がどんどん赤く染まっていく。
意外と着痩せするタイプなんだな。
と思っていると悲鳴を上げてアタフタし始め足を滑らせ頭を打って気絶してしまった。
流石トウカ。俺の期待を裏切ってくれないぜ。
とは言え、そのままにしておくのもあれなのでウルゥル達に世話を任せ、それを眺めながら俺と女将は酒盛りを再開するのであった。