神喰い達の後日譚   作:無為の極

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第16話 責任の所在

「さてと。今回もまた楽しいミッションの開始だ」

 

 リンドウの言葉とは裏腹に、眼下に見えるアラガミはハンニバルとその浸食種だった。以前の様に手さぐりではなく、完全に行動パターンや弱点を解析出来るアラガミは強敵ではあるが難敵では無くなっていた。

 事実、第1世代の神機使いが遠近のバランス良く入った部隊でも討伐が可能となっている。完全に分業出来るからと、一定以上の階級を持った者は各々でミッションを受注していた。この周辺にはサテライトの建設候補地が近い。厳しい戦いではあるが、これを始末しない事には計画は何一つ進まない。

 苛立ちを隠すかの様なアリサを見たからこそリンドウは軽口を言う事で周りの空気を換えようとした結果だった。

 

 

「リンドウさん。そんな考えでやらないでください。あれが居るばっかりに建設が全然進まないんですよ!」

 

「分かってるって。一々怒るなよ。本来だったら他の連中に任せる予定のミッションに態々来てるんだ。少しは力を抜けよ」

 

「……そんな事言ってますけど、私知ってますよ。今回のミッションの報酬って佐官級チケットでしたよね」

 

 おどけるリンドウを尻目にアリサは事前に聞いていた報酬の事を口にしていた。最近ではfcでの交換だけでなく、一部は佐官級チケットと交換が出来る様にと試験的に導入していた。

 ここでは討伐における報酬はそう低く無い。曹長クラスでもそれなりにミッションをこなせば金銭面で苦労する様な事が無いのは周知の事実だった。もちろん神機の整備には多額の費用がかかるのは仕方ない事だが、ここ最近のアラガミの出没率を考えると下のクラスでも使う暇は神機の整備とラウンジでの食事以外に多くは無かった。そんな状況を見据えた上での試験導入だった。

 

 

「何だ。知ってるのか?」

 

「当然です。今回のミッションから試験導入される事は、弥生さんからも聞いてますから。因みにこの前全部使いきった事も知ってますよ」

 

「何だよ。それならそうと早く言えよ」

 

 そんなやり取りは結果的に現地に来た当初の険悪な雰囲気を無くしていた。既に開始時間に近づきつつある。2人は既にミッションに赴く為に真剣な物へと変わっていた。

 

 

《クレイドルαチーム交戦を開始しました。βチームも速やかにお願いします》

 

「了解。俺達もそろそろ行くぞ」

 

「はい」

 

 ヒバリの声が通信機の向こう側から聞こえてくる。本来であれば2チームに分けての討伐の際にはそれぞれにオペレーターが付く事になっていたが、今回のチームなら問題無いだろうとの判断により、ヒバリが一人で対処する事になっていた。通信が切れると同時にリンドウとアリサは神機を持ち直すと同時に降下を開始する。今回は分断したミッションだった事もあってか、本来であれば4人のはずが今は2人だけとなっていた。

 

 

 

 

 

「さてと。ヒバリさん、対象のアラガミを発見した。僕とソーマなら問題無いよ」

 

《了解しました。βチームのリンドウさんとアリサさんも同じく開始します》

 

「了解」

 

 ヒバリの声が途切れると同時にエイジとソーマは神機を片手にハンニバル浸食種へと移動を開始していた。まだこちらには気が付いた様子は見られない。これならば奇襲と同時に開戦も可能だと考えゆっくりと向かっていた。

 ハンニバル浸食種は通常の物とは攻撃の威力は異なるが、基本行動にさしたる変化は特に無い。精々が口腔内から放たれる火球に気を付ける程度でしか無かった。何時もと何も変わらないはずのミッション。エイジだけでなくソーマも油断や慢心を持つ事は無かった。

 エイジ達は直ぐに討伐しβチームと合流する事を考えていた。戦端は何時もの様に大きな咢で捕喰する事から開始していた。ハンニバル浸食種の悲鳴とも咆哮ともつかない声が開始のゴングとばかりに唐突に始まった。

 

 

「今日は随分調子が良さそうだな」

 

「まあね」

 

 今の2人は軽口で話す程度のゆとりがあった。その最たる要因はエイジの行動とハンニバル浸食種への一方的な攻撃だった。エイジは放つ斬撃は全てがハンニバルの死角を考えた末の行動だった。死角から襲い掛かる斬撃がハンニバル浸食種の強靭な肉体を刻むかと思える程の威力と同時に、直ぐにその場から離脱するかの様に死角へと潜リこむ。如何にアラガミと言えど自身が構築した肉体の稼動限界を超えて動く事は不可能だった。

 全てを切裂くかの様に振るった強靭な腕が通過した後は完全なる隙でしか無かった。逃す事無く先程と同じ場所へと漆黒の刃が走っている。一瞬の内に繰り出された3本の剣閃は一気に籠手の部分を破壊していた。

 

 

「ソーマ!」

 

「任せろ!」

 

 僅かに漏れるハンニバル浸食種のうめき声。結合崩壊を嫌ったからなのか、ハンニバル浸食種がエイジへと改めて視線を向けた瞬間だった。ハンニバル浸食種の目に映るのは闇色のオーラを纏ったイーブルワンの刃。待ち構えていたのは、ソーマが放つチャージクラッシュだった。

 

 

「今回は随分とアッサリだったな……おい、どうしたんだエイジ!ヒバリ、緊急事態だ。直ぐにヘリをこっちに飛ばせ。あと誰でも良いから医療班を同行させろ!」

 

《どうかしたんですか!》

 

「俺にも分からん。ダメージを受けた様子は無いはずだ。とにかく急げ!」

 

 ハンニバル浸食種の頭部を粉砕し、止めを刺した瞬間異変が起こっていた。ハンニバル浸食種の躯体が倒れた先には先程まで攻撃をしていたはずのエイジがうつ伏せになって倒れている。既に生命活動を停止したハンニバル浸食種をそのままにソーマはエイジの下へと駆けつけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソーマ!貴方がついていて何でこうなってるんですか!」

 

「アリサ。少し落ち着け。今はソーマに言っても仕方ないだろ?事実外傷は無いんだ。原因を究明する方が先だろ?」

 

 医務室の外ではアリサだけでなくリンドウやソーマ。そして話を聞いたコウタまでが揃っている。異常事態が起こった原因が何なのかすら分からない。原因究明の為に医務室に入った榊と無明が出てくるまでに、かなりの時間を有していた。

 

 

「そうだよ。外傷が無いなら少しは落ち着きなよ」

 

「そんな事私だって分かってます。でも原因も分からないままに倒れるなんてありえません」

 

 アリサは既に流れる涙を拭おうともせず、宥めるコウタに厳しい口調のままだった。攻撃を受けていないにも関わらず倒れる事態は尋常では無い。原因が何も分からないままに時間だけが経過していた。

 

 

 

 

「来て貰って済まないね。今回の件に関してなんだが、原因は分かったよ」

 

 医務室での声は同じフロア全域にまで響く程だった。このままでは他の部隊にまで動揺が走る可能性が高い。このままでは拙いと判断したのか、榊は一旦支部長室に来るように全員を促していた。

 

 

「それで原因はなんだったんだ?」

 

「その件だが、今回の調査で分かったのは神機の封印が少しだけ弱まっていたからなのか、それとも何かしらのトラブルが発生したからのどちらかだ。詳しい事はナオヤに調べさせている。それが分かれば再び招集をかけよう」

 

 榊の代わりに無明が話した事で全員がその意味を理解していた。本人の肉体には何の障害も病変もなく、結果は神機のトラブルによるものだった。しかし、問題はその中身。持ち主の命を削り取る様な代償の代わりに、過剰とも取れる攻撃能力は正に諸刃の剣だった。今思い出せば、確かにあの時のエイジの動きはこれまでに見た事が無かったかの様にも思えていた。

 神速とも取れる討伐の方に目が向いていた為に気が付かなかったが、今冷静に考えればその特性は確かに出ていた。当時の事を思い出した所で時間が戻る事は無い。何故あの時気が付かなかったかとソーマは一人悔やんでいた。

 

 

 

 

「すまない。今回の件は完全の俺の落ち度だ」

 

 再び支部長室に召集がかかる頃、ナオヤは開口一番に頭を下げていた。調査した結果、神機の制御すべき一部のシステムがエラーを起こした結果だった。ナオヤの謝罪に誰もが口を開く事が出来ない。これまで何かとエイジと話あって整備してきた人間の謝罪に対し、流石にアリサも声を荒らげる事が出来なかった。

 

「エイジは……大丈夫なんですか?」

 

「それに関しては問題無い。ギリギリで制御が働いたから命に別状は無い。が、今日は多分だが目を覚ます事は無いかもしれん。こうなると予測出来なかった俺の落ち度だ。糾弾は甘んじて受ける」

 

 そう言いながらもナオヤの頭は上がる事は無かった。どれ程の時間を費やし、今に至ったのかを知っていて糾弾出来るはずが無かった。頭を下げる人間に対し、糾弾する様な事はこの場に居る人間は誰もいない。ましてやナオヤが言い訳もせずに言う以上、それに関しては尚更だった。

 既に時間も遅くなっている。既に出来る事をやり尽くした今、時間の経過だけが解決の手段だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?こんな時間に珍しいね」

 

 リッカがこんな時間にアリサを見るのは珍しかった。何時もであれば何かしらの書類の整理やレポートの作成をしているが、アリサの目の前には空になったグラスだけが置かれていた。誰もがアリサを気遣っているからなのか、窓際に近寄ろうともしない。そんな姿を見たリッカが話しかけていた。

 

 

「大した事はありませんよ」

 

「……どうせエイジの事でしょ?」

 

 リッカの言葉が図星だったのかアリサの肩は僅かに動く。それを見たからなのか、リッカは全てを悟っていた。

 

 

「ナオヤ、ひょっとして何も言わなかったんじゃないの?」

 

「はい。ただ私達に頭を下げてました」

 

 当時の事を思い出したのか、アリサは少しだけ声のトーンが低くなっていた。原因不明だったトラブルがまさかの神機の整備不良となれば話しは大きく変わってくる。事実上の爆弾を抱えた様な神機は、そのリスキーさを代償としたかの様に異様な攻撃能力を所持者に与える。何も考える事無く攻撃をすれば、待っているのは自身の命の喪失。この世界へと二度と戻る事が出来ない死だけが純然たる結果として付いて来るだけだった。

 過去に2度封印を解いた際には死の淵を彷徨うな部分が多分にあったが、それはあくまでも自身が望んだ結果でしかない。今回の様なイレギュラーはアリサだけでなく、エイジやそれ以外のクレイドルのメンバーにも大きな影響を与える事に繋がっていく。そんな事実を理解しているからこそ、リッカもアリサに対して真摯に事実だけを伝えようと考えていた。

 

 

「そっか……あのさ、ここだけの話にしてほしい事があるんだ。あの神機を整備したのはナオヤじゃないんだ」

 

「え?それって………」

 

 リッカの発言にアリサは驚きのあまり、リッカの表情を目を見開きながら見ていた。あの時のナオヤは全て自分のせいだと言って頭を下げている。本来であれば誰から糾弾されても仕方ないにも関わらず、実際には当事者ではない。そんな事実にアリサはリッカが何かを知っているのかと考え、それ以上は話してくれる事を待つしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな馬鹿な!あの整備は何も問題無かったはずだぞ!」

 

 技術班のナオヤの下に来た一報は誰もが驚愕を覚えていた。技術班にとって神機の整備はゴッドイーターが戦場に出るのと同じ様な感覚でやっている。戦場での神機の動作不良は死に繋がるのはここでは周知の事実。ましてやエイジの神機とならばその可能性は格段に高い物だった。

 

 

《その件に関しては私達もまだ分かりません。今は医療班が同行して現地に向かっています。攻撃を受けた形跡も無いですし、バイタルも当時の状況を検証しましたが異常な数値は確認出来ません。だとすれば可能性はそれだけしか……》

 

 ヒバリが申し訳無さそうに話しをしているのはナオヤにも直ぐに分かった。万全を期したはずの神機が元で命の危機を迎える事は技術班にとっては致命的だった。

 命を預ける物で殺される。これでは神機使いと技術班の間に信頼された物が無くなるのと同じだった。

 

 

「とにかく、これ以上話しても埒が明かない。帰投後、直ぐにこちらも検証を開始する。帰投はどれ位かかる?」

 

《この調子なら後10分程で到着の予定です》

 

「分かった。こちらも準備しておく」

 

 ナオヤが通信を切ると、そこには心配な表情を浮かべたリッカが立っていた。話の内容はともかく、こんな場所で出る怒声が意味する事は神機の事しかありえない。詳しい事は分からないが、リッカの目に映るナオヤはどこか苛立ちと後悔が表情に出ている様にも見えていた。

 

 

「悪い。エイジの神機にトラブルが発生したらしい。今こっちに向かってるから、俺はそっちを優先する。悪いが他の整備を頼まれてくれるか?」

 

「私の事なら問題無いけど……何があったの?」

 

「詳しい事は分からん。が、バイタルに異常が無いにも関わらず倒れたらしい」

 

 そんな会話が周囲にも聞こえたからなのか、技術班は先程までとは違い、どこか重い空気が漂っていた。

 

 

 

 

 

「ナオヤ、これって……」

 

「ああ。衛星の1個が完全に機能不全になってる。と言うか、制御装置が半分死んでる」

 

 神機が運ばれると同時にナオヤは直ぐに分解していた。刀身そのものを外し、心臓部でもあるコアの部分を確認する。まさかの事態にリッカは言葉が出なかった。一番重要な部分が死んでいる。事実上の封印が解けた状態で戦った結果である事は直ぐに分かった。しかも、この部分は絶対に変更してはならない箇所。自分が見た際には完全にそれが機能している事を確認している。だとすればどうなっているのかを解析するしか無かった。

 

 

 

 

 

「テルオミ。聞きたい事がある。お前、設定変えただろ?」

 

「設定?ひょっとしてエイジさんの神機の事ですか?」

 

「ああ。今まで設定してあった一部の情報が書き換えられている。少なくとも俺が最後に見た際にはそうなっていなかった。まさかとは思うが……」

 

「ええ。それなら僕がやりま……」

 

 テルオミはそれ以上の言葉を出す事は出来なかった。頬に当たる衝撃をそのまま受け地面へと倒れ込む。当然の出来事に何が起こったのかを理解するには時間が必要だった。

 

 

「お前、自分で何したのか理解してるのか!」

 

「突然殴られる理由が分からないんですが。整備士として当たり前の事をしただけですよ。態々正常な機能を阻害しているプログラムがあったからそれを正しく直しただけです!」

 

 殴られた事実に双方の怒りが収まる事は無かった。自分では良かれと思ってやった事に対し、鉄拳を食らう理由はどこにも無い。ましてや態とデチューンしてある物を正常な方向へと戻すのは整備士としても当然の事。だからこそテルオミは殴られた理由が分からなかった。

 

 

「態と阻害だ?あの神機はな、何もしなければ勝手に威力が上がるんだよ。確かに整備を任せた俺も悪いが、お前はどうして勝手な事をしたんだ!」

 

「勝手だなんて思わないですね。正しい方向に導くのは当然の事じゃないですか?あんたこそ、そんな基本が分かってないんじゃないですか?」

 

 お互い一歩も引く気配は無かった。不穏な空気は技術班全体に蔓延していく。何も知らない整備士は一体何があったんだと少しづつ集まり出していた。

 

 

「お前の適当な整備のお蔭でエイジは今、意識不明の重体だ。お前がやった事はエイジに対する信頼を破壊しただけ。その事を理解しているのか?」

 

 ナオヤの言葉にテルオミだけでなくリッカや他の整備士たちも驚愕の表情を浮かべていた。エイジの神機の特性はここに長く勤務している人間は全員知っている。手間がかかるだけでなく、最悪は死に至る可能性すら秘めているのは言うまでもなかった。

 これまで出力とリスクを調整しながらやって来た事実にそれ以上の言葉は不要だった。そんな事実をテルオミは知らなかったからこそ、一番衝撃を受けていた。

 

 

「そんな訳ないですよ。精々が呪刀程度のデメリットじゃないんですか?」

 

「誰がそんな事を言ったんだ?少なくともここの中堅以上は『黒揚羽』の性質を知ってるぞ」

 

 ナオヤの言葉にテルオミは改めてこれまでの事を思い出す。誰がそんな事を言ったのか、何を思ってそうやったのか。ゆっくりと記憶の糸を手繰り寄せる。これまで聞いたのは精々が噂程度。確認もせず、そう判断したのは紛れも無くテルオミ自身だった。

 

 

「そんな話は聞いてません!どうして言ってくれなかったんですか!言ってくれれば僕だってしませんでしたよ」

 

 ここにきて漸く状況が理解出来たからなのかテルオミは当然の様に言葉を口にする。自分は何も知らなかった。だから問題無いはずだと。

 

 

「そんな戯言はどうでも良い。誰が悪いのかを聞きたい訳じゃない。気が付いたなら、どうしてそれを言わなかった?」

 

 ナオヤの言葉は全てを見透かしたかの様な視線だったからなのか、テルオミは心苦しい物があった。整備士に限った話では無く、自分が知らない事や、もしくは改善すべき事があれば担当者に確認するのは当然の事だった。各自の神機の特性だけでなく、運用方法は十人居れば十人とも異なる。自分が担当しない神機であればそれは当然の事だった。

 

「テルオミ。お前がやった事はお前一人の問題じゃない。俺達技術班全員の……ゴッドイーターからの信頼を踏みにじった事だ。知らないから何をしても問題無いと考えるなら整備士なんて今直ぐに辞めろ。お前はどんな覚悟を持って神機を整備してるんだ?」

 

 ナオヤの言葉にテルオミはそれ以上の言葉を口には出来なかった。自分の命を削ってアラガミと対峙出来るのは神機が万全である事が最低限の事でしかない。最初から動作確認をせずに戦場に赴くのは自殺と何も変わらないだけでなく、常に疑心暗鬼のままで戦う事は不可能だった。

 自分の剣でもあり盾でもある物が信頼出来なければ、単に死ねと入れているだけに過ぎない。自分の憶測だけで動いた結果がこの極東に於いて最悪の展開となったのは誰のせいなのか。紛れも無くこの状況を作り出した自分だった。

 ナオヤの言葉にこれまでの事を考える。本当に覚悟を持って整備していたのだろうか?慢心のままにやってきたのだろうか?あまりにも薄っぺらい覚悟は目の前に起こった事実に吹き飛ばされている。安易すぎた代償はあまりにも大きすぎていた。

 

 

「………」

 

「まぁ良い。この件は俺の責任だ。俺が頭を下げてくるさ」

 

 沈黙したテルオミを他所にナオヤはそれ以上の事は無にも言わず技術班から出て行った。今のテルオミに出来る事は何一つ無い。重苦しい空気が晴れる事は一切無かった。

 

 

 


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