仮面ライダーリュウガ 〜暗黒を纏いし黒騎士〜   作:人類種の天敵

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どもー、天敵です!今回の挿絵はロック・ヴォルハートの契約モンスターであるゴリラことゴクウソンです!


【挿絵表示】


ゴクウソンの着てるジャージはロックが買い与えた物で、ズボンはロックのお下がりです。
ハレル家様には挿絵化の許可を頂いてます!……え?なんで描いたって?うん、なんか最近癖っ毛天パっ子が無性に……。
例の如く色ぬりは下手、瞳とかみんなどう塗ってんの……?

あと今回は白騎士当時と風切亮介君とのエピソードになります。
ショタ時代の関係性とかね!本来の設定をベースにちょくちょく変えておりますので人物設定見てる人は若干混乱するかもしれません。
いつか……いつか設定の方もちゃんとするんだ(フラグ)


白騎士事件・追想

「メール?城戸か」

 

休日、城戸真司からメールが届いた。

内容は何時でも帰ってこいよ!みたいなもんで、先日浅倉タケ子の恐ろしい悪夢を見た俺は気分転換に喫茶店花鶏に足を運ぶことにした。

 

『ゴオァ…』

 

「なに?豆が切れてる?…丁度いいな。婆さんから貰って帰ろう」

 

ミラーワールドをドラグブラッガーにしがみついて移動する。

他の野良モンスターはドラグブラッガーに恐れをなして身を隠しているのでなんとも呑気なピクニックだ。

さほど時間もかからずに喫茶店花鶏前まで辿り着いて、俺はライダー状態を解除、ドラグブラッガーも人間態へ姿を変えてミラーワールドから出る(この場合ドラグブラッガーと手を繋ぐと仮面ライダーにならなくても出られる)。

 

「ねえ蓮。今日はお客さんも来ないし、俺遊び行っていい?」

 

「ダメだ。亮介、お前今日はコーヒーの淹れ方を教えてもらう筈だ。それに先月は金をーー」

 

「だーー!!わかった!わかったから!流石に二度、三度の説教はキツイぜ!」

 

 

気の良い騒々しさを窺わせる陽気な声と咎めるような、けれど優しさの篭った低い声。

知らず知らずのうちにフッと、頬が緩み、俺はアギトはニヒルな笑みを口元に浮かべて喫茶店花鶏のドアを開いた。

 

チリーン

 

「いらっしゃーーー。……へへ、女の園はどうだった?アギト」

 

「アギト。帰って来たのか」

 

「ああ……亮介、蓮。…ただいま」

 

言葉を口にした。

すると亮介はニヤニヤと、蓮も軽い含み笑いをしていて、俺はなんだか居心地の悪い気分になった。

 

「やっぱお前はさ、悪役っぽく振舞ったり変顔してるんじゃなくて、そんなだらしない顔の方が俺は好きだね」

 

腕を組み、ニヤニヤとそんなことを宣う亮介の言葉に首を傾げると、メイド服姿のドラグブラッガーが花鶏に置いてあった手持ちの鏡を俺に向ける。

そこに映るのは柔和な微笑みを浮かべる1人の青年の顔で、一瞬誰だこいつ、と思わず身構えてしまった。

 

「………俺?」

 

「当たり前じゃん。お前以外に誰がいんの。とりあえずカウンター席に座っとけよ、なんか出してやるから」

 

「亮介。アギトは甘いカフェオレだ」

 

「うえー。折角亮介スペシャルブレンドのブラックコーヒー出そうと思ったのに……」

 

「………」

 

無言のドラグブラッガーが椅子を引き、俺はやや間を空けてそこに座る。

すぐ目の前ではアギトと年齢の近い風切亮介と秋山蓮がアギトに出すカフェオレを作っている。

 

「ただいまー。蓮?亮くん?…あ、アギト君。おかえり!」

 

「あら、帰ってきたのかい。アギト」

 

蓮と亮介作のカフェオレを飲んでいると聞き慣れた…けれどここ最近は聞かなくなっていた声に目を細めて背後を振り返る。

 

「ただいま。優衣、婆さん」

 

神崎優衣と喫茶店花鶏の店長の婆さんがスーパーで買ってきた物を詰め込んだ手提げ袋片手に俺を見て目を丸くしている。

 

「それにしても、随分早く帰ってきたようだな」

 

「バカ真司が顔出せって言われたからだ。蓮」

 

「今日泊まりだろ?ゲームしようぜ!最近流行りのゲーム!」

 

「ご飯はちゃんと食べてんのかい?」

 

「亮くん、最近良くゲーム買ってるけど、他でバイトでも始めたのかしら」

 

一気に騒がしくなった……いや、此処では毎日がそうだったか、とアギトは苦笑まじりに呟く。

最近の自分を振り返って見ても部屋でドラグブラッガーが作ったご飯を食べる時も「美味い」と一言言うだけで(ドラグブラッガーが基本無言なのもあるが)、布仏や簪が絡んでくることを除けば、仮面ライダー時の戦闘以外で声を発することもあまりなくなった気がする。

 

「アギト」

 

真司によく似た、人懐っこい笑みで風切亮介がアギトの名を呼んだ。

彼……風切亮介との出会いを、アギトは自分の家に帰ってきたという感覚のまま、懐かしむように回想する。

 

 

 

 

 

 

「俺、風切亮介。お互い仲良くしようぜ」

 

初対面の頃から人懐っこく、人の心の内側にズカズカ入り込むのが得意な奴だった。

そういえば、最後に転校してきた学校で、俺が引きこもるまでに出来た友達といえば亮介を含めて3人くらいだったか。

………その亮介以外の3人も、偽物の俺を俺と呼んで、本当の俺のことなんて忘れているだろうけど。

 

「やっと見つけた。本当のお前!ったく、手間かけさせんなよー。××!」

 

篠ノ之束が偽物を連れて来て、俺は家を、居場所を、存在さえ奪われ、追い出され、生きる糧を見失って。

鏡像の城戸真司にドラグブラッガーとリュウガを受け継ぎ、イレギュラーな俺を調査しにきた神崎士郎の仲介によって喫茶店花鶏に居候することになって数日後、呑気な声音と一緒に亮介は花鶏のドアを乱暴に開けた。

 

「なんでって顔してんな!お前、当ったり前だろ!だって俺たち友達じゃん!」

 

へへっと笑うあいつの笑顔に、友達だ、だから当たり前、というあいつの言葉に、目頭が熱くなったのを覚えてる。

 

「なんだか、知らないけどさ。気持ち悪いよ。学校のお前。顔なんてぜんっぜん似てねえのに××!××!って周りから言われててさ〜。うげーお前ら目ん玉節穴なんじゃねーの!って思わず言いそうになったって!ほんとほんと!マジだって!これ!」

 

身振り手振り、大げさなリアクションでそう訴える亮介と2人、婆さんに淹れてもらったカフェオレを飲みながら話した。

俺が居なくなったと思ったら俺の名前を語る別人が何時の間にか居座って居た話、クラスの可愛い子ランキング、流行りのゲーム、田中のオナラ騒動。

くだらない話が大半だったけど、亮介のまたな、って言葉が、とても嬉しかった。

でも、篠ノ之束は、そんな大事な友達の日常さえ奪っていく。

 

『ーーーーこの空を駆る白い騎士の活躍で死者は0名となっておりーーー』

 

『やっほー!天才束さんだよ!みんなも気になるよね!白い騎士が何なのか。これは束さんが開発したーーー』

 

「おい城戸!救急箱を持ってこい!」

 

「ん!?れ、連!?なんだよその子!」

 

「良いから早くしろ!バカ真司!」

 

「ぐっ、わ、分かった!」

 

「………………亮介?」

 

何時になく焦った表情の蓮が背中に担いで運び込んだ、生気を失って虚ろな目をした亮介の名前を、ポツリと呼びかけた。

だけど、その時のあいつは呼びかけに反応する子も返事もせず、ただ、ただ、「父さん。母さん」といつまでもいつまでも呟き続けた。

…………………巫山戯るな。

仮面ライダーとしての実戦をようやくこなすようになっていた俺はデッキを掴んで亮介の家に向かった。

そこで見つかったのは、無惨に焼け落ちたあいつの家と、瓦礫に埋もれていた、折り重なる二つの遺体、ケタケタケタケタ笑う亮介と亮介の両親に似た得体の知れない別人(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

ウォォォォォォァァァァァァァーーー!!!

 

 

獣のような叫び声だった。

喉の奥から無理やり引き出したような、金切り音に似た、不協和音。

誰が出していたのか、それは俺だ。

喉を掻き毟り、髪の毛を引っ掴み、壊れた醜い世界を憎悪した。

 

『ゴァァァァァァ!!』

 

その憎悪に呼応するように、ドラグブラッガーが体の周りをグルグルと回遊し、やがて亮介と亮介の両親に似たナニカを黒い炎で焼き尽くし、石化させた後に破壊した。

 

「篠、ノ……之………た、ばねええええええええ!!!」

 

その時俺の目に映っていたのは、地面を睥睨する白い騎士。

奴は空を飛び回りながら自身に向かってくる戦闘機を剣で無力化していた。

当時の白騎士を欲しがった諸外国の力技だったんだろうが、あの時の俺には関係なかった。

 

「死ね、死ね、死ね!!!」

 

白騎士事件と黒騎士事件。

当時の事を、誰もがそう呼び、何を言われるまでもなく封印した。

日本に迫り来るミサイルを全て斬り伏せ、優雅に舞い、戦闘機を無力化させつつも、死者をゼロ名に抑えた、とされる伝説の白い守護神と。

白騎士を捕まえんと迫る戦闘機を悉く捻り潰し、獣のように唸り声をあげ、怒りのままに全てを蹂躙した破壊の権化、最悪の漆黒の破壊神。

 

仮面ライダーに対してISの攻撃は全く効かない。

 

初陣にて最強を示したISと、直後に最強の座を黒く塗り潰した暴力。

 

日本海にて行われた戦いを日本と諸外国の政府高官たちはこぞって隠匿した。

一般市民にそれが知れ渡れば世界恐慌を超える地獄絵図が始まると危ぶんだためだ。

 

その判断は正に正しく、篠ノ之束も姿を消した。

 

「お前の友達か、アギト。……こいつは俺が預かる」

 

両親と戸籍を失った亮介は連に引き取られることになった。

 

俺と同じように心を閉ざした亮介の心を開いたのは、亮介と似たような馬鹿、真司で、今の亮介はもう心を閉ざしてはいないが、それでも時々暗い影を見せることはある。

俺と同じように花鶏の連中に囲まれた亮介は、もし、一つだけ願いを叶えてれるとするなら…………………。

 

 

 

 

「聞いてんのかって…おーい?」

 

「………なあ、亮介」

 

「んん?」

 

過去を振り返った俺は、人懐っこい笑顔の亮介に、問いかける。

 

「一つだけ願いが叶うとしたら。叶えてくれる奴がいるなら、お前は何を望む?」

 

両親を生き返られる。

 

あの日常をもう一度。

 

憎いISの無い世界を。

 

だけど、亮介の望みは俺が思い浮かべた欲望のどれでもなかった。

 

「そーさなぁ。んじゃ、以前から買いたかったゲームとSPS!知ってるか?あのゲーム前作と比べてめっちゃ操作感良くってさー」

 

「あれ。それってこの前借りたゲームでしょ?」

 

「ああ、城戸がリトライばっかしてたゲームか」

 

「なんだよ、蓮だって下手くそだっただろ!」

 

なんで同じゲームを。

亮介はニンマリ笑顔でこう言った。

 

「だって、2個無いとお前とゲーム出来ないじゃん。知らないのかよ、同じゲームじゃないと協力プレイ出来ないんだぜ?」

 

 

 

 




え?亮介くんのセリフが新たなる〜の時と違ってるって?……陽気な人ってこんな感じのセリフなんじゃないのかなってちょい修正?ですかねー。ルオン様には勝手ながら口癖?をじゃんにさせて頂きますね(分かりやすく区別しないと……作者が死ぬ)。
今はゲリョス擬人化とホークスギア擬人化を………、ミスターサー様曰くホークスギアは隼鷹に似た容姿なのでヒャッハーベースでちょいちょいアレンジを……。
ゲリョスは昼ドラ並みのドロドロ感と顔芸に定評のあるアニメウィクロスで出てくるような変顔顔芸をいっぱい描けたらなぁと思ってます。
すげーどーでもいいけどウィクロスは森川千夏ちゃんが大好き。

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