俺のボーダーとしての青春はまちがっている。【俺ガイル編】   作:ばけねこ

4 / 19
【第四章 覚醒した少女】

なぜか機嫌のいい平塚先生が職場見学希望のアンケートを配っている鼻歌はアラサーにはキツイからね。あと俺を睨まないでよね

後でわかったことだが川崎に話をしたところ流石教師だと感謝されたそうだ。普段からしっかり教師をやってよあなた生徒指導担当でしょ

まあ俺の推察は大体あっていたようでこれで小町に集る羽虫を除外できたな

 

「さて比企谷これはなんだ」

 

「職場見学希望のアンケートです」

 

「わたしはなぜ白紙なのかを聞いているんだ」

 

「だって俺ボーダーじゃないですか、自分の職場を見学なんておかしいし既に職があるのに他を見学するなんてのも変でしょ」

 

「言いたい事はわかるが、こういった物は当たり障りのない事を書いておくのも社会常識だぞ」

 

「はあ、わかりました」

 

俺はしっかり書いて再提出したんだが内容を見た平塚先生が頭を抱えたのは解せぬ

まあ三人でグループを組んで職場見学をするそうなんで俺の意見なんて通らないから問題ないよね

 

名前:比企谷八幡

第一見学希望先:アイドル事務所

第二見学希望先:ゲーム制作会社

第三見学希望先:証券会社

見学希望理由 :世の中に夢を売っているアイドルという活動に興味がある為

        職場の雰囲気や労働条件が満足出来るものであれば妹をアイドルに推薦するつもりである

        また第二第三希望先は部屋に引き籠りながら活躍できるすばらしい職種である為

 

 

「隼人君職場見学はどこ行くつもりよ」

 

「俺はマスコミ関係か外資系とかを見てみたいな」

 

「やっべー隼人君マジ将来見据えてるわ。ぱないわ」

 

「いやそんなことないよ」

 

「あ、あたしボーダー見にいきたいよ優美子」

 

「は?結衣あんたボーダーに興味あんの?」

 

「この前見たけど凄いんだよボーダーってドカーンとか敵を倒すんだよ」

 

「なんであんたが・・・ボーダー見たことあんの?」

 

「あるよ、ゆきのんと一緒に見に行ったんだけどさ・・・」

 

相変わらずリア充達は騒がしいな。どうやら由比ヶ浜はボーダーに興味を持ったようでこのまま体験入隊でもしてくれれば紹介した俺の株も上がることだろう

ボーダーの正式入隊は9月と3月にあるのだ。今のスペックでは厳しいそうだが今から鍛えれば十分通用するようになる

 

 

「ねぇ、ヒッキーお昼に奉仕部の部室へ来てほしいんだけど」

 

「俺、今日はアレがアレだからさ」

 

「アレってなんだしボーダーの事で相談があるんだし」

 

「・・・わかったよ昼休みだな」

 

 

「いらっしゃいヒキガエ・君」

 

「おい今、両生類の名前言ったよね」

 

「ちょっと噛んでしまっただけよ。比企谷菌」

 

「ちょー言ってるから菌って言ってるから」

 

「まあまあヒッキーそんな事はいいから落ち着いて」

 

「そんな事扱いされたー」

 

「今日来てもらったのはボーダー入隊の話を聞きたいからなの」

 

俺の抗議を無視して話を進めやがったぞこいつ等

 

「で、聞きたい事ってなんだ。必要なら説明事項の書いてあるパンフレットとか渡すぞ」

 

「そうね。個人的にはボーダー入隊を前向きに検討してるわ。ただ家族への説得が難航していて・・・」

 

「あたしはおかーさんに言ってみたら好きにしなさいって言われたよ」

 

なるほど雪ノ下は家族への説明不足で何がしかの情報を欲しいってことか、由比ヶ浜は問題なさそうだな

 

「雪ノ下必要なら広報担当が家族への説得もやってくれるぞ。由比ヶ浜も一度家族へ説明してもらった方がいいな」

 

「そうなの、だったらお願いできないかしら」

 

「了解した由比ヶ浜も同じでいいな」

 

「うんいいよ、へへへヒッキーと同じボーダーか」

 

「あっ・・・お前等への連絡どうするかな」

 

「ならヒッキーあたしと番号交換しようよ。これからも何かと連絡する必要あると思うし」

 

「ああいいぞ、ほれ」

 

俺は携帯を由比ヶ浜へ投げ渡した。だって携帯の使い方あんまり詳しくないから

 

「ちょっ、ヒッキー簡単に人に携帯渡すのってどうなの」

 

「どうせボーダーから支給されてる携帯だから問題ない。セキュリティ対策もされてるしな」

 

「なんか凄い人数が登録されてるんだけど・・・」

 

「ああ全員ボーダーだ。雪ノ下はどうするなんなら本部へそっちから連絡してくれれば問題ないぞ」

 

「そうね。私はボーダー本部に連絡を入れてみるわ」

 

「ああ、ならこれが番号だ。基本的に通話は録音されるから余計な事は言わなくいい」

 

その時突然由比ヶ浜の携帯が鳴った。どうやらメールのようだったが携帯を除く由比ヶ浜の顔が歪んでいる

 

「どうした由比ヶ浜、借金の催促か架空請求でも来たのか」

 

「え、う~ん。変なメールなんだけど・・・」

 

「比企谷君、由比ヶ浜さんへ卑猥なメールを送るのは犯罪よ」

 

「俺今携帯持ってないよね。そもそもボーダーの携帯でそんな事したら大変な事になるから」

 

「あら犯人は必ず往生際の悪い言い訳をするものよ」

 

「いやいやヒッキーじゃないから。クラスメートの事だから・・・」

 

「なら残念ながら比企谷君ではないわね。紛らわしい行為をするから疑われるのよ」

 

「俺全く悪くないよねこれ。てかっ俺もクラスメートのはずなんだけど・・・」

 

「あら貴方はクラスメートのメールアドレスを知っているのかしら」

 

「ごめんなさい。知りません」

 

敗北した俺へ雪ノ下は話を続けた。現在奉仕部として活動しているここの部活を今後ボーダー情報の提供場所にするのだそうだ

 

元々この奉仕部は生徒の悩み相談を受けて解決をしていたそうで簡単に言うと生徒指導の平塚先生の下請けである

雪ノ下曰く、魚を欲しがっている人には魚を与えるのではなく魚の取り方を教えるような自己改革を促しているとどや顔で言っていた

 

しかし先日の川崎の件で生徒から感謝されることに目覚めた平塚先生が生徒の悩みは本来教師が解決するものだと言い始め

ならば奉仕部はボーダーに関しての生徒への窓口にしてしまおうと言うことだった

 

ボーダーも命をかけて近界からの侵略を防いでいるのは人類に対しての奉仕の一環であるとこじ付けやがったのだ

しかも俺は部活に参加しなくてもよいからアドバイザーをやれと言ってきたのは頑なに参加を断ってきた俺への当てつけであろう

 

 

なぜか今日も昼休みに奉仕部へ連行された俺ガイル

雪ノ下と由比ヶ浜の家族説明の日程調整も無事に終え何の用かと問いただしたら職場見学希望のトップがボーダーになったそうで

俺に職場見学可能な人数やら見学可能施設などボーダー内部について聞きたいそうだ直接本部へ問い合わせろよそんなこと

あー面倒臭ーと思っていると来客があった

 

「ちょっといいかな」

胡散臭さNo1のイケメン葉山の登場だった

 

「奉仕部ってここで合ってるんだよね」

 

「葉山君いったいなんの用かしら」

 

雪ノ下が答えたかと思うとズカズカと部室に入り雪ノ下の前にかってに座る葉山

おいおい礼儀も知らんのかこいつは・・・

 

「いやー最近なかなか時間がとれなくて」

 

葉山は雪ノ下の問いかけの意味が分からないのかなんかの言い訳を始めた何を言いたいのか俺にもわからん

 

「人の話を理解できないのかしら、私はいったい何の用でここに来たのかと聞いたのよ」

 

「いやー悪い、実は相談に乗ってもらいたい事があってね」

 

と言って携帯を見せてきたのだが・・・

 

---------------------------------------------------------

戸部はカラーギャングの仲間でゲーセンで西高狩りをしていた

大和は三股をかけている最低の屑野郎

大岡は練習試合で相手校のエースを潰す為にラフプレーをした

---------------------------------------------------------

 

いわゆるチェーンメールと言うやつだ。

で、これが何?葉山はチェーンメールが沢山回ってくる程の人気者だと自慢したいの?俺への当てつけなの?

 

「犯人捜しがしたいんじゃなくて丸く収めたいんだ。頼めるかな」

 

葉山がこんな話をしてくる意味がわからん。なぜ奉仕部が葉山の為に葉山のグループの悪口メールを対処しないといけないんだ?

所詮こいつ等内の問題であって他人には関係ないだろう。それとも雪ノ下がこのメールを送ったとでも思っているのか?

 

「あ、そのメールだ。この前あたしに来た変なメール」

 

由比ヶ浜がこの前変な顔をした時のメールか、なら雪ノ下は犯人じゃないな携帯出してなかったしな

 

「なあ雪ノ下と葉山ってこんな個人的相談を受けるような関係なのか?

 もしくは雪ノ下って何でも屋でもしてるのか?」

 

「勘違いしないでもらいたいわね比企谷君。葉山君とは単なる知り合いってだけよ

 それに葉山君も勘違いしないで欲しいわ、ここ奉仕部は自己改革を手助けする部活であって問題解決屋ではないわ」

 

「そこをなんとかしてもらえないかな頼むよ

 ほらこのメールが出回ってからクラスの雰囲気も悪くなってるし」

 

「あ、あたしも解決したいなぁなんて思ってたりして・・・ねぇゆきのんダメ?」

 

おいおいこいつ等数の暴力で押し切ろうとしてるぞ。葉山はこの問題を全く関係ない雪ノ下に投げてどうするんだよ

もし俺がいなかったら雪ノ下一人が犠牲になってるだろう

 

「お前等バカか!雪ノ下ははっきり断っただろ

 

 そもそもお前等のグループの問題であって他人には関係ない、まずはグループ内で解決出来るように努力しろよ

 特に葉山!お前リーダーなんだからお前が音頭を取って対処するべきだろ。お前の対処方法ってのは他人に丸投げすることなのかよ」

 

「心外だけど比企谷君の言う通りね。自分自信はまったく努力をしないくせに人に頼ろうなんて人として失格だわ」

 

「いや自分で解決はしたいと思ってるんだけど、ただ、今は時間がなかなか取れないんだよ」

 

「お前全く思ってないよ。ならお前は今までどんな対策や調査をしてたんだ?

 

 そもそも情報が足らねぇよ。本人達はメールに身に覚えがあるのか?メールの事を何か言ってたか?

 グループが恨みを買うような行動をした覚えは?敵対するグループは?

 

 それに本当にやる気なら時間なんて朝だろうと休み時間だろうとれるだろうが。お前教室から出てないよな雑談してるだけで」

 

「は、始めはすぐに収まると思っていたんだ。それに俺はこのことを大事にしたくない

 あいつ等がそんな事をするとは思いたくないしメールを話題にしてクラス内の空気も悪くしたくないんだ」

 

「それで思いついたのが関係ない雪ノ下に解決も責任も押し付ける事かよ」

 

「ヒッキー隼人君はそこまで言ってないじゃない」

 

「なら由比ヶ浜お前は雪ノ下が葉山の為なら貧乏くじを引くのが正しいと思っているのか」

 

「比企谷君そこまでにしなさい」

 

「今日はみんな熱くなってるみたいだからまた来るよ」

 

葉山はそう言うとそそくさと部室を出て行ってしまった

 

「はぁ、やってらんねぇ。なんで他人を利用しようとしてる奴を擁護するのかねぇ

 由比ヶ浜はそんな奴だったんだな見損なったよ」

 

俺も部室を出たさバカばっかだなこの学校は・・・

午後の授業が始まっても結局由比ヶ浜は教室へ戻ってこなかった

 

 

まあ放課後ボーダーに行って話をまとめたところ二郎も概ね俺と同じ考えだった。やっぱ総武って腐ってるな

翌朝由比ヶ浜は普通に登校して来たが俺と会話すことなく何時ものグループで駄弁っている

 

さり気なく奴等の様子を見てみると休み時間に時々葉山は教室の外へ出て行ってるようだ

そこで確信したね今回のメール騒動の本質を・・・

 

 

 

「ヒッキー、この間はごめんなさい

 あたしって周りの意見に同調しちゃうところがあるって言うか、なかなか自分の意見を言えないって言うか・・・」

 

「それで何が言いたいんだ」

 

「えっとね。その・・・相談に乗ってほしい事があるって言うか・・・また奉仕部に来て欲しいんだけど」

 

「・・・条件がある。三浦と海老名も一緒に連れてこい。ただし葉山だけは絶対に連れてくるなよ話が進まないから」

 

「それって、どうゆう意味?」

 

「どうせこの前のメールの件だろう。教室の雰囲気を見てだいたいメールの原因はわかった」

 

「そうなんだけどさ、え?なんでヒッキーそんな事わかるの」

 

「なら昼休みに集合だ。ダメならこの話はなしだ」

 

さて決戦の昼休みになったわけだが俺は雪ノ下と三浦に睨まれてるわけで帰っていいかな?

 

「結衣、なんであーし等呼んだんだし」

 

「えーと今からヒッキーが説明するから・・・」

 

「比企谷君、由比ヶ浜さんから聞いたんだけど何かの間違いでメールの原因が判明したそうね」

 

「まず三浦と海老名には簡単に説明しておく

 先日、葉山がここに戸部と大和、大岡の3人の悪口がかかれたチェーンメールの件を解決して欲しいと言ってきたんだ」

 

「そんな話隼人から聞いてないし」

 

「そうだろうな。それで解決方法がわかったから二人も呼んだんだ」

 

俺は二郎と相談した内容及び教室内の状況で判明した今回の件を説明した

 

要約すると職場見学が3人1グループで行われる為葉山グループの4人は一人あぶれることになる

あぶれる事を危ぶんだ1人が他の2人を陥れようと今回のチェーンメール騒動を起こした

 

げんに教室内で葉山が抜けると残った3人はバラバラになり話もしなかった

あの3人は葉山の友達であっても3人は友達関係じゃないと

 

「でだ、そもそも4人いるなら2人+1の2グループを作って同じ職場へ行けばいいだけだろ

 現地に行ってしまえばグループなんて関係ないだろうし」

 

雪ノ下と由比ヶ浜は俺の話を聞いて驚いていたどうやら原因すら掴めていなかったようだ

 

「なら隼人に直接言えばいいし」

 

「仲間内の話の流れで自然に話題にしたほうがいいだろ?

 職場見学どうするか振って男4人なら2グループにして同じ場所を選べばいいよねってお前等が言えば角もたたないからな」

 

と取り敢えず問題を解決してみせたわけだが本番はここからだ

 

「でだ、三浦達がいるんでついでの話なんだが・・・今後あの葉山をどうにかしてくんない」

 

由比ヶ浜は意味がわからないようで雪ノ下は目を細めている。俺は葉山の危険性を説明した

 

まずはテニスコート略奪事件

 

本来テニス経験者であった三浦の本心は戸塚の手伝いついでに久しぶりにラケットを振りたいだけだった事は見ていてわかった

ここで普通に経験者の三浦1人に戸塚が稽古をつけてもらっていれば何の問題もなかったはずだが・・・

 

(ここで三浦自身は何の問題もなっかったと強調した)

 

ただルールすら知らない素人の葉山がしゃしゃり出てきたことで問題が悪化した

しかも練習の手伝いだった話が最終的に場所をかけた争いになったのは葉山が一方的に決めた事だ

葉山は練習を手伝う気など初めからなく他人の迷惑など考えずに自分を中心に騒ぎたかっただけである

 

みんなの為といいながら結局は自分の為でしかない。なぜならみんなの中には戸塚は含まれてなっかったはずだ

しかもわざわざダブルス形式の提案をし出る意味のない葉山が出るようにした事は自分が目立ちたいだけなんだろう

全て葉山の一人相撲が原因で一緒に処分された3人は葉山に巻き込まれた被害者だと強調

 

次に今回のメール事件

 

そもそも葉山がグループ内で自分中心にしか行動をしていないから残った3人は親密になっていない事

しかも雪ノ下への依頼なんかは自分の問題を完全に丸投げし全く自分でリスクを取ろうとしなかった

 

例え失敗しても責任は雪ノ下へ押し付ければいいだけで成功すれば自分が解決した事にできる最低のやり方だ

だからそれに同調した由比ヶ浜に呆れたんだ・・・

 

結局、葉山は自分中心で騒ぎたいだけのわがままな性格で失敗や責任は他人に全て押し付ける卑怯者だ

 

こんな奴だからきっとこれからも問題が発生する度に同じ行動をするだろう

この奉仕部みたいな所は利用されやすく今回みたいに言葉巧みに由比ヶ浜を味方にすれば簡単に押し付ける事が出来る

 

「だから、今後もあいつとつるむんなら三浦達で余所に被害が出ないように止めてくれとお願いしたい」

 

「ふ、ふざけんなし隼人がそんな事するわけないし」

 

「そ、そうだよ隼人君がそんなこと・・・」

 

「なあ雪ノ下、俺の言葉で葉山に対して嘘や誤解を招くような事あったか?」

 

「そうね概ねは合っているわ」

 

「今回のメールの件を本気で解決しようと思ったら普通は戸部達本人に誰かに恨まれてないか確認するもんだろ

 でもな、変に噂が広まると言い出した葉山が責められる事になる。だから下手な奴に相談してないんだよ」

 

「隼人なりに何か考えた行動かもしれないし」

 

「そうだよ、きっと何か理由があるんだよ」

 

「俺には葉山自身のリスク回避にしか見えないんだがな

 なら由比ヶ浜今回の依頼で失敗したり誰かを傷つけたら誰が責められると思う」

 

「そ、それは・・・」

 

「100%依頼を受託した奉仕部の責任ってことになるだろ。それが葉山の手なんだよ

 依頼内容は知恵を貸してくれでも調査に協力してくれでもなく解決してくれだったろ

 

 ほら解決しなければ全て奉仕部の責任だ」

 

「隼人君ならきっとゆきのんを庇ってくれるはずだと思うけど・・・」

 

「もともと雪ノ下は関係ない他人だぞ。その他人に解決と言う名の仕事と責任を押し付けたのは誰だ」

 

「・・・」

 

「比企谷君そこまででいいわ

 

 三浦さんと海老名さんはどこかのタイミングで職場見学の話題を出してもらうって事でいいかしら

 それで解決するならこの件はお終いにしましょう」

 

「まあ隼人の依頼の為ってことならいいけど」

 

「あ、あたしもいいと思うヒッキーの話を聞いて職場見学が問題だと思うし」

 

「ふ~ん、ヒキタニ君って見かけによらず凄いんだね

 受けかと思ったら責めだったんだ」

 

「受けとか責めとかなんの事かしら」

 

「雪ノ下は知らなくてもいいことだ」

 

「ヒキタニ君、受けか責めかは重要だよ!

 ハヤハチでなくハチハヤだったんだね、ぐふふふ」

 

「擬態しろし」

 

 

前日の比企谷隊作戦室

 

「今日総武高でこんな事があったんだよ二郎どう思うよ」

 

と俺はメールの内容を話して聞かせた

 

「3人同時か・・・グループ全体に恨みを持つ奴だったらその卑怯者も入ってるはずだ

 とするとその3人を仲たがいさせたい理由があるんだろうな」

 

「イベント的なことなら例のアラサーに職場見学のアンケートを書き直しさせられたな

 ・・・おお、そう言えば3人グループで行くんだった」

 

「それだ」

 

「なるほどね自分一人があぶれないようにこんな事したのか」

 

「おにいちゃん、そのメール1人だけ内容が甘いよ」

 

「お、小町ちゃんさすが女の子鋭いね。三股の奴だろ」

 

「そうそう、流石にこんな事女の子達で単独の噂になるよ。信じる人いないだろうね」

 

「で、どうする八幡」

 

俺の意見は、葉山や3人がどうなろうと関係ないがそのせいで第三者が不利益になる事は防ぎたいと言った

今後の事を考えると卑怯者が更に暗躍するのも勘弁してほしいと

 

今回の件だけを解決するのなら葉山を見学グループから排除してしまえばいいだけだがそれでは将来に憂いを残す事になる

で二郎に意見を聞いたら人の悪そうな顔で言い放った

 

「なら、その卑怯者の周りに釘を刺しておこうぜ」

 

二郎の考えた作戦は、前回のテニスコートの件を完全に葉山一人のせいにしてしまう事

また、今回の件の解決に女子グループを巻き込む事と奉仕部への依頼を悪意あるものとする事だ

 

人間って言うのは過去の記憶を自分に都合のいいように塗り替えるのだそうで葉山一人が原因になってしまえばいい

メールの件も単純に解決してしまえばこんな事も出来ないのかと思わせる事が出来るし

奉仕部への依頼を悪意あるものと断定することで疑心暗鬼にさせ再発を防ぐとの事だ

 

今後似たような依頼をすれば疑惑が確信に変わるし周りの女子を巻き込む事で誤魔化せないようにする事が出来る

女が一度見限ると怖いぞとニヤリを笑うが二郎の方が怖かった

 

「おにいちゃん悪魔がいるよ」

 

「小町お前は俺が守るから」

 

「おいおい小町ちゃん悪魔は違うから俺は佐久間だから」

 

「二郎それ同じ意味」

 

「おやおや、可愛い留美ちゃんは俺に優しくないねぇ」

 

「私が可愛いのは知ってる」

 

「なんだと・・・俺の48ある必殺技の1つの褒め殺しが効かないだと・・・」

 

今日も比企谷隊は平和だった

 

 

翌日の午前中に三浦達の誘導によって葉山達は2つのグループに分かれる事となったようだ

葉山と戸部、大和と大岡に分かれたが、それ以来大和と大岡が仲良く話すようになったのは不幸中の幸いであろう

俺は戸塚+普段体育で戸塚とペアを組んでいる奴とグループを作ったが多数決に負け結局見学先がボーダーになってしまった

あ、メールは飛んでこなくなったそうです

 

職場見学当日、戸塚と行動しようと思っていたら女子の集団に戸塚を奪われてしまった王子ってなんだよ

しかも見学側の俺がなぜか嵐山さんの隣に連れてこられたのは何故だろうか・・・

 

説明の後に区切りとしてボーダー入隊時に行われる劣化バムスターの討伐体験が希望者で行われたのだが・・・

 

葉山が槍で1分をぎりぎり切った時には盛り上がった

雪ノ下が弧月で20秒を切った時には拍手が起こった

由比ヶ浜がバイパーを分割せずに塊のままバムスターにぶつけた時は笑いを堪えるのが大変だった

そしてなぜか平塚先生がスコーピオンで参加していたのは見て見ないフリをした

 

結局この4人だけが1分を切ったわけで初見で1分を切れば見どころあると嵐山さんが説明した時葉山コールが起こったが何故だ

 

最後に見本として俺の番がきたんだが相手は劣化していないバムスター10体だ

まあ10秒かからずに撃破したわけなんだがこれで木虎との賭けに勝った俺はMAXコーヒーゲットだぜ

 

嵐山さんにもっと見せ場を作れと言われたが賭けを持ち出した木虎のせいだ俺は悪くない

苦し紛れにA級隊員ともなるとこれぐらいの強さがあると誤魔化したそうだが・・・

 

そして見学会も終わり学校へ戻った後に由比ヶ浜に呼び出された

 

「ねえヒッキー入学式の事覚えてる?」

 

「小学の入学式は流石に忘れたな」

 

「高校、総武高の入学式のことだし」

 

「あ、高校ね。俺入学式の時入院してたんだわ。だから入学式は出てない」

 

「うん知ってる。あの時の事故で助けて貰った犬・・・私の犬だったんだ

 だから、ありがとう」

 

「お、おう」

 

「きちんとお礼を言おうと思ってたんだけど、なかなか言えなかくて・・・

 

 この前のメールの時嫌われたんじゃないかと悲しくなってもうヒッキーと会えなくなったらと思ったら更に悲しくなって

 ヒッキーに言われた言葉を一生懸命考えたんだよ。このまま周りに流されたままだとあたしきっと後悔するって」

 

「だからキチンとしよう思ってもう一度ヒッキーに声を掛けたら、隼人君が悪者だなんて言われてまた混乱して

 でもヒッキーの言葉は納得できるし、もしゆきのんが被害者になったらきっとあたしのせいだし」

 

「これも優柔不断なあたしだからだと考えたの、だから古い優柔不断なあたしは辞める事にしたの」

 

「今日から新しいあたしになるって決めたの

 あたしはボーダーになるそれが新しいあたしのスタート、ヒッキーボーダーを教えてくれてありがとう」

 

俺の目を真っ直ぐに見ている由比ヶ浜がいる・・・きっと謝罪の言葉を言われたら捻くれている俺は由比ヶ浜をバカにしただろう

だがこいつは感謝の言葉を言ってきた、なら俺のする事は一つだ

 

「ようこそボーダーへ、由比ヶ浜歓迎するぞ」

 

 

職場見学が終わった後由比ヶ浜が正式にボーダーになる事を表明して取り敢えず正式入隊まで訓練生として鍛える事にした

なぜか雪ノ下までついてきたけど気にしない

 

奉仕部は実質休みになり伝言などを平塚先生に残すことで必要に応じて活動することとなった

さて訓練だがとりあえず毎日登校時に2~30分ほど休みなく走れるペースでランニングをしてもらった

 

戦闘体はトリオンがある限り疲れないが普段の運動で脳が勝手に限界を認識してしまう為スタミナをある程度は付けてもらう必要がある

由比ヶ浜によれば雪ノ下のスタミナは最初幼稚園児並みだったそうで叱咤激励するのが大変だったとか

 

放課後は訓練室で戦闘訓練を行い防衛任務がある時はオペレーターと一緒に任務を見学してもらう

作戦室で勉強や雑談をしていると同時にゴムボールでキャッチボールをした。これはマルチ思考の訓練だ

 

学校関連では由比ヶ浜の誕生会をしたり戦闘体の上にジャージを着こんで柔道部の大学生OBをコテンパンにしたり

平塚先生もボーダーになりたいと言ってきたのを本部を交えて説得したりしたが特に問題なく夏休みを迎えることができた

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。