仮面ライダーリュウガ 〜暗黒を纏いし黒騎士〜   作:人類種の天敵

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どっかの話で挿絵を描いて投稿するとか何とか言っていたな、アレは嘘だ。
いやぁ思いの外手こずっていまして……サイコローグハァハァサイコローグハァハ……ごほん。頑張って描いてる途中だよ!期待せずに待っててね!
あと今回主人公出ねえ。あいや、最初だけ出るます。


暗躍する影

 

「契約者はなんでこう……」

 

「足掻くな。運命を受け入れろ」

 

とある喫茶店にて頭を抱えるICPOのイケメンに対してアギトが非常な言葉を突きつけた頃。

人気のない路地裏に設置された姿見へフード被った男が鏡へ長方形のデッキを掲げていた。

 

「変身」

 

一言呟きカードケースを腰部のVバックルへと組み込む男。

すると男を囲うように鏡像がふふいくつも現れ、次の瞬間には男はオレンジ色の騎士へと姿を変えていた。

男はそれを鏡越しに眺め、無造作に鏡の向こうへ歩みを進める。

 

『はぁー。マジで変身できたぜ。それに……ほぉほぉ、ここがミラーワールドか。あぁ大して面白くもない。さて、仕事を始めるか』

 

言って、カードケースから一枚のカードを取り出したオレンジ色の騎士は、手に持った巨大な鋏の中心部にそれを挿入した。

 

『HAZARD VENT』

 

『クハッ!狂宴の始まりだ。精々クライアントの要望通りに踊り狂えよォ!!』

 

金属に爪を突き立てたような耳障りな音がミラーワールド中に響き渡る。

そして何重にも渡って響き続けたあと、何処かしらから遠吠えや咆哮、威嚇音が狂ったように発生する。

オレンジ色の騎士が路地裏を出ると、そこにいたのは30以上を超えるミラーモンスターの数だった。

馬男、虎男、蜂男に鮫男、多種多様なミラーモンスターの目は白く濁り、口からは涎がダラダラと垂れ流れている。

 

『ふぅむ?ちと少ねえな。まっ、ここらは契約者が多いって話だ。こんなモンだろ。おら、テメェら。向こうには美味しそうな餌がいっぱいあんぞ。行け行け、行って暴れてこい』

 

指さされた鏡の向こうには平和な街並みとそれを享受する老若男女の姿がある。

それを見たミラーモンスター達は理性の欠片もない表情で歓喜の咆哮を上げ、街中の鏡を介してリアルワールドへと干渉して行った。

 

そして、ただ1人残されたオレンジ色の騎士は顎を手に乗せ、それにしてもと続ける。

 

『仮面ライダーかァ。ヒヒ、殺ってみてえなァ。んまぁ、今はその時期じゃないってねェ。あばよ、精々楽しんでくれや。クハハハハ』

 

 

 

 

 

 

 

 

とある研究所。

そこに1人の男が訪れていた。

黒髪に眼鏡をかけ、白いシャツの上にクリーニングの行き届いた白衣を羽織っている男だ。

彼は中に入ると中の電気をつけつつ部屋の主に声をかけた。

 

「Bad Birlだね。篠ノ之君。こんな暗い部屋では視力が落ちてしまうよ」

 

男性が声をかけたのはパソコンをカタカタと目にも留まらぬ速さでタイピングするうさ耳をつけた女。

 

「あ、先生。来てくれたんだ」

 

女性は頭を上げて男性の来訪を認めると、嬉しそうに顔を緩めた。

彼女がどれほど男性の事を認めているのか、その笑顔だけでわかるだろう。

 

「ああ、それで今日は何の用かな」

 

今回、先生と呼ばれる彼は世界的な天災科学者の篠ノ之束に呼ばれて来たのだった。

そしてそれに対する篠ノ之の応答は、彼女の胸の谷間から取り出された。

 

「……これは?」

 

手渡された一つのカードケースに疑問を持ちながらも、彼の明晰な頭脳は一つのアンサーに到達していた。

そしてそれを待っていたのか、篠ノ之束は驚く彼にニンマリと笑顔を見せ、ピースサインを作る。

 

「先生の考案した設計図を元に束さんが作った《オルタナティブ》のプロトタイプだよー! ブイブイ」

 

(いつの間にオルタナティブの設計図を?)

 

彼は天災が自分のパソコンから設計図を入手して作成したんだろうと思い至ったが、まさか彼女の行動原理が自分を驚かせたくて、ということについては至らなかったであろう。

何はともあれ彼は天災にプライベートな情報もろとも知られたのは痛いが、オルタナティブの試作型を手に入ったことは僥倖だと思うことにした。

 

「これでようやく計画を始められますね」

 

計画、それは彼と彼女が手を組んだ最大の理由。

神崎士郎を倒し、ミラーモンスターの生息するミラーワールドを閉じること。

 

ひとまずデッキは白衣のポケットに突っ込み彼は篠ノ之束に用件はこれだけですか?と尋ねる。

 

「うん!頑張って英雄になろうね!先生!」

 

無邪気な笑顔に思わず男性の顔も緩む。

そしてそこで男性は目にした。

篠ノ之束のパソコン画面から覗く阿鼻叫喚、正にーーーー地獄を。

 

『グギォォォォォォォォ』

 

『ウワァァァァァァァァ』

 

『ギシャシャシャシャ』

 

『おかぁさぁぁぁん!うええええん』

 

『ピィィァァァァァァ』

 

『アイエエエエエエエ!?ミラーモンスター!?ミラーモンスターナンデ!?』

 

『コワイ!』

 

『ゴボボーッ!』

 

画面の向こうでは多種多様のミラーモンスターが手当たり次第に一般市民を襲っている。

今また一体の猪型ミラーモンスターが親子連れを襲い、咄嗟に子供を庇った母親が悲鳴を上げながらミラーワールドへ連れ去られた。

 

「これは…!」

 

顔が強張る男性。

それに対し篠ノ之束は天使のように妖しい笑顔で微笑む。

 

「実験だよ」

 

「実験?」

 

「そう!実験……。契約しなくても意図的にミラーモンスターをコントロール出来るかどうかの」

 

(実験?馬鹿な、コントロール?馬鹿な!これではただの暴走ではないですか!)

 

男性は狼狽する。

元々彼と篠ノ之束はミラーワールドを閉ざし、ミラーモンスターを現実世界に干渉させないようにすることで被害を無くすことを目的として手を組んだのだ。

それがなぜミラーモンスターのコントロールにいってしまうのか。

 

「まあ見ててよ、先生」

 

薄気味の悪い笑顔でパソコンを操作する天災に彼はたらりと冷や汗が流れるのを感じた。

そして薄ら寒い背筋に白衣の中のデッキを無意識下にぎゅっと掴む。

 

(篠ノ之君。君は本当にミラーワールドを閉じる気でいるのか?……それに、神崎士郎のカードデッキをこうも容易く作製するとは)

 

天災の技術力に感嘆すると同時にやはり恐ろしく感じた。

これが神崎士郎に向いている内はまだいい、なぜなら彼も大概規格外だから。

ただしかし、これが一度人類に向けられれば……いいや、その時は私が彼女を止めよう、と彼はパソコンに目を向ける。

画面の向こうでは新たな変化が訪れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前、街中をぶらぶらしていた亮介は街中の違和感を感じて咄嗟に身構えた。

契約者になって日が浅い亮介であるが、その本能は瞬時に鏡へデッキを向け、Vバックルを装着するまでを無意識下のうちに行った。

そして静かに耳を傾ける。

聞こえてくるのは当然女子高生の話し声や親子連れの会話、サラリーマンの不平不満など多岐に渡るが、その中に微かに聞こえてくるのだ。

頭に響く、『キィィン』『キィィン』という耳障りな音が。

 

「ミラーモンスター?」

 

違和感の正体に気付く、それと同時に複数のミラーモンスターに囲まれていることにも気付いた。

 

「30…いや、4……50はいないか!?」

 

ち、と舌打ちをして路地裏へ、そこで仮面ライダーに変身するときには既に蹂躙が始まっていた。

 

狂ったように暴れるミラーモンスターもいれば群れで襲いミラーワールドへ攫っていく奴らもいる。

 

『(♯0M0)<ザヨゴオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 

『( 0w0)ウェ-イ!ウェイウェイウェイ ウェッ゛……!』

 

『……………え!?』

 

若干名コスプレ?姿でミラーモンスター相手に粘る者もいたが、大半の一般市民が逃げ惑い、或いはミラーワールドに連れ去られている。

一刻も早く制圧しなければ、とカードを挿入してソードベントーー風双剣ウイングブレードを装備すると、近くにいたミラーモンスターから斬りかかる。

 

『はぁ!』

 

刀の形状をしたウイングブレードを居合のように抜き放ち一体を両断すると、近くの喫茶店の扉が開いて1人の男性が現れた。

 

『あ、おい!危な』

 

「ふわぁ……はぁ、眠い…あ?」

 

喫茶店を営んでいるのか、喫茶店店員の服装をした男性は眠たげに欠伸をする。

それと同時に喫茶店のガラスから一体のミラーモンスターが男性へ襲いかかった。

 

「わお、ピンチってやつか?」

 

『何呑気に…くそ、間に合わねえ!』

 

反射的に風の刃を飛ばすもののミラーモンスターは既に男性の懐へ潜り込んでいた。

そしてミラーモンスターが男性の頭へ大きな口を開いたとき、突如男性を中心に刃の渦が巻き起こる。

 

『グゴケェェーー!!?』

 

蛙型ミラーモンスター《ゲコゲコ》の滑った皮膚が容易く切り裂かれ、夥しい血が噴水のように吹き荒れる。

 

「おい、やめろよ。返り血が飛んできちゃうだろ」

 

男性の一声で刃の渦が停まり、その中に見えたのは戦隊的なポーズをキメる三体のミラーモンスターだった。

 

「ワスプ、ホーネット、ビー。面倒だ、早く終わらせろ」

 

男性の号令で三体の蜂型ミラーモンスター達は颯爽と鏡の中を駆け抜ける。

まずは三体の行動隊長的バズスティンガーホーネットが横回転しながら二刀の毒針で猛攻を仕掛ける。

 

ホーネットに注意が行くと、ホーネットの隙を援護するように青いバズスティンガーワスプがミラーモンスターの間を縫うように疾駆する。

 

レイピアのように細く鋭い剣で貫かれたミラーモンスター達は、次に飛んできた矢を眉間に受け、例外なく生命エネルギーへ姿を変えた。

無論、黄色いバズスティンガービーによる正確無比な一撃だ。

 

三体は個々の戦闘力こそドラグレッダーやダークウィングに劣るものの、三位一体となって連携を取ることで多対一から一対多までも幅広く戦闘を行えるミラーモンスターなのだ。

 

『す、すげぇ』

 

自身も既に二体のミラーモンスターと契約しているが、あの三体のような連携を取れと言われて素直にするようなミラーモンスターではない。

だからこそ、あそこまで仲間を信頼し、仲間の隙もない程に洗練された動き方に亮介は感嘆の息を漏らした。

 

「はぁ、〝あいしーぴーおー〟の誘いも面倒だから断ったのに。結局これか」

 

彼の手には長方形のデッキが握られていた。

幾分か手のひらで弄び、やがて諦めたように溜息を吐くと、腰部のバックルにデッキを装着し、彼もまたーーー変身した。

 

「変身!」

 

鏡像が重なり合い、それは蜂を思わせる黄色の騎士を錬成する。

 

『……どうもどうも。仮面ライダーニスティンだ。面倒は嫌いだから、手短に終わらせる。ーーーワスプ!俺の補佐をしろ、ホーネットは他のミラーモンスターを引き付け、ビーは先制攻撃を仕掛けろ…もちろん外さないよな?』

 

ニスティンのバイザー

 

《針貫召剱スティングニードル》を持った仮面ライダーニスティンの号令で三体のバズスティンガーも行動を開始する。

そのときニスティンと亮介ーー仮面ライダーバードとで視線が交錯する。

本能的にニスティンが「リアルワールドは任せろ。お前はミラーワールドな」と言ってるのだと考察し、勢いよく鏡の中へ突入した。

 

『……はっ』

 

そこにはリアルワールドよりも沢山のミラーモンスターが集結していた。

ミラーモンスター達は一様に攫ってきた人間の品定めや奪い合いを繰り返していて、まさに混沌とした世界になっている。

それならそれで乱戦は歓迎だとバードはウイングブレードを振り抜き飛翔する。

馬型ミラーモンスターを斬り殺し、返す刀でサメ型ミラーモンスターの頭部を切り離すと馬型ミラーモンスターが喰おうとしていた女性を腕に抱いてミラーワールドから抜け出す。

 

『ここは危ねえ早く逃げろ』

 

「あ……はい」

 

助けた女性はとても美しく、綺麗だった。

どこかのアイドルか何かだろうかとぼんやり思いつつ、ふと誰かに似てるなぁ……とも考えていた亮介は鏡から聞こえてくる遠吠えにウイングブレードを手にリアルワールドへ駆けて行く。

 

「名前……」

 

その女性がかのICPO所属の世界を股にかけるシスコン紳士の妹であることを、亮介は知らない。

 

 

 

 

仮面ライダーニスティンと仮面ライダーバードが戦っている場所から近くにて、意図的に暴走状態となったミラーモンスターの一部が仮面ライダーバードから離れ、別の狩場を探していた。

 

『ウルルルルァァァァ』

 

『グァグァグァ』

 

路地裏に逃げ込んだ餌に思わず舌なめずりをするミラーモンスター。

しかしその目の前に探偵の格好をした男が現れる。

 

「おや、これはこれはお嬢さん方。こんな人気の無い路地裏に何の用か。さてはさっき逃したクライアントが目的か?……ったく、浮気調査なんて簡単な仕事の終わりなんだが…」

 

『ルルルルァ?』

 

『グァ?』

 

テンガロンハットに煙の出ていないパイプをぷらぷら揺らした男は手に持ったデッキをバックルに組み付け、言った。

 

「失礼。まずは自己紹介が先か……。俺は水無月 朧。ただの探偵で時たまライターで、今はのっぴきならない事情で専ら用務員だ。……それで」

 

短く変身、と唱えた彼を複数の鏡像が包み込む。

侍と騎士の甲冑が融合したような姿だ。

しかも身体中には水色の線が引かれてあり、そこを身体中を流れる血のように水色の粒子が幻想的に光っている。

 

『いまからはただの仮面ライダーファントムだ。ーーさあ、幻影に落ちる用意はいいか?』

 

腰のバイザー《幻召機ファントムバイザー》を二度、三度と叩き、腰部のカードデッキから一気に引き抜いた5枚のカードをバイザーの中に挿入して行く。

 

『SWORD VENT』『SWORD VENT』『GUARD VENT』『SHOOT VENT』『TRICK VENT』

 

『分かってるんだろう?そろそろ、良い子はおやすみの時間だってことに。……夢か現か、はたまた悪夢か。醒めることのない夢の時間へようこそ。歓迎しよう、盛大にな!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如始まったミラーモンスターの大反乱に偶然居合わせた仮面ライダー達が対抗する。

そして公園のベンチ、日当たりの良いこのスポットにて真っ昼間から働きもせずにスヤスヤ眠るプーさんが1人。

 

「むにゃむにゃ」

 

気持ち良さげに眠る彼は自分の眠るベンチを取り囲むミラーモンスターの群れに気付いていない。

アナコンダ型のミラーモンスターが大口を開けてベンチにかぶりつくとき、男性を包み込むように煙が噴き出した。

 

『シャァァ………』

 

アナコンダ型のミラーモンスターは眠り込んでしまったようだ。

そして代わりにベンチの上には1人の仮面ライダーが立っていた。

 

『ミラーモンスターの大量発生。そして俺氏囲まれる。……はぁ、めんどいなぁ』

 

戸惑うミラーモンスターを順繰りに見回していき、仮面ライダーガルダは大型のボウガン型バイザー《召喚弓ガルダバイザー》を構える。

 

『めんどいし眠いしめんどいし、そのまま帰るならそれでいいぜ』

 

怠惰を具現化したような男に対しミラーモンスター達がヤジを飛ばす。

そのどれもが『ちゃんと仮面ライダーやれ!』『喰わせろ!ニンゲン!』『このマダオめ!』『親御さんが泣いてるぞ!良いのか!?それで良いのかお前!?』『真っ昼間から公園のベンチで寝てんじゃネーヨ!働け無職!』と騒ぎ立てている。

仮面ライダーっぽくないこの男もアレだが、本能的に人を喰おうとせず、逆に男に対して社会の厳しさや人生について説教を始めるミラーモンスター達も大概アレだ。

 

そして謂れのない(事実であり正論であるが)男はもちろん逆ギレした。

 

『分かったよ!…やればいいんだろ!やれば!!』

 

男はーー仮面ライダーガルダはミラーモンスター達に対してゼロ距離射撃を敢行し、威力に耐えられなかったミラーモンスター達の爆発に呑まれた。

 

その日、都内の公園に汚い花火が観測されたが、犯人は未だ見つかっていない。

 

 

 

 

 

 

最後に、こことは違う別の場所でも戦う男が。

 

「青海せんせー。次の患者さんでーす」

 

「はいはい。ええと、坂本さん。今日はどうなさいました?」

 

「青海先生を見てると胸がドキドキ疼いて仕方ないんです。先生!これは一体何の病気でしょうか!?」

 

「…………あー、うん。はい、心の病ですね……何事もないようなので良かったです。………ハイ…ドウデモイイリユウデワザワザクンジャネーヨブスガ(ボソッ)」

 




悪いなオリライダー提供者の方々。セリフや言い回しを少し弄らせて貰ったぜ。(AC成分が混じってる奴がいる)
言い方変えてくれって方がいましたらメッセオネシャス。
修正する可能性を感じて結構ネタに走ったと思うんで……。
あと香川先生の契約モンスターであるサイコローグちゃんは魔改造します。例えば目からミサイル出す他にもレーザー光線撃ってきたりとか………ゴメン、実は最近フリーダムウォーズを買ってハマってから人口アブダクターに似てるサイコローグちゃんにハマってんだ☆
あ、香川先生はどこぞの天災と違ってとてまきれいだよ!

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