仮面ライダーリュウガ 〜暗黒を纏いし黒騎士〜   作:人類種の天敵

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どもどもー。えー、今回なんと、ドラグブラッガーのメイド態擬人絵イラスト描きました。
「魅惑の怪人チキンフライ」話の前書きに載っけてますので良かったら見てやって下さい。
色塗りが苦手だけど我ながら結構上手くやれたんじゃないの?とか思ってます……まあ、贔屓入ってるけどね。
最初に忠告しとくけど、デジタルで塗ったの今回が初めてだからね!肌とか影の付け方とかマジ訳わかんねえ!


毒舌姫のおつかい

 

夜、それは彼女にとって居心地の良い時間。

理由は特にないが、1つあるとすれば、それは静かだから。

騒ぎ立てる者はなく、視え過ぎる感情も欲望も無い、本当の静寂。

彼女はそれが好きだ。

ただ、彼女にとって、今の世の中は耳を塞いで目を閉じても防ぎように無い程五月蝿く、この上なく目障りだ。

 

"この世の害となる存在"、IS。

 

それが現れた事で世界のバランスは崩壊し、世は女尊男卑の世界となった。

 

ISは女性しか操縦出来ない。

しかしその防御性能と火力は軍隊をも凌駕する。

大国はISの力に歓喜し人材を集めた。

優秀な女性がISを操縦させるために女性の地位を向上させ、その立場を極点に優遇させた。

その結果、裁判では相手が女であればどんなに男に非がなかろうと有罪となり、男の人権はあっという間に遥か底へ追いやられた。

これが女尊男卑となった世の中の過程だ。

 

「下らない」

 

彼女はポツリと呟く。

まるでその言葉こそ真理であるように。

彼女の周りにはボロボロになったロボット?と女性が倒れている。

女性の方は気絶しているようだ、スク水のようなスーツからはみ出る手足には目立った外傷はない、勿論顔にも。

 

「手加減しておいたわよ。顔は女の命だから。次に会うときは互いに真っさらだと良いわね」

 

彼女……支倉紫穂こと、仮面ライダーサリスは現場を後にする。

辺りにあるのはクレーター化した旧廃校、粉々になって散らばったガラス片。

ISと仮面ライダーが戦ったことでここまでの惨事が起こったものの、当の仮面ライダーは手加減をしていたのが事実であり、結果だった。

 

「さて、と。用事に行くわよ、スカルピオン」

 

カサカサカサカサと闇夜に紛れて白い影が紫穂の周りを周回する。

そんな姿を見て紫穂は愛おしそうに笑い、白い影の背に乗った。

 

『クカカカカカカカ』

 

4対の脚を持つ巨大な白い骸が鏡の世界を駆け抜けて行く。

虚像の木を薙ぎ倒し、壁面を走り、建物の屋上から勢いよくジャンプする。

全長3mの巨体が加速しながら着地する。

ドシン、と地面が揺れ、白い髑髏のような骨格が跳ねた。

 

『クカカカッ』

 

白い煙の中、遂にその姿が現れる。

闇夜に溶け込む紺色の外骨格、体型は蠍型。

紺色の骨格には所々白いラインが引かれてあり、その背中には白い髑髏のような骨格がおぶさり、その中に紫穂……仮面ライダーサリスが収まっている。

 

『クカカカカカーーーー!!』

 

骸蠍スカルピオンがおどおどしい咆哮をあげた。

その声を求めて彷徨い近付く数十のミラーモンスター達。

囲まれて尚骸蠍の士気は高い。

4対の脚を動かし手短なミラーモンスターへ近付くと思い切り鋏を振りかぶり、水平に薙ぐ、元々の刃の鋭利さと突っ込む速度の相乗効果で二足歩行型の豚人?モンスターの胴体が裂けた。

そして次に裏拳のように鋏を振り回して適当にミラーモンスターを鋏で器用に挟んで行く。

 

ブォン……ブォン……!!

 

そして、それをーーー、

 

ガッ……!!ドゴゴォッッッッ!!!

 

無造作に叩きつける。

挟み込まれていたミラーモンスターは身体がへし折れたり、頭蓋を砕かれたりと、一つの例外なく消滅した。

どよめくミラーモンスター達、それを見逃す骸蠍でもなく、動きの固まっているミラーモンスターを適当に鋏で突き刺し、裂き斬り、はたまた叩いて潰す。

その工程を繰り返しながら骸蠍は主人を乗せて鏡の世界を走り回る。

 

そして、彼女達は何時の間にかIS学園の前まで辿り着いていた。

仮面ライダーサリスは足代わりに使っていたスカルピオンから降りてリアルワールドに戻る為の適当な鏡面を探す。

スカルピオンの方には、どうやらお客さんのようだ。

 

『シャッシャッシャーーーッ!』

 

『サメサメサメェーーーー!!』

 

ホホジロザメ型とシュモクザメ型のミラーモンスターが2体、正門からひょっこり現れてスカルピオンを威嚇する。

 

「暇潰しに遊んであげなさい。スカルピオン」

 

『クカッ!』

 

蠍と2匹の鮫が虚像の学校を壊しながらかけっこするのを横目に、支倉紫穂はライダー体を解除して鏡からリアルワールドの寮の中へ入った。

 

「……誰もいないわね…?」

 

ひょっこり顔を出して周囲を軽く見回し、IS寮の廊下に侵入した支倉紫穂。

その姿は…………IS学園の制服姿だった。

 

「んー、制服姿って何年振り?あ、2年前くらい?……二十歳だから当たり前だけどまだいけるわよね?」

 

ミラーワールドとリアルワールドの通路に使った鏡に映るJK姿の自分を見て背中を見たりスカートの丈を気にしたり、ピョンピョン跳ねたり、セクシーっぽいポージングをとったりと懐かりし頃の思いを楽しんだ紫穂は当初のおつかいを始める。

 

「さて、と。部屋は……ここね。入るわよ」

 

とある一室の前に来た紫穂はノックもなしに扉を開ける。

そこにいたのは…………、

 

「………(怒)」

 

「痛い痛い痛い!?こ、この子!なんて怪力なの!?」

 

メイドさんにドラゴンスリーパーを掛けられているIS学園最強、生徒会長更識楯無だった。

 

「……えぇ…」

 

この光景には流石のドSの女王も引いた。

 

「………」

 

そして紫穂に気付いたメイドーーー擬人態ドラグブラッガーはドラゴンスリーパーに掛けている楯無を空中にポイっと放り投げてすかさずドラゴンスクリューで床に投げ倒す。

そこから顔面を床にぶつけて一瞬意識の飛んだ楯無を拘束、彼女の動きを封じつつ楯無の股を紫穂に向けて思い切りVの字開脚させた!!!

 

「ッ!!?ッ!?…ッえ?は、はぁ!?」

 

「……う、顔面痛……ッ、ッ!?な、え!?ええ!?ええええ!?ちょ、まっ、この体勢…や、あぁぁ!?」

 

「………ニヤ」

 

そう、ドラグブラッガー渾身の恥ずかし固めである。

楯無が意識を取り戻して高速から抜け出そうにもドラグブラッガーの固め方は非常に強く、楯無は眼前の紫穂に己の下着を晒すこととなった!!

 

「………ぷっ、くふっ、あははは!何これ、面白」

 

楯無の恥態を目撃した紫穂は直ぐさまスマホを取り出してカメラ機能で速写する。

カメラのシャッター音が高速で鳴り、フラッシュが楯無の全身を照らす。

 

「ちょ、カメラ……なんっ……あっ!あなた、うちの生徒!?」

 

「そうよー?ここにはちょっとしたお使いを頼まれちゃってねえ。でもまあ、こんな面白い見世物が見れるんなら良かったのかも」

 

パシャパシャと写メを撮りつつ件の人物の元へと。

部屋の隅、ベットには1人の少年が寝かされていた。

龍賀アギト、仮面ライダーリュウガの変身者で今現在仮面ライダー王蛇こと浅倉威の毒で苦しんでいる少年だ。

 

「ふぅん……シス紳(※シスコン紳士又はシスコン神。総じてアルス・ウォルコットか神崎士郎を指す。この場合はアルスの事)の言ってた通り、神経毒の一瞬かしらね。ミラーモンスターの毒だから人には致死性の猛毒に成りうるけど」

 

ベットに近付いてアギトの診察を始める。

冷静に観察した結果、ベノスネーカーが用いる毒の一つで一番弱い効力の神経毒と断定、治療の為にスカルピオンを呼び戻そうとする。

 

「………」

 

「そんなに気難しい顔しなくても大丈夫よ。ベノスネーカーの毒なら前々から採取してるし、ワクチンも完成してるから」

 

鏡借りるわよ、と断りを入れて洗面所の鏡からミラーワールドに赴いた紫穂は、スカルピオンの背部外骨格である白い髑髏からケースを取って部屋に戻った。

そして注射器にワクチンを注入し、アギトの体に投入すると、簡単な処置を終えて「おつかい」を終了した。

 

「これで大丈夫とは思うけど、人間に対するベノスネーカーの毒だから突然容体が悪くなるかもしれないわ。その時はここに連絡しなさいね」

 

「……こくこく」

 

ピッと出された名刺を受け取るドラグブラッガー(メイド態)。

軽く微笑んだ紫穂はそのままアギトの眠る部屋を出て……更識楯無のあられもない姿を見また目にした。

 

「〜〜〜〜っ!!(声にならない笑い声)げほげほっ!くくくく……あーはっはっはっ!!?なにこれ、ほんと一体……お、おかしすぎ……でしょ……!」

 

「もうお嫁にいけない……」

 

V字開脚状態にロープで亀甲縛りを喰らい、「見せられないよ!」な姿になってしまった楯無を見て紫穂はゲラゲラと笑い転げた。

真性なドSの女王様は意外と笑いの沸点が低いのだ。

 

「学園最強がこれ……ひーひー…」

 

バシバシと床を叩く二十歳。

処女で亀甲縛りの女子高生。

酷い絵面が此処にはあった。

 

『クカカカカカカカ』

 

『シャーーッ!』

 

『サメーーー!』

 

「そろそろ帰り時ね」

 

「っ!貴女、仮面ライダー?」

 

「それはお互い様でしょ。今回はただのおつかい。でも、次会う時がどうかは知らないわ」

 

敵として楽しむのもそれはそれで愉しそうだけどね。

その言葉に顔を青くした楯無を眺めて紫穂は意地悪く嗤った。

洗面所の鏡越しには雄叫びをあげるスカルピオンと廊下の床に犬神式に突き刺さったアビスハンマーとアビスクラッシャー。

暇潰しに遊ばせたはいいが、スカルピオンはどうやらやり過ぎたらしい。

息も絶え絶えなアビスハンマーとアビスクラッシャーが床から抜け出して這々の体で何処かへと消えていく。

 

「変身……ーーじゃあ、帰るわよ」

 

『クカカカカカカカ』

 

先ず家に帰ったら授業のテスト採点を再開しなければならない。

溜まっている仕事の一つを思い出して頭の痛くなる紫穂と、そんな主人を愉快げに笑うミラーモンスターが、鏡面の世界を駆けた。

 




えー、如月猫様の支倉紫穂さんと契約モンスターのスカルピオンちゃんでした。
スカルピオンの鳴き声?は聞いてなかったので勝手に鳴き声書いたけど、如月猫様、不満があったら指摘して下さいオネシャス。

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