リヴァイアサン・レテ湖の深遠   作:借り暮らしのリビングデッド

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11-2 清らかな。若人、乙女

 

 

 

 

 

それは恐らくぎりぎりのタイミングだったのだろう。

後1、2分遅かったら間に合わなかったはずだった。

 

なぜなら、その使徒は最後の隔壁を溶かし最下層に到達するまさにその瞬間だったのだから。

 

ずる、という振動と共に穴が開いて。

そこから赤いような光が見えて、シンジは咄嗟にそこがセントラルドグマだと直感したのだ。

だから慌てて穴へ飛び降りて、その赤い海のような液体で満たされたドグマに降り立つ。

 

するとドグマの中心へ移動しようとしていた使徒が振り返り初号機を見た。

まるで蟹のような蜘蛛のような、あるいはアメンボのような。

 

やはりそれにあまり嫌悪や恐怖というものを感じなくて、でもシンジは迷わずパレッドライフルを構えた。

この停電が使徒の仕業だと信じきった少年に迷ってる暇など無かったのだ。

 

しばし対峙しながら。

 

と、確か綾波の乗った弐号機が先行していたはず、と思い出して、でも見当たらない。

めぐるましく目を動かして、すると目の端にピンクのような物体が見えた。

 

何か、ビーフシチューのような。

一瞬何か分からなくて目を瞬かせて。

 

そして、理解したと同時に彼はLCL内部で嘔吐した。

 

すぐにプラグ内の洗浄装置が稼動する、が、呼吸困難に陥り。

でも彼は、その胸から下がぐちゃぐちゃに溶けて赤とピンクの肉のスープになった弐号機の残骸に叫んだのだった。

 

「綾波!!!」

 

 

 

 

ミサトは全速力でドグマを降りた。

 

軍人として鍛えている彼女でさえ息を切らし始めていて、でもお構いなしに走り続ける。

先ほどから振動と重低音。

ここまで降りたのにまだ下から聞こえてくる。

 

ということは、とそれだけでミサトは現在の状況を正確に把握した。

そしてドグマに降り立って想像通りの、いや正確には想像外の光景を見たとき、思わず声を上げた。

 

「シンジ君!」

 

シンジは何度目かの鞭のようにしなる使徒の攻撃を紙一重でよけつつ、パレッドライフルを連射した。

すでにドグマに到達された以上躊躇は必要なかった。

ただ飛び散るその肉片と血液が自身に振りかからないように注意しつつ正確に連射連射連射。

ミサトはその普段の少年とはまるで違う初号機の動作に感嘆した。

 

つまり、シンジの才能はこのとき開花したのかもしれなかった。

 

彼がこのとき考えていたのはたった一つだった。

完全に洗浄しきれていないプラグ内のLCLに激しく呼吸困難になりながら、でもこのときの彼にはそれすら意識の外で。

内向的であるゆえに優れた集中力を持つ彼は、その全神経をたった一つに集中させたのだった。

 

一秒でも早く使徒を倒す。

 

少年の表情は怒りと呼吸困難に歪みながら、でもその目は刃物のように鈍くそして極めて冷静に光っていた。

もちろん、そんな目は彼の人生で初めてに違いなかった。

彼はこのとき、初めて明白な敵意と怒りでもって使徒と対峙したのだった。

 

綾波レイを一秒でも早く救出し、そして洞木ヒカリの妹を助ける。

その目的のためにはそれを妨害する全ての障害はまさに倒すべき敵に他ならなかった。

 

使徒が溶解液を初号機に吐き出した。

だが彼はそれをATフィールドを本能的に斜めに展開して逸らし、同時にその口に向けて正確にライフル連射。

ミサトはその卓越したATフィールドの使い方に思わず凄い、と呟いた。

 

すると少年はようやくその使徒の傷跡から覗く赤いコアを目の端に捕らえた。

が、ライフルが弾切れ、とっさに使徒に投げ捨てフェイントの隙に肩からプログナイフを取り出し。

やはり鞭のようにしなる使徒の足の攻撃を身をくぐらせ、さらにもう片足の攻撃も身を仰け反らしてするりと回避し。

 

そして一瞬の躊躇も無くコアにナイフを突き立てたのだった。

 

 

 

 

…み

 

―…イ

 

 

ふ、と遠くから声が聞こえた。

碇司令?

 

「綾波!」

 

彼女は朦朧と、目を開けた。

最初に知覚したのは胸から下が何か痺れた様な、まるで無くなったかのような感覚。

それから、ぽつ、ぽつ、頬に落ちるしずくだった。

 

「綾波…」

 

ぼんやりとした視界がよみがえる。

すぐ目と鼻の先に、黒々とした、澄んだ瞳。

その瞳からはぼたぼた水がこぼれて。

 

「碇、君…?」

 

その囁きに少年はしゃくりあげたように声を上げて。

嗚咽を漏らし、泣きじゃくりながら彼女の胸に顔を埋めた。

 

彼女は何度か目を瞬せ。

そして感覚が無くなった腕で、そっと、やさしく少年の頭を撫でたのだった。

 

ミサトは本部に報告しながらその光景に眼差しを向け、でもそれを壊さないように静かにその場から離れた。

そして先ほどの少年の戦闘を脳裏で再生し、確信を持つ。

 

この子、才能がある。

 

それに何か満足したように頷いて、すると鈍い振動。

どうやらようやく電力が復旧したらしい。

 

彼女は芯から安堵の息を漏らした。

 

 

 

 

「よくやったわね、シンジ君」

 

担架に運ばれる白い少女を見つめている少年に労いの言葉をかけた。

少年は疲れたようにはい、と頷いた。

 

そしてミサトに振り向き、少年はようやく、今更ながらドグマの中心にたたずむそれに気づいたのだった。

それにまったく気がつかなかったそれ自体が、その時の彼の凄まじい集中力を物語っていただろう。

少年の様子に気づいて、ミサトも遠めに見えるそれに眼差しを向けた。

 

十字に貼り付けにされた手と下半身のない巨人の残骸。

少年にはそれは、胸の真ん中を赤い槍で貫かれた白い作りかけの女性人形に見えた。

 

白い?いや違う、とシンジは瞬間的に思った。

あれは『白い』んじゃなくて『無色』なんだ。

もちろん、その直感に根拠など欠片もなかったが。

 

「…あれが第一使徒よ。あれに使徒が接触したらサードインパクトが起こると言われてるわ」

 

だがシンジにはそのミサトの呟きは耳に入らなかった。

ただ、その怖いような人形から魅入られたように目が離せない。

 

すると、その巨人の首がゆるり、と動いた。

隣でミサトが息を呑んだ気配がした。

 

巨人はその銀色の顔を上げた。

 

その仮面は人のように端正な目鼻立ちがあり、でもその目は左右に三個、額に一個の七つ目で、その口は微笑みに固定されていた。

まるで聖女のような、あるいは聖母のような、慈愛に満ち満ちたやさしい微笑み。

すると、左右に3個ずつある瞳の真ん中、つまりちょうど人間と同じような位置にある瞳の奥がごみょごみょ蠢いた。

 

なんだろう、とシンジは目を細めて。

 

そして、そのまるで今作られたような金色の瞳が、少年をじっと見つめた。

 

 

 

 

 

 

Ⅱ 『清らかな。若人、乙女』

 

 

 

 

 

 

 

「以上で報告終わります」

 

ミサトは司令室のゲンドウに敬礼しつつ。

シンジは、その少し緊張を纏った見慣れない彼女の様子をそっと観察した。

 

「よろしい。よくやってくれた葛城三佐」

「はっ!」

 

やっぱり普段の彼女とは別人に見えた。

それから少年はぼんやりと父を見つめた。

少年が見てもその姿は、やはり巨大で威圧的な印象があった。

 

さっきの汗を流してがんばってた父をぼんやり思い浮かべる。

その姿は、はっきり少年の琴線に触れて。

 

「サードチルドレン」

 

だからその低い声が聞こえても咄嗟に反応できなかった。

ミサトが肘でつついてようやく、あ、は、はい、と声を上げる。

 

「今回の功績、見事だった。帰って休め」

 

その言葉にふいを付かれた様に。

 

「あ…は、はい…」

 

彼はつい声を震えさせてしまって。

ミサトはその少年を少し、やさしい眼差しで見つめた。

 

 

 

 

もう、深夜になっていた。

 

それでもシンジは恐る恐るその病院に足を運んだ。

 

まだ街では異臭と喧騒が収まっていなかった。

その微かな胃液のような異臭にすん、と少し鼻を鳴らす。

 

今回、使徒襲来と停電が重なったせいで住民の退避が満足に行われなかった。

それは使徒によって陥没した約三キロ四方の地域も同じで。

 

どれほどの犠牲者が出たのか想像つかない。

リツコさんは少し顔を青ざめながらそう言っていた。

 

ミサトさんも数日は本部で泊り込むそうだった。

もしかしたら今回の被害の責任も取らされるかもしれない、そう呟いた日向さんの顔が忘れられなかった。

 

ゆっくりと夜道を歩く。

病院に近づくにつれ足が重くなるのがわかった。

 

入り口が見えて、もう深夜なのに電気は眩しいくらいに灯り、そこらじゅうで救急車が赤く光っていた。

 

そろり、と足を踏み入れる。

あの白い、空虚な廊下には嘘みたいに人で溢れていた。

そして、そのベンチに座っているヒカリを見たとき。もう、少年は直感してしまったのだった。

 

そっと、本当にそっと、洞木さん、と声をかけて。

彼女がうなだれていた顔を上げた。

 

涙の、跡。

 

そして、彼女は小さく、首を振った。

 

 

 

 

時間は少しさかのぼる。

 

アスカはようやく到着した発令所で使徒殲滅の報告を聞き、声を上げた。

 

「どっちが!?」

「シンジ君よ」

 

リツコは技術部に幾つかの指示をしながら、そっけなくそう呟いた。

 

「今回は実質彼一人で倒したようなものらしいわ」

「…弐号機は?ねえアタシの弐号機は!?」

 

リツコは一瞬、アスカに眼差しを向けた。

 

そして、回収されたその残骸を見たとき、アスカは立っていられなかった。

足がぶるぶると震えた。まるで死人のように血の気が引いていた。

全身を駆け巡るその感情の正体など彼女に分かるわけなかった。

 

リツコは白衣のポケットに手を入れたまま、極めて冷静につむいだ。

 

「コアが無事だったのが不幸中の幸い。でもヘイフリックの限界は超えている。

 素体の再生はまず無理ね。」

 

アスカは胸から上だけになったぼろぼろの愛機をただ眺め。

 

…ファーストは?と低い声で囁いた。

 

 

そのベッドは廊下を進んでいた。

 

と、廊下の真ん中で仁王立ちになっているその赤い髪の少女を主治医が注意した。

だが、その少女は聞こえないかのように顔を伏せてゆるりと立っていた。

 

すると、ベッドに寝かされていた白い少女が止めて、と呟く。

 

まだ痺れた身体をゆっくり立たせ、でも倒れこむ。

それでも看護婦の一人が肩を貸して、彼女はアスカの前に立った。

 

だがアスカはうっすらとした気配で顔を伏せたままだった。

そして白い少女は、目を伏せてゆっくりと、囁いた。

 

…ごめんなさい。

 

それはやはり抑揚のない、涼やかな声だった。

目を伏せたその顔も至って無表情だった。

 

当然、彼女のその僅かな表情の変化や、その涼やかな声に宿る正真正銘の謝意もアスカにわかるわけはなかった。

きっとわかるのはシンジ少年とその父親だけだったろう。

もちろん『ごめんなさい』というその言葉が白い少女にとって初めての言葉であると知るわけも無く。

 

ガッと音が鳴ってレイは倒れこんだのだった。

医療スタッフが慌ててアスカを押さえつけて、でも彼女は半狂乱になって叫んでいた。

 

「殺してやる!!」

 

まさに毒に満ち満ちた声だった。

レイは唇の端の血をぬぐいながら、その呪詛が込められた声にただ耳を澄ませた。

 

 

 

 

「…間違いないのね?」

「ええ。今回の停電は使徒によるものじゃないわ」

 

ミサト、リツコといつものオペレーター達が休憩がてらコーヒーを飲みつつ。

 

「じゃあ、普通の停電だったってこと?」

「そんなわけないでしょ?」

 

リツコは少し憮然としつつ。

 

「仮に、一万歩譲ってそうだったとしても…」

「正、副、予備に第三新東京市全域が同時、というのは理論上ありえません」とマヤ。

「でも、仮に人為的な停電だったとして、一体何のために?」

「いくつか推測できます。もっとも高い可能性は、電力の復旧によって本部内、そして弟三新東京市全域の…」

「電力ルートの解析」

 

リツコがそっけなく呟いた。

ミサトは眉をひそめ。

 

「つまり…」

「そ。都市から何から全部丸裸にされたわけ。

 電力ルートを把握してれば今回みたいな全域ではなく、局地的に停電、そのほか簡単にできるわ。

 いくらMAGIシステムでも物理的な制圧は防ぎようがないもの」

 

その上、とマヤがつむぐ。

 

「弟三新東京市はその電力を全てMAGIシステムに管理されています。

 本来予備電力や非常電源は各施設に物理的に独立して配置すべきですが…」

「それをしてないのよ」

 

ミサトはため息をついた。

 

「…信じられない。何を考えてるの!?」

「私に言われても困るわよ。都市の設計になんてかかわってないもの」

「でも、もしもがあるでしょ!?実際今回のような事があったじゃない!もし予備電源が独立していれば」

「今回ほどの被害はでなかったでしょうね。」

 

避難勧告も問題なく出来たでしょうし、と。

 

「呆れてものも言えない…」

「技術者や設計者によくある驕りよ。自分のアイデアやら何やら過信しちゃったんでしょ。

 その種の連中の大半は優れた頭脳を持っていても想像力は無いもの。つまり、明晰な白痴ってやつよ」

 

リツコはそっけなく続けた。

ミサトは芯からため息をついた。

 

「…今回の被害、まだ分からないのね」

「ええ。何せ約三キロ四方が溶解液で溶けたんですもの。死体なんて残ってるわけないじゃない。

 死者を把握するのはそうとうかかるわね。もちろん、あのドグマまで開いた穴をふさぐのも」

 

重い沈黙が場に落ちた。

 

 

 

 

「リツコ」

「何」

 

二人だけ残った研究室で。

ミサトは、声を潜めて、何か躊躇を感じさせる様子で言った。

 

「正直に、言って」

 

彼女は息をととのえ。

その言葉を吐き出した。

 

「…加持君、なの?」

「わからない。」

 

リツコは望み通り正直に答えた。

 

「証拠がないもの…」

「でも、加持君なら」

「そうね」

 

白衣に手をつっこんでそっけなく。

 

「…彼ならもしかすると、出来るかもしれないわね」

 

ミサトは暗い目で、だが、刃物のように目を細めた。

 

 

 

 

アスカは、何度も何度も彼に電話をかけた。

でも、一向につながらなくて。

彼女はただふわふわと髪をゆらして歩いた。

 

出てよ、加持さん。お願い。

 

『へえ、そうなんだ』

 

でも、あの気のない相槌を思い出して。

彼女は、疲れたように壁に身を預けた。

 

 

 

 

シンジは、瞑っていた目を開けた。

眠れるわけが無かった。

 

部屋を出て、アスカの部屋をノックする。

やっぱり、まだ帰っていないようだった。

どうしたんだろう、と時計を見る。もう三時近かった。

 

少年は部屋に戻りふと、瞼に父の汗だくの姿を浮かべた。

 

『今回の功績、見事だった。帰って休め』

 

少年は少し目を伏せて、口をもぐもぐとさせた。

笑みのような、何かに耐えるようなその口元は確かに今の彼の精神を物語っているようだった。

 

どうして、と彼は思った。

どうして、嬉しいのに素直に喜べないんだろう。

 

もちろん、理由は考えるまでも無かった。

 

ベンチで影のように佇んでいた洞木さんは首を振って、またうなだれて。

当然かける言葉などあるわけもなかった。それでも彼は側を離れられず。

すると、彼女の家族らしい人たちが彼女に駆け寄って、彼女を抱きしめた。

 

一人は多分、お姉さんらしい人。

もう一人は中年の男性、多分お父さん。

するとその男性はシンジを見ると驚いたように目を開き。

そして、頭を深々と下げたのだった。

 

それに困惑して。

でも困惑したのは彼だけじゃなかった。

姉らしき人が男性に声をかけ、幾つかのやりとり。

 

そして。

その女性は憎しみの目でシンジを睨んだのだった。

 

ん、と彼の喉から声が漏れた。

 

だから、シンジは部屋を見回した。

ふと、目に入ったその詩集を手に取った。

薄い明かりを頼りにぺらりとめくる。

そして、適当なページで手を止めた。

 

 

 

“失われたひとりの少女”

 

  この悲憤のページを読む

  未来の時代の子供らよ

  過ぎ去った一つの時代では 愛!

  甘美な愛! が罪と思われた事実を知れ

 

 黄金の時代に

 冬の寒さから解き放たれ

 きよらかな光に身を輝かす

 わこうど おとめ

 まはだかで 日の光を よろこぶ

 

 あるとき うら若いふたり

 世にもやさしい思いにみたされ

 かがやかしい園で 会った

 きよらかな光が 夜のとばりを

 いましも引きのべたばかりの時刻に

 

 そこの さしのぼる朝日のなかで

 草の上に ふたりは遊ぶ

 父母は遠くにあり

 知らぬ他人も 近くには来ず

 おとめはやがて 恐怖を忘れた

 

 甘美なくちづけに たんのうし

 ふたりは 沈黙の眠りが

 大空の深みにたゆたうころに

 また会おうと 約束し

 そしてこの膿みつかれた二人の放浪者は 泣く

 

 白髪の父のもとへ

 輝くおとめは 帰ってきた

 しかし父の愛のまなざしは

 神聖な書物のように

 おとめのいたいけな手足を 恐怖でふるわせた

 

 「オウナ! あおざめ 弱げなものよ!

  おまえの父に 語れ

  おお そのふるえやまぬ恐怖!

  おお そのわびしい心配!

  それは わたしの白髪の花をゆさぶる」

 

 

 

ぱらり、とページを閉じた。

 

ベランダに出て夜空を見上げて、でも、その星空も今の少年には濁って見えた。

 

だから手すりの縁に、こつり、と額を乗せた。

最初ひんやりしていた額がぬるくなってきて、しょうがないから顔を上げた。

そして、目を瞬かせた。

 

視線の先に、いつのまにか緋色の長い髪の彼女がうっすら立っていた。

 

目を細めて観察し、と、どうやら彼女もベランダに立つ少年を見上げているようだった。

でもその遠めに見える少女は色彩を失っているようで、電灯に作られるその複数の影すらひどく薄く。

そのまま、消えてしまいそうなほど儚く見えた。

 

だから少しの後、少年は目を伏せて。

 

 

そして急いで着替えると、息を潜むようにそっと家を出たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

16/2/29

 

参考資料

ブレイク詩集


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