俺のボーダーとしての青春はまちがっている。【俺ガイル編】   作:ばけねこ

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【バグ退治】

麗らかな春、授業中のなんとも眠いこと眠いこと

ましてや数学の授業ともなればスイマーに負けそうになってる俺は悪くない

 

そんな教室に鳴り響く携帯音。どこのバカだ授業中に携帯鳴らすなんて!俺なんかはしっかりとマナーモードにしてあります

 

・・・まことに遺憾ながらそのバカは俺でしたテヘ。内容はボーダー本部からの緊急呼び出し

 

「先生ボーダーからの緊急呼び出しが来ましたので特別早退を申請します」

 

教師に一言を言ってから俺は教室を飛び出して指定された場所へ向かう事にした

どうやら警戒区域外の第三中に門が発生したらしいこれが殆どのA級隊員へ通知された内容だ

 

ここから第三中まではかなり距離がある俺が到着する頃には任務の部隊が到着しているだろうとも考えた

っが解決の連絡が来るまでは現場へ向かう努力はしておくのが肝心だ。数学がサボれる口実などは二の次だよきみ・・・

 

 

俺は途中の公園で一息ついていた決して自販機にMAXコーヒーがあったからではないからな

と携帯からようやく待望の連絡が着たようだトリオン兵は無事に撃破できたらしいよかったよかった

 

なんでも現れたモールモッド2体は負傷者なしで討伐されたらしい偶然ボーダー隊員が近くにいたのだろう運のいいことだ

そう言えば昨日発生した6件も非番の隊員が偶然いたと言っていたな・・・偶然?

 

俺は学校へ戻る道で今回のイレギュラー門について考え始めた。きっと戻った頃には数学の授業は終わってるはずだ

 

 

頻繁に発生するイレギュラー門の近くにはボーダー隊員がいた・・・

いや、ボーダー隊員がいたからイレギュラー門が発生したと考えるべきか

 

イレギュラー門とボーダー隊員になんらかの関係があると見ていいのかもしれない

 

ボーダー隊員の特徴といえばトリオン能力が高いこと、しかしこれは一般人にも稀にいるな

もう一つはトリガーを持っているってことか、だがトリガーが門に影響があるのならば最近発生した事と矛盾する

 

近界民側が誘導に対抗して何かあらたな門発生の仕組みを使い始めたってのはどうだ

その仕組みにトリオンやらトリガーが影響しているとしたら・・・

 

単純にトリオンやらトリガーが原因だったら本部へ門が発生するはずだ。あそこが一番多いからな

本部ではなく警戒区域外に出来るってことは何がしかの判断がなされてるってことか・・・

 

技術部総出で現在誘導装置の点検をしているが原因が外部にあるのなら無駄なのかもいれないな

これは鬼怒田さんにも言っておいたほうがいいだろう

 

 

放課後何時ものようにボーダー本部へ向かう俺達総武組は一緒に移動をしている

 

「今日ヒッキー授業中抜け出したよね なんかあったの?」

 

「ああ、またイレギュレー門が発生したって連絡がきた」

 

「最近多いわね」

 

「技術部は徹夜で調査してるらしいが、まだ原因不明らしい」

 

「そのおかげでおにいちゃんや二郎さんは夜も見回りに駆り出されるんですよ

 はやく解決してほしいですよ」

 

「ヒキオ嵐山さん達はどうなんだし」

 

「あそこは広報もやってるから今回の調査からは除外されてるな」

 

「ならヒキオは頑張れし」

 

三浦は悪い奴ではないんだが俺へのあたり少々きつくない?

 

「それで先輩は何か掴んだんですか」

 

「調査は空振り状態だが気になる事はあるな」

 

俺は昼間考えたボーダー隊員とイレギュラー門の関連性について話した

 

「確かに無関係とはいいがたいわね」

 

「え~やだよ。あたしん家にトリオン兵なんか来てほしくないよ」

 

「おちつけ由比ヶ浜あくまで推測だ、まだボーダー隊員の家に出たなんて報告はない」

 

「ふ~んヒキタニ君はトリオン兵がボーダー隊員に触手であれやこれやする為に現れるといいたいんだね

 ぐふふふ、いいよーそれ」

 

「触手なんてないから近界民はそんな趣味もってないからね」

 

「姫菜擬態しろし」

 

海老名にかかると近界民までが変態にされてしまう

海老名って玉狛のオペレーターの宇佐美さんに雰囲気似てるんだよな・・・よし三浦お前に海老名は任せたぞ

 

「せんぱーい。もしそんな所にでくわしたらどうしたらいいんですか」

 

「まずは逃げることだけ考えろ。C級の訓練用トリガーでも倒せない事はないが・・・

 後で色々問題になる緊急脱出機能もついていないトリガーで戦わせたとなるとボーダー本部も責任持てないからな」

 

「でも知り合いが危険な場合思わず使ってしまいそうになるわね」

 

「指定された区域以外で使用禁止にしてるくせにわざわざC級にトリガーを持たせてるからなー

 本部が何を考えてC級トリガーを持たせてるのかはわからん。使用禁止するぐらいなら持ち出し禁止にするべきだ」

 

「本部への出入口の鍵がトリガーだからって事はないですか先輩」

 

「鍵なんて眼や指紋とかの認証でも代用できる仕組みにすれば問題ないからな」

 

そして本日2回目の俺の携帯が鳴り響いた

 

「またイレギュラー門だ。市街地に出たらしい」

 

全員の顔に緊張が走る

 

「小町、雪ノ下、由比ヶ浜俺達は現場へ向かうぞ

 三浦、海老名、一色は市街地を避けてボーダーに行くかどうかは任せる」

 

「トリガーON」

 

俺達は戦闘体となり急いで現場へ向かうが時間はある程度かかってしまう

俺と小町だけならグラスホッパーを使って急行できるのだが雪ノ下と由比ヶ浜はそこまで慣れていない

 

二人を抱えていけばいいと思うかもしれないがセクハラだと暴れられるのは目に見えている

そこが怖いんだよこの二人は・・・

 

市街地と言う事は建物や住人に被害が出ているかも知れない

今までのように偶然隊員が居合わせてる可能性もあるが本部からは撃破の連絡はまだきていない

 

まあ今は放課後だ各学校からボーダー本部へ向かう俺達以外のボーダー隊員もいるだろう

無理をして俺と小町だけが急行するより4人チームとして動ける方を俺は選択した

 

 

そしてようやく俺達は現場に着いたわけだが・・・

 

市街地の建物は所々破壊されておりあちらこちらから煙が上がっている

途中本部からは新型トリオン兵撃破の連絡は来たが街はかなりのダメージを負っているままだ

 

「これより救護活動を行う」

 

俺達はチームとして逃げ遅れた人の捜索や瓦礫の撤去などの活動を始める

 

戦闘体で瓦礫の撤去下敷きになった人がいないかを確認していく

動かせないような大きな瓦礫は切り刻み慎重に丁寧に救護者を探し回る

 

瓦礫の下で遺体を発見したときには居た堪れない気持ちになった発見されないままよりはマシであろうが・・・

遺体は俺一人で運んだこんな事は小町達には酷だろうから・・・

 

それでも何人かの救助に成功した事は俺達の活動は無駄ではなかったのだ

そして救護活動部隊が到着したところで引き継ぎを行い俺達はボーダー本部へ向った

 

 

「お、比企谷くん達じゃん。やっはろーだっけ?」

 

「やっはろーよねっち」

 

「こんちわ」

 

俺達に話かけてきたハイテンションのカチューシャ男、こいつ誰だと思うなんと・・・あの米屋なんだぜ

昔のこいつを知っている俺には違和感ありまくりだ

 

去年の今頃までは普通だったくせにキャラ作りし始めやがったんだ

なんでも女の子受けがいいらしく俺にも勧めてきやがったがそんなことしたら戸部とか戸部とか戸部にキャラが被るだろ

 

しかも小町を使って一度凹ませたのだがくじけずに続けるこいつは漢だった

まあ真面目な話の時には素に戻るからいいが常時このテンションだったらベイルアウトさせる自信まである

 

「米屋お前相変わらずだな、三輪の方は目つきが悪いがなんか悪巧みでもしてんのか」

 

「比企谷お前には言われたくない」

 

「やっべー秀次の言葉正当すぎてやっべーしょ」

 

「だまれ米屋、俺の眼は相手の心を写す鏡なんだぞ

 俺の眼がおかしく見えるのはお前の心がおかしいからだ」

 

「マジで・・・」

 

「比企谷の戯言はどうでもいい陽介いくぞ」

 

「じゃねー由比ヶ浜ちゃんと雪ノ下さんに小町ちゃん。あとおまけに比企谷くん」

 

こいつら今では名前で呼び合うほどの仲になってやがる。お前等友達なの?友達の少ない俺に対する嫌がらせなの?

だが三輪の目付きは普通じゃなかったなあいつ考え込む癖があるから米屋がなんとかしてくれればいいんだが

 

「さて比企谷君。貴方さっき気になる事を言ってたわね

 貴方の眼が腐って見える私達は心が腐ってるとか・・・」

 

「そうだよヒッキーの眼と同じにするなんて酷いよ」

 

誰も腐ってるなんと言ってないぞ・・・

 

「これはおにいちゃんが悪いね。うんうん」

 

「いやアレがアレだから・・・三輪と米屋が全部悪い」

 

作成室に着くまでの道は俺への罵詈雑言の嵐だった

 

 

「八幡、迅さんが請け負うから門の調査は中止だそうだ」

 

「またあの人何か見たのか。こういった問題だと猫型ロボットよろしく便利だな」

 

迅さんのサイドエフェクトは未来視。本人からは目の前の人間の少し先の未来が見えるとは聞いているが

どこまで本当の事を言っているかもわからない。まあ敵に回らない限りは便利キャラでいいんだが

 

「解決まではイレギュラー門対策どうするか聞いてるか二郎」

 

「なんでも48時間は強制的に抑え込むって言ってたぞ」

 

「48時間で解決できる問題なのか?」

 

「俺にはわからん」

 

「あっヒッキーさっきのニュースやってるよ」

 

由比ヶ浜の言う通りテレビのニュースでは市街地の被害状況が報道されている

被害を見た俺達は悲惨な状況は把握しているのだが実際に死傷者の数が報道されると堪えるものがある

 

何人かのインタビューでめがねの隊員に助けられただとか言っているがメガネって誰だ

新型トリオン兵を撃破した後に救護活動してたんなら俺達も会ってるはずだが・・・

 

 

俺があらためて鬼怒田さんに連絡を取りイレギュラー門対策を聞くと全て迅さんに任せたそうだ

 

迅さんが何か見つけたようだがそれを信じて本部として何も対策しないわけにもいくまいと

ボーダー隊員とイレギュラー門の関連性を話し48時間後の提案をした

 

提案とは防衛任務とは別に市街地をボーダー隊員に見回らせる事だ

 

これでタイムリミットがきても無策とはならないし

万が一イレギュラー門が出ても基地から出撃するより現場に到着する時間は短縮される

 

ボーダー隊員の近くに出る可能性が高いのなら迎え撃つ準備もできる作戦だ

提案は概ねは了承され鬼怒田さんから忍田さんへ掛け合ってくれるとのこと

 

決してシフトに組み入れられる事前提で報酬目当てとか授業をサボれるとか考えてないからねハチマンウソツカナイ

 

 

 

翌日A級隊員B級隊員はおろかC級隊員までが午後から本部待機の命令書が出た

俺は関係者に命令書の内容を伝え職員室でボーダー関係者の特別早退の手続きを済ませたのだ

 

「ねぇヒッキーなんであたし達呼び出されたの?」

 

「知らんが・・・たぶん迅さんの指示だな」

 

「イレギュラー門の話昨日してたよね」

 

「イレギュラー門解決の為に人海戦術が必要だったとかの予知でもみたんじゃないか」

 

「本当にあたしにも何かできるのかな」

 

「まあC級も全員だからなゴミ掃除レベルの単純作業なんだろ」

 

結果から言うと俺達の推論は近いものであった

 

今回のイレギュラー門はバムスターなどの体内に潜んでいた改良型ラッド(偵察用の攻撃手段を持たないトリオン兵)が引き起こした物で

C級隊員まで総出にしたのは大量に潜伏しているこいつをタイムリミットまでに駆除するのに人海戦術が必要だとのことである

 

迅さんのサイドエフェクトがどこまでの物かわからないがこれなら別にA級隊員はいらなくないか?

人数の多いC級+B級で充分であろうA級の俺まで働く必要なくない?

 

結局昼夜を通して行われた掃討作戦で疲れ切った俺が迅さんへの当てつけに流した噂なんか問題にならないよな

 

「なあ知ってるか、今回のラッド大量発生の件は迅さんが関係しているみたいだぞ」

 

「迅さんが?」

 

「そうそう迅さんのぼんち揚げの食べカスに集ったって噂だ」

 

「ははは・・・徹夜明けにはキツイですその話」

 

「迅さんがぼんち揚げを食っていたら近くにラッドが30匹はいるらしいから注意しろよ」

 

徹夜明けでハイになっている状態で流した噂は内容はしょうもないがそれなりに広がってしまった

大抵の隊員には冗談として受け取っているが迅さんがぼんち揚げを勧めた時の断る口実として利用された

 

ただ・・・玉狛の小南だけは完全に信じてしまい後で噛みつかれたのは解せぬ

小南めいつか復讐してやるとノートに書き殴ったのは当然であろう

 

 

 

「比企谷、彼を何とかしてくれ」

 

鬼怒田さんが俺に依頼してきた

 

今回のイレギュラー門解決に貢献したC級隊員を特例でB級に上げることになったのだがどうやらB級への昇給試験をパスできないらしい。

その隊員をなんとかB級へ上げて欲しいとのことだ

 

「そんな奴をB級に上げていいんですか?」

 

と抗議したもののマスコミ対策など色々事情があるとかで却下された

 

どうやら以前モールモッド2体を撃退したのも彼なのだそうで既に内示やら全ての手続きが終わってしまった状態だとか

しかし訓練用トリガーでも倒せたのだからB級用トリガーを使えば楽勝と思われた試験を悉く失敗しお手上げ状態なのだ

 

ああ面倒くせー

 

「で、お前名前は」

 

「はい、三雲修です」

 

「まず俺にお前の実力見せてくれ」

 

試しに三雲と名乗るメガネの戦いぶりを見てみると素人そのものだった

モールモッドの隙を狙うでもなく特攻のように飛び込んでレイガストで切り付けるだけだ盾型にして防御もしない

 

これでは倒せる訳ないよな。こいつどれだけの幸運でモールモッド2体を倒したのだろうかもはや奇跡のレベルだぞ

ん?メガネでレイガスト・・・こいつ劣化バムスター討伐失敗したあのメガネだ!

 

なんでこいつがB級に上がるんだモールモッド2体を倒せるんだ何かの間違いだろ

 

「なあお前訓練は週に何時間やってるんだ」

 

「合同訓練は毎回参加してます」

 

「・・・」

 

俺は言葉を失った・・・こいつ個別訓練ほとんどしてねえB級に上がる気どころかボーダー隊員の自覚あるのか?

 

「C級内での実力はどの程度だ」

 

「わかりません」

 

「模擬戦の実績は」

 

「何度か試しましたが僕には合っていないようなので、合同訓練で鍛えてます」

 

「仲のいいC級隊員は誰かいるか」

 

「顔見知り程度で特に親しい人は・・・」

 

しかもボッチだったよこいつ・・・

その後色々質問してみたがレイガストを使う理由も得になくトリガーの知識も殆ど持ってないときた

 

そのくせ意気込みだけは強くボーダー隊員を辞める気はないらしい。なんなのこの地雷君は

 

鬼怒田さんにギブアップを申し出てみたがなんとか試験だけ通せばその後はどうでもいいと言われてしまった

俺は知恵を絞る

 

「飛び道具も使ってみろ。それだけでかなり有利になる」

 

「え?飛び道具ってなんですか」

 

「バイパーをトリガーセットに組み込んでみろ」

 

バイパーを使わせたところモールモッドになかなか当たらない

本人に聞くと軌道をなかなかコントロール出来ないそうだ・・・ダメだこいつセンスもねぇ

 

「ならアステロイドに変えろ。これは直線で飛ぶから扱い易いはずだ」

 

何度か挑戦させアステロイドで怯ませた後に切り付ける戦法でなんとか試験をクリアしたのだ

八幡頑張ったよ・・・

 

鬼怒田さんにはよくやってくれたと言われたがこのままでは防衛任務は無理ですと念を押しておいた

最後にメガネ君からは

 

「ありがとうございました」

 

とは言われたが個別訓練だけはしっかりやっておけと注意はしておいた

こうして最弱のB級隊員が誕生したわけだ・・・いいのかこれ?

 

しかもその後すぐ訓練でも始めるかと思ったら待ち合わせがあるとさっさと帰ってしまったのだ

こいつボーダー舐めてるのか?万が一こいつから支援要請なんか来たらトリオン兵とともにベイルアウトさせる自信まであるぞ

 

だがこいつとの因縁がまだ始まったばかりであったとは当時の俺はまったく考えていなかった・・・

 


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