破界せよ、総てを   作:アゴン

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第九話 それぞれの考察1

 

 

 世界は回る。それがどんなに辛く、過酷な日を迎えようとしても、人の意志とは無関係に、或いは無慈悲なまでに廻り巡っていく。

 

そう、それが喩え─────。

 

「それで、言い残したい遺言は終わりかしら?」

 

「……………」

 

 ─────自分が、絶対絶命の危機に瀕していたとしても。

 

 エリア11とは違うもう一つの日本で起きた出来事から一夜開け、リモネシアへ超特急で帰ってきたブロリーを、家で待ち受けていたのはあしゅら……もとい阿修羅となったシオニー=レジスだった。

 

 テロリストも裸足で逃げ出しそうな覇気を纏う彼女の後ろでは、もう一つの日本の熱海で起こった一件の生放送が報じられている。

 

 内容は謎の巨大ロボを操る謎の組織から街を救ったとされる黒い巨人、マジンガーZと呼ばれるスーパーロボットの事についてだ。

 

 その鉄拳を飛ばし、剣闘士を粉砕する映像や胸部から放たれる真紅の閃光によって髑髏のロボットを破壊する映像は衝撃的であり、世界中に報道され結構な話題となっていた。

 

……だが、問題はそこではない。

 

『─────では、その熱海ではマジンガーZの他にもう一人、しかも生身の人間が巨人ロボを圧倒し破壊したと?』

 

『目撃者の証言によりますと、その人物は男性で金色の炎を纏っていたと情報があります』

 

 テレビから聞こえてくる言葉に、ブロリーはビクリと肩を震わせる。

 

空気が重い。記憶が無く、普段は抜けているブロリーも今回ばかりは流石に不味いと悟った。

 

 散々シオニーから禁止だと言われてきた例の金ピカ状態への変身。それを緊急事態とは言え無断で破ってしまったのだ。

 

約束を違えてしまった事への罪悪感で既にブロリーの精神的ライフはゼロ、これ以上はオーバーキルになってしまう。

 

「………三日間、ご飯抜き」

 

「!!!???」

 

 訂正、どうやらシオニーは精神的にだけではなく肉体的にもライフをゼロにするつもりらしい。

 

死刑宣告にも聞こえるシオニーの一言にブロリーは顔面蒼白となり、ガタガタと震えている。

 

 果たして水だけで三日間耐えられるのか……この世界には砂糖と水だけでも一週間は耐えられると豪語する人間もいるらしいが、自分にはとても無理だ。

 

せめてそこに塩と米が無ければ到底不可能だ。ブロリーはひたすらこの三日を死なずに過ごすかを脳内で検討していると。

 

「………と、言いたい所ですが、事態が事態でしたのでこの件は不問とします」

 

「……………へ?」

 

 一瞬、耳を疑った。不問という言葉の意味自体は理解していないが、少なくともさっきまで彼女から滲み出ていた怒気は消え失せているのは分かる。

 

 だが分からない。約束を破った自分がどうして簡単に許されるのか、いつもならハリセンや拳骨の二つ位なら出てきてもおかしくはないのに。

 

 混乱するブロリーの一方でシオニーは見えない様に軽く溜め息を零す。

 

(まぁ、お陰でこの国も予想していなかった収入を得たし、世間はあまり信じている様子もないから……大丈夫でしょう)

 

 普段とは違い、やたら楽観的な思考を持つシオニー。だが、それには幾つかの理由があったからだ。

 

一つは金色の男、つまりはブロリーの存在が都市伝説の様な存在となっているから。

 

というか、生身で十数メートルの巨大ロボを圧倒するという話自体が既に嘘くさい。直接見たわけでもない人間からすれば有り得ないと鼻で笑う事だろう。

 

 テレビの中に情報を流しているニュースキャスターも苦笑いを浮かべている事から、その信憑性もたかが知れているだろう。

 

 それに、映像に映っているのはどれも鉄の巨人、マジンガーZばかりでブロリーが映っている様な映像は全く見当たらない。

 

 ブロリーはその強大な力を持っているがあくまで人間と変わらない体格。瓦礫に隠れ全く見えていないか若しくはブロリーの動きそのものにカメラがついて来られないか、或いは混乱を抑える為に箝口令が敷かれたか……恐らくは全部だろう。

 

 剰りにも有り得ない話が幸いし、世間は認知しようとしない。それが喩え直接見た人間の証言であってもだ。

 

 皮肉にも、今回の件は世間の狭い視野を持つ民衆に助けられたと言っても過言ではない。

 

 だが、それだけではこのリモネシアの利益に繋がる事はない。混乱しているブロリーを視界の端に追いやり、シオニーはテーブルに乗った新聞へと視線を向ける。

 

その記事にもやはり熱海で起きた出来事がデカデカと掲載されており、見出しにはどれもマジンガーZの話題で持ちきりとなっている。

 

その隅っこでは太平洋上に謎の発光現象が観測されたという記事が添えられている。

 

リモネシアは太平洋上に浮かぶ小さな島国、その付近で観測されたという情報が民衆の興味心を擽り、このリモネシアに観光ついでに金色の男を探そうと訪れて来ているのだ。

 

既にどのリゾートホテルにも予約で埋め尽くされ、業務員は嬉しい悲鳴を上げているとの事。

 

 リモネシアは元々観光や漁業で営んできた地域、ここでこの国の良さを伝えれば新しい顧客を獲得するチャンスが巡ってくる。

 

 金色の男の正体を伏せたまま、且つこの国の利益に繋がる働きを見せた。偶然の産物で生まれた利益とはいえ、この国の役に立ってくれたブロリーにシオニーは下手に叱る事は出来なかった。

 

 ────それに何より。

 

(熱海が、以前のリモネシアに見えたと言うなら、尚更叱れる訳がない)

 

 

 以前、リモネシアで起こったテロリストによる襲撃。家が、街が、人が焼かれた光景を目の当たりにしたブロリーが熱海でその光景を重ねた事により感情的になったのだとシオニーは推測する。

 

 この街をあの商店街の二の舞にはさせない。ブロリーの行動にそんな意味があるのなら尚更罵倒する事は出来なかった。

 

 首を傾げて此方の様子を窺っているブロリーの視線に、シオニーは咳払いをして。

 

「そんな事より、今日私は国連会議に出なければならない為、これよりブリタニア=ユニオン領地に向かいます。準備なさい」

 

凛とした表情で付いて来いと伝える彼女にブロリーも頷く事で応えるのだった。

 

金色の男の正体、それに気付き始めた者達がいる事にも気付かず……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 太平洋上、リモネシアからは遠く離れた場所に位置する無人島。鬱蒼とした森に囲まれたその島に数人の男性と一人の少女が佇んでいた。

 

 彼等の近くには巨大なコンテナが敷かれており、噴射口らしき箇所からは緑色の光が放出されている。

 

「そりゃ本当か? ティエリア、アレルヤ」

 

「あぁ、間違いない」

 

「信じられないけどね」

 

 それぞれが同じパイロットスーツを着込んだ男性、ロックオンがティエリアとアレルヤと呼ぶ二人のメンバーからの報告に信じられない、といった様子で驚きを露わにしていた。

 

「じゃあ、今ニュースで流れている金色の男ってのは……」

 

「……存在していると確定していいだろう」

 

「マジかよ」

 

メガネを直しながらのティエリアの一言に、ロックオンは疲れた様子で目頭を抑える。

 

「機械獣を破壊して素手で巨大ロボを全滅させ、オマケに空を飛ぶ人間………スーパーマンじゃあるまいし」

 

「実際凄かったよ。まるで特撮映画を見ている気分だった」

 

「冗談にしては笑えないな」

 

 アレルヤなりの気遣いにロックオンは苦笑いで応える。たが、それでも彼等の表情は暗かった。

 

「……それでティエリア、ヴェーダやスメラギさんからは何て?」

 

「現状維持、引き続き我々は我々の任務をこなせ……と」

 

「現実逃避ね、気持ちは痛いほど分かるが」

 

 宇宙にいるであろう自分達の戦術予報士が頭を抱えている姿を想像し、やはりロックオンは苦笑いを浮かべる。

 

 自分達の様に機動兵器に搭乗しているのでもなく、特殊なパワースーツを着ている訳でもなく、生身で圧倒する金色の男。

 

武力によって戦争を根絶する事を目的としているソレスタルビーイング……つまりは自分達にとってその男はまさに脅威と呼べる存在。

 

 恐らくは、コロニー側のガンダム達も自分達と同じ心境なのかもしれない。

 

「じゃあ、以前リモネシアで暴れまわったWLFを壊滅させたのも?」

 

「奴の仕業と見て間違いないだろう」

 

「おかしいと思ってたんだ。マトモな軍事力もない弱小国が規模の大きいテロ組織相手に完勝するなんてよ」

 

「僕達も世間から見れば充分テロリストだけどね」

 

アレルヤからの指摘にロックオンはそれを言うなとツッコミを入れる。

 

 金色の男、その力は凄まじいの一言で、現存するどの機動兵器をも凌駕する性能を持つとアレルヤは言う。

 

そう、自分達の乗る“ガンダム”を含めて。

 

 ティエリアもアレルヤと同じ見解なのか苦々しく思うも、反論する事はなかった。

 

 計画実行の際にどんな妥協も許さないティエリアですら、金色の男の前では強気には出れないでいる。そして、その事実がまた彼等の悩みの種をより大きなモノになっていく。

 

我ながら大変な道を選んだものだと、ロックオンは微笑する。そんな彼の前に今まで黙していた少女が挙手をする。

 

「あの、皆様金色の男について思い悩んでいるみたいですけど、そんなに深刻な問題なのでしょうか?」

 

「───王留美(ワン=リューミン)」

 

「どういう事だい?」

 

「金色の男。確かにその力は侮りがたい代物でしょうが、彼が今の所は余所の国に対して武力行使をしている様子はありません」

 

 ソレスタルビーイングの支援金として、或いは情報通達係として暗躍している王留美の見解は自分達の計画にはあまり関係ないと提示する。

 

一見、金色の男は無差別な暴力を奮っている様に見えるが、実際は違う。

 

リモネシア、そして熱海、いずれも迫り来る脅威に対してのみその力を奮っている。

 

 それを証拠に、金色の男は機械獣やテロリストたちを相手にしても、市民に対する攻撃は行っていない。

 

 自分からは決して攻撃せず、戦争の拡大に繋がる行動はしない。つまり、ソレスタルビーイングの紛争幇助の対象にはならないのだ。

 

しかし。

 

「だが、それはあくまで現状での話だ。奴の目的がはっきりしていない現段階では、その様な憶測は返って危険だ」

 

 そう、ティエリアの言うとおりそれはあくまで現状の話。金色の男の目的がはっきりしない今、楽観する事は出来ない。

 

その彼の考えにはロックオンやアレルヤも同様で、最低でも油断ならない相手と認識する。

 

「けど、実際どうする? 彼がもし紛争幇助の対象になった時……正直、僕はまだ敵対したくはないけど」

 

 弱気な発言、しかしそれも当然と言えば当然だ。自分達はまだ世界に戦いを挑んだばかり、不安材料は確かに元からあったが今回ばかりは桁が違う。

 

 生身の人間が、巨大な機動兵器を圧倒したのだ。公にこそ出ていないもののその力は未知数にして強大、前人未到の事態なのだ。

 

 想定していたどのケースとも違う。予想だにしていなかった存在の登場に三人の浮き足が立っていると。

 

「武力による紛争根絶」

 

「刹那?」

 

「その男が紛争を撒き散らすというのなら、それを破壊するのが俺達ソレスタルビーイングのガンダムマイスターだ」

 

 会話に介入してきたのは、一人の少年。まだ幼い印象を持つその少年はロックオンやアレルヤ、ティエリアと同じパイロットスーツを着ている。

 

 

 

少年のその瞳には迷いがなく、確固たる意志が秘められているのが分かる。

 

 そんな彼の姿勢にロックオンは不敵に笑い、アレルヤは苦笑いをそれぞれ浮かべ。

 

「オーライ、確かにお前の言う通りだ刹那」

 

「ちょっとナーバスになってたよ」

 

 突然現れたイレギュラー、しかしだからと言って自分達の掲げた理念を曲げるつもりも毛頭ない。

 

それを思い出した二人は最年少のガンダムマイスターである刹那に向き直る。

 

自分達はソレスタルビーイング。喩え相手がどんな存在でも紛争幇助の対象になるのなら討つのみ。

 

既に自分達は世界に対して喧嘩を売った身、故に逃げる事など有り得ないのだから。

 

「そんな事、君に言われなくとも承知している」

 

そんな決意を新たにしたロックオン達とは違い、ティエリアだけは突っぱねた態度で示し、刹那を睨み付けている。

 

そんな彼苦笑いし、やれやれと肩を竦めていると。

 

「おおーい、いい加減話し合いは終わりかい?」

 

「おっと忘れてたぜ。お前さんにも話があったんだったな」

 

 両手両足を縄で縛られ、更には目隠しまでと完全に身動きを封じられた男が、その格好とは似合わない明るい口調でマイスター達に話し掛けてきた。

 

「おいおい、人を捕まえておいてそりゃないぜ」

 

「気に入らないな。我々を前にして……余裕のつもりか?」

 

「そう怒るなよ。これからコイツにはたんまり話して貰うからさ」

 

「んじゃ、お話の前にまずは自己紹介といこうか。俺はクロウ=ブルースト、借金を返済する為に戦うテストパイロットさ」

 

 自らの命の危機にも省みず、男はあくまで余裕の崩さない態度で秘密組織であるソレスタルビーイングの面々に高らかに名乗るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 龍牙島。二つの日本に挟まれた人の足が踏み入られてない無人の島。

 

公には無人島と言われている島だが、その裏では恐ろしいまでの技術の結晶が注ぎ込まれており……言えばそれは、まさに秘密の基地である。

 

 地下に建設された巨大なホール。空中には浮かぶ地球儀を模した座標地図が。

 

 至る所にあるモニターからは世界情勢について最新の情報が映し出されている。

 

 間違いなく国家レベル、しかも最高峰の技術を盛り込んだどれも画期的な代物。

 

そんな科学の結晶に包まれながら一人の男性と四人の男女が睨むように対峙していた。

 

……いや、実際には目の前の男性に対し一人の女性が、だが。

 

 対峙している男の方は笑みを浮かべ、目の前にいる彼女達の警戒心を削ごうとしているが、それが逆効果となり、青髪の女性からは睨みだけでなく拳銃まで出されて威嚇されている。

 

「それで、考えて頂けたでしょうか?」

 

「つってもなぁ、いきなりダンクーガのパイロットをやれって言われても……」

 

「僕達は戦場に立った事も、機動兵器に乗った事もないのですよ?」

 

「あぁ、それなら大丈夫です。ここにくる途中催眠学習で覚えさせましたから」

 

「勝手に人の頭を弄くるなんて……随分な事をしてくれるじゃない」

 

「申し訳ありません。しかし私達は何分秘密組織で通っているもので」

 

「そんなのそっちの勝手じゃない」

 

 平行線。噛み合っているようでそうじゃない会話。どんなに威嚇しても顔色一つ変えずに相変わらずの笑顔を浮かべている男に、青髪の女性がいい加減その指に掛かった引き金を引こうとした時。

 

「いいわよ。やってやろうじゃん」

 

その声に、全員が振り返った。

 

「おぉ、飛鷹葵さん。やってくれますか!」

 

「フルネームは止めて。葵で結構よ」

 

誰もがダンクーガという謎のパイロットをやれと言われ渋っていた矢先、赤い髪の女性、飛鷹葵が自らそれをやると宣言してきた。

 

これには他の面々は驚き、眼鏡の男に至ってははにかむ様な笑顔を振りまいていた。

 

「ち、ちょっとアナタ本気なの?」

 

「本気も本気、大真面目よ」

 

「ありがとうございます。では、早速此方にサインを……」

 

面食らっている他の面々を余所に契約書らしき紙を取り出す男。葵はそんな彼を片手で制止して……。

 

「その前に、一つお願いしてもいいかしら?」

 

「契約金の事でしたら、まだ上限がありますけど?」

 

「いえ、お金の話じゃないわ。貴方達は私達の事を知り尽くしているみたいだけど、それってかなりの情報収集能力があるって事よね?」

 

「……そう、ですね。例えばそちらの館華くららさんは警視庁の麻薬捜査官。ジョニー=バーネットさんは大手企業のサラリーマン。加門朔哉さんはホームレス。そして貴方こと飛鷹葵さんはF01のレーサー兼トップモデルと、それなりに情報は集められる自信はありますが? ……それがなにか?」

 

「……私の望みは一つ、ある男を探して欲しいの」

 

「……その男とは?」

 

「────金色の男」

 

 金色の男。その単語を口にした瞬間、その場の全員が驚愕に目を見開いた。

 

 今まで余裕の笑みを浮かべていた男も、眼鏡を掛け直して僅かながら動揺を顕わにしている。

 

「金色の男って……あの熱海に現れたって言うあの?」

 

「ですが、あれは噂で都市伝説扱いされているのでは?」

 

「………誰?」

 

 ……訂正、一人ホームレスだった朔哉だけは知っている様子はなく、驚きを隠せないでいる他の面々に置いてけぼりを喰らっていた。

 

「それで、どうなの?」

 

「いやはや、貴方も中々の難題を出してくれる」

 

葵の問に男……田中はやれやれと肩を竦める。しかもその口振りからして何か知っているようなその素振りにくららとジョニーは更に驚きを募らせる。

 

「まさか……実在していたの!?」

 

「まさか、“男の都市伝説”にも載っていない情報を得られるなんて……」

 

「なぁ、一体誰なんだよ。その金色の男ってのは?」

 

 何やら周りがざわつき、一人取り残された朔哉は自分にも説明して欲しいと訴えるが、それに気付く者は誰もおらず、田中は再び眼鏡を掛け直し。

 

「分かりました。その願い、聞き入れましょう」

 

「なら、契約成立ね」

 

互いに握手を交わす葵と田中、その様子を見ていた三人は互いに顔を見合わせ呆然としている。

 

(あの男、金色の男は嘗てない衝撃を私に与えてくれた)

 

 思い返すのは、熱海で遭遇したあの出来事。燃え盛る炎の中、機械獣という巨大な敵を相手の圧倒し、粉砕した絶大な力。

 

傷一つ負わず、全ての敵を駆逐したあの姿。

 

忘れられない。瞼の裏に張り付いて離れない。

 

(知りたい。彼を、あの男を!)

 

あの男に会いたい。嘗ての自分には有り得ない程の興味心に突き動かされ、飛鷹葵はダンクーガのパイロットになることを決意する。

 

戦いの中で、再びあの男と会える事を信じて。

 

(本当、名前だけでも聞き出せば良かったわ)

 

 

そして、今度こそあの朴念仁を─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘェアックション!」

 

「あら? 貴方がクシャミだなんて珍しいわね?」

 

「な、何だか急に鼻がムズムズして……」

 

 ブリタニア・ユニオン領土内でも神聖帝国ブリタニアの強い影響力の下にあるとある街。次の仕事に向かうシオニーに付き従い、ブロリーもその後ろを歩いていた。

 

珍しくクシャミをするブロリー、しかし体調不良という訳ではないと言う彼の言葉を聞き、シオニーは再び仕事場へと足を進める。

 

今回は会談ではなく、復興に置ける資材の運搬についての外交。

 

 幾らシュナイゼル個人が復興を支援してくれると言ってもそれに甘えるシオニーではない。

 

国連、引いては三大国家に借りを作らぬよう、シオニーは率先して復興の指揮を取ることにした。

 

唯でさえ、噂程度であってもブロリーの正体がバレそうな状況にあるのだ。

 

復興支援に混じって金色の男の正体を探るべくスパイが送られてくる可能性だってあるのだ。予断は許されない。

 

(マヌケな手を打たないよう、気を付ける必要がありそうね)

 

 過敏ともいえるシオニーの反応、しかし、だからこそ彼女は一人で世界を相手にビクつきながら戦って来れたのかもしれない。

 

「いい事ブロリー、今回は……て、あれ?」

 

 振り返れば、いつの間にかブロリーの姿は消えていた。

 

自分達のいる街は人通りも多く、ブリタニアの他にユニオンの基地もある大きな都市。

 

「まさか、あの子は!」

 

はぐれてしまった相方のシオニーは頭を痛めながら来た道を戻るのだった。

 

一方、そのブロリーはというと……。

 

「……誰ですかぁ?」

 

「こんにちは、僕の名前はV.V.(ブイツー)。はじめましてブロリー君。……いや、金色の男と言うべきかな?」

 

 

人通りの少ない路地裏で、奇妙な子供に絡まれていた。

 

 

 




そろそろトライダーやダイ・ガードとも絡ませたいなぁ……。
だけどボトムズだけはどう絡ませるか検討付かない!

キリコとブロリー……だめだ。会話なんてなさそうだ。

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