ゴッドイーターは人類の為の矛となり盾となる。
その為に常に戦場に出るその姿は紛れも無く戦場の華。
誰もがその活躍に目を向け、また、その結果に未来を見る。
そんな事もあってなのか、ゴッドイーターは完全に表舞台に出るに足りる人物像を持っていた。
だが、そんなゴッドイーターと言えど、生体兵器でもある神機無しで活躍する事は出来ない。戦いが終わる度に常に神機には目を凝らし、不具合が無い様に整備をする。お互いの信頼関係が成り立っているかこそ戦場で命を預ける事が可能だった。
「漸く終わった……か。皆ご苦労さん。これで一先ずは落ち着いた。交代のやつらが来たら存分に羽を伸ばしてくれ」
「漸くかよ……俺、家に何時から帰ってないんだよ」
「俺だって同じだ。多分、家の冷蔵庫の中身は終わってるさ」
班長の声は整備班の全員に聞こえるかの様に響いていた。
大規模な出動があった場合、その殆どは作戦の下に実行する。
幾ら生体兵器と言えど、連続して使い続ければ色々な部分が摩耗し、やがては故障へと繋がる。そうならない為にも、戦闘中であっても整備班の仕事が無くなる事は無かった。
寧ろ戦いが終わってからが本当の意味での本番になる。
誰もがこんな状態を幾度となく経験はしているが、だからと言って好き好む訳でもなかった。
なぜなら既にこの場所に事実上缶詰の状態になって1週間が経過していた。
戦いが終わったゴッドイーターは基本的にはそれで終わる。勿論、戦場で自分の命を張った戦いをする為に、その事に関しては何の感情も無い。問題なのは、一度にやるべき数が多すぎる事だった。
元々極東支部に限った話だけでなく、フェンリル全体でも分かる事だが、現場と裏方の人間の配置には一定の方向性があった。
元々整備をするのは常に決められたローテーションで回す。当然ながらそのローテーションに即した形で整備班の人間が補充されていた。
今のフェンリルに暇を持て余すだけの余剰人員は何処にも無い。ましてやここ極東支部に関しては最たる物。
時間にゆとりがある時であればナオヤも教導に出るが、大規模な作戦が開始されればその限りでは無かった。
一人が受け持つ数はそれなりになる。だが、作業がベテランになれば成程その数は膨大になっていた。
特に作戦群ともなれば人員は事実上の最大数が出動する。その結果、作戦が終わっても整備が終わる道理は何処にも無かった。
人間は二十四時間動く事は出来ない。当然ながら何処かで休息を取る必要があった。
その瞬間、整備は完全にストップする。そうならない為にも人員は常にギリギリまで作業に追い込まれる形になるのが殆どだった。
「だよな。一応は物資は支給されるけど、せめてゆっくりと過ごすだけの時間は少しは欲しかったな」
「人手が足りないのは何処も同じだって。俺らよりも寧ろ班長達の方が大変だろうがな」
「言えてるな。さて、俺も家に帰ってからは寝る前に部屋の整理だな」
「あ~帰りたいけど、返りたくねえ!」
「嫁さんでも貰ったらどうだ?」
「そんな暇なんて何処にもねえよ!」
半ば切れ気味になっていたのは、これまでのテンションが影響しているから。実際に自宅に帰っても単身者は自分でやるしかなかった。
嫁が居れば何かが違うのかもしれない。だが、整備班はゴッドイーター程魅力があるとは言い難い部分が多分にあった。
一番の理想は職場内で見つける事。だが、極東支部に於いては整備に携わる女性はリッカを含めて片手にも満たなかった。
「とにかく、今は仕事が終わった事だけを考えるしなないって。折角だし、久しぶりにあの店にでも寄るか?」
「そうだな……腹も減ったし、それが一番だな」
仕事から解放されたからなのか、誰もが表情を明るくしていた。
交代で現場を回すと同時に、碌に休息すら取れない環境。常時ではなく偶に起こるからこその感情だった。
整備班の大半はアナグラの居住区ではなく、外部に住んでいる。その為に、ほどんどがアナグラから出る事になっていた。
「何だ?まだやってたのか。いい加減休んだらどうなんだ?」
「俺は交代が来るまでの勤務なんで」
「そうか……済まんな」
人数が少なくなった作業部屋には数える程の人数だけが残っていた。その中の一人にナオヤが含まれている。
本来であれば班長がその役目だったが、班長もまた不眠不休で動いていた。
ナオヤもまた、その事実を知っている。その為に自らが進んで班長と交代していた。
「俺は基本的には帰っても特に問題は無いですから」
「そうだったな。だが、躰が資本なのはゴッドイーターだけじゃないんだ。適当に休めよ」
「分かってますよ。俺よりも班長の方が大変そうでしたから」
「……確かに。今回のは特に厳しかったからな」
「でも、そのおかげで暫くはアラガミも大人しくなりますよ」
「違いない。悪いが、後の事は頼んだ」
「ええ」
そう言いながらナオヤは神機の状態を確認していた。既に整備が終わった物から順次、出撃可能である情報を更新していく。実際にオペレーターもまたその情報を基にメンバーを選んでいた。
厳しい戦いになればなる程に神機の見極めは重要になる。その為に、必ず一定上の熟達した技術者の待機が義務付けられていた。
ナオヤもまた該当する一人。気が付けば周囲の人影はまばらになっていた。
「あれ?ナオヤはまだ終わらないの?」
「ああ。班長と変わったんだよ。俺よりも班長の方が厳しそうだったからな」
「そっか………それよりも、今日なんだけど、向こうに行っても大丈夫かな?」
「俺に許可なんて取らなくてもリッカはもう顔パスだろ。毎回気にする必要は無いんだけどな」
ナオヤの背後から聞こえたのはリッカの声。本来であれば整備班の女性陣は率先して自宅に戻る事が可能だった。
本当の事を言えば性差で仕事を変えるのは問題が多い。だが、ここでは班長の裁量によってそうなっていた。
男とは違い、女が油にまみれたまま働くのは申し訳ない。そんな旧時代の感覚を持っていた結果だった。
だが、緊急時だからとリッカだけは同じ様に動いていた。ここでのリッカは古参の部類に入る。ナオヤとは違った意味での技術者の為に、結果的には常駐せざるを得なかった。
リンクサポートシステムに代表されるシステムはリッカがメインとなって運用している。幾ら整備をしても機械である以上、絶対は無い。万が一の際には命そのものを預かる事があるからと言った言葉が大前提だった。
結果的に時間が続く限り整備班に詰めている。厳しい戦いが終わった時点でリッカもまた自宅に戻る事が可能だった。
「いや、誰だって遠慮するって。アリサだってそうだって聞いていたからさ」
「そうか。俺としては気にしなくても良いと思うんだけどな」
「もう……女としては色々あるの。その辺りは察してよ」
「帰ってから色々とするのが嫌なだけじゃないのか?」
「…………そ、そんな事は無いよ」
「……どうだか」
図星を刺された事によってそれ以上の言葉がリッカから出る事は無かった。
実際にアナグラの中に自室を持っている為に、移動時間を考えればそれが一番だった。
だが、これまでの状況を考えると疲れ切った身体に鞭を打ってまで何かをしたいとは思わない。本当の事を言えば、アナグラの共用部分にも風呂があればそれに浸かりたいとさえ考えていた。
それならラウンジで食事をすれば一息つける。そうなればまた違った未来がそこにあるはずだった。
「……まあ、何だ。俺から連絡しておくよ」
「ありがと。愛してる」
「はいはい。そりゃどうも」
「もう。私の言葉は安くないんだけど」
軽口の様な言い方にリッカは少しだけ思う部分があったが、何だかんだとナオヤが了承してくれた事は有難かった。
屋敷までなら最悪は弥生に言えば移動手段は用意出来る。そう考えれば少しだけ気持ちは軽くなっていた。
本当なら着替えの一つも持って行くのが筋だが、向こうにも幾つか着替えは置いてある。その為、リッカは自分の身一つだけで移動が可能だった。
「あ~。やっぱりシャワーだけってのはダメだね。何だか、疲れの癒され方が違うみたい」
独り言にしては随分と大きな声が浴室に響いていた。
実際に今はリッカだけが使用している。既に手慣れてはいたものの、ここに単独で来る機会は実際には片手程だった。
お湯につかる事によって疲労が抜けていくような感覚が全身に広がる。実際に作業明けに鏡で自分の顔を見た際には驚く程に疲労が溜まった顔をしていた。
幾ら周囲は男が多い職場と言えど、リッカ自身が納得できるはずが無い。躰そのものは清潔にしているが、疲労の面に関してはその限りでは無かった。
実際にこうやってお湯に浸かる事によって漸く全身の筋肉がリラックスしているのか緩んでいる自覚がある。
本当の事を言えばこのままずっと居たいが、生憎とそう言う訳にはいかなかった。
一人の為に周囲の気配は分からないが、ここに近づく音が聞こえる。元々男女の区分けはされていない為に、本来であれば警戒するが、ここの住人がそんな事に気が付かないはずが無い。そんな取り止めの無い事を考えていた直後、浴室の扉が開く音があった。
「あれ?リッカさんも来てたんですか?」
「アリサ。お疲れ様」
事前に誰かが居る事をアリサもまた知ってはいたが、まさかリッカだとは思っていなかった。
元々ここに縁が無い人間がそう簡単に来る事は早々無い。アリサ自身は既にここに来てかなりの時間が経過しているだけでなく、実際に身内である為に気軽に来ていた。
だが、リッカに関してはその限りではない。事前に連絡が無い限り来る事は余り無かった。
「ちょっとだけナオヤに頼んだんだよ。アナグラだとシャワーしか無いから、どうしても疲れが抜けないんだよね」
「確かに否定はしませんけど………」
何となくアリサの目が追及したい様な感情に溢れていた。
勿論リッカもその事に関しては否定はしない。だが、これまでの事を考えるとどうしてもリッカは劣勢になりやすかった。
一番の要因はナオヤの存在。勿論、それなりに付き合いもあり隠すつもりも毛頭無い。それはアリサだけでなくヒバリもまた同じだった。
だが、この場所にヒバリは居ない。ミッションが終わってからはタツミと合流している為にここに来る必要性が無いからだった。
「そんな目で見なくとも言いたい事は分かるから。流石に今回のミッションに関しては…ね」
「まあ、確かにそうですね。今回のは何時もとは少しだけ毛色が違ってましたから」
「ゴッドイーターの皆も損耗率が激しいのは知ってるよ。実際に神機の内容を見れば、今回の作戦は負担も大きかったみたいだしさ」
「部隊編成の隙を突かれた形でしたからね。ある意味では仕方ないですよ」
露骨ではあったが、リッカはアリサの追及をかわす為に話題を強引に転換していた。
今回の作戦に関してはかなり厳しい部分が多分にあった。支部を挙げての総力戦とまでは行かなかったが、それでもゴッドイーターの損耗率が高い物になっていた。
一番の理由がベテランや中堅が偶然にも少なかった事。特にクレイドルとブラッドの両部隊が長期のミッションに出向いていたのがその証拠だった。
当然ながら支部の中で一番と二番を争う火力が無いとなれば、後は既存の部隊でやり繰りをする事になる。
実際に今回の作戦の総指揮はタツミが執っていた。
防衛班とは言え、攻撃そのものを全くしない訳では無い。ただ突出した攻撃能力を持っていないだけで、他の支部から見れば十分に第一部隊として通用するレベル。そんな防衛班を苦しめたのは横から乱入する変異種の存在だった。
通常種や堕天種とは違い、変異種は見た目その物は通常種と何も変わらない。決定的に違うのは攻撃方法と、その思考。
ゴッドイーターからすればかなりいやらしい戦い方をしていた。
当然ながら通常種よりも変異種の方が圧倒的に攻撃力が高く、隙も中々見る事は出来ない。だからと言って討伐だけに集中する訳にはいかなかった。
体験した事が無い攻撃とその威力。見た目とのギャップが更に混迷を生む原因となっている。これがベテランや中堅であれば何らかの警戒をするのかもしれない。だが、新人に毛が生えた程度のゴッドイーターはそんな事実を何一つ知らなかった。
視界から入る情報と事前に知った情報に大きな齟齬出る。そうなれば誰もが一瞬でも止まる部分があった。
何処までが本当で、どこまでが違うのか。その為には一定の距離を保ちながら接近する必要があった。
接近しながらの情報収集は危険が伴う。そんな行動から命を護るにはどうしても神機を盾にする必要があった。
これがベテランになればそこまで追い込まれる事は早々無い。
本来であれば教導の中でも変異種の事は多少なりとも学ぶ必要があるが、実際には個体差が大きい為に教えるのは困難だった。
「でも、命あっての物種だからね。私達はその命を護る手段を少しでも有利にする為にやってる様な物だから」
「確かに神機があっての話ですから」
アリサもまたこれまでの状況であれば、裏方がどうなるのかを理解していた。
初めて感応種が出た際に、神機が動作不全に陥った事によって自分の命が脅かされた事はまだ記憶に残っている。幾ら超人的な能力を持つとは言え、それは神機を所有している事が前提だった。
無手でやれる事は何一つ無い。それを考えるからこそ、リッカ達整備班には頭が上がらない思いがあった。
一言だけ告げると同時にリッカはお湯を顔に付ける。何時もとは違うやり遂げた表情にアリサもまたこれ以上騒ぐのはと考えていた。
「いや~お風呂上りにはこれが一番だね。生き返るよ!」
「リッカさん、幾ら何でも寛ぎ過ぎですよ。少しは自重するとかしたらどうですか?」
「え?これでも十分に自重してるつもりだけど」
「本当ですか?」
胡乱なアリサの視線を無視するかの様に、リッカは容易されていた炭酸水を流し込む様に飲んでいた。
ラウンジで出る様な強炭酸ではなく、喉を潤す為の微炭酸。本当の事を言えばアルコールの方が良いのかもしれないが、流石に自室では無い為にそれはしなかった。
喉ごしに弾ける感覚が火照った身体に染み渡る。まるでどこかの親父の様な仕草にアリサもまた先程とは違った感情が芽生えていた。
「シャワーだけだと、こうはいかないよ。やっぱり疲れた時はこんな感じの方が良いんだよね」
「まあ、否定はしませんけど。でも、少しは慎みを持っても良いんじゃないですか?」
「その辺は、ほら………久しぶりって事で」
「その内、愛想をつかされますよ」
アリサの苦言にリッカは少しだけ劣勢である事を自覚していた。
本当の事を言えばアリサがここに来る事は考えていなかった。確かにここは自室ではない。だが、ある意味ではアリサも同じ。決定的に違うのは夫婦かそうで無いかの違いだけ。
アリサの言わんとする事は理解している為に、リッカはそれ以上は何も言う事は無かった。
「って事があってさ。でも、疲れが取れたのは有難かったよ」
「確かに、アナグラにはそんな施設はありませんからね。他の支部だとある所もあるらしいですけど」
休暇が終わり、何時もの喧噪が戻り始めた頃、リッカはロビーのソファーでヒバリと休暇についての話をしていた。
実際にお湯に浸かる効能がどれ程あるのかはヒバリとて知っている。これまでに温泉に入った経験を踏まえれば疲労を短期間で抜くのがどれ程効率が良いのかも理解していた。
だが、肝心の施設を作るには支部長にもある程度の説明が必要になる。ましてや極東支部はフェンリルの中でもかなり古い施設に属する為に、何かにつけて難しい部分が多分にあった。
一番の問題は設置するだけのスペースの確保。水資源に関しては完全に濾過し、循環させる事によって可能となっている。
ただ、増える人員の事を考えると二の足を踏む事が多かった。
実際にヒバリの立場であれば、 ある程度の内部の状況を調べる事は難しくない。本当の事を言えばやれない事は無かった。
やらないのは立場が違うから。榊の性格を考えればその考えは尚更だった。
「あると便利だけど………」
「あら、面白そうな話をしてるのね」
「や、弥生さん」
背後からの声に振り向くと、そこには弥生の姿があった。手には書類を持っており、時間的には休憩のがてら来ている事に間違いは無かった。
「そう言えばリッカちゃん。洗濯したあれは何時もの場所に置いてあるから」
「有難うございます。また確認しておきますから」
「参考までに言わせてもらうと、もう少し色気があっても良いと思うんだけど」
「その件はまた追々と……」
まさかの弥生の言葉にリッカの言葉は徐々に小さくなっていた。
ここに居るのは他にヒバリしかしない。下には聞こえない程度の声ではあるが、それでも隣に居たヒバリには丸聞こえだった。
気が付けばヒバリの表情は何となくニマニマしている。弥生がここから去れば確実に何かしら飛び出すのは決定的だった。
「そんな事より、ここにも浴室施設の設置って出来ないんですか?」
「そうねぇ。出来ない事は無いわね。最近は区画整理も終わってるのと同時に、防衛網も完備してるから外部居住区に移る人も多くなってるし、理論上は可能よ」
「理論上って事は、何か問題でも……」
まさかの言葉にリッカだけでなくヒバリも驚きながらに会話に参加していた。
アナグラでは基本的にシャワーだけの為に、お湯に浸かろうとすれば外部居住区まで足を運ぶ必要があった。
基本的には誰でも利用できる為にゴッドイーターでも問題は無い。だが、周囲には一般人の方が圧倒的に多い為に、利用は躊躇われていた。
忌避感は無いが武骨な腕輪はかなり目立つ。ましてや裸の状態であれば更に目立っていた。
名前と顔が売れているとなれば人は更に寄って来る。
悪感情は無くとも落ち着く事が出来ない事に間違いは無かった。となれば問題が解決すればそんな事は無くなる。弥生の言い方であれば、それさえクリア出来れば設置は可能だと言ってるのと同じだった。
二人の視線が自然と強くなる。それを理解したからなのか、弥生もまた苦笑しながらもその理由を語っていた。
「一番は広さの問題ね。それと、支部に来る人の利用率かな。設置となればシャワー室を改装する事になるから、使わない人が多くなると色々と面倒なのよ。
それさえクリア出来れば支部長としても福利厚生の一つとして予算が使えるはずよ」
実際に極東支部の大半はここの住人である。以前であればそれ程問題にはならなかったが、今は完全に違う。色々な支部から人が来る為に、利用率と言われれば安易に答えが出なかった。
個人的には良くても、支部としては判断が難しい。そうなれば設置の為には多少のハードルがあった。
予想以上にハードルが高い。これが他の人間であればまだ考えは違うのかもしれない。だが、それが弥生であった為に、その言葉には重みがあった。
ゆっくりと勢いが低下していく。その表情は見るまでも無かった。
「とは言ってもやれない事も無いの。少しだけ時間を頂戴。何とかなると思うから」
「でも、大丈夫なんですか?利用率を考えると少し分が悪い様にも思えますが………」
「それも含めてよ。ちゃんとした物があれば大丈夫だから」
リッカの言いたい事を弥生は受け止める。利用率がどうなのかはリッカには分からなかった。
実際に弥生が口にする以上、お茶を濁す様な事はしないはず。
これまでの事を考えればそう考えるのは当然だった。
今直ぐには難しくても出来るのであればそれを待つしかなかった。
それから1ヶ月後、一部のシャワー室が改装され、新たに浴室が作られる計画が発足していた。