俺のボーダーとしての青春はまちがっている。【俺ガイル編】   作:ばけねこ

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【第八章 雪ノ下家の陰謀】

「あのねヒッキーボーダーを見学したいって人がいるんだけど・・・」

 

「広報を通せ」

 

「全然許可下りないんだって、ヒッキーならなんとか出来るんでしょあたし達の時は簡単だったじゃん」

 

「それはお前等が候補生だったからだ。俺の権限じゃない」

 

本当は違うが一度実績を作ってしまうとなし崩しになるからな

 

「今の雰囲気だと言い出しづらいのだけれど・・・私も一人どうしても見学をしたいとごり押しをしている人がいるのだけれど」

 

雪ノ下お前もか・・・ってか二人とも潤んだ目で俺を見上げてすり寄ってくるの止めて八幡そんなに強くないから・・・

 

「・・・ボーダーの仕事を真剣に検討してるってなら話はしてもいいが・・・冷やかしやミーハーはお断りだぞ・・・」

 

「やったーヒッキーありがとう、小町ちゃんの言う通りだったよ」

 

なんだと俺の目の前でガッツポーズをとる雪ノ下と小町とハイタッチする由比ヶ浜・・・犯人はお前か小町

 

 

「ハロハロ、今日はありがとうねヒキタニ君。結衣から聞いたよヒキタニ君が無理を聞いてくれたんだってね」

 

「あーしは結衣に会いに来ただし、ヒキオあんたは関係ないんだし」

 

「お前等冷やかしなら帰れ」

 

「優美子そんな言い方ないよヒッキー頑張ったんだし」

 

「あー由比ヶ浜この三浦と海老名はお前が案内するんだよな。俺は何もしないからなくれぐれも騒ぎだけは起こすなよ」

 

「分ってるし優美子、姫菜色々案内するからね。まずは食堂行くね」

 

そのまま3人は姿を消したのだがボーダーに来てまで食堂に行って何するつもりなんだよ・・・

便宜上お前等はオペレーターとボーダーへの志願者として申請してるんだぞ

 

「ふーんここが雪乃ちゃんの職場か」

 

「比企谷君、姉さんは私が案内するから安心していいわ」

 

もう一人の見学者、雪ノ下陽乃は妹の所属するボーダーと言う組織を一度内部から視察してみたいとのことであるが

一般見学者と異なるのがスポンサー候補であることだ。その為上層部からは便宜を図れと言われている

 

「姉さん行くわよ」

 

まあ俺の手を煩わせないのであれば何の問題もあるまい

最近は小町や留美の訓練が滞っていたので今日は個別訓練をする事にしていた俺達は模擬戦ブースへ移動した

 

 

「ほら小町動きが鈍ってるぞ」

 

俺は小町を模擬戦で鍛えている銃はアイビスでなく接近戦用のショットガンだ

ショットガンは連射は効かないが散弾が広範囲に攻撃をする為接近戦で剣を持つアタッカーとも渡り合える

 

「おにいちゃん容赦ないよ~」

 

俺が撃った散弾をシールドと縦横の回避で致命傷とならない程度のダメージで済ませている小町

普通のA級隊員なら勝負は既についている攻撃をかわしているのは合格であろう

 

「おにいちゃん隙ありー」

 

俺の作った隙に小町が弧月で切りかかってくるがメテオラを置き土産にグラスホッパーで上空へ回避しながらショットガンで止めを刺す

メテオラの爆風の中小町がベイルアウトしていった

 

待機ブースに戻ると俺達の戦いを見ていた緑川がいた。こいつは中学生でありながらA級部隊のアタッカーだ

 

「八幡先輩は小町さん相手でも容赦ないね」

 

「おう緑川かお前小町に見とれてたな。穴だらけにしてやるから一戦やるぞ」

 

「やっはろー緑川君、おにいちゃん虐めはダメだよ」

 

「小町さんこんちわ。八幡先輩がスコーピオンしか使わないなら考えますよ」

 

「ほら俺の持ち味はトッリキーだから」

 

「緑川君おにいちゃんはわざと隙作るような外道だから止めた方がいいよ」

 

「八幡そっちも終わったか」

 

そうこうしていると二郎と留美も合流してきた

 

「二郎そっちはどうだ」

 

「まずまずだな」

 

「二郎偶には留美に負けて」

 

遠距離攻撃一辺倒だった留美には最近アイビスからのショットガンへの高速切り替えと接近戦も訓練しているのだ

 

本来スナイパーは見つかったら終わりと言われるほど接近戦に弱いのだがショットガンを使わせる事で対応し

特訓の成果か接近戦でも問題なく戦えるようになってきた

 

「そうだ緑川、小町と留美の成果を見たいから一戦やってくれないか」

 

「小町さんと留美ちゃん相手ならいいよ」

 

こうして緑川対留美、緑川対小町のそれぞれ10本勝負が開始されたのである

 

観戦用の画面に留美へ切りかかろうとした所をショットガンで迎え撃たれた緑川がベイルアウトしていく映像が映る

次は緑川がショットガンをかわしながら切り込み留美がベイルアウトした

 

10本勝負の結果は留美が3:7で負け越したが今の段階であれば問題ないだろう。撃つマネで緑川をひっかける所なんかはなかなかいい

 

「八幡負けた」

 

「緑川相手に3勝なら上出来だ後で俺直伝の罠をじっくり教えてやるから覚えたらリベンジだな」

 

「約束」

 

「おう」

 

画面は切り替わり緑川対小町が開始された。小町のバイパーを緑川がシールドでガードする隙に切り込み緑川がベイルアウトする

緑川が移動する先にいつの間にかグラスホッパーが現れ体制を崩された所を小町が待ち受けていてまたもや緑川がベイルアウト

 

10本勝負が終わり結果は小町が8:2で勝ち越した

ブースに小町と緑川が戻ってきたが機嫌のいい小町にくらべ緑川の表情が暗い

 

「ふふふ、おにいちゃんとの外道な戦いに比べれば楽なのです」

 

「やばい次のランク戦までになんとかしないと本当やばい」

 

と緑川は項垂れたままとぼとぼと何処かへ行ってしまった・・・強く生きろよ緑川

まあ小町と緑川の実力はほぼ互角であるのだが小町に俺が罠の使い方を教え込んでる分の差が出たのだ

 

俺と二郎が小町と留美に緑川との戦いを参考にアドバイスをしているとブース内がガヤガヤと騒がしくなってきた

 

「あっヒッキーサクジーやっはろー」

 

「あら偶然ね佐久間君と比企谷君だったかしら、こんにちわ」

 

「朝会ってるからさっきぶりだから」

 

どうやら由比ヶ浜と雪ノ下が合流したようで一緒に模擬戦ブースに来た

なぜかC級隊員の男達が群がっているがなんなんだ?

 

「ハロハロ、ヒキタニ君達も模擬戦してるの」

 

「俺達は小町と留美を鍛えてたところだ」

 

「ヒキオ戦ってみろし」

 

「三浦、残念だったな俺と模擬戦をやる物好きなんていないんだよ。って言わせんな」

 

海老名と三浦に催促されたのだが相手がいないので仕方あるまい

二郎とは千日手になってしまうし由比ヶ浜や雪ノ下では相手にならない

 

「私も見てみたいな、可愛い妹を指導している比企谷君の実力

 ねえ嵐山君どうにかならないかな?」

 

雪ノ下陽乃が突然言い出したんだが

 

「比企谷の相手ですか・・・」

 

どうやらスポンサー候補様に本部は嵐山さんも付けたらしい

そもそもトッリキーな俺の相手が務まる隊員はボーダーの中でも少ないのだ

 

C級隊員達の中には名乗りを上げようとしていた奴もいたが俺がA級だとわかると引き返していった

 

「ならさ、比企谷君を倒せたらデートしてあげるってのはどう?」

 

おーと歓声があがり再び名乗りを上げようとしていた奴がいたが・・・

 

「空飛ぶ先輩に勝てるわけないだろ」

 

「え?あの人がトランプ先輩!」

 

なんだその二つ名はどうやらランク戦での戦い方で有名になってしまったようだ

だからか・・・模擬戦ブースに来るとB級隊員達が逃げていってたのは・・・俺の目のせいじゃないよね

 

「なら俺とやろうぜ比企谷」

 

いきなり太刀川さんが名乗り出たこの人作戦室に籠ってレポートを仕上げていたはずなんだが

 

「太刀川さんレポートはもういいんですか」

 

「気分転換だよ気分転換10本勝負でどうだ比企谷。俺が勝ったらレポートの手伝いな」

 

「はぁ、まあいいですけどね」

 

そう言って俺と太刀川さんは模擬戦を開始した

 

開始早々撃ったショットガンを危なげなく躱す太刀川さんしかし俺を警戒して踏み込んでこない簡単には罠にはかからないか・・・

高速で移動しながら刃を交える最中ショットガンを向けると横によけながら太刀川さんが突っ込んできたところを仕留めた

 

「比企谷、撃つフリはずるいぞ」

 

「はははこれも作戦のうちです」

 

常人では目で追い切れなくなるほど高速で飛び回る太刀川さん俺に攻撃の機会を与えない作戦にでたようだ

 

俺も同等の速度でやりあいタイミングを計る太刀川さんがグラスホッパーにかかって浮いた所をショットガンで狙うが

太刀川さんは身を捻ってかわす。でもそこにはメテオラありますから。メテオラが爆発してベイルアウトしていった

 

「比企谷お前待ちメテオラは止めろって言ったろ、仲間が安心して踏み込めないだろ」

 

「俺は踏みませんから大丈夫です」

 

散々俺の罠にかかった太刀川さんだったが流石はNo1アタッカー3本取られてしまった。まだまだ精進が必要だな

この戦いは留美にショットガンならアタッカーに勝てると証明する為にも負けられなかったのだ

 

「すっきりしねーぞ比企谷」

 

「俺もですね3本も突破されましたし」

 

「くそー次は全ての罠を回避してやるからな」

 

そう言いながら太刀川さんは模擬戦ブースを後にした

俺達の戦いを観戦していた隊員達は太刀川さん相手に勝ち越した俺を驚愕の目で見ていた

 

「ヒッキー太刀川さんより強かったんだ・・・」

 

「結衣さっきの奴ってそんなに強いの」

 

「太刀川さんはNo1アタッカーだよ優美子あたしなんかじゃ1本もとれないよ」

 

「八幡凄い」

 

そんな中嵐山さんになにやら聞き込んでいた雪ノ下陽乃が作り笑顔のまま俺に声をかけてきた

 

「へー意外だったな比企谷君ってあんなに強かったんだ」

 

「まあソロ戦はスタイルの相性次第ですから」

 

「うん、これなら雪乃ちゃんを任せられるね

 あっそうだ比企谷君一緒にお昼どうかな?積もる話もあるし」

 

絶対に断るなよと隣で無言の圧力をかける嵐山さんのプレッシャーに負けた俺は悪くない年上の男性に睨まれると怖いよね

 

「ねえ比企谷君から見て雪乃ちゃんてどうかな」

 

「まあトリオン量も十分ですし本人のやる気のあります1年後にはA級隊員と互角に戦えるようになると思いますよ」

 

「いやそうじゃなくって彼女にしたいなとか綺麗だなあとか聞きたいの」

 

由比ヶ浜が慌ててこちらを見てくる海老名さんは興味深そうに三浦は興味なさそうに嵐山さんに夢中だ

そして雪ノ下が氷の眼差しで睨んでくる怖い・・・なぜか集まっているA級B級の女子達にやけ顔やら怖い顔はやめて

 

「はあ?えっと雪ノ下さん周りを見てくださいよ

 こう言っては悪いんですけど雪ノ下レベルなら今ボーダーにはゴロゴロいるじゃないですか」

 

由比ヶ浜は顔を赤くし海老名さんは笑い出した三浦は興味なさそうに嵐山さんに夢中だ

そして雪ノ下の眼差しはさらに怖くなるし・・・集まっている女子達から歓声が上がったのは意味がわからん

 

「あちゃーライバルがいっぱいいるよ雪乃ちゃん頑張らないと」

 

「何を言ってるのかしら姉さん」

 

「うん、今日は取り敢えず見たい物見れたからいいや

 嵐山君返事は期待してていいぞ。ちょっと便宜は図ってもらうけどね」

 

こうして雪ノ下と嵐山さんに送られ雪ノ下陽乃は帰っていった

午後から作戦室でオペレーターのシミュレーションを海老名にやってもらった時は雪ノ下はテーブルに臥せっていたぐらい疲れたらしい

 

「おーヒキタニ君いいよこれ

 ここからうら若い男子達がトリオン兵の出す触手に絡まれたりするのを指示するんだよね。ぐふふふ」

 

「擬態しろし」

 

それ違うからねそもそもトリオン兵は触手なんて出さないからね・・・出さないよね・・・

しかしながら海老名はオペレーターの才能があるようで高得点をだしている。試しに三浦にやらせたがこっちは惨敗だ

 

ボーダー体験では逆にトリオン量が普通だった三浦はシュータの才能があるのかバイパーを玄人もどきの精度で操ってみせた

ラケットでテニスボールを曲げるイメージをしたそうだ。ある種のスポーツ選手はボーダーに向いているのかもしれない

 

「結衣これ面白いし、どんどん的を出すし」

 

と燥いではいたがボーダーは遊びじゃないぞ・・・と誰か言わないかな

こうして突然の見学会は終わったんだが雪ノ下の顔色が優れないままだ・・・

 

 

「なんでヒッキー達とあたし達って戦闘体の形違うの?」

 

「ランク戦に出るようになると普通は見た目をカスタマイズして同じチームだとアピールするもんなんだよ」

 

「ヒッキーずるい!あたしもカッコよくしたい」

 

「由比ヶ浜別にずるくはないだろ。俺達はランク戦に出てるんだから」

 

「比企谷君、そのカスタマイズの事を詳しく聞きたいのだけれど・・・」

 

どうやら由比ヶ浜が突然見た目の話をしたのは雪ノ下から相談を受けていたようだ

 

「姉さんの策略でCMに出ることになったの

 私の家がスポンサー契約の見返りにボーダー本部から許可を貰ったらしいわ」

 

雪ノ下と由比ヶ浜の戦闘体は見た目も標準仕様のままであるつまり顔が普通に出ているのだ

 

一方比企谷隊の戦闘体は海軍の士官服をモチーフにした襟高の軍服もどきであるコートを羽織った姿だ

そして頭はヘルメット型のバイザーで被われており口元しか見えない

 

「それで雪ノ下は比企谷隊仕様でいいのか?」

 

「それが・・・」

 

雪ノ下は突然デザイン画を出したのだが・・・どれも白とピンクのフリルがついた何処の魔法少女と言わんばかりのデザインだった

フリフリのミニスカートってなんだよ足を出す隊員はいるがあくまでパンツスタイルだ

 

留美だけは目を輝かせ他のメンバは雪ノ下へ同情的の眼な差しを向けていた

 

俺達のスタイル仕様を持ち帰りデザイナーと交渉すると意気込んで帰った雪ノ下だったが

今日は目にクマを付けていながらも宣言した

 

「5時間交渉してなんとか勝ち取ったわ」

 

テーブルの上に出されたデザイン画は俺達の服を更にカスタマイズしたものである

主な変更点はズボンがホットパンツになっており生足が出ているデザインだ。そこまでが妥協点らしい

 

「ゆきのんあたしも同じのにしたいんだけど・・・だめぇ?」

 

「問題ないわよ由比ヶ浜さん。私からもお願いしようとしてたのだから」

 

「これでヒッキー達とお揃いになるね」

 

「八幡私が案内してくる」

 

と留美が由比ヶ浜と雪ノ下を連れてカスタマイズ工房へ行ってしまった

 

そして後日完成したのだが雪ノ下の姿はボディーの一部が若干盛られておりなぜか留美のも同様だった

二人が陰で無言の握手してたのなんて見てないよ八幡は・・・

 

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雪ノ下を先頭にして警戒区域を疾走する比企谷隊

門が開くとトリオン兵が複数出現する

 

スナイパー3人の先制攻撃で倒れるトリオン兵

アタッカーの3人はトリオン兵の集団に飛び込み弧月とバイパーでなぎ倒してしく

 

孤立した雪ノ下に突然モールモッドが襲いかかった雪ノ下は不意を突かれたのか反応が遅れる

 

間一髪後方から光の線が飛んで来て雪ノ下を攻撃しようとしたモールモッドが倒された

雪ノ下は後ろを向くと救ったスナイパーとお互い親指を立て合図する。雪ノ下の口元が綻ぶと笑顔がバイザーの下から伺える

 

最後に残った巨大なバムスターを雪ノ下がジャンプして一刀両断し戦闘は終了した

 

「世界の明日を創る雪ノ下建設は、境界防衛機関ボーダーを応援しています」

 

夕日を見つめる比企谷隊を円を描くように映してCMは終了した

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その年のCM部門の賞を総なめしたCMが完成した瞬間だった

 


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