仮面ライダーリュウガ 〜暗黒を纏いし黒騎士〜   作:人類種の天敵

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やった、またオリライダーが来たぜ!ひゃっふぅ!
というわけで仮面ライダー紹介ページに載せますね。
オリライダーについての疑問や感想なども受け付けてます!→それを元にオリライダー提供者の方と設定作りしていきますのでドンドンドンドン感想プリーズVENT


所詮児戯

 

 

 

「はぁ?また新しい仮面ライダーが現れた?」

 

『そうなんだよ。だから今それの取材に行っててさ、アギトは何か知ってないのか?』

 

「シスコン野郎のことなんか知るかバカ。……お前も聞き込みしてないで神崎シスコンお兄たまに聞けよ」

 

『結衣ちゃんに聞いたけど何処にいるか分かんないって言うしよー……はぁ……』

 

「ふぅん?神崎兄がなに考えてるか分からないが……面白くなりそうだ……。じゃあ切るぞ」

 

『あ、おい!ちょっ、まっ………』

 

真司との通話を切ってスマホをポケットに入れる。

そして今自分がいるアリーナの周囲をゆっくりと見回していく。

視線、視線、視線、視線、視線、視線、視線。

好奇心や殺意や憎しみや……下らない感情を羅列する観客席を流してふん、と吐き捨て、カードデッキに視線を落とす。

 

「遅れましたわ、アギトさん」

 

「気にするな、すぐ終わる」

青い装甲に身を包み、此方を見下ろす長い金髪をした女、セシリア・オルコットの言葉にニヒルな笑みで応じる。

セシリア・オルコットはそれに対して眉を吊り上げ、顔を赤くする。

 

「そうですわね、今この瞬間に貴方を撃ち抜いて見せましょうか?」

 

「……………それは、俺の相棒を怒らせるだけだーーー」

 

やめとけ、そう告げる前にセシリア・オルコットは両手で構えたレーザーライフルの引き金を引いた。

高熱の射線がまっすぐに俺を射抜かんとするが、それは俺に届く前にドラグブラッガーによって弾かれる。

 

『ゴァァァァァァァ!!!』

 

『ビーーーーー!』

 

ドラグブラッガーがセシリア・オルコットに対して怒り狂い、奴の不意打ちに、慌てて試合開始のブザーが鳴り響く。

それを面倒くさそうに聞き流してドラグブラッガーの躰へカードデッキを向ける。

黒く、漆塗りしたかのように艶光りするドラグブラッガーの長い長い躰に、カードデッキを向ける俺の姿が鏡面のように映り込む。

すると鏡面の向こうに映る俺の腰に、Vバックルがいつの間にか装着されていた。

 

「はぁ、面倒くさい……なんで俺がこんな……」

 

ぶつくさと愚痴を言っていると、不意に四つの影が周りに集る。

どうやら、セシリア・オルコットはドラグブラッガーの躰を貫いて俺にレーザーを当てることができないと考え、俺には理解できない兵器を使用したようだ。

 

「変身」

 

鏡像が1つ、2つ、3つと重なり、仮面ライダーリュウガの装甲を形成する。

それと同時に軽い衝撃が立て続けにリュウガの装甲を焼く。

セシリア・オルコットが扱うブルーティアーズによる、四方からのレーザー攻撃を喰らったリュウガは、レーザーが当たった肩や背中をパンパンと手で払って四基のレーザービットを睨みつけた。

 

「む、無傷……そ、そんな!!」

 

リュウガに対して自分のアイデンティティが通用しないことを知り、絶望の声と愕然とした面持ちのセシリア・オルコットに対して人知れず笑みを零す。

ここでやられたフリをして束の間の夢物語に興じてもいいが、先ほどから周りをうろちょろと飛ぶ蝿が目障りだ。

サクッと潰そう……カードデッキから引き出した一枚のカードを、ブラックドラグバイザーの中へ挿入した。

 

『SHOOT VENT』

 

大型の水鉄砲のような武器、ゲリョスブラスターを両手で構えて銃口を空中に向ける。

続いてドラグブラッガーに尻尾を振り回させ、敵の動きが鈍ったところへゲリョスブラスターの引き金を引く。

紫色の塊が空中を飛ぶ飛行物に衝突し、その飛行物ーーービットはまたたく間に地面へと堕ちていった。

 

「あ、ありえませんわ……!ティアーズが一撃で……」

 

『ふん、何時から自分が優勢だと思い込んでいた?……そうだな。そこから引きずり下ろせば夢から覚めるだろう?』

 

ゲリョスブラスターを脇に挟み、カードを引く。

 

『BIND VENT』

 

それをブラックドラグバイザーに挿入すると、不意に空中から出現したゲリョスウィングの伸縮自在の尻尾が上空にいるセシリア・オルコットを拘束した。

 

「う、動けなっ…!」

 

『叩き落とせ』

 

右手の親指を立てて下に突き落とす。

それだけでゲリョスウィングはセシリア・オルコットを拘束している尻尾を地面へ勢いよく振り下ろした。

 

「あぁぁっ、ァァァァァああああああ!!?」

 

『ゲッゲッゲ♪』

 

地面に激突したセシリア・オルコットが苦痛に喘ぎ、ゲリョスウィングは尻尾を使って空中に停止した3基のビットを叩き落とした。

 

「てぃ、ティアーズ………」

 

『FLASH VENT』

 

「きゃぁぁぁぁぁ!!?」

 

暴れられるのも面倒だとフラッシュベントでセシリア・オルコットの目を潰し、ゲリョスブラスターを撃ちまくってブルーティアーズのSEを全損させる。

それを受けて試合終了のブザーが鳴り、下らん遊びは終演となった。

 

『相棒』

 

『ゴアァァ!』

 

ドラグブラッガーの躰に乗ってカタパルトまで戻る。

そこにいたブリュンヒルデと副担任を横目で流して部屋を出る。

廊下には壁に凭れかかる簪がいた。

 

「いたのか」

 

「うん」

 

「………」

 

「………」

 

一言で終わる会話、しかしこれは戦闘開始の合図に他ならない。

俺は長年仮面ライダーをやっている過程で身につけた筋力を使い簪から逃げるように廊下を駆け抜けていく。

簪は日本の代表候補生の過程で身につけた体力を用いて俺の背後2mにぴったりと着いて行く。

まるで冗談か喜劇のような鬼ごっこを開始しているが、俺としては冗談でも何でもない。

こんな体力底なしの特撮好き女に構ってたら比喩表現なしに死んでしまう。

 

「待って、何で逃げるの」

 

「お前こそ、何で追いかけてくる」

 

「か、仮面ライダーについて、質問……したい…から…!」

 

グッと両手で握りこぶしを締め、輝く瞳の視線を向けてくる変な女に眉を顰める。

 

「お前はいっつもいっつも質問が長いし多いんだよ!昨日なんてそうだ、人が寝る前に電話してきやがって……!9時30分に寝る所を朝の1時まで仮面ライダーについての質問質問質問……!挙げ句の果てに『今日は満足した、おやすみ』だと!?ふざけんな!人の睡眠時間奪っておいて勝手に切るな!」

 

「え……?学校に行く時間まで質問してやかった……?」

 

「そんなわけねえだろ!常識を考えろって言ってるんだ!常識を!!普通そこは『こんな時間まで電話してごめんなさい』だろう」

 

「次からはそうする……けど、流石に9時半就寝は、盛りすぎ……?」

 

「俺が何時寝ようが俺の勝手だ!」

 

「かんちゃーん!」

 

「ぐわっ!?」

 

「ないす、本音」

 

簪とギリギリの鬼ごっこを続けていると、突如曲がり角から誰かが飛び込んできやがった。

 

「あれ、かんちゃん……?」

 

ぽけーっとした声でとぼけ、俺の体の上に跨って首を傾げる勘違い女の頭をアイアンクローで締め上げる。

 

「ドラグクロォォォォォ……」

 

「痛い痛い痛い痛い……!?痛いよぉ〜アッキー」

 

「誰がアッキーだっ!てめえは俺の上から退けッ!!」

 

うひゃーっと楽し気に叫んで立ち上がる女を、舌打ち気味に睨む。

布仏本音、簪の次に変な女。

よく他人にあだ名をつけているが、ネーミングセンスはナイと思う。

第一俺のあだ名がアッキーはあり得ないだろう?俺がつけるとしたらブラックドラグーンとか、たっくん、とか……前者はともかく、後者は何処かが騒がしそうだ。

 

「捕まえた、これから、質問タイム……!」

 

「………なぁ、俺……昨日は大して眠れなかったんだよ……だから……勘弁してくれ……」

 

「ダメ」

 

「頼む………仮面ライダーがどれほど強いのか、みたいな下らん話のお陰でごっこ遊びの女と戦う羽目になった俺を哀れんで……眠らせてくれ」

 

「ダメ」

 

「…………………お前、鬼畜すぎね?」

 

「たまに、言われる」

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、仮面ライダー龍騎の変身者が……城戸真司……」

 

「あ、名前の前にはバカを付けろよ」

 

『たった一度与えれた〜♪命はチャンスだ〜から〜僕自身を〜勝ち得るため〜♪』

 

特撮バカ、更識簪の相手をしていると、ポケットの中から着信音が鳴る。

相手はバカ真司だ。

 

「なんだ、バカ真司」

 

『お、アギト。……バカってなんだバカって!』

 

「で、何の用だ?」

 

『新しい仮面ライダーの情報だけどさ、1人、助けられたって人と話してて』

 

新しい仮面ライダー……ああ、そういえばそんな話があったな。

神崎兄め、シスコンの癖して最近何を企んでいるのやら……まあ、俺にはあんまり関係ないだろうけど。

 

『その人にイラスト描いてもらったんだけど、あんまりにもナイトに似ててさぁ、蓮っぽいんだけどスーツの色は橙色って言うしさ……』

 

ナイトの橙色版……?

恐らくは空を飛ぶ系のミラーモンスターを従えてる可能性があるな。

確かに新しい仮面ライダーだが、情報が少ないな。

 

『アギトの方でも何か分かれば連絡ーーー』

 

「じゃ切るわー」

 

『ッ!?ちょ、まっ』

 

「………なんて?」

 

「俺が帰ってこなくて寂しいだと」

 

ずいっと顔を近付ける簪から距離を取り、バカ真司と話していた事とは違う説明をする。

この特撮バカに本当のことを言えば首を突っ込みかけない。

 

「………嘘」

 

「………マジだよ」

 

スマホを戻して立ち上がり、パンパンと膝の表面を手で払う。

同じように立ち上がった簪と見つめ合うこと数秒間、また新たな戦争が勃発するようだ。

 

「本音」

 

「おっけ〜かんちゃん〜」

 

簪の指示で両手を広げる布仏……から背を向けて一目散に駆け出していく。

布仏は目を丸くさせていたが、どうやら布仏の使い方は、俺の進路方向を一つ潰すことだったらしい。

 

「待って、正直に話して」

 

先ほどと同じく俺の背後を追従しながら質問を飛ばしてくる簪に少々苛立ちながらも自らの勝利を確信して相棒の名を呼ぶ。

 

「ドラグブラッガー」

 

鏡から出てきた黒い尻尾に飛びついてミラーワールドへと逃げ込む。

後ろを振り返ると鏡と衝突した簪が鼻を押さえながらジッとこちらを睨んでいるのが見える。

 

『ゴァァ?』

 

「……部屋に帰る。新しいライダーてのも、少し気になるしな」

 

部屋の中に置いてあるペットボトルからリアルワールドへ帰還すると、俺の部屋の中には、どうやら先客がいたようだ。

 

「なんだ、神崎兄」

 

「………」

 

仮面ライダーシステムを開発した張本人、神崎士郎がベットに座ったままいつもの無愛想な面を引っさげている。

 

「ああ、そうだ。そういえばバカ真司があんたを探してたぞ。なんでも、新しい仮面ライダーをスカウトしてる件について……とか」

 

冷蔵庫からカフェオレを取り出しながら神崎兄に問いかけると、奴は先日妹にプレゼントされたケータイを弄っていた。

 

「………」

 

「何見て…………」

 

スマホのホーム画面が妹の写真だった。

しかもパスワードを忘れたのか知らんが起動出来ない状態みたいだ。

 

「………シザースのカードデッキを、天災が奪った」

 

起動を諦めた神崎がポケットの中をゴソゴソと弄る。

 

「…………ふん」

 

蟹め、やはり奪われていたか。

なら実行したのはブリュンヒルデか織斑一夏か……。

そして神崎兄は何やってる?ポケットの中にスマホを入れるだけだろ?

 

「奴は、恐らく擬似的な仮面ライダー……オルタナティブを開発する」

 

違った、何か分からん機械についたコードをスマホにブッ刺した、あっ、こいつもしかしてハッキングか何かして強制的に起動する気だな……才能の無駄遣いめ。

 

「…………まるで、知っているかのような…そんな口振りだな。あのクソ兎を育て上げたのがお前なのか……はたまた」

 

「「擬似ライダーオルタナティブの存在を見てきたか」………ふっ」

 

神崎兄とセリフがハモったことで俺は確信して鼻で笑った。

こいつが使用する、またはホームレスに変身させる仮面ライダーオーディンは、時間を巻き戻し、使用者を過去へと遡ることが出来る、まるで神のようなカードを所持している。

ここにいる神崎兄が、何度過去戻りを繰り返したのか興味はないが、こいつが警告するほどの擬似ライダー……面白そうだ。

 

「………そのカードデッキは、唯一人の手で生み出されたものではない」

 

「………なんだ、急に」

 

「結衣を救いたいという思い、何も変えられない自分への怒り……。全てを捨てて1人を救う。北岡を、手塚を、浅倉を、そして秋山を。12人のライダー全てを殺す決意をした鏡像の真司が生み出したーー」

 

「黙れよ」

 

「………」

 

「お前が何度過去を見たかなんて興味ない。このカードデッキの存在理由だってな。だが、俺に戦えと諭したあの城戸真司を人じゃねえとか、鏡像の幻だと言うのだけは絶対に許さねえ…………ちっぽけだけどさ、それだけは譲れない」

 

「………そうか……いや、そうだな」

 

神崎兄が、無愛想な面を、初めて穏やかな微笑みへと変えた。

 

「あの日お前が城戸真司に出逢わなければ、俺はまた……結衣のためだと、あいつの思いを蔑ろにしていただろう……。あの時城戸真司が最期に出逢ったのが、龍賀アギト……お前で良かった」

 

「……おい、結衣に送るから今の顔もう一度見せろ」

 

写真モードに移行したスマホを片手に神崎兄へと珍顔をせがむと、奴は何時ものような無愛想な顔でこう言った。

 

「戦え。戦え、ライダー。……そのまま……迷わず……戦え」

 

スッと神崎兄が立ち上がり、部屋の鍵を開けて廊下へと出て行った。

俺はその後ろ姿を見送り、ポケットから、城戸真司から受け取ったデッキを手の中で弄び……。

 

『キャーーーーーー!!!不審者ーー!!』

 

『出会え〜!!!!出会え〜!!!!曲者ゾー!!』

 

『変態ーーー!!!!きっとあのコートの中は裸なんだわー!!死ね!!!』

 

『逃げたぞ!オエー!!IS学園に侵入したことを後悔させてやるぅぁぁあああ!!』

 

『〜〜〜ッ!!!ドンドンッ!!ドン!ドンドンドンドンッ!!』

 

「………」

 

そのままG-SHOCKに視線を落とし、そろそろ夕ご飯の時間だな……と、またミラーワールドの中へ入って行った。




まあ、神崎サンって普通に見ても不審者よね?

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