神喰い達の後日譚   作:無為の極

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第71話 油断大敵

 見渡す限り、周囲には何も無い事だけが分かるからなのか、かなり先に見える大型種は何かを捕喰している姿だけがハッキリと捉える事が出来る。

 ここ『嘆きの平原』は遮蔽物が殆ど存在しない。故にお互いが見つければ即開戦となる場所だった。

 

 

「今の所は気づかれていないですが、ここでは確実に捕捉されます。細心の注意だけは払いましょう」

 

 全員が警戒しているからなのか、シエルの言葉だけが周囲に響く。

 既にこれまで数えきれない程の討伐をこなしてきたからなのか、今更改めてこれからの行動を口にする必要はどこにも無かった。

 未だ気が付かないマルドゥークに向けて全員がゆっくりと歩を進めている。ここまでは何の障害も存在していなかった。

 

 

「とにかく油断は禁物だ。特性を考えると周囲のアラガミを呼び寄せる。時間はかけずにやるぞ」

 

「でも、久しぶりの相手だからな」

 

「ロミオ。今はそんな事言ってる場合じゃねぇぞ」

 

「分かってるって」

 

 不意に出たロミオの言葉にギルが少しだけ注意を促す。

 既にシエルだけでなく、北斗もまた臨戦態勢のまま進んでいた。

 これまでの事を考えれば確実に至近距離に近づくまでに補足されるが、今回はロミオの参戦に伴い『対話』の力が働いているからなのか、気が付けれる事は無かった。

 

 目的との接敵まであと数メートル。特に気配の隠蔽は血の力でクリアはするが、音までが完全に消えた訳では無い。だからなのか、全員はそのままファーストアタックを完全に意識していた。

 自分達の戦意を完全に消し去り、神機から湧き出るかの様に捕喰する為の巨大な咢がそれぞれ出現する。それが開戦の合図とばかりに戦いの火蓋は切られていた。

 

 

「作戦は何時もと同じで!」

 

「任せておけ」

 

「おう」

 

「皆さんお願いします」

 

「気合入れてくよ」

 

 北斗の声が戦場に響く。既に打ち合わせが終わっているからなのか、全員がバーストモードに突入した証でもある青白いオーラを放ちならが散開していた。

 事実上の奇襲だからなのか、マルドゥークは突如捕喰された事にどこか苛ついている様にも見える。

 捕喰された場所に振り向くと、そこにあるはずの姿は無くなっていた。巨体で振り返る際に、顔だけを動かす事は困難だからなのか、マルドゥークは身体全体を大きく動かす。

 元々周囲には丈の長い草が生い茂っていたからなのか、その姿は完全に捕捉しきれていない。視界が広く無いからなのか、方向を変えた際に見せた動きはどこか緩慢だった。

 事実上の無警戒の胴体は目の前にある。急襲するには持って来いだった。

 

 

「最初は任せろ!」

 

 ギルは言葉と同時に既にチャージが完了していたからなのか、ヘリテージスは既にオラクルを周囲に巻き散らしながら短い距離を一気に駆け抜けていた。

 短距離でのチャージグライドを躱すとなれば、それはかなりのレベル。ましてや至近距離ともなれば詰めた速度は刹那としか言えなかった。

 瞬時に飛び込んだからなのか、穂先はマルドゥークの柔らかい腹部を完全に捉えている。

 このまま止めと言わんばかりの直撃はマルドゥークを怯ませるには十分だった。

 開幕直後なだけにマルドゥークは何が起こったのかを完全に理解してない。しかし、本能だったのか、突然の攻撃によって大きく態勢を崩していた。

 

 

「隙有り!」

 

 だからなのか、追撃とばかりにロミオのヴェリアミーチは同じく肩口に向けて振り下ろされていた。

 これまでに既に数える必要すらない程に狩ってきたアラガミ。しかし、それと感情はまた別物だったからなのか、何時も以上にブラッドは殺伐としていた。

 既に突き裂かれた腹部だけでなく、肩口を直撃した斬撃はその部位を断つのではなく、そのまま抉り取るかの様に切断される。だからなのか、マルドゥークは短い悲鳴を上げていた。

 

 

「よっしゃ!このまま行くぜ」

 

「ロミオ!そこで気を抜くなよ」

 

「それなら大丈夫だ」

 

 北斗の忠告にロミオは改めてマルドゥークにに視線を固定していた。

 これまでとは違い、理想的な攻撃を当てたからと慢心する事は既に無くなっている。

 何があるのかがここでは分からない以上、気を抜けば次は自分に死神の鎌が向けられる事になる。だからなのか、ロミオはマルドゥークから視線を外す事は無かった。

 

 咆哮と共に誰もが意識を改める。これがまだ交戦経験が浅ければ咆哮に身が竦むかもしれない。しかし、今のブラッドにそんな事で反応する者は誰も居ないからなのか、誰もが驚く事無く冷静に見ているだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「博士。用件とは何でしょうか?」

 

「忙しい所済まないね。実は少しだけ君達に協力して欲しいんだ。実はここ最近のアラガミの出現は色々な意味で偏っているみたいでね。支部内のリソースの一部が枯渇気味なんだよ。特にここ最近だけ言えば、官能種の数がね……」

 

 榊の言葉に誰もが瞬時に理解していた。実際にブラッド自体には榊からの直接の命令はそう多く無い。一番多いのはクレイドル。当初は何かあったのかと勘繰る部分もあったものの、最近ではどこか達観したのか、またかと言った感情の方が優先されていた。そんな榊からの依頼は内容そのものが厄介な部分が多分にある。だからなのか、誰もがその様子を見て近寄ろうとは思わなかった。

 

 

「しかし、今回のこれはな……」 

 

「確かにギルの言う通りです。この計画書には我々の事を機械か何かだと考えている節があります。早急な計画の見直しが必須ですね」

 

 

 命令書を確認すると、既に必要だと思われるコアや部位はこれまで何度もミッションで回収してきた以上の物を遥かに上回っているからなのか、その表情はどこか影と落としていた。

 榊が言う様にブラッドに依頼された物の大半は感応種由来の物。これが個人的な使い方で消費しているのであれば文句の一つも出るが、実際にはリンクサポートデバイスの維持の為と言われれば、それ以上の事は何も言えない。

 現状を事細かく説明されたからこそ、誰も反論する事は出来なかった。

 

 

「あれ?ブラッドが勢揃いでこんな所に居るなんて珍しいけど、どうしたんだ?」

 

「あっ!コウタさん。これ見て下さい。榊博士、酷く無いですか」

 

 ナナがコウタに紙を見せた途端、コウタの表情が曇る。全く同じでは無いが、以前にもこれと同じ様な経験が微かにあった。

 まだクレイドルではなく第1部隊だった頃。あの時はまだシオの食事替わりと言った部分があったが、今回はそんな事は一切聞いていない。

 にも拘わらずこれ程の物を要求するのであれば、何かを考えているに他ならなかった。

 

 

「………まぁ、頑張れって事で」

 

「それだけですか?そこは少し手伝おうかって話になるんじゃ……」

 

「いや。だってこれ感応種の割合が多いし、俺達がやるならリンクサポートデバイスの申請が必要になるんだよ。今は万が一の予備しかないんだ。そうしたいのは山々だけと、流石にちょっとね」

 

「え~少し位は手伝ってくれても……」

 

 コウタの言葉に誰もが何も言えなくなっていた。自分達の様にP66偏食因子は特殊なだけあって、その恩恵はあまりにも大きな物だった。

 感応種に何も無いままに対抗できるアドバンテージを持つのは未だブラッドだけ。極東だけでなく、フェンリルの全支部でも改良されたP66偏食因子のデータは渡っているが、それが適合したと言った話はまだ聞いていない。

 通常のP53偏食因子でさえも適合が厳しい現状で、更に貴重なP66は更に特殊な物。だからなのか、コウタの言葉にナナだけでなく、他のメンバーもまたそれ以上は何も言えなかった。

 

 

「俺に出来る事は何も無いんだ。精々が旨いもん作っておいてくれって言うだけだよ。俺もまだ用事があるんだ。力になれなくてすまん」

 

「コウタさ~ん」

 

 ナナの力ない言葉に、コウタはそれ以上は何も出来ない事をアピールしながらこの場から去っていく。そんなやり取りを見たからなのか、他の人間もまた少しづつブラッドから無意識の内に遠ざかっていた。

 

 

 

 

「そうでしたか……でも、仕方ないですね。私達も人員は常にギリギリですから」

 

「ですよね~」

 

 ラウンジに居たアリサを発見したからなのか、ナナは先程のコウタとのやり取りを念頭に、改めて任務の内容を不自然さが無い様に伝えていた。

 アリサの性格を考えれば無下にする事はないはず。そんな希望を胸に、改めて確認していた。記憶が正しければここ最近はそれほど忙しくはしてなかったはず。そんな根拠の無い自信がナナを後押ししていた。

 

 

「決して何もしない訳じゃないんです。ただ、最近は現場に入る事が多かったんで、今のうちに書類や申請書を一気に仕上げる必要があるので」

 

 そんなアリサの言葉を聞きながらナナはその隣にあったファイルに視線を動かす。

 既にいくつかのファイルが置かれているが、どれもまだ手付かずの状態。

 アリサの性格を考えれば、この状況下であっても頼み込めばやってくれるかもしれない。しかし、そのファイルの山を見たからなのか、それ以上の言葉は何も出なかった。

 仮に自分がアリサと同じ立場だった場合、果たして受けるのだろうか。事実上の答えが出ている質問は無駄以外の何物でもなかった。

 これ以上は申し訳ない。そんなナナの心情を察したからなのか、アリサは少しだけ困った笑みを浮かべていた。

 

 

「……何とかやってみます」

 

 猫耳の様な髪型のそれも、どこかしょんぼりと項垂れている。どこもそうだが、極東支部内で余剰戦力を抱えている部隊は一つも無い。今は第4部隊のハルオミ達でさえ常にミッションに駆り出されている。

 事実上の退路を断たれたからなのか、ナナもまた改めて次の行動を考えていた。

 

 

「ナナさん、気持ちは分かりますが、今はアナグラも手一杯です。感応種の討伐ですから、我々だけでやり切るしかありませんよ」

 

「だよね……よし!何とか頑張ろう」

 

 どこか力ない言葉だけがロビーに響く。既に準備は成されているからなのか、シエルに着いて行く様にナナもまたヘリポートへと足を運んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《マルドゥークが活性化します。これまで以上に十分に警戒して下さい!》

 

「皆さん、警戒して下さい!」

 

 警戒と言うには余りにも刹那だった。耳朶に届く情報は既に遅かったからなのか、マルドゥークの遠吠えは周囲のアラガミをおびき寄せる効果を発揮していた。

 ブラッドを囲むかの様に真紅に染まったサイゴートは既に準備が完了しているからなのか、人間の肺があると思われる部分は既に大きく膨らんでいる。

 そこから吐き出されたのは燃焼性を含んだ有毒なガスだった。

 

 一体程度であれば然程問題にはならない。しかし、周囲を囲むかの様に沸いたサイゴートは既に10を超えていた。

 燃焼性が高いからなのか、周囲の気温も僅かに上昇を開始する。既に敵はマルドゥークだけではなく、どこか乱戦に近い物へと変化していた。

 

 

「このままだと拙い!総員一時散会。一旦マルドゥークからサイゴートに目標を変更!」

 

 戦場での逡巡は死に近づく事になる。それを打破すべく、北斗の指示で全員が散会する。既に一部の毒素が体内に侵入したからなのか、ナナだけでなくシエルの顔色も青褪めていた。

 

 

「シエル、ナナ直ぐに回復だ。急がないと囲まれるぞ」

 

 有毒ガスによって淀んだからなのか、アラガミも去る事ながら、視界もまた僅かに悪くなっていた。周囲に振り撒かれた燃焼性能は熱によって大気に歪みを発生させる。

 熱と毒の多重攻撃は予想を遥かに上回る。

 このままでは戦力の低下は免れない。すぐさま2人は回復の為にデトックス錠を口に含んでいた。

 一旦態勢を整えての再戦。誰もがそう考えた瞬間だった。

 

 

「ナナ!回避だ!」

 

「えっ?」

 

 北斗の叫びの意味が分からない。周囲を確認しようにも有毒ガスの影響なのか、視界がどこかぼやけている。

 今、北斗は何と言ったのだろうか。そんなとりとめの無い事を考えた瞬間だった。

 轟音と共に、これまでに無い衝撃がナナを直撃する。サイゴートに気を取られたからなのか、マルドゥークの存在を完全に忘れていた。

 

 盾に変形させようにも既に火炎を纏った強大な礫は砲弾の様に飛来する。既に展開する事は不可能だと判断したからなのか、ナナは出来る限り自身の身体を回避しようと行動に移した瞬間だった。

 

 

「きゃああああああ!」

 

 悲鳴と同時に礫はナナへと直撃する。大気の歪みは目測を大きく誤わせる要因となっていた。

 火炎を纏っていたからなのか、ナナの腕からは肉が焼けた臭いが鼻孔へと届く。

 回復を優先したまでは良かったが、これほどの数に囲まれた経験はそう多くない。本来であれば救援要請を出すが、生憎と感応種の前ではブラッド以外のゴッドイーターは沈黙するしかなかった。

 礫の勢いが勝ったからなのか、ナナはそのまま遠くへ弾き飛ばされている。本来であればすぐにでも駆けつけたいが、この状況下では困難でしかなかった。

 

「ナナ!」

 

「ナナさん!」

 

 北斗とシエルの呼びかけに返事が返ってくる事は無い。先ほどの直撃はナナの意識を飛ばしたからなのか、微動だにしないままだった。

 

 

「畜生!」

 

 ギルの放ったスタングレネードが周囲を白い闇へと包み込む。活性化の影響からなのか、マルドゥークだけでなく、サイゴートもまた視界を完全に失っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか……了解した。直ぐに現地に向かう」

 

 今回の任務はこれまでの様に4人で1つのチーム編成ではなかった。

 元々今回の任務は長期戦が予想されたからなのか、異例の5人でのミッション。ブラッドの編成上、残されたジュリウスとリヴィは飛び込んできた情報にこれからの予定の変更を余儀なくされていた。

 

 

「ジュリウス。何があった?」

 

「マルドゥークとの交戦中に呼び寄せられたサイゴートとの戦闘中にナナが負傷したらしい。今の所は難を逃れているらしいが、時間の問題だ。このまま俺達も緊急出動だ」

 

 元々今回のミッションは5人だからと、何時もの様に心配になる事は殆ど無かった。

 これまでの戦績はそのまま戦闘力の表れになる。だからなのか、ジュリウスだけでなく誰もが同じ様な事を考えていた。

 慢心と言われればそれまでだが、今回はマルドゥーク1体だけの討伐任務。そんな部分が多分にあった結果だった。

 

 

「状況的に、私達2人だけでは少々厳しいかもしれないが、どうする?」

 

 現場はマルドゥークだけでなく、サイゴートが未だに浮遊していた。

 小型種が故に然程問題になる可能性は低いと判断したまでは良かったが、問題なのはその毒性だった。

 従来のサイゴートとは違い、燃焼性を持った有毒ガスは予想以上に面倒な代物だった。

 周囲一帯に吐き出されたそれによって視界が歪み、僅かでも吸い込めばその毒性によって体力を奪われる。

 ナナが負傷したのはそれが原因だった。そんな状況下でマルドゥークの攻撃は最悪と言える物。

 砲弾の様に飛来するそれは、獲物を集団で効率よく狩っている様だった。

 せめてサイゴートだけでも排除出来れば状況は一変する。それが分かっていながらも有効な手立ては何も無いままだった。

 

 

「まさかマルドゥークだけでなく、サイゴートに苦しめられるとはな……」

 

 ジュリウスの呟きが全てだった。

 神機が動かなければゴッドイーターが出る意味は全く無い。既にリンクサポートデバイスは防衛班が使用している為に、万が一に備えるのは当然の話。ブラッドが出動している以上、安易に使用するのは躊躇われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か?」

 

「な、何とか……」

 

 スタングレネードを使用した事によって索敵が出来ない場所への移動に北斗達は成功していた。

 元々活性化した中での行使によって通常以上の効果を発揮しているからなのか、予定の場所よりも遠保への退避となっている。

 既に回復錠によってナナの火傷の部分も問題は無かったが、それ以上に悩ましいのが現状の打破だった。

 

 僅かな攻撃でも間断無くされれば少なくとも安易に考える事は出来なかった。

 今は一時的に視界を奪った為に隠れている場所を探し当てるには時間が必要だったが、問題なのは今の攻撃をいかに回避しつつ反撃するかだった。

 周囲の気温は少なからず高くなっている事から、自分達の最上のパフォーマンスが発揮出来るのかは未だ未知数。何も分からない中での博打は事実上の死に等しい内容だった。

 

 

「ナナさん、まずは回復を優先させて下さい。今の所はまだ問題もありませんので」

 

 そう言いながらシエルはナナに回復球を使用する。緑の柔らかな光は焼けただれたナナの皮膚を瞬時に元の状態へと戻していた。

 体力の回復はまだ時間を要するが、それでも表面上の最悪の状態だけは避けられていた。

 

 

「とりあえず今後の作戦をどうするかだな」

 

「シエル。サイゴートは全部で何体いるんだ?」

 

「そうですね……今の時点で確認出来るのは全部で10体。しかし、マルドゥークが再び呼び寄せる事があれば今後の数は未知数です」

 

 シエルの言葉に北斗だけでなくギルもまた苦渋に満ちた表情を浮かべていた。

 シエルの能力では、アラガミの位置は分かっても、今の現場の状況までは把握できない。

 それに加えて未だ有毒ガスを吐き続けていると仮定した場合、真っ先にやるべき事はサイゴートの始末。

 今の状態でそれを可能とするのはシエルだけだった。北斗にせよギルにせよ、射程距離はそう長く無い。ナナは最初から論外だが、ロミオもまた悩ましい部分が多分にあった。

 

 

「出来れば先にあれを始末しない事にはさっきの二の舞になる。シエル、Oアンプル後どれ位ある?」

 

「手持ちは全部で5個です。ですが、今の状態で狙撃となれば数は足りません。後は狙撃音を聞いてマルドゥークがどう動くかですね」

 

 シエルの言葉に北斗は改めて今後の行動を考えて作戦を思案していた。既に時間がどれ位経過したのか分からないが、このままここに居る訳には行かない。

 残された手が無いとは言え、このままにする訳にはいかない。そんな時だった、北斗の耳朶にテルオミからの通信が届いていた。

 

 

 


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