仮面ライダーリュウガ 〜暗黒を纏いし黒騎士〜   作:人類種の天敵

8 / 32
人類種の天敵と申します。今回は仮面ライダー好きが高じてリュウガに変身する主人公で書いちゃいました。リュウガ大好きです。因みにこの作品は「神崎士郎が神崎優衣を救うことを諦めた」事で影響が及んだ並行世界の一つという設定です。ので、多分AUは思考が軟化してます。綺麗な浅倉さんもいます多分。あとオリライダーを出すのでそれが嫌いな方はブラウザバックを推奨します


戦わなければ生き残れない
戦わなければ生き残れない


 

 

………………昔むかし、ある所に。とある一家が住んでおりました。

両親と姉弟の一家は、とても幸せに毎日を過ごしておりました。

ある日、両親の仕事の都合で、一家は住んでいる家を引っ越さなければなりませんでした。

引っ越すために元いた学校の友人たちと泣き別れ、新しい場所で友達を作れるか不安になる弟を、両親も姉も優しく慰めてくれました。

そして一家は新しい場所で、新しい環境で、また新たな生活を始めました。

姉は小さい頃から学んでいた剣道を、近くの道場でもっと強くなるために励んでいました。もちろん弟も姉の後ろへ着いて行き、成り行き的に剣道を習い始めました。

 

……弟の姉は、とても優秀でした…他の者が羨むぐらいに。弟の存在が霞み、言葉を、そして悪意を覚えた者たちから馬鹿にされ蔑まれ、嗤われるぐらいに。

ですがそんな者たちから、姉はいつも弟を護り続けてきました。そしてそんな姉が、弟は大好きで、尊敬していて、いつかは必ず自分が護るのだと。そう信じていました。

 

ある時弟は、誰かが自分を見ているということに気が付きました。

一人は同い年という事でいつも自分と稽古をしている道場の師範の娘。

そしてもう一人は、その娘の姉である長女でした。

しかし長女の弟を見る目つき、視線はとても禍々しいものでした。

大変優秀な姉を持つ弟は、これまでに幾たびの誰かしらの視線を受けていて、その視線の持つ、嫉妬。憎悪。嫌悪などという人の心を、悪意を読み取ることが出来るようになっていました。

 

そして、その長女の視線とはーーーーー

 

 

 

 

 

 

「誰だお前は」「邪魔だ死ね」「うざい何で箒ちゃんなんかに」「殺してやる殺してやる」「ちーちゃんの弟?あれが?そんなわけがない」「あんなもの相応しくない」「その他大勢のあの男と女もだ」「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」「消えろクズ」「ノロマ鈍臭い」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」

 

限りないほど、いや無限とも言える。際限なき弟への憎しみ、嫉妬などの感情でした。

弟は彼女の視線を見ることを後悔しました。なぜなら、彼女は心で表せる感情以上に弟へ、「死ね」と言い続けていたのです。

 

いつしか弟は、心を完全に病み。目の下は不安で眠れないため、クマでおおわれ。

姉の後ろを着いて行き、道場へ訪れることも無くなりました。それは、学校も同じでした。

彼は、通っていた学校を休みがちになりました。自分を守ってくれる母の近くで、寒さと恐怖と、あの長女の視線に怯え、毛布にくるまり、ガクガクと震える生活を続けていました。

全く道場へ来なくなった弟を、師範の娘は怒りながらも様子を見にきました。弟は絶対会うことはありませんでした

 

 

何かに脅える弟を、無理に問うことをせず、見守り続けた家族。

そんな一家の絆は、悪魔のような長女の手によって……簡単に、脆く崩れ去ってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

ある日、父さんが会社から、帰って来なくなった。連絡しても電話に出ない

母さんは大丈夫と言っていたけど、本当に大丈夫何だろうか?怖い。恐ろしい。あの女だ。きっとあの女が何かしたに違いない

 

 

 

ある日、母さんがパートへ行ったきり、帰って来なかった。毎日毎日時間きっかりに帰ってくる母さんが帰って来ないなんて、ありえない……父さんがいなくなってからパートへ働き出して…生活費のためにどんなに苦しくても頑張っていた母さんが……怖い。恐ろしい。次は僕だ。あいつは、僕を狙ってくる。姉さんは強い、僕は弱い。怖い。怖い。怖い

 

ある日、姉さんが僕の肩を掴んでこういった

「父さんお母さんは私たちを捨てたが、これからは二人で生きていこう」と

姉さんは一体何を言ってるんだ?まさか、あいつの仕業か?

 

 

 

 

ある日、あいつが来た。とても恐ろしい

 

 

奴は僕を連れて玄関から入ってきた

 

 

奴は僕とそっくりな誰かを僕と言った

 

 

訳が分からない。姉さん、あれは僕じゃない。姉さんは僕を信じてくれるよね?姉さんは僕を置いてかないよね?姉さーーーー

 

 

 

 

 

 

 

僕はーーー夜の路地裏を歩き続ける

あの家はーーーもう僕の要る場所じゃないらしいーーー僕はーーー織斑一夏ではないらしいーーー僕はーーー姉さんにーーー捨てられたんだ

 

 

夜の闇を貪るように眠りに落ちていけば

自分が今誰かなんて夢の中みたいだ

 

 

ああ、そうだ。僕は誰でもない。ただの、ただの影だ。幻だ。織斑一夏であった僕の、そして奴が連れてきた彼のーーー鏡写しの虚像だ。だれか、お願いだ

 

僕の正体を突き止めてくれ……!!

 

鏡から伸びた手に腕を掴まれた。鋭利な爪は僕の手を易々と裂く。血が飛び出ていく。痛い

 

鏡の中へ連れて行かれた僕は、人知れずこの怪物たちに喰われるのか………ニセモノの結末にはピッタリだな………

 

もし、僕を殺すのなら、最後に。一思いに殺してほしい。痛いのは、嫌だから。一瞬で楽にしてほしい。思えばこの場所へ引っ越してきたときから……あの女にあった時から。僕はとても怖くて、痛くて堪らなかったんだ。早く、僕をーーしてくーーれーー

 

「ギャギャギャギャギャ!!!」

 

 

 

 

 

 

『変身』

 

 

 

?誰だろう

誰かが、怪人と戦っている

黒い、誰かだ……

誰かの周りには龍もいる。長い尻尾で怪物たちを薙ぎ払い、僕を護ってくれる

 

『FINALVENT』

 

『ハァァ……ッ…』

 

龍が吐き出した黒い何かが怪物たちの動きを止めた。黒い誰かはベルトから取り出したカードを左手の、龍の顔を模した手甲へ入れて腰を低く下ろした後。左手は下ろし、右手を上げて、短く息を吐き。宙へ飛び上がった

 

『アァァァァァ……!!』

 

「ギャギャギャギャギャーーーー」

 

龍の炎と共に怪物たちへキックを放つ黒い誰か。気がつけば怪物たちは一匹残らず黒い誰かに倒された……怪物たちから飛び出た光る何かを黒い龍が美味しそうに頬張ってる

 

『…………お前も…鏡写しの…幻…か』

 

?誰……だろう……とても辛そうな顔をしている。痛いのかな?痛いのかな?

 

『俺は……神崎優衣を……救うことが出来なかった……俺の目的は………俺の願いは…叶わない……』

 

泣いてる……怪物たちを圧倒していた黒い誰かが、泣いてる、なんで?こんなに強いのに

 

『俺は最早………仮面ライダーではない……この身体も…もう。時間切れだ……』

 

そう言った彼の姿は、塵のようにボロボロと崩れ、消滅していく

 

『すまない……優衣…俺はお前を救うどころか……城戸真司との戦いにも負けた』

 

片手で顔を覆いながら、崩れ去っていく誰かはベルトについたカードデッキを引き抜いた

 

『俺の願いは、俺の残留思念と共に消滅する』

 

顔を覆う指の間から、彼の目が見える。その目が伝える想いは、死への恐怖でも生への執念でも無かった

 

『消滅する俺にこのカードデッキは必要ない』

 

僕は彼が投げたカードデッキを両手で受け止める

 

『お前は……自らの願いに…宿命に打ち勝て……本物の城戸真司と同じように……』

 

「無理だよ…そんなの。だって俺は、ニセモノなんだ……ニセモノなんだよ!」

 

脳裏に、姉だった者の目が映る。酷く冷めた目が。まるで僕の存在なんて忘れてしまったかのような

 

『だったら…今からお前は……暗黒竜ドラグブラッガーの契約者であり仮面ライダーリュウガの変身者……龍賀アギトを名乗れ』

 

「たつが……あぎと……?仮面ライダー…リュウガ……」

 

『行け…!龍賀アギト。お前がお前であるために…!!』

 

消滅していく彼の気迫に押されて、俺は鏡の中から外へ出た

 

『戦え…!仮面ライダーリュウガ。どの道俺たちは………』

 

鏡の中の彼が、言った言葉へ、僕は………俺は、ああ、と頷いた

 

『…………』

 

そんな俺へもう一度眼を向け、満足そうに口の端に笑みを含んだ鏡の中の城戸真司は。ボロボロの塵のように。完全に消滅した

 

『グオォォォォォォ…オオオ……!!』

 

前の契約者が消滅した事を嘆くように黒い龍。ドラグブラッガーが夜の街へと咆哮した

 

「………行くぞ、ドラグブラッガー」

 

だから俺は相棒へと言葉を告げる

 

「俺が…龍賀アギトが。今からお前の契約者。仮面ライダーリュウガだ」

 

ドラグブラッガーは試すように俺の周りをグルグルと回る

 

『ガァォォォォォ!!!』

 

彼の長い尾が5回ほど回ったところでドラグブラッガーはもう一度暗闇の空へと顎を開いた。それは新しい契約者を得たことの喜びか、それとも前契約者である虚像の城戸真司への手向けか。力強く、重く、そして聴く者全てを戦慄させる咆哮を吠えた

 

 

「俺は戦う…城戸真司。そしてあんたは、誰かにとっては誰かの幻かもしれないが、俺にとっては本物だったよ」

 

キィィィィィィィン

 

城戸真司へ言葉を紡ぐと、頭の中を不協和音が響いていく。俺は目を瞑り城戸真司が言っていた言葉を繰り返す

 

 

「『仮面ライダーは…戦わなければ生き残れない』」

 

『ググォォオオオオオオッ!!!』

 

新たな契約者の初陣を祝うためか、それとも新しい自分の獲物の出現に歓喜しただけか。ドラグブラッガーが三度目の咆哮を吠えた

 

「今思えばこの俺はあの女に戦わなかっただけだ。逃げてばかりで、両親に護られて安心しきって……」

 

だから何も護れなかった。あいつに奪われるばかりで

 

「だが、俺は戦う…!俺自身を勝ち得るために!!」

 

城戸真司に与えられた。たった一度の命はチャンスだ。今度は俺が奪い返す。あいつに奪われた俺という人生を。相棒と共に

 

城戸真司から貰ったカードデッキを鏡へと向ける。鏡の向こうでは俺の腰にVバックルが装着されていた

 

「………変身ッ!!」

 

Vバックルへカードデッキを挿入する。カシャン!という小気味いい音が聞こえ、黒い装甲が体を包む。鏡の前には仮面ライダーリュウガとなった俺が立っていた

 

『…………』

 

仮面の下のリュウガの釣り目がちなレッドアイが赤く光る。そして俺は、ドラグブラッガーを引き連れて鏡の中へと姿を消した




と、言うわけで主人公は元一夏です。多分この後めちゃくちゃぶっ殺った。オリライダーとファムをIS学園のあの方とモブキャラに使わせていきたいです。あと今回出てきた虚像の城戸真司は龍騎とのドラゴンライダーキックで敗れた後残留思念として並行世界へ移ってしまったものです

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。