仮面ライダーリュウガ 〜暗黒を纏いし黒騎士〜   作:人類種の天敵

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ど、ども、お久しぶりです。
前話が8月なので三ヶ月くらい空きましたね……てへっ♡
みんなをイラつかせるくらい更新を空けたのは私の責任だ、だが私は謝らない(プラズマチョチョ−!!)
アッ、ウソです。ごめんなさい。


転校生

 

 

更識簪との契約を結んだ翌日、教室に行くと早速織斑千冬に連れて行かれた。

 

「龍賀、貴様、昨日は一体何処にいた?」

 

「別に、俺たちが何かするなんて、分かりきった事だろう?……餌の一食二食抜いたところで俺のモンスターは暴れないが、お前らの大事な生徒はどうなるかな」

 

アギトが示唆した言葉、それは、暗に「俺がミラーモンスターを排除してやっているから口答えするな」とアギトが織斑千冬を脅していることに他ならない。

織斑千冬は顔を顰めて黙することを選ぶ。

自らが仮面ライダーであれば良かったのだろうが、人間が入ることのできない鏡の世界へ侵入し、異形の怪物と戦い勝利する少年の餌やりを、頭ごなしに矯正することはできないのだ。

このIS学園には放し飼いされているサメの契約ミラーモンスターとアギトのドラグブラッガーが半ば根城としているため、他のミラーモンスターがIS学園の生徒を攫って捕食しようという気配は薄れている。

 

触らぬ神に祟りなし、頭の悪いミラーモンスターといえども、自分を狩る捕食者の近くなど、本能的に逃げ出そうというものだ。

 

しかし、その全体の1割に、ドラグブラッガーを恐れぬ頭の悪いバカは存在する。

そのバカがミラーワールドへと引きずり込むのは、1年1組の生徒である可能性も皆無ではないのだ。

 

「…………授業に出席しなければ来年も留年する羽目になるぞ、龍賀」

 

「ふん、余計なお世話だ」

 

織斑千冬との話を、早々に打ち切ったアギトは鼻を鳴らして教室へと戻る。

廊下の窓ガラスの表面に、彼に追従する黒い龍が浮かんでは消え、消えてはまた浮かぶ。

それが、彼こそが異形の怪物を打ち倒す者、ライダーであることの証明だった。

 

「そんなことより一夏!あんた、クラス代表になったらしいわね」

 

「それがどうしたんだよ」

 

「私もなったのよ、2組のクラス代表にね」

 

「ふーん………げっ!?」

 

「?なに、どうしたのよ?」

 

教室の前にチビがいる。

そいつはアギトが教室に入ることを阻んでいるようだ。

 

「おい……退け」

 

某蛇野郎程ではないが、仮面ライダーの中でも上位に位置付ける位に短気なアギトは、怒りを抑え込んだ冷たく、低い声で目の前のチビ助を恫喝した。

 

「はあ?ああ、教室に入りたいの?少し待ってなさいよ。それで……一夏、あの、約束……覚えてる?」

 

「約束?……ああ」

 

このクソ女……ドラグブラッガーの餌にしてやろうか?

 

目を細め、目の前のチビを鋭く睨み付けたアギトがポケットからカードデッキを取り出した。

 

「ドラグブラッガー………」

 

「ひっ………!」

 

織斑とチビを除いた女生徒が、空気が変化したことに気付き、小さな悲鳴を漏らす。

アギトの体の周りを、何か、黒い渦が広がっている。

それはグルグルグルとアギトの周囲を回遊し、次第に形を成し、おぞましい唸り声を上げる。

 

「……3度目はないぞ、チビ……退k」

 

「誰が貧乳どチビよーーー!!!」

 

ボガッ………と、アギトの鳩尾にチビ女の右ストレートが奔る。

チビ女こと、鳳鈴音はハッと、今殴った誰かの鳩尾へと視線を落とす。

 

ーーー堅い………!!まるで、複数重ねた鋼の板を殴ったようだーーー。

 

痛みに瞳を若干濡らしながらも、毅然とした態度で鈴音はアギトを下から睨み付けた。

 

「あんた、私のことを貧乳と……更にはチビとまで言ったわね?……って、男?」

 

アギトの顔を見てキョトンとした鈴音の顔を、五本の指で掴み、横へ放り投げる。

 

「邪魔だ」

 

「あいたっ!?あ、あんた!許さないわよ!!」

 

鈴音が、彼女の持つ「専用機」を見に纏い、青龍刀をブンブンと振り回して吠えた。

が、しかし、その勢いは中途半端に静止してしまう。

否、まるで時を止められたかのように、鈴音の体が動かなくなっているのだ。

 

「???……??」

 

その時になって彼女は気付く。

自分の体を覆い尽くす長い、長い躰を持つ黒き龍のその姿を。

そして、今も尚自分を見下ろす、黒い学園服の、男の姿を。

 

「…………喰い殺すぞ」

 

ニヤリ、とアギトが頬を引きつらせながら笑う。

元々笑うのが得意ではない無愛想な少年が、殺意を込めて微笑むと、人殺してますよと笑顔で笑いかけているような不気味な笑顔になるものだ。

アギトの笑みは、怖く、恐ろしく、哀しいほどにキモかった。

 

「ひ、ひぃぃ……ぁづぁっ!?」

 

アギトの睨みに震え上がった鈴音の頭を、一冊の出席簿が直撃する。

 

「ひ、ひ…」

 

ガタガタと震える鈴音の瞳は、すでにボロボロと大粒の涙を流している。

まさに人目を憚らず大号泣している。

 

「鳳……貴様は2組の生徒だろう。それと、ISの無断使用はご法度だ。貴様には後でたっぷりと反省文を提出して貰おう」

 

「え゛………」

 

反省文提出、それを理解した鈴音の涙はすぐに引っ込んでいた。

 

「それが分かったのならばとっとと貴様のクラスへ帰らんか!」

 

「は、はひぃーーー!!?」

 

しかし、目の前にいるのは魔王千冬、反論など出来るはずもなく、鈴音は命からがら逃げ出していった。

 

「アギト」

 

「ふん、あんなガキじゃ栄養不足だ。誰が喰わせるか」

 

吐き捨てるように言った彼を、怯えた眼差しで見つめる女生徒たち。

クラスの空気が悪くなる中、一夏の側にいた金髪の女生徒が毅然とアギトに向かい合う。

 

「アギトさん、突然ですみませんが、わたくしと戦って欲しいですわ」

 

「………」

 

アギトは何も喋らずに面倒臭そうにセシリアをぼんやりと見つめている。

ならば好都合と金髪の女生徒……セシリア・オルコットはまくし立てていく。

 

「まずはじめにわたくしは貴方のことを仮面ライダーの1人として認めていません、仮面ライダーは力を持たない人々を救うヒーローですわ。それが貴方のような……」

 

「ご高説どうも、だが、そんなバカはバカ真司だけで十分だ。俺はお前らを守るために仮面ライダーをやってるわけじゃ無いんだよ ……バカめ。俺たちに高い理想を押し付けた所でどうでもいいんだが、下らん幻想は身を滅ぼすぞ」

 

「っ……!!」

 

セシリアは絶句してアギトをより睨みつける。

その睨みを受けたアギトは、それでも飄々とした態度を崩さず口元をニヤリと緩めた。

 

「勘違いしているようだが、俺たちがミラーモンスターを狩ってるのは契約しているモンスターに餌をやるためだ。それ以上でも、以下でもない。まさか、仮面ライダーが女の忠実なる騎士だと……下らん夢物語を見ていたのか、英国のお嬢様?ククッ」

 

プルプルとセシリア・オルコットは身を震わせて視線を強める。

彼女の祖国、英国では、最近英国の方へ仕事の小説を書くための取材に行ったどこぞのライトノベル作家が、商売関係で同じく英国に出張中の佐野という使いパシリと、なんかタコ型のモンスターである「テンタクルクラーケン」というミラーモンスターを相手に派手にドンパチしたらしい。

その際に芳乃が書くようなライトノベル小説のあるあるみたいな?何故か出張中のブリュンヒルデと山田真耶が捕食される所に出くわして戦闘開始、見事使いパシリの佐野と「テンタクルクラーケン」を撃破して英国話題の「海面に蠢く触手事件」に終止符を打ったらしい。

 

バカか、あいつバカか。

 

しかもその時の戦闘光景が広場の噴水に映っていたとか、助けられたブリュンヒルデを見に集まった野次馬が戦闘を終えた芳乃と佐野(共に変身状態)に対して惜しみない拍手を贈ったとか。

 

バカか、お前ら揃いも揃ってバカか。

 

「はぁ、最近芳乃の奴もバカ真司に毒されて来てないか……?」

 

「な、何をボソボソと……。い、言いたいことがあるならはっきり言えばよろしいですわ!」

 

「そうか?なら、はっきり言おう。俺はお前と戦う気はない。なんだ、理由が必要か」

 

返答した俺に対してキッと睨みつける目の前の女に、ニヤッと口元を緩め、言う。

 

「フッ、まず第一に貴様と俺では経験が違う。片やミラーモンスターとの戦いに明け暮れて生き延びた俺とごっこ遊びにうつつを抜かすお前……どちらが格が上だろうな」

 

「ッ………!!!」

 

「そして、貴様にはなく、俺にあるもの。契約ミラーモンスター……ミラーモンスターがどれほど強いのか、それを知らぬバカじゃないだろ?」

 

「で、ですが…!」

 

「ああ、言い忘れてた。ここで変身した時の制限時間は無い。そして防御力も、ISより遥かに上だ」

 

息を飲む音、驚愕の視線。

それらをたった2秒で表現した女は、ハッとして震える声で質問する。

 

「ここ……で……?」

 

「頭は回るみたいだな。お前はミラーワールドに行ったことが無いだろうから言うが、あそこに生物などいない。俺が使役するミラーモンスターや野良だけで、ただの人間が奴らに引き摺り込まれれば、それは死を意味する」

 

ごくり、教室中の人間の顔は青ざめ、ブリュンヒルデが軽く身震いした。

 

「唯一例外は仮面ライダーだけだ。……それも、9分を過ぎれば死ぬが……」

 

正確に言えば9分55秒だが、こういう少しの思い込みをさせておいたほうが都合が良い。

 

「に、逃げる方法は」

 

「ない。自由に出入りできるのはミラーモンスターと仮面ライダーのみだ。他の人間は鏡の世界から逃げ出すことも出来ずに奴らに捕食されるか…………消滅する」

 

「「「「…………」」」」

 

「まあ、仮面ライダーが連れて行く分には出入り自由だけどな……なあ?これでも俺と戦いたいか?俺にとっての戦いは、お前らのような相手の体力を減らせば自動的に勝てるようなものじゃない。『デット オア アライブ』。敵を殺すか自分が死ぬか、戦わなければ生き残れないんだよ。死ぬ奴は戦う覚悟も殺す覚悟もないザコだ」

 

吐き捨てて、ギロリと目の前の小娘を睨みつける。

奴は声にならない悲鳴を漏らして少し後ずさった。

 

「俺のデッキを狙っているなら知っておけ。俺は、殺せるぞ」

 

シン、と静まり返った教室の中へ入り、空いている席へ座る。

場違いなチャイム音が鳴り、入室したブリュンヒルデがワザと咳払いをし、他の女生徒に着席を促す。

チラリと先ほどの目障りな女を見ると、金髪の女は青ざめたまま顔を俯かせていた。

芳乃は青春を謳歌して欲しいだのとほざいていたが、俺にその気はない。

俺をハメてデッキを狙うならばそうすれば良い、俺も、好きにさせてもらう。

俺は、殺せるが、須藤の様に契約しているミラーモンスターに喰わせることはない。

なぜなら……なぜならーーー

 

「それでお前らが味を占めたら……毎回毎回、餌を調達するのが面倒臭いからな」

 

『ゴガァァァァァ……グゴォォォ……』

 

これで俺に突っかかる様なバカは目に見えて減少する。

それでもデッキを狙うなら、その時は始末すれば良い。

俺は浅倉のように好んで人を殺すタチではないが、バカ真司のようなお人好しでもない。

 

降りかかる火の粉は払う。

 

それが、人であれ、ミラーモンスターであれ、俺の居場所を奪うのであれば、誰1人例外なく、殺す。

 

「………『戦わなければ生き残れない。』」

 

鏡像の城戸真司が言っていた言葉は、居場所を奪われた俺にとって、運命さえも変えた言葉だ。

復讐なんぞ、怠くて、面倒臭い。

俺を忘れた姉の元に戻るなど無く、仮面ライダーとして戦い、契約ミラーモンスターに餌を与える……。

俺は今のままで、十分満足しているのだ。

 




芳乃=サンの活躍についてはサイドストーリーで……。
勝手に舞台とか弄ってるけど、いいよねっ!なんか芳乃=サンの方が主人公っぽいけど、いいよねっ!最終的に芳乃=サンが主人公になっちゃってるかもしれないけど……いいよねっ!とりあえず佐野君はチョチョ−!!サンになったけど仮面ライダーを止めれず……まあ、餌あげとけば良いしダイジョブダイジョブとか前向きなポジティブ思考だけど、良いよねっ???

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