俺のボーダーとしての青春はまちがっている。【俺ガイル編】 作:ばけねこ
ボーダーの検査結果が各自に返されたある日俺はクラスの女生徒から声を掛けられたんだが・・・
「ねえヒッキー」
俺は寝ている・・・つもり
「ヒッキーってば」
どうやら俺の108ある特技の一つ狸寝入りは通用しなかったようだ
「・・・ええと・・・どちら様」
そいつは同じクラスのトップカーストにいた奴だった名前なんていったっけ?やばいわからん ゆ・・・なんとかって呼ばれてたな
「なんだし、あたし同じクラスだし」
字に書くとまさにプンプンいった感じで目の前で腕を振っている為魅力的な大きな贅肉も揺れている
はい同じクラスなのは知ってますが名前は知りませんよ
「えっと俺達しゃべった事ないよね。初対面だよね」
「・・・あたしは由比ヶ浜結衣だし。あたしの事しらないなんて同じクラスなのに信じられないし」
「ええと俺は比企谷八幡でしゅ」
「し、知ってるし!」
「そ、それで由比ヶ浜さんは俺に何の用?」
「ヒッキーってボーダーなんだよね」
「まあ一応はな」
ヒッキーって俺の事だったのか引き籠りみたいで無視していたんだが・・・
「それでね・・・この検査結果の見方を教えてもらおうかなんてね・・・」
そう言うとおっぱ・・・ではなく由比ヶ浜は検査結果を見せてきた
結果を見てみると総合判定B、トリオン量A+運動能力Eサイドエフェクト不明とあった
トリオン量の才能があるが運動能力が足をひっぱているな。でも訓練で十分取り返せる範囲だトリオン体なら筋力とか補完されるし
俺は知っている範囲で説明しボーダーの才能があるとも伝えた
「えへへへ、そっかあたし才能あるのか」
なんか嬉しそうに言うと背中に隠していた包みを机の上の置いてきたのだが何これ
「ヒッキーあのね、これお礼だから。別に特別な意味なんてないからね」
と言って自分のグループへ帰っていった由比ヶ浜を見送る事しかできなかった
「あたしボーダーの才能あるんだって」
「へえB判定で才能あるんだ、隼人もB判定だったよね」
「おー隼人君ボーダーになっちゃうなっちゃう」
「それな」
なんか騒がしくなってきたがB判定は普通であって才能があるわけじゃないんだが・・・
由比ヶ浜のトリオン量に才能があると言ったつもりであったが、まあいいか俺関係ないし
さて本部で貰った包みを開けたわけだが・・・これ何?まるで木炭のようなハート型のダークマターが入っていた
「おにいちゃん・・・もしや虐められてる・・・のかなあ」
「八幡可哀そう」
「いや待て、これは匂い消しの活性炭かもしれん」
「八幡臭いの」
やめたげて八幡のHPはもう0よ
小町が暗黒物質の正体を掴むため他のボーダー隊員達を集めて検討していたがなかなかわからない
酷いものだとゴミとか呪殺用の物とか言い出す奴もいる始末だ
皆で頭を捻っていたところA級隊員のシューター加古さんが顔を出してきた
「これはオリジナルクッキーね私も似たような物を作った事があるわ」
と衝撃の言葉を放った。しかしながらこれがクッキーだとは加古さんを除く全員が納得いっていない
「これを作った人は私同様才能があるわね。比企谷君ぜひ紹介して欲しいのだけれど」
キラリとした瞳で俺を見つめている加古さんが俺に寄り掛かるいい匂いがするのでやめてー
加古さんの後ろには被害者一同がブンブンと首と手を振っているのが見えるぞ
そう創作料理どころか魔界料理の達人の加古さんの被害者はボーダーでもそれなりに存在しているのだ
あんかけチャーハンのあんに小豆の餡子が入っているなんてのはいいほうで
混ぜたら危険な食材を混ぜる加古さんの料理は現在罰ゲームですら使用禁止となっている程である
「いやーこれ作った奴は知らないんですよ。渡してきた奴は一般人ですし残念ですけど」
「そう」
と残念そうに加古さんは去って行ってしまった。さて、俺は残ったこのクッキーと判明した暗黒物質はどうするべきか迷っているんだが
「いっき、いっき」
といきなり掛け声を始めた奴等がでて乗せられた周りも俺を取り囲んで騒ぎ出した
なぜか怖い顔の女の子達もこの勢いにのってるは何故だ・・・
何これ俺死ぬの?この物体を食べないといけないの?小町のウエディングドレスを見れないままこの世を去るの?
いや、小町は誰にもやらんと現実逃避している隙に口へ放りこまれた物質は苦い苦い、とにかく苦かった
その日は本部へ泊るはめになったのは仕方ない事であろう。ここまでダメージを負ったのは何年振りであろうか由比ヶ浜恐るべし
昨日のダメージをC県の県ドリンクであるMAXコーヒーで補っている昼休み
「ヒッキーやっはろー」
と犯人が声をかけてきた
「なんだ由比ヶ浜お昼どっかに行くとか言ってなかったか」
そうなのであるお昼休みが始まったそうそうこいつはグループリーダーの一人三浦とひと悶着を起こしていた
そこにあの口の悪い女が割り込んできて三浦と口げんかしていたが俺は関係ないとさっさと教室を出たのである
「いやーゆきのんとのじゃんけんで負けてね。罰ゲーム」
「俺と話すのが?」
昨日は俺が罰ゲームだったからお相子かもしれんな
「いやいや、違うし。ジュース買いに来ただけだし」
なら俺なんかに声を掛けずにさっさと買って帰ればいいのに
「ゆきのんたらさ自分の食い扶持は自分で稼ぐものだとか言ってたくせに
負けるのが怖いのと聞いたら本気でじゃんけんするんだよ」
「え~と、ゆきのんってあの口の悪い女のことか?」
「そうだし、雪ノ下だからゆきのんだし・・・まあ確かに口は悪いけど・・・」
「えっと比企谷君だよね」
後ろを振り向くとテニスラケットを持った少女がいた。おのれ俺のステルスヒッキーのライバルか
「あ、彩ちゃんやっはろー」
「や、やっはろー」
その少女は由比ヶ浜の知り合いのようだった
「彩ちゃんお昼もテニスの練習?体育もテニスを選考してるよね」
「うん、僕テニス部のレギュラーなのにあんまりうまくないから練習してるんだ」
僕っ娘か俺は自分は邪魔だと思い場所を移動しようとしたところ
「あのさ、比企谷君ってテニスうまいよね」
え?なんで俺の事を知ってるのこの娘
「え~と・・・どちら様?」
「同じクラスの彩ちゃんだし。ヒッキー酷い」
なんだと同じクラスだったのか
「え~と、僕、戸塚彩加といいます。1年の時から同じクラスです
僕影が薄いから・・・」
「あ、すまんね俺ボーダーがメインだからあんま学校の奴の事知らないんだ」
「そうそうボーダーと言えばゆきのん判定Aなんだってなんでもボーダーから勧誘来たって言ってたし
あたしも興味あるしヒッキー今度ボーダーの事教えてよ」
「ああ今度暇があったらな」
「今度っていつだし、それって女の子言葉で嫌だって事だし」
なぜ由比ヶ浜にバレたんだ俺にとって今度とは来世の事だったのに・・・
「ははは、由比ヶ浜罰ゲームはいいのか?」
「あ、忘れてたし。ゆきのん待たせたままだったし」
そう言って由比ヶ浜はジュースを振りながら駆け足で去っていった。そのジュースが炭酸でないことを祈ろう
「ふふ由比ヶ浜さんは相変わらずだね。あっと昼休みも残り時間ないね。比企谷君また体育でね」
戸塚も去った自販機前で俺は残ったMAXコーヒーを一気飲みし教室へ戻った
男子体育の時間今月はテニスとサッカーのどちらかを選択する事になっている。女子は体育館でバレーかバスケだったな
俺はテニスを選択した、なぜかってテニスなら一人でできるからだ
得意の壁打ちラリーを続ける俺、ボーダーの訓練に比べれば球なんか止まってみえるからね
壁との距離は3m程度にしライナーでの壁打ちを続けていると後ろに気配を感じる
どうやらどこかのバカがこっちへボールを逸らしたらしい俺はそのボールを無言で打ち返す
「わりーヒキタニ君サンキュー」
いつも教室でべーべー騒いでいる奴だった。てかっヒキタニって誰だよ
「比企谷君」
昼休みに合った少女が俺に話かけてきたがたしか女子は体育館だよね
「あのさ、今日僕のペア休みなんだ。だから変わりにペアになってくれないかな」
そうか謎は全て解けた、こいつはテニスをしている=男の娘だったのか
「ああ、いいぞ」
動揺を隠す為俺は返事をするがバレてないよな
男の娘戸塚とラリーをしてみたが流石テニス部だけあってコントロールはいいが球に力がない。きっと筋力不足なんだろうな
しばらく続けたラリーを戸塚が終了させ休憩する事となったどうやら体力も不足してるみたいだ
「やっぱり比企谷君ってテニスうまいよね」
「まあボーダーの動きに比べれば球なんか止まってるようなもんだしな」
「・・・あのさ比企谷君にお願いがあるんだけど・・・テニス部に入ってくれないかな」
「いや悪い俺、部活やってる時間はないんだよ放課後は訓練や任務あるから」
「そっかー残念。比企谷君が入ってくれればテニス部も強くなるかと思ったからさ」
「戸塚が強くなればいいんじゃねえ」
「自己流の練習だとなかなかうまくいかなくてさ」
「なら詳しい奴に聞くとかした方がいいな。俺からみたら筋力不足と体力不足に見えたけどさ」
「比企谷君から見てもそうなんだね。走り込みとかした方がいいのかな」
「俺の経験からなんだけど朝とか晩に20分程度の走り込みで呼吸法をマスターするとだいぶ変わるぞ」
「そうなんだ比企谷君も走り込みとかしてるんだね」
「まあボーダーは身体が資本だからな最低限の身体作りはしてるさ」
「ありがとう僕も色々やってみるよ」
次の日の昼休み何時ものようにベストプレイス(人ごみが嫌いな俺にとっての憩の場所)で食事をとっていると
口悪女指導の元戸塚と由比ヶ浜がテニスコートで走り回っている姿が見られた
どうやら走っては休憩し腕立て伏せ、また走りこみの繰り返しをしているようだ
しかしなんで口悪女は自分でやらないんだろうな
そんな光景も何日かすると様変わりしていきラケットとボールを使った練習になっていた
ぎりぎり届く範囲に由比ヶ浜が投げたボールを戸塚が打ち返している
ダッシュと反射神経を鍛えているようだな。
俺が眺めていると戸塚が転んだ。まあ由比ヶ浜のあのコントロールでは無理はないだろう
戸塚はどうやら膝を擦りむいたようで痛そうだったが立ち上がってベンチへ歩いて行く
そしてなぜか口悪女は戸塚と由比ヶ浜を残し校舎へ入っていってしまった
責任者が現場を放置するのはまずいだろうと見かねた俺がコートに近づくとクラスの騒がしい奴等も近づいていたようだ
「あ、テニスやってる。あーしらもやっていいよね」
クラス内カーストトップの女王が戸塚にからんでくる
「三浦さん僕たちは部活の練習だから・・・」
抗議はしているがやはり戸塚は見た目通り弱気のようだ
「ねえ隼人あーし、久しぶりにテニスしたいんだけど」
「優美子あたし等は部活の練習してるわけで遊んでるんじゃないって言うか・・・」
「はぁ、結衣何言ってるし」
おいおい脅しかやっぱ学校なんてところはバカばっかだな
まったく口悪女はこんな時に責任者不在でどうするんだよ
「まぁまぁ、結衣もみんなでやった方が楽しいだろ」
「隼人君、あたし等許可貰ってやってるというか遊んでるんじゃないって言うか・・・」
どうやら由比ヶ浜では論破できそうにない
「あーし、いい加減テニスしたいんだけど」
「ならこうしよう、試合で勝った方がコートを使えるって事でどうだい
練習ならうまい人とやった方がいいだろ。ちょうどダブルスが出来る人数だし」
ダメだこいつ等腐ってやがると俺は行動を開始した
テニスコートに戻るとなぜかギャラリーが大勢集まって騒いでいる。フーフー煩いな
「お前等何やっている」
俺が連れてきた部活総連の顧問がリア充達へ声を掛ける。教師の登場に静まりかえるギャラリー達
「いや、僕たちは練習の手伝いをしようと思って」
テンションが下がる中、葉山が言い訳を言うが
「お前サッカー部の葉山だったな。ならばテニス部の練習の邪魔をする事がどういった事かわかってるんだろうな」
「ですからテニス部の練習を手伝ってるだけです」
しかし葉山その言い訳は見苦しいぞ。なぜならコートにいるのは葉山と取り巻きだけで肝心の戸塚はベンチだからな
「ではそのテニス部員はどこだ」
葉山達は何も言えなかった視線を下に向け沈黙しているだけだ。どう見てもテニス部の練習場所を奪い取ったとしか見えない
「よしそこのお前等4人生徒指導室へこい。詳しく事情を聞こう」
ギャラリー達は蜘蛛の子を散らすように解散し葉山達が生徒指導室へ連れ去られた後に残ったのはベンチにいる戸塚と由比ヶ浜だけである
「比企谷君が先生を呼んでくれたの」
俺を目ざとく見つけた戸塚・・・いや他に人がいなくなったから目立ったのか
「まあな、あいつ等の行動は目に余ってたからさ」
「ヒッキー助けるならもっと早く助けてよ」
「バカ共には言葉通じないから無理。お前等の抗議にも耳を貸さなかっただろ」
「そうなんだけど・・・」
「あら不審者がいるようね。いったい何が起こったのかしら」
口悪女が救急箱片手に戻ってきたようだ
「責任者が現場を逃亡した後に侵入者が現れコートを奪ったんで善意の第三者がお代官様に密告して無事侵入者が捕えられたところだ」
「まだ侵入者が残っているみたいだけど、そうそう由比ヶ浜さん戸塚君の治療をお願いできるかしら」
「うんわかった、でもヒッキーが助けてくれたんだよ」
「まったく本来の責任者が現場からいなくなるなんてどれだけ危機感ないんだよ
ボーダーだったら降格かクビだな」
「でも、ゆきのんは彩ちゃんの為に・・・」
「本来ならあそこは由比ヶ浜に頼むべきものだろ怪我をした戸塚の様子を見るのも監督責任だ
指揮官が真っ先に雑魚敵へ特攻かけて本陣が攻め込まれましたなんて笑えないぞ」
俺の言葉を聞いて最初は睨みつけていた口悪女はやっと視線をはずした。由比ヶ浜は頭からクエスチョンを出しているようで理解できてないな
「そ、そうね、わたしの判断が間違いだったわね」
まあ反省してるのなら問題ないかしょせん学生だ間違う事だってある。間違いを反省できるなら同じ間違いはしないだろう
こうして今回の事件?は終了した
当然テニスコートに乱入した4人はそれなりの罰をうけたのだ
特に葉山、戸部、大和の3人は自分が部活動に参加していながら他の部活の邪魔をしたことで所属している部活をクビになったそうだ
たまたま参加していなかった大岡と言うキョロ充だけは罰を免れたがトップカーストグループの中で放課後浮くのも仕方あるまい
戸塚はあの後でも昼休みの練習をテニス部員達と続けている騒動で判明した戸塚の努力に部員達が感銘を受けたようだ