神喰い達の後日譚   作:無為の極

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幕外編
第104話(幕外) 侮った代償


 フェンリル極東支部がアラガミの動物園と言われて久しくなった頃、一部の支部や人間から違う意味での名称が付けられていた。

 『鬼の住まう場所』その言葉の意味を正しく理解している人間はそう多くは無かった。

 事実、極東支部に置ける殉職者の数は一時期に比べれば減りはしたが、最近になってからは少しづつ多くなりだしていた。単純な数字だけを見ればアラガミの攻撃が激しくなったと思われるが、実際には事実と異なる部分があった。

 詳細の数字を出せば出す程どこか納得できる数字。その事実と別の名称の関連性は知る人ぞ知る状態になっていた。

 

 

「くそっ何でこんな所にアラガミが」

 

「口を開く暇があるならさっさと動け!」

 

 つい先程までは予定されたアラガミの討伐が終わり、このまま帰投する流れだった。

 極東に来る前に聞かされた言葉『敵襲は油断と共にやってくる』まさにその言葉の意味を自身の躯体で感じさせられていた。

 周囲を見れば、既に何体かがこちらに降り立ったのか、気が付けば4人のチームの2人がアラガミに捕喰されている。既に死地となったこの場には生きる為の術は完全に失われていた。

 近寄ろうとするアラガミを牽制するかの様に一人の男とはアサルトをアラガミに向けていた。連射能力を活かして全ての銃口を顔面へと向ける。属性を纏った銃弾は激しい音と共に全て着弾していた。

 

 

「緊急要請!周囲にハガンコンゴウが3体とグボロ・グボロが1体。既に2人が捕喰されている。至急救援を頼む!」

 

《了解しました。既にオープンチャンネルによる救援要請が出ています。到着予想時間まで後60秒です》

 

 耳朶に響く声は冷静な女性の声だった。

 元々今回のミッションは極東に於いての事実上の初めての戦場。既に他の支部では曹長レベルだったからなのか、完全に油断していた。

 元々腕慣らしの為のミッションが故に、それ程多くの補給物資を用意していない。到着まで60秒と言われたものの、その時間は余りにも長い物だった。

 

 先程の銃撃で勢いを失ったはずのハガンコンゴウは再びこちらに向けて移動を開始している。このまま応戦するのか、それとも戦う事を選ぶのか、他の支部では歴戦と言われた人間であっても判断に迷う状況は既に死を匂わせていた。

 

 

 

 

 

《10秒後にスタングレネードが使用されます。状況に応じて行動して下さい》

 

 突然の言葉に男は意味が解らなかった。かろうじて聞こえたのはスタングレネードの単語。気が付けば上空からは勢いよく白い閃光が周囲を覆っていた。

 時間にして数秒の出来事。既に荒ぶる状況だったからなのか、襲い掛かって来た3体のハガンコンゴウは目を抑えるかの様に蹲っていた。それと同時に上空からは狙撃と思われる銃撃が振り落ちる。

 一撃必殺のそれは至近距離に居たハガンコンゴウの頭蓋を容易く貫通していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「了解しました。至急向かいます」

 

《既に2名が捕喰されており、現在交戦中です。ですが、このままでは残りの2名もまた同じになります。すみませんが至急お願いします》

 

 これまでに何度も聞いたやり取りだからなのか、通信を切った後も慌てる事は一切無かった。

 それと同時にヘリに積まれた備品から幾つかの品を取り出していく。

 これまでであれば焦りが先に行く事が多かったからなのか、何度か目の前で殉職したこた事があった。しかし、今は当時とは違う。手慣れた様に銀髪の少女は備品を確認すると、両手にはめた黒いグローブを改めて付け直していた。

 近づくにつれ状況が徐々に明らかになる。このメンバーであれば大丈夫だと判断したからなのか、少女の目に焦りは浮かんでいなかった。

 

 

「そろそろ現場です。先にスタングレネードで動きを止めてからまずは安全を確保しましょう」

 

「そうですね。ですが、ここからだとギリギリで1体が限界ですね」

 

 純白の制服の少女は漆黒の腕輪をはめた少女に指示を出していた。

 既に肉眼で見える距離だからなのか、狙いに迷いは無くなっている。狙撃を任された少女もまた焦りを見せずに冷静に視線の先に映るアラガミに狙いを向けていた。

 

 

「まずはスタングレネードから行きます」

 

 言葉と同時にスタングレネードは地上に向けて投げられていた。ゴッドイーターによる膂力は通常以上の速度を持って地面へと投げられる。叩きつけた先にあったのは白い闇だった。

 

 

「狙い撃つ」

 

 白い闇は直ぐに振り払われていた。非殺傷性ではあるが、至近距離で見れば確実に視界は奪われる。

 スタングレネードの言葉通り、周囲に居たハガンコンゴウの全部がその場で蹲っていた。

 払われた闇の先に見えるアラガミは既にただの的でしかない。一言だけ告げると同時に銃口から繰り出された弾丸はそのままハガンコンゴウの頭蓋を貫通させていた。

 

 

「一体のアラガミの狙撃に成功」

 

「では、行きましょうか。ソーマ、行きますよ」

 

「何でお前が指示を出すんだ」

 

「そんな事はどうだって良いじゃないですか。シエルさんは状況を確認後、現地にお願いします」

 

 

 

 脳漿と思える物をぶちまけたからなのか、横たわったハガンコンゴウの周囲には赤い物がまき散らされていた。

 既に物言わぬ物体になった物に用は無い。ヘリの中に居た二人の少女だけでなく、他にも同じ純白の制服を来た褐色の男と、少しだけ露出が激しい少女もまた自由落下する勢いそのままにヘリから飛び降りていた。

 

 

 

 

 

 3人が落下した瞬間、周囲が漸く見え始めたのか、3体のハガンコンゴウは新たな餌を見つけたとばかりに移動を開始していた。

 既に一体が居なくなっていても、アラガミからすればどうでも良い内容。だからなのか、最初から無かったかの様に3人に向って走り出していた。

 

 

「シエルさんは援護射撃をお願いします。私とソーマ、ナナさんは取敢えず各個撃破で!」

 

「了解しました!」

 

「だから勝手に仕切るな」

 

 ナナの元気の良い返事とソーマのボヤキが周囲に響く。

 既にシエルは狙撃の態勢になっているからなのか、無言のままに引鉄を引いていた。

 

 激しい銃撃音が周囲に響く。上空からの狙撃の様に安定していないからなのか、シエルの放った銃弾は僅かに中心を外れたからなのか、ナナに向って走るハガンコンゴウの顔面から僅かに逸れていた。

 しかし着弾した衝撃は確実にハガンコンゴウの足を止めている。気が付けばナナのコラップサーの後部は既に炎の熱気で大気が揺れていた。

 

 

「ここからは任せて!」

 

 ジェット機を彷彿させる様な高音と同時に、ナナが振り回したコラップサーのヘッドが着弾した顔面を捉えていた。

 突き抜けるかの様な衝撃は逃げる事無くそのままハガンコンゴウの顔面を粉砕する。

 本来であればそのままの勢いで飛んでいくはずのそれはどこか力任せに軌道を修正し、今度は横からではなく、縦の動きに切り替えて叩きつけていた。

 後頭部と思われし部位から叩きつけた事によってハガンコンゴウはそのまま地面に縫い付けられる。

 衝撃が物語っているのか、叩きつけられた地面はハガンコンゴウを中心に蜘蛛の巣状に亀裂が走っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空からの援軍に、先程までハガンコンゴウに追われていた男は少しだけ呆然としていた。

 上空からのスタングレードまでは分かったが、白い闇が終わる頃には執拗に追いかけていたハガンコンゴウは物言わぬ肉塊へと変わっていた。

 

 周囲にぶちまけられた赤いそれは、頭蓋から噴出した様にも見える。少なくともここに来るまでにそんな技術を見た記憶は一度も無かった。それを皮切りに上空からは1人の少女が舞い降りると同時に、3人のゴッドイーターが近寄って来た。

 

 男の目に飛び込んで来たのは純白の制服だった。極東支部に来るまでにクレイドルの名は何度か聞いた記憶があった。

 一般人のイメージはサテライト建設だが、ゴッドイーターからすれば隔絶した戦力のイメージが一般的。本来であればそんな戯言などと思う部分もあったが、目の前に起こった現実はそれが事実である事を現していた。

 元々クライドルには特定の上司と言う物が存在していない。各々が自分の判断によって任務を遂行していた。

 事実、極東に来てから純粋にクレイドルの人間に出会ったのは第1部隊の隊長だけ。しかも旧型と呼ばれた第1世代の遠距離神機の使い手だけだった。

 

 男はこれまでにありがちだった、旧型神機をどこか見下す様な部分が多分にあった。

 これが近接型であれば多少は違ったのかもしれない。しかし、遠距離型は必然的にオラクルの利用量との戦いになる。事実、オラクルが枯渇すれば単なるお荷物でしかない。

 ここは特別だとは思うも、やはり自分の認識が優先されるからなのか、碌に話をした事は無かったがそんな漠然としたイメージだけがあった。

 

 

「何だよ……あれ……」

 

 男が不意に出たのは驚愕の言葉。上空から降り立った4人は直ぐに行動を開始していた。ハガンコンゴウは基本的に接触禁忌種の部類に入る。

 通常種や堕天種とは違うその存在は少なくとも自分が交戦した事の無い個体だった。

 瞬時に散開するや否や各個撃破の体制に入っている。本来であれば有りえない光景。

 だからなのか、男は助かったとの思いよりも先に、戦闘場面を呆然と見るしかなかった。

 

 

「大丈夫ですか?」

 

「あ、はい。おかげさまで何とか……」

 

 4人の出動によって緊急事態は直ぐに解除されていた。

 元々クレイドルとブラッドの名前はこれまでに何度も耳にした事はあったが、まさかこれ程の戦力であるとは思ってもいなかった。

 

 各々が異なる神機を駆使する事でハガンコンゴウは斬り刻まれ、磨り潰されて行く。その途中で見たグボロ・グボロもまたシエルの狙撃によってそのまま絶命を確認していた。

 一体どれ程の戦場を渡り歩けばこうなるのだろうか。助けられた男は安堵を浮かべると同時に一人の少女に目が釘付けだった。

 

 純白の制服を着た一人の少女。アリサの戦闘はまさにこのメンバーの中でも異質と言える程だった。

 通常の戦闘がどんな物なのかはゴッドイーターであれば誰もが理解を示している。常に生死の狭間で生き残る為には、時には泥にまみれてもアラガミの虚を突き、その一撃に自分の命を天秤にかける。その結果、アラガミの返り血を浴びる事もある為に、その戦い方は誰もが目を向けるに値していた。

 

 ナナの様にブーストハンマーによる攻撃はある意味では一撃必殺の考えなのか、インパクトの際に起こる衝撃はアラガミの全身を疾る。強固な個体であれば見た目はそれ程変化しないが、それ程強固ではない個体であれば、体内の器官がそのまま衝撃を持って外部へと飛び出す。

 これは決して狙ってやっているのではなく、あくまでも衝撃を完全に伝えきった結果でしかない。それと対象的なのはシエルの剣使いだった。

 

 ショートブレードは基本的な攻撃は手数の多さで全てをフォローしている。当然ながらその過程はあくまでも数多の斬撃をどれだけ伝えるのかが勝負となっている。

 その結果、要求される技術は他の神機に比べて高い物が多かった。攻撃を掻い潜ると同時に懐に潜り込む技術は、まさにその集大成だった。懐に入った瞬間、躊躇なく斬り刻む。太刀筋の早さは戦闘技術の高さそのものだった。

 そんな中、アリサの戦闘方法はその2人とは明らかに異質。

 ロングブレードは良く言えば万能にも聞こえるが、悪く言えばどっちつかずの物でもあった。

 攻撃力もショート以上バスター未満。一撃必殺を狙う事が出来ず、ショートの様に俊敏に動く事も出来ない。しかし、アリサのそれはそんなゴッドイーターの常識を少し度外視していた。

 

 舞を演じるかの様に華麗に動くステップと、無理をしなくても刃を撫でるかの様に斬る動きは優美そのもの。今が戦闘中である事を忘れるかと思える程だった。

 斬りつけた瞬間、移動する事によってアラガミからの反撃を回避し、一方的に攻撃だけをし続ける。

 味方からすれば舞姫の様にも見えるが、アラガミからすれば死を運ぶ死神の舞。立場が変わる程に違うそれは、一瞬にして魅了されていた。

 

 

「ソーマ。取り合えずは要救助者を保護した事を方向して、後は任せるのはどうでしょう?」

 

「そうだな。見た感じはそれ程大きな負傷をしている様にも見えないならそれで良いだろう」

 

 そんなソーマの言葉とを聞いたからなのか、シエルは直ぐにアナグラへと通信回線を開いていた。

 既に状況を把握しているのからなのか、短い通信と共にそのまま会話が終了する。気が付けば、近くに待機していたヘリはそのまま6人を回収していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はこれで終わりですね。ソーマはどうするんですか?」

 

「今日はこれで終わりだ。最近は一日中研究だったからな。少しは休みを取る」

 

「そう言いながら、シオちゃんとデートですか?」

 

「お前……当たるなら俺にじゃないだろう」

 

 ヘリの中は先程までの空気は完全に霧散していた。

 元々今回の救援に来た人間は誰もが名前を知られている。男に目に留まったアリサだけでなく、ソーマもまた新進気鋭の研究者であることは知っての通り。

 それと隣に座っているナナとシエルもまたブラッドのメンバーとして活躍している事を知っていた。

 

 広報誌でも何度も目にしているだけでなく、グラビアでも何度も見た人物と同じだと思えば、少なくとも驚くと同時に成程と理解する。しかし、男の眼から見ても誰もが一人の女性として魅力的にも見えていた。

 だからなのか、ソーマとアリサの会話も煩いヘリの割に明確に聞こえていた。

 

 

「ソーマには関係ないじゃないですか。どうしてソーマにはいて、私には居ないんですか。少し位良いじゃないですか」

 

「だったら尚更俺に文句を言うのは筋違いだろ。それ以上言うなら弥生に文句を言え」

 

「……そんな事言える訳ないじゃないですか」

 

 そんなソーマの言葉にアリサは少しだけしょんぼりとしていた。

 アリサとてソーマにそんな事を言うつもりは最初は無かった。しかし、ここ最近のアリサを取り巻く環境の中でエイジの姿を見る機会は格段に減っていた。

 一番の要因は完成間際のサテライトの警備と、入植者の護衛だった。

 

 クレイドル計画が拡大した事によって、遠隔地になればなるほどアナグラからの移動時間が大幅に増える。その結果、最悪の事態に陥った際にはサテライトが陥落する可能性もあった。

 創造よりも破壊の方が手間も時間もかからない。そんな事情もあってなのか、支部程の設備は無いが、ある程度の出先機関として現状のサテライト施設に建造する事が決定していた。

 

 事実上のサテライト支部の設立はフェンリルとしての吝かではない。寧ろ、統治するのであればそれなりの人間を送り込む必要があった。

 それと同時に居住用施設だけでなく、支部としての神機の整備やそれに関する手順など、一からやる為に何かと面倒な事だけが多くなっていた。

 当然、時間がそれなりにかかる。

 

 支部の事までとなった際に、一番の戦力を取敢えず置いた方が良いだろうとエイジに白羽の矢が立ったまでは良かったが、問題なのはその後だった。

 エイジが動くのであれば、当然アリサも立候補する。しかし、今回の設立にあたってはアリサのそれは弥生によって却下されていた。

 今の段階で余剰戦力はアナグラには存在しない。エイジが行くのは、あくまでも護衛の一環であると同時に、立ち上げにもある程度関与させる為だった。

 アナグラでも教導はしているが、態々移動してまでとなれば厳しい物がある。だったら最初から行けば良いとの案で今に至っていた。

 それと同時にブラッドからも北斗がエイジと共に異動している。これは感応種に対する意味合が大きかった。

 

 

「アリサさん。それを言うなら北斗も同じなんです。私達だって同じ気持ちですから」

 

「そうだよね。北斗が居ないブラッドも何だか寂しいもんね」

 

 抗議の意味も含むのかシエルの言葉には少しだけ冷ややかだった。

 本当の事を言えばシエルもまたアリサと似たような部分が多分にあった。しかし、シエルの対人関係で弥生を論破する事は事実上、不可能に等しい。

 

 それと同時に弥生から何を言われるのか分からないからと抗弁する事は考えていなかった。只でさえ何かと融通して貰っている自覚がある。今のシエルにとっては頭が上がらない人物の一人だった。

 そんな会話を聞いたからなのか、戦闘時の雰囲気ではなく、年相応の会話に男は少しだけ何かを思う部分があった。

 今はまだそれが何なのかは分からない。アナグラに到着するまでは少し休憩を入れた方が良いだろう。そう判断したのか、少しだけ眠りについていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで今日の教導は終了する。次回はまた予定を組んでくれ」

 

「ありがとう……ございまし…た」

 

 他の支部から来ると必ずと言って良い程に教導の洗礼が待っていた。

 元々は赴任した当初にやっていたが、まさか一般の人間相手にやるとは思わなかった人間が殆どだったからなのか、教導の効果は芳しい物ではなかった。

 どんな物でも最終的には自分がやる気になれなければ意味が無い。その結果として、一旦はそのまま実戦に出す事によってその重要性を身に染みて理解する方向に舵を切っていた。

 これまで居た支部と同じ感覚でミッションに入る事ににってアラガミの強さを肌身で理解させる。その結果として教導メニューを導入する流れになっていた。

 当然、その間にも殉職者が出る事もある。本来であれば痛々しい気持ちになるが、これに関しては事前に確認した上で当人が決めている為に自業自得の意味合いの方が強かった。

 しかし、万が一の事も考えると多少のフォローも必要になっていくる。その為に救助に関しては手厚くしていた。

 そんな事を知ってからの男は改めて自分の実力を計るつもりで教導に挑む。瞬時に叩きつけられた事によって自分が思い上がっていた事を強制的に理解させられていた。

 得物を持ったナオヤに対し、辛うじて挨拶だけを終わらせる。ここが鬼の巣である事は後になって知らされていた。

 

 

「本当の事を言えば、最初から教導で多少でも身体能力を底上げした方が良かったんだがな」

 

「その件はここに来た当初に聞いた話ですから……その結果が今であれば後悔した所で何も変わらないですから」

 

「そうか。だとすれば、お前は散った仲間の分まで生き残る義務がある。極めろとは言わないが、それなりに精進した方が良い」

 

 ナオヤの言葉に男はその言葉を噛みしめていた。

 後悔先に立たず。極東に伝わる言葉ではあるが、ある意味では真意とも取れていた。

 自分達の思い上がりにで仲間がアラガミに捕喰されている。だとすればその連中の分まで生きるのは当然だと考えていた。

 

 

 


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