ベビパニ・アナザー~君が主で執事が俺で~   作:高嶺 蒼

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第6話

 「お待たせしました~おやつですよ~……って、あれ??」

 

 

 リクエスト通りのおやつをお盆に乗せて登場したベニは、人気のないリビングの様子に首を傾げた。

 さっきまで居たはずの、未有と夢の姿がない。

 まあ、二人はいいとして、レオはどこに行ったのか?ベニはきょろきょろとリビングを見回し、そしてソファーにうつ伏せてぷーぷーと寝息をたてているレオを見つけた。

 

 

 (まったく。出かけるなら出かけるで、一声かけてから出かけてくれればいいのに)

 

 

 そんなことを思いながら、未有と夢の分も含め、大量に作ってしまったおやつをテーブルの上に置く。

 未有と夢が出かけたのであれば、鳩子や南斗星もお供でいないだろう。

 

 ベニは大量のおやつを横目に小さくため息をついた。ちょっと張り切って作りすぎてしまった、と。

 だが、すぐに気持ちを切り替えてその大半を冷蔵庫へとしまって置くことにした。

 みんなが帰ってきたら、その時改めて出してやればいいか、とそんな風に考えながら。

 

 そして、一連の作業を終えたベニは、ソファーの傍らに膝をつく。

 そして気持ちよさそうに眠るレオの寝顔をじっと見つめた。

 指先で魅惑のほっぺたをつついてみれば、まるでつきたての餅のよう。

 あまりの気持ちよさに無心でつついていると、気がつけばレオが可愛い目をぱちっと開いて、不思議そうにベニを見上げていた。

 

 

 「んぅ……ベニー?」

 

 

 眠そうな、舌足らずな声で名前を呼ばれ、ベニは思わず笑みを返す。

 

 

 「そうよ、レオ。目、覚めた?」

 

 「ん~、レオ、ねんねしてた??」

 

 「そうね。気持ちよさそうに寝てたわよ?もうちょっと寝とく?」

 

 

 そんなベニの問いかけに、レオは両手で顔をごしごしとこすりながら首を横に振る。

 

 

 「んぅ~、レオ、起きる」

 

 

 そして、きゅうっと可愛らしく伸びをして、それからベニに向かって両手を差し伸べて、甘えた声でおねだりをする。

 ベニー、抱っこ、と。

 

 

 「ったく、仕方ないわねぇ」

 

 

 などと口では文句を言いつつも、レオの甘えっぷりの可愛さに、ベニはとろけんばかりの甘々な笑顔を浮かべ、小さな体を腕の中に抱きしめた。

 そして、ほんのり汗をかいたレオの、甘酸っぱいような香りを楽しみつつ頬ずり。

 更にその頬にキスを落として、それからレオを抱えたままソファーに腰を下ろした。

 レオを自分の膝にしっかりと座らせて、目の前のテーブルに作りたての甘味を並べてやる。

 

 

 「ふおぉぉぉ!!」

 

 

 レオが何とも言えない歓声をあげ、きらきらした目でベニを見上げた。これ、全部レオの?とばかりに。

 ベニは相好を崩し、もちろんだと頷く。

 そしてレオのつむじにちゅっとキスを落としてから、

 

 

 「さ、レオ。どれから食べる?プリン?ケーキ?」

 

 「えっとね~、えっとね~、レオ、プリン食べたい!」

 

 

 優しく問うと、打てば響くようにレオが答えた。

 ベニは頷き、出来立てプリンにスプーンを差し入れる。

 今日はレオに食べさせる事も考えて、カラメルの苦みを少し抑えてある。

 レオは喜んでくれるだろうか、とどきどきしながら、プリンの乗ったスプーンをレオの口にそっと差し入れた。

 

 

 「ん~~~!!!あまーい♪おいし~~♪」

 

 

 ほっぺたに両手を当てて、レオが歓声をあげる。

 ベニは微笑み、今度はケーキをレオの口に運ぶ。

 ホイップクリームたっぷりのイチゴショートと、次は甘めのチョコレートソースのチョコケーキ。

 どちらもいつもベニが作るケーキよりもかなりシンプルで甘め。小さな子供の口に合わせた仕様になっている。

 レオはどれもおいしそうに食べ、ベニは3つの甘味をローテーションでせっせとレオの口に運んだ。

 そして気がつけば、プリンの最後の一口を残すだけになっていた。

 

 それをみたレオがはっとしたようにベニの顔を見上げる。

 自分だけ食べていて、ベニが食べていないことに気がついたのだ。

 最後のプリンをスプーンにすくって差し出してくるベニに、

 

 

 「ベニー、食べてもいいよ?」

 

 

 おずおずとそんな提案。

 だが、ベニはからっと笑ってスプーンをレオの口へと突っ込んだ。

 

 

 「子供が気を使わなくていいの。ほら、食べて?」

 

 

 レオはもにもにと口を動かしながら思う。

 この口の中の幸福感を、何とかベニにも味あわせてあげたい、と。

 そうしてレオは思いつく。それを可能にする唯一の方法を。

 レオは口の中の幸せを飲み込まないように気をつけながら、ちょいちょいとベニを手招く。

 

 

 「ん?どうしたの?レオ」

 

 

 不思議に思ったベニがレオに顔を近付け問いかけたその時、レオの小さな唇がベニの唇にぴとりとくっついた。

 そして、熟練の業を思わせるなめらかさでベニの唇を割り、己の舌と共に口の中の幸せな味をベニの口の中へと滑り込ませた。

 

 それは、なごみや姫や乙女……中でも特になごみによって鍛え上げられ身につけた、年に見合わないレオのテクニックであった。

 

 余りの出来事に固まったベニは、レオのキスの攻撃力に無防備にさらされた。

 その顔が徐々に赤くなり、このままじゃまずいと思ったときにはもう遅い。

 幼い唇が与えてくれる想定外の心地よさに、抜け出したくないという気持ちにさせられてしまっていた。

 

 赤い顔をしてうっとりと目を閉じ、ベニはレオのキスを堪能する。小さな舌が送り込んでくる、幸せな甘さと共に。

 その味は、いつも自分が作るプリンの甘さより、格段に甘く官能的な味がした。  

 

 




読んで頂いてありがとうございました!
きみあるチームで最初にレオの唇をゲットしたのはベニでしたね(´・ω・`)
本家のベビパニこれからupするので、興味ある方はそちらもぜひ!!

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