神喰い達の後日譚   作:無為の極

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第69話 雨宮家の休日 後編

 リンドウ達が休日となった一方、アナグラもまた珍しくゆったりとした時間を過ごす事になっていた。既に懸念された事案に一応のメドがついただけでなく、最近の忙殺気味だったそれが落ち着いた事もあってか、ロビーだけでなくラウンジもまた穏やか時間が流れていた。

 本来であれば時間や予定を見越して休暇を回す事が多かったが、今回は突発的な状況だったからなのか、誰もがそんな時間を過ごす事はなく、ただラウンジで話す程度だった。

 

 

「そう言えばリンドウさんとサクヤさんは見かけませんでしたが、今日は共に非番なんですか?」

 

「そうみたいですね。ですが、最近の多忙さを考えれば当然でしょうね」

 

 何気に話したフランの言葉にヒバリもまた思い出したかの様にスケジュールを確認していた。

 元々日程の都合がついた際には独身者よりも既婚者を優先して休暇を取り易くしているのは、偏に家庭を大事にする方針を極東支部が取っているからだった。

 事実、リンドウとサクヤにはレンが居るが、お互いが多忙になれば必然出来に触れ合う時間が削られて行く。元々の経緯を知っているヒバリからしても、どこか申し訳無い部分が多分にあった。

 最近はサテライトの兼ね合いで極東支部を支える戦力が一時的にダウンしている。エイジだけでなくアリサとソーマが建設地の防衛と入植に関する業務をこなしている為にリンドウが必然的に出動回数が多くなっていた。

 そんな事を察したからなのか、ヒバリは弥生に相談した結果、お互いの休日を合わせていた。

 

 

「確か、レン君でしたよね。普段はどこに居るんですか?」

 

「レン君の場合は基本的には居住区に居ますが、結構屋敷のほうに居る事も多いみたいですよ。あそこは同じ様な子供も多いですから」

 

「そうだったんですか」

 

「確かにゴッドイーターの婚姻は増えましたが、子供までとなると中々難しいみたいですよ。実際に子育ての環境をどうやって整えるのかは今の所試行錯誤してるみたいですし」

 

 ヒバリはそう言いながらムツミが用意した飲み物を口にしていた。

 元々ここではメニューすら無かったからなのか、ムツミも何かを見ながら作っている。ヒバリとフランが口にしているのはこれからの時期に合った新メニューでもあるスムージーの炭酸割。

 程よい甘さと炭酸の刺激はこれまでに無いからなのか、実験的に用意されたクッキーと同時に出されていた。

 

 

「実際に難しい部分も多いみたいですね。一番は戦力的な意味合いですが、やはり住環境を考えるとアナグラの居住区では難しいですし、だからと言って外部居住区にその時だけ引っ越すのも無理ですから」

 

 何かを思い出したのか、ヒバリは弥生と榊が話し合っている場面を偶然にも見ていた。

 屋敷の様な環境を維持するには、それなりに人員と設備が必要となる。だからと言って屋敷を開放する訳にも行かず、悩みの種は尽きないままだった。

 

 

「所でヒバリさんの所はその辺りの予定はどうなんですか?」

 

「私の所よりもアリサさんの所の方が先ですよ」

 

「ですが、授かりものって言う位ですから、順番は関係無いかと」

 

 フランの言葉にヒバリの分が悪くなりだしたのか、徐々に言葉に詰まり出す。

 元々そんなつもりで言った話でも無ければヒバリとて考えていない訳では無い。しかし、今の現状を考えると中々そんな事を言いだせない部分もそこにあった。

 そんな事もあってかアリサの方へと話を向けるも、これまでに散々ヒバリと話しているからなのか、フランは変更する気配を見せない。

 万事休す。そんな言葉を思い起こす瞬間だった。

 

 

「あっ!フランちゃん。今日はサクヤさんを見ないんだけど、知らない?」

 

 ヒバリへの攻撃はナナからの質問によって遮られていた。ここが撤退のポイントだと判断したのか、ヒバリはまだ残っているスムージーを飲み干しそのまま退散する。既にフランもナナと会話しているからなのか、その流れで解散となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば最近のアナグラの様子はどうだ?」

 

「そうですね。義姉さんが居た頃とは多少は違いますが、それでも雰囲気は悪くないですね」

 

「そうか。色々とやることだけは多いからな。体調がよくなってある程度の目途が立てば復帰できるんだが」

 

 レンは食事の後、屋敷を離れていた。元々予定していたからなのか、レンだけでなく他の子供達も一緒の行動している。だからなのか、何時もはどこか喧噪が聞こえる屋敷も少しだけ静まり返っていた。

 夏特有の空気が部屋を通り抜けるからなのか、それとも周囲を囲む木々がそうさせているからなのか、少しだけ熱が籠った部屋に一時の清涼感が漂っていた。そんな中で、ツバキもまた何かを思い出したかの様にサクヤに現状を確認している。

 ツバキが最後のアナグラを見たのは螺旋の樹の終焉と同時に聖域が出来た当初の光景だった。

 

 

「結構大変ですよ。男の子なら尚更です。レンも今でこそああですけど、最初は大変でしたから」

 

「そうか。ここには一応乳母代わりにと、人が来ているからな。時間に関しては多少は融通が利くだろう」

 

 ツバキの言葉にサクヤは内心羨ましいとさえ考えていた。

 確かに子供が成長する事を見るのは喜ばしい事ではあるが、実際には夜中に泣いたりと時間の概念が大きく狂う。それを実体験としているからなのか、サクヤはツバキの言葉に羨ましいを通り越し、ここは他とは違う。そんな取り止めの無い気分になっていた。

 

 

「それでも大きくなるまでは油断も出来ないですから」

 

「そうだな。その辺りは追々考える事にしよう。それと済まなかったな。リンドウもレンだけと遊ぶ事が出来なかった様で」

 

「構いませんよ。普段からここにはお世話になってますから。それに人数が多い方がレンも喜びますから」

 

「そう言ってくれると助かる」

 

 元々早朝の稽古の後はどこかに出かける予定だった。本当の事を言えばここでも十分ではあるが、だからと言ってそれだけで終わらせる訳には行かないと、リンドウは半ばなし崩し的に子供達の引率をする事になっていた。

 行先は水遊びの出来る場所。アラガミの危険性は少ないが、万が一の事がある。

 本来ならば神機を用意する必要があるが、リンドウに関しては自分の能力で神機の代わりが出来るからと、突発的ではあったがそのまま実行されていた。

 

 

 

 

 

「あいつらからも聞いていたが、まさかこうまでだとはな……」

 

 リンドウの向かった先には以前にもエイジ達だけでなく他のメンバーも来ていた場所だった。

 流れはあるが急では無く、また浅い場所もある為に、リンドウの監視の元それぞれが思い思いの場所で遊ぶ事になっていた。

 気温に合わない水温に子供達の歓喜の声が響く。レンもまた同じだっただのか、年相応にはしゃいでいた。

 

 

「父様もどうですか?」

 

「そうだな……一緒にと言いたいが、生憎とここの用意をしてないからな」

 

「そうでしたか……」

 

 落ち込むレンを他所にリンドウもまた心の中で謝っていた。

 服を着ている分には何も問題ないが、実際に何も着ずに入れば自分の右腕がどうしても晒される事になる。

 右腕に付けられたガントレットは水がかかったとしても何ら問題は無い。それよりも問題だったのは、肩周辺の付け根の部分だった。

 ここは隠す事が出来ない為に、どうしても脱いだ際には体表とアラガミ化した部分の境目がはっきりと見える。

 気にしないだろうと言われれば確かにそうだが、それでもこのアラガミ化した腕を安易に見せるのは気持ちの良い物ではない。レンは仕方ないとしても他の子供の影響が懸念される。

 だからなのか、用意していない事にしてその場を誤魔化す以外に無かった。

 

 

「レン君。一緒に行こうよ」

 

「そうだぞ。折角来たんだし、泳がないと勿体ないって」

 

 同年代の男女がレンの下に来ていた。元々仲が良いからなのか、リンドウの事を気にしながらもレンを誘っている。

 元々入らない事を考えていたからなのか、どこか寂し気な顔をするレンをリンドウは促す事にしていた。

 

 

「レン。泳ぐのも鍛錬の一つだ。そう言えば、ちゃんと泳げるのか?」

 

「少しなら大丈夫です。見ていて下さい。じゃあ、行こうか!」

 

 呼ばれたと同時にレンは呼びに来た2人と一緒に泳ぎ始めていた。

 冷静に考えるとここには誰かが連れてきているからなのか、レンだけでなく、他の子供達も泳いでいた。

 元々アナグラだけでなく、外部居住区にそんな施設は無い。にも拘わらず当然の様な光景にリンドウは再び驚きながらも、全体の様子を眺めていた。

 

 

 

 

「さてと……そろそろ昼か」

 

 水辺での時間は予想以上に長い時間が経過していた。元々水中は身体に対する負荷がかなりかかるだけでなく、意外と疲労を伴いやすい。

 ましてや子供であればその傾向は更に顕著だった。空腹のままの状態は決して良い物では無い。だからと言って、未だ出る気配が無いからなのか、リンドウもまた思案した矢先だった。

 

 

「お~い。ごはん持ってきたぞ」

 

「あ!シオ姉だ」

 

 シオの声に子供の視線はそちらへと向いている。手に持っているのは大きな風呂敷。

 お重が入っているからなのか、その包みはどこか角ばっていた。

 

 

「まさかサクヤも来るなんてな」

 

「あら?私が来ちゃ変かしら?」

 

「いいや。そんな事無い。こっちはずっと子供の監視だからな。助かった」

 

 シオの持ってきたお重には幾つものおにぎりや、簡単に摘まめる様なおかずが幾つも詰められていた。

 ご飯を見たからなのか、子供達が一斉にシオの下に集合する。そこから先は何時もと同じ光景だった。

 

 

「レンもいつの間にか泳げる様になってたぞ」

 

「あら?本当なの」

 

「ああ。随分と楽しく過ごしてたな」

 

「それは良かったわ」

 

 リンドウはサクヤから渡されたおにぎりを片手にこれまでの事を話していた。

 実際に、こうまで時間の許す限りレンを見る機会はそう多く無い。サクヤはまだここに来る前はずっと過ごしていた事もあってかそれ程では無いが、リンドウの目からすれば驚きの連続だった。

 早朝の稽古から始まり、体力が続く限り泳いでいる。この光景を見たかったから今までやってこれたと思える程に十分すぎている。

 まさに望んだ平和そのものだった。

 既に用意されたご飯は残り僅か。だからなのか、誰もが片手に持ちながらもう一方の手がお重へと伸びていた。

 

 

「そう言えば、これはサクヤが作ったのか?」

 

「私もだけど義姉さんとシオにも手伝ってもらったのよ。因みに、だし巻き玉子は義姉さんが作ったのよ。念の為に数も多く作ったんだけど……」

 

 サクヤの視線の先には我先にと争奪戦が始まっていた。

 作った当初は多すぎるとも思われていたが、身体を常に動かしているからなのか、食事の手が止まる事は無い。

 これまでに見た事がない子供の一面にリンドウだけでなくサクヤもまた目を細めていた。

 そんな中、リンドウの耳朶が僅かな音を拾う。距離的には問題無いが、万が一の事を考えれば先に行動する必要が有る。だからなのか、リンドウの行動にサクヤだけが気が付いていた。

 

 

「ちょっと外す。直ぐに戻る」

 

「…気を付けてね」

 

「レンだけじゃない。他の子供も居るんだ。下手に怪我でもさせたら姉上にこっぴどく叱られるからな」

 

 子供達を尻目にリンドウは既に何時もと変わらない目をしている。この空気を壊す事無く、ひっそりと周囲に溶け込むかの様に行動を開始していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「折角の休みだって言うのに……こいつらは次々と」

 

 リンドウが拾った音はアラガミの足音。元々通信機は持ち歩くが今日に限っては持っていなかった。

 数は不明だが、見た限りでは然程問題になる事は無いはず。小高い崖から見下ろした先にはコンゴウが一体だけ闊歩していた。

 元々音を聞き分ける能力が高いアラガミ。

 今は問題無いが万が一の事を考えれば真っ先に倒すべき物。だからなのか、リンドウは何も躊躇する事無く一気に飛び降りていた。

 

 何も無かったはずの右手からはロング型神機同様の刃が一気に精製される。元々リンドウとしてもこのまま放置すべき物では無いとの認識があるからなのか、一気に殲滅する方針を取っていた。

 ここはアナグラのレーダーでも確実に察知する範囲。既に指示が出ている可能性も高い。

 防衛班の人間が来るのは間違い無いが、待つ位ならの考えを優先していた。未だ気が付かないコンゴウの頭頂にリンドウが振り下ろした刃が直撃する。

 悲鳴と同時に開戦の火蓋は切られた。

 

 

 

 

 

「あれ?リンドウさん。どうしてここに?」

 

「何だタツミか。俺は休暇中だ。偶然音を察知したから来ただけだ。悪いがこれのコアと他の事は任せたぞ」

 

「良いんですか?」

 

「下手に何かしたら色々と面倒なんだよ。それに休暇中だからな」

 

「……取敢えずは分かりました。でもこんな所に何があるんです?」

 

「ここは水辺があるからな。多分エイジ達も知ってると思うぞ」

 

「そうですか。帰ったら聞いてみます。休暇楽しんで下さい」

 

「そうさせてもらうぞ。おっと……あんまり遅いとサクヤも心配するしな。じゃあ後は頼んだ」

 

「了解です」

 

 一番足が速かったタツミの後に配属されたばかりなのか、息も絶え絶えに他のメンバーが走ってくる。

 元々リンドウの振り下ろした一撃は事実上の致命傷を与えていた。

 斬撃と同時に来る衝撃はコンゴウの頭頂の一部を破壊し、そのまま一気に斬りつけている。

 最初の一撃で結合崩壊を起こすと同時にリンドウはそのまま攻撃の手をを止める事は無かった。再度袈裟懸けから逆袈裟へと二筋の剣閃がコンゴウに向けられている。

 事実上の八つ裂きに近いそれは、如何に生命力が高いコンゴウと言えど瞬時に絶命する程だった。

 タツミが到着した際に見た光景は、横たわったコンゴウの前にリンドウが立っている姿。到着直前になってリンドウが居る事を聞いて居なければタツミも混乱していた可能性があった。

 極東支部の上位戦力。何も知らない配属されたばかりの人間はただ驚くだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?早かったのね」

 

「タツミが丁度来てたから、事後処理は丸投げだ。で、まさかとは思うが下に着てたのか?」

 

 瞬殺とも取れる早さで討伐をこなし、改めて戻るとそこには再び遊んでいる子供と、黒いビキニを着たサクヤと青いワンピースの水着を着たシオもまた一緒になっていた。

 元々場所によっては大人でもそれなりの深さを持っているからなのか、サクヤとレンだけでなく、他の子供もサクヤとシオと一緒に遊んでいる。

 帰ってきたリンドウを見たからなのか、サクヤは川から上がり、リンドウの隣に腰を下ろしていた。

 

 

「最初は予定してなかったんだけど、折角だからと思ってね。私もまだいけるでしょ?」

 

 サクヤの言葉にリンドウは改めてサクヤを見ていた。ゴッドイーターだからなのか、それとも本人の努力成果なのか、レンが産まれる前と体形に変化が見られない。

 恐らくはサクヤの事を知らない人間が見れば、とてもじゃないが子供が一人いるとは思えないプローポションだった。何時もとは違った光景にリンドウはまだ結婚する前の事を思い出していた。

 

 

「何?どうかした?」

 

「いや……全く変わっていないと思ってな」

 

「何突然そんな事言ってるのよ」

 

 リンドウの肩を叩くも、それに力は入っていない。照れ隠しなのか、いつものアナグラで見る表情とは大きく違っていた。

 

 

「お~2人とも仲良しだな」

 

「そりゃ、夫婦だからな」

 

「そっか。アリサとエイジも同じなのか?」

 

「俺達以上だろうな」

 

 シオの質問に何時もの光景を思い出す。自分とサクヤが不在である以上、今頃アナグラはどうなっているのだろうか。そんな思いが胸中を過るもこちらは非番。だからなのか、そんな考えを瞬時に一蹴していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は中々充実した一日だったな。漸くレンをじっくり見れたぞ」

 

「これからはもう少し時間を取る様にしたいわね」

 

「まぁ……難しいだろうな」

 

 余程楽しい時間を過ごしたからなのか、レンは夕食の後は直ぐに布団に入っていた。

 普段の内容は分からないが、寝顔は年相応。

 あどけない表情のレンを眺めながら2人は晩酌をしていた。

 元々もてなすつもりがあったからなのか、ツバキだけでなく無明もまた顔を出していない。

 非番は実質今日で終わりだが、明日は午後からの任務予定。せめて翌朝までは一緒に居たいからと3人は川の字に布団を敷いていた。

 

 

「しかし、ここでずっと過ごしてたら、どうなるんだろうな」

 

「そうね……ある意味では凄いのよね」

 

 用意された冷酒を飲みながらリンドウだけでなく、サクヤもまた今日一日の事を思い出していた。

 早朝に行われた鍛練は明らかに同年代の子供がやるべき内容ではない。しかし、レンだけが異常ではなく、誰もが同じ様な内容をこなしている。

 だからこそ誰もが疑問に思う事は無かった。

 

 

「前に無明に聞いたんだが、強制はしてないらしい」

 

「そうなのよね。でも、エイジやナオヤを見てたら分からないでもないかもね」

 

「ああ……」

 

 サクヤの言葉にリンドウもまたエイジが配属された直後の事を思い出していた。

 新人にありがちな気負いはなく、淡々と神機を振るっていた。

 それだけではない。新人ではなくベテランでもああまでの攻撃方法をするのはリンドウが知る中では数える程しか無かった。

 アラガミとの間合いや攻撃のつなぎなど、言い出せばキリが無い。エイジだけでなく無明の技量も考えれば納得できる内容だった。

 それだけではない。一般人にも拘わらず教導教官をこなすナオヤもまた、かなりの技量を有している。嫌々やってもあれほどの技量は身につかない。それが何を意味しているのかは言うまでも無かった。

 

 

「どんな結果になるにせよ。レンの人生はレンの物だ。俺達がどうこう出来る様な物じゃない」

 

「そうね……」

 

 そう言いながらリンドウはお猪口の冷酒を一気に飲んでいた。

 キンキンに冷えているにも関わらず、辛口のそれはこれまで味わった事が無い程のキレがあった。

 一方のサクヤもまた少しだけ口にしながらも笑顔で眠るレンの表情を眺めていた。僅かな一時。

 久しぶりに味わった休暇を後に明日からの任務に気持ちは向かっていた。

 

 

 


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