神喰い達の後日譚   作:無為の極

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第118話 激戦の事後

 厳しい戦いを労うかの様に、クレイドルとブラッドの帰還にアナグラでは歓喜の声が響いていた。

 今回の戦いがどれ程厳しい状況だったのかを知らない人間は誰も居ない。事実上の総力戦によってもたらされた結末は、誰の目にも明らかだった。

 

 

「任務、お疲れ様でした」

 

「おう。でも、まぁ……何とかなったんだ。後は頼んだ」

 

「既にクレイドルに関しては各々の任務がありますので、リンドウさんは今回の件に関しての報告書をお願いします。こちらでも解析はしていますが、やはり当事者からの情報が一番ですので」

 

「それ、俺の役目か?エイジやアリサはどうしたんだ?」

 

 帰還直後の言葉にリンドウは少しだけうんざりした様な表情を作っていた。

 事実、クレイドルの中で書類作成を一番苦手としているのはリンドウとコウタ。自分で言う様に出来る人間がやるのが一番だと思ったのは、偏に最後に戦った新種の影響だった。

 未確認のアラガミであれば、より詳細が記された物が好まれる。それは今回だけではなく、これまでも同様だった。

 しかし、コウタはコウタで最後の戦いに参入はしたが、その前の第一陣に関する書類の作成が待っている為に既にここには居ない。当然ながら報告書の提出はそれ以外の人間の役割だった。

 

 

「エイジさんと、アリサさんはこの後直ぐに入植中のサテライトへと移動の予定です。ソーマさんは今回の戦いの件でいくつか解析した事があると聞いています」

 

「……だったら、北斗はどうなんだ?」

 

 頼りになるはずのメンバーは誰もが各々の仕事を抱えていた。

 確かに記憶を辿ればエイジと北斗は最初からではなく、途中からの参戦となっている。

 アリサに至っても、第一陣の報告種を出す事になっていた為に、リンドウ以外に適任者は居なかった。

 慌てて北斗の名前を出すも、気が付けば北斗もまたこの場に姿が見えない。頼れる後輩の誰もが居ないのであれば、自らが率先してやるしかなかった。

 

 

「北斗さんは念の為に神機の調整後、周辺地域の警戒に当たる予定です」

 

「……そうか」

 

 既にリンドウの中では、この件をどうしようかと考えていた。

 本当の事を言えば、リンドウも暇ではない。実際に新種との戦闘の際に出た20時間の射撃訓練は確実に実行される。

 誰が教導担当になるのかは分からないが、少なくとも易しい内容にはならない事だけは間違い無かった。

 

 

「リンドウ。射撃訓練だが、明日の一三○○より開始する。本来であれば丹念にやれるのが望ましいが、今回の件で一時的にアナグラの防衛能力が低下している。出来る限りの無駄を省く為に、ブラッドの饗庭北斗も一緒になる」

 

「了解であります!」

 

 背後から聞こえた声が誰なのかは確認するまでも無かった。

 これまでに幾度となく聞いたツバキの声。条件反射の様に動くリンドウを見たからなのか、ヒバリは少しだけ笑みを浮かべていた。

 

 

「ヒバリ。先程の件だが、訓練室を開けておいてくれ。以後、事前に連絡を入れる様にするつもりだから、その様に」

 

「はい。分かりました」

 

 ツバキの言葉にヒバリは再度端末から予約を入れていく。本来であれば予約を簡単に入れる事は出来ないが、今回の出動の影響もあって一旦は白紙となっていた。

 厳しい戦いをした翌日に、更に厳しい訓練をしたいと思う人間は早々居ない。だからなのか、リンドウもまたどこか諦めたかの様な表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「態々来なくても良かったんだが」

 

「いえ。確かに厳しい戦いでしたが、あのアラガミはこれまでに無い程の能力でしたので、油断しない為にも気を引き締めたいんです」

 

「……そうか」

 

 元々巡回予定だった北斗の隣には珍しくシエルが一緒だった。

 今回の戦いに於いては北斗はクレイドルと戦った為に、ブラッドが交戦したアラガミに関しては、コンバットログの確認だけで終わっていた。

 改めて出されたデータを見たものの、あれが本当だとすれば、かなり厄介な存在であるのは間違い無かった。

 推測ではあるが、他のアラガミを捕喰する以外にも周囲から強制的にオラクルを吸引して自身のエネルギーへと変換するのは余りにも脅威だった。単独であればそれ程でも無いかもしれない。しかし、今回の様な乱戦となった場合は厄介以外の何物でもなかった。

 幾らダメージを与えても、最悪は無かったかの様に元に戻るとなれば戦闘は泥沼化するのは間違い無い。

 

 そんな中、一つだけ光る物があった。今回の戦果に関しての一番の要因はシエルの銃撃だった。元々得意な射撃だからなのか、ピンポイントで狙うそれは、味方からすれば心強い物。アラガミからすれば最悪の相手だった。

 寸分違わない正確性を保つには、かなりの鍛錬が必要となる。

 北斗もまた日常からの積み上げがどれ程重要なのかを理解しているからなのか、素直にシエルの能力を褒めるしかなかった。

 それと同時に思い出す今後の予定。ツバキから出た20時間の射撃訓練は確実に物に出来なければ、今後の展望は暗いままであるのは、言うまでもなかった。

 だからなのか、巡回をしながらも苦々しい表情が顔に出る。北斗は無意識だった。

 

 

「あの、どうかしましたか?」

 

「あ、いや。何でもない。ただ、今後の予定を考えると気が重くなりそうだと思って」

 

「そうでしたか。ですが、私の記憶ではそれ程考える様な予定は無かったはずです」

 

「いや。ブラッドがじゃなくて、俺個人の予定なんだよ」

 

 神機を後ろに置いているからなのか、時折車の振動で神機を入れたケースの音が聞こえる。

 本来であれば徒歩での巡回となるも、今は決定的な人手不足の為にミッション移動用の車を利用していた。

 当然ながら車には北斗とシエルの二人しか居ない。まるでお互いが遠慮しているかの様な空気が漂っていた。

 

 

「個人的な予定……ですか?」

 

「ああ。実は………」

 

 北斗の話をシエルはただ聞いていた。実際に新種のアラガミとの戦闘データは基本的には秘匿されない。それは純粋にゴッドイーターの生存の確立を向上するだけでなく、万が一遭遇した場合の対処を兼ねた結果だった。

 その中で厳しかった戦いの内容に、先程まではただ聞いていたはずのシエルが少しづつ思案顔へと変化する。北斗はそれに気が付かないままに運転を続けていた。

 

 

「そうでしたか。それで20時間の射撃訓練ですか」

 

「これまでは刀身の方に比重があったからなのは理解出来るけど、問題なのは誰が監督するのかだろうな」

 

「ですが、射撃の可能性を考えれば、ある意味では仕方ないのでは?」

 

「まぁ、確かにその通りだな」

 

 北斗もまた射撃の重要性を無視している訳では無い。

 実際に厳しい戦局であっても、一発の銃弾が戦闘の流れを変える事はこれまでに幾度となくあった。だからこそ、その有用性には理解出来る。ただ、その心情に慣れないのは、偏にエイジの攻撃方法を見た事による自身の能力の疑問だった。

 これまでに同じ様な鍛錬を続けてはいたが、決定的に何かが違う。北斗はそう考えていた。

 恐らくエイジからすればそれ程の差は無いと言われるかもしれない。しかし、北斗からすれば、その攻撃方法に目を奪われた事実だけは間違い無かった。

 いきなり同じステージに立てるはずがない。頭ではそう考えていても、心の中ではそう思っていなかった。

 射撃も重要だが、今はもっとやるべき事があるはずだ。内心そう考えていた。

 

 

「北斗。一つだけ言わせて下さい。私達はそんなに頼りないですか?」

 

「それは無い。そんな考えを持った事は一度も無い」

 

 突然の言葉に北斗はシエルが言いたい言葉の意味を理解出来なかった。

 実際に思う所は何かとあるのかもしれない。しかし、北斗自身ブラッドとクレイドルを比べた事は一度も無かった。

 

 お互いが尊重しあうだけでなく、尊敬しているからこそ焦りを生んでいる。人の機微には疎いが、北斗の事なら何となくシエルは理解した様な気になっていた。

 実際にシエルもまた、帰還した直後にクレイドルのコンバットログを見ている。序盤はともかく、終盤の動きはエイジだからこそ出来たとシエルは考えていた。

 これがリンドウやソーマ。ジュリウスだとしても、到底真似できない動き。北斗自身が厳しい鍛錬を続けている事を知っているからこそ、今回の巡回も一人ではなく自分も同行しようと考えていた。

 運転しながらの会話であれば恐らくはそれ程考える事は無いのかもしれない。そう考えた結果だった。

 改めて視線を動かせば、闇夜ではあるが、うっすらとその姿が見えている。北斗の横顔には少しだけ悩みが浮かんでいる様にも見える。

 恐らくは一人になる事で自分に折り合いを付けようとしてたのだとシエルは考えていた。

 

 

「そうですか。それでしたら、私も北斗の射撃訓練にお付き合いします。私の得意分野ですから」

 

「そうだな。詳しい事は明日にならないと分からないが、宜しく頼むよ」

 

 既に闇に紛れている為に、北斗の表情を正確に理解は出来なかった。しかし、声を聞けば既に険は取れている。

 既に巡回も終える頃だからなのか、支部全体から漏れる光が二人を待っている様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し遅めのラウンジは既に宴会場に近い物となっていた。

 本来であればバータイムになっているが、今日に限ってはその限りではない。既に幾つもの料理がカウンターに並べられているからなのか、一部の人間は既に泥酔している様だった。

 

 

「よう、お疲れさん。明日の事は聞いてるか?」

 

「はい。一三○○に集合ですよね」

 

「そうだ。実際に誰がやるのかは知らんが、姉上からの直々の命令だからな。今日はさっさと寝て、明日に備えとけよ」

 

 そんな事を言いながらもリンドウの言葉に重みは無かった。時間は既にそれなりにも拘わらず、今回の件の打ち上げと言うなの宴会が終わる気配は無かった。

 周囲を見渡せば、まだそれなりの人間がラウンジに居る。まだ食事を碌に取っていなかったからなのか、北斗とシエルは視界に飛び込んできたコウタの傍へと移動していた。

 

 

「あれ、巡回は終わったのか?」

 

「はい。あれ程のアラガミでしたから、早々に出てくる事は無いと思ってましたけど」

 

「だろうな。実際にレーダーにも何も映ってなかったんだしな。そう言えば、もう食事は終わったのか?」

 

「いえ。これから頂こうかと。そう言えばエイジさん達は?」

 

 コウタと話をしながら北斗は改めて周囲を眺めていた。これまでの経験からすればこれ程の宴会であればカウンターの中に居るはず。しかし、実際に中に居たのは弥生だけだった。

 

 

「ああ、エイジならアリサと一緒にサテライトに行ってる。入植の途中の呼び出しだったみたいでさ。行かないと何も進まないみたいだって」

 

 コウタの言葉に改めて周囲を見れば確かにエイジだけでなくアリサの姿もそこには無かった。

 実際にはかなりの疲労があったはず。しかし、自分達の事よりも入植する人間の方が優先だと考えた事による行動力は素直に凄いと考えていた。

 恐らく自分との違いはこんな所なんだろう。北斗はcそんな取り止めの無い事を考えていた。

 

 

「でもさ、ブラッドも大変だったみたいだね。新種の感応種が出たって聞いたんだけど」

 

「はい。結果的には厳しい戦いではありましたが、全員の力を集結した結果を出せたと思います」

 

「だよな……ほら、俺達って、感応種に関してはリンクサポートシステムが無いと討伐出来ないし、初回は絶対にデータを採取しなきゃいけないだろ。今回の件に関しては本当にブラッドが居て良かったと思ってるんだ」

 

 グラスを片手にコウタは珍しく饒舌になっていた。普段とは少しだけ違う雰囲気に、質問に答えたシエルだけでなく、北斗もまた同じ事を考えていた。

 実際に今回の戦いは、かなり厳しかったのは間違い無かった。ラウンジはゴッドイーターで溢れているが、この場には整備班の人間は誰一人居ない。

 口にするまでもなく今回の戦いで消耗した神機の整備を終えない事には枕を高くして眠れないだけでなく、万が一の際に整備不良で出撃してほしくないとの思いがそこにあった。

 北斗とシエルもまた、出撃前に簡易メンテナンスを依頼しようとしていたが、遠くから見える部屋の中はさながら戦場だった。

 怒号こそ飛ばないが、誰もがせわしなく動いている。整備の簡略化の為に各自で担当するパーツを分けているのが原因だった。

 

 

「ですが、それが我々の存在意義では?」

 

「そう言われればそうなんだけど、俺達だって人間なんだ。護る事が出来るのは自分の手が届く範囲まで。それ以外に零れ落ちた命なんてもっとあるんだ。だからブラッドはある意味では俺達の命を護ってるって事になるんだよ。でなきゃ今頃はまだ感応種に怯えたまま戦ってるんだし」

 

 コウタの何気ない言葉に北斗もまた内心では驚いていた。

 これまでの戦績を考えればクレイドルはサテライト計画を推し進める事によって多数の命を掬ってきている。本人たちは否定しているが、サテライトの住人はその意味を確実に理解していた。

 だからこそ、コウタの言う手の届く範囲の意味は驚きだった。幾らアラガミを容易く討伐出来ても、肝心の命を救う事が出来なければ何の意味も持たない。

 事実、コウタは第一部隊とは兼務しているが、クレイドルのメンバーでもある。北斗もまたコウタを意味を理解出来ない訳では無いからなのか、先程までの焦燥感が僅かに収まっていた。

 それと同時に一つの事実が浮かび上がる。尊敬と憧れは違う。自分が持っていた感情が何なのかをここで漸く理解していた。

 

 

「コウタさん、ありがとうございます。何か分かった気がします」

 

「そ、そうなのか?」

 

「はい」

 

 北斗の言葉に、コウタは思わず隣にいたシエルに目線を動かしていた。何がどうなっているのかは分からないが、シエルの穏やかな笑みが全てを物語っている様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リンドウ!もっと集中しろ!そんな事では本番で使えんぞ!」

 

「了解です!」

 

 射撃訓練の教官は全く予想していなかったツバキが担当する事になっていた。実際にリンドウだけでなく、北斗の神機も同じくアサルトだった事が最大の要因だった。

 スナイパーの様に一点集中で引鉄を引くのではなく、寧ろ戦場を縦横無尽に駆け回りながら時には牽制、時には止めと多種多様な方法で運用が可能となっている。

 本来であればバレットエディットも訓練の中に含まれているが、今はそこまでは行かないままだった確実性を高める事によってまずはその意味を見出す事を優先していた。

 効果的な活用に関してはその後。サクヤやシエルは神機の特性が最初から異なっている。その結果として、ツバキが担当する事になっていた。

 

 

「北斗。まだ精密さが甘いぞ。的は確実に見るんだ。それと移動の際にはその速度も頭に入れろ。こちらだけが動く訳では無い」

 

「はい!」

 

 まだ始まったばかりにも拘わらず、厳しい運用はある意味では当然の措置だった。

 訓練で厳しいのであれば、本番はもう少し位は楽になるかもしれない。一番厳しい時を乗り切ったという経験はある意味では戦場での自信に繋がるからだった。

 自分達が走り出した瞬間に、的もまたランダムに動き出す。本来であればアラガミを映し出しても良かったが、結果的には遠回りとも取れる訓練の方がより実戦的だった。

 ただ立ち尽くすのではなく、常に走り続ける。従来の様に制止したままの訓練をするつもりが無いからなのか、気が付けば既に相応の距離を走っていた。

 

 実際に動く的のプログラムを施したのは支部長でもある榊。先だって苦戦した金色の狼の動きを模倣しているからなのか、訓練場内で動かせる最大の速度だった。

 アラガミよりも個体が小さい為に、当時よりも正確な射撃が求められている。走りながらの為に銃弾が外れる事もあるが、その都度ツバキからの叱咤が続いていた。

 何も知らない隊員が窓からのぞき込む。極東では射撃訓練一つとってもこうまで苛烈な訓練をするのかと、僅かに身震いしていた。

 既に予定時間に迫っているからなのか、二人の身体からは汗によって湯気が立ち上っていた。

 

 

 

 

「今日はこれまでとする。次回は明日の同じ時間を予定しているが、ミッションがあればそちらを優先する事。分かったな」

 

「あの、姉上。明日も同じ事をですか?」

 

「当然だ。突っ立ったままでアラガミが態々銃弾を受けると思ってるのか?」

 

「いえ。参考までに確認したいと考えただけです」

 

「それと、支部長には本日付けで復帰する事を伝えてある。まずはリハビリがてら、お前らの訓練を担当する事になっている」

 

「……了解しました」

 

 ツバキの言葉にリンドウはただ聞くしかなかった。

 これが他の教官であれば、自分はもうそろそろ引退の文字がチラつく程のベテランになっている。

 まだリンドウ自身が第一部隊長の頃であれば、まだ踏ん張る必要があったかもしれない。しかし、現状では既にエイジやアリサ。コウタの様に下が確実な戦力として揃っている以上、これ以上は出来るならしたく無い考えが勝っていた。

 しかし、今回の教官がツバキだと知れた今、下手な口答えは出来ない。それと同時に、恐るべき事実もまた浮かび上がっていた。

 

 今まで碌に気が付かなかったが、ツバキの服装は当時の士官服のまま。リンドウの記憶の中では未だ産休中だった為に、屋敷では着物だった記憶があった。

 まさかとは思いながらも参考までに確認する。威圧的な雰囲気を回避しながらも恐る恐る聞いた事実にリンドウは内心絶句していた。

 まだ訓練は始まったばかり。予想した答えにリンドウはそれ以上何も言う事は無かった。

 

 

「それと饗庭北斗。少し焦りを持っている様だが、お前はお前だ。誰もが上を見る事を悪いとは思わないが、もっと自分と言う物を見直した方が良いかもしれんな。お前はエイジとは違う。真似をするのは良いが、あれを十全に出来るとは思わない事だ。因みにそこの愚弟でも不可能だからな」

 

「姉上。こんな所で言わなくても」

 

「事実を述べただけだ。何か問題でもあるのか?」

 

「いえ。ありません」

 

 ツバキの言葉に北斗は改めて自分と向き合う事を考えていた。

 実際に、エイジがやっているメニューは北斗が予想すらしていない内容。日々の積み重ねがあって今に至ると仮定した場合、今の北斗は明らかに鍛錬の時間が不足していた。

 射撃は射撃と別物の様に考えるのではなく、一連の流れの延長にそれぞれがある。少なくともメニューを見た際にはそう感じていた。

 だからこそ、ツバキの言葉が身に染みる。シエルも心配していた様に、もう少し自分と向き合うのが一番だと改めて考えていた。

 

 

 


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