仮面ライダーリュウガ 〜暗黒を纏いし黒騎士〜   作:人類種の天敵

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ども、天敵です。とりあえず描写は無しで蟹、退場……。
後ろからグサリと一夏に殺られました。しかもデッキを奪われるというオマケ付き。哀れなり須藤。


どうやら蟹が殺られたらしい

龍賀アギトが仮面ライダーリュウガだと判明してIS学園に連行され、そこで蟹や三人の新しいライダー達と戦い、ハイエナのミラーモンスターであるクレイジーワイルダーをドラグブラッガーやゲリョスウィングの腹に足しにして喫茶店花鶏に帰った後、アギトが何の気なしに真司が使うPCを弄ると、『IS学園を襲った謎の怪物!』という特集が話題沸騰していた。

 

『IS学園ではこの時、ブリュンヒルデの弟であり世界初の男性操縦者である織斑一夏君とイギリスの代表候補生のセシリア・オルコットさんが1–1クラス委員の座を賭けて模擬戦をしていたようです』

 

『流石千冬様の弟ね、世界最強の肉親としてまずは一年生最強の一人を目指すなんて……』

 

『いえ、入ってる情報では単に男だから指名された……と。あ、もちろん織斑一夏君からの証言です』

 

『………』

 

『………あー……そしてですね、2人の戦闘が終盤には差し掛かった所、二足歩行をしたハイエナの怪物が、アリーナ中に現れた、との事です。こちらはIS学園の生徒が撮った映像になります』

 

そう言って視界の男が指し示したスクリーンに、素人が撮ったような荒っぽい動画が映し出された。

 

『きゃーーーーー!!?』

 

『え?なになに?どうしたの?ねえ!』

 

『ええ、わ、分かんないよ。ねえ、どうしたの』

 

『いや!いや!いやぁぁぁ!?誰か!誰かぁぁ!?助けーーー』

 

『へ、い、今の……何、あれ………』

 

観客席で悲鳴を上げた生徒が鏡の中から現れた二足歩行の痩せ細ったハイエナのような怪物に足を掴まれて鏡の中へと引きずられていった。

 

『!?こ、こっちに来る!嫌、来ないで……来ないでえええええ!!』

 

カメラを持った少女へ1匹の怪物が近づいて来る、すぐに彼女も体を捕らえられてしまい、そのまま鏡の中へと連れ去られていく。

 

『クケケケケケ』

 

ハイエナの嘲笑う声がカメラから響き、少女は鏡の中へと入っていくーーー所で鏡から放たれた強烈なパンチが怪物の顔面に吸い込まれて豪快な音を鳴らして怪物を吹き飛ばした。

 

『…へ………だ、誰………』

 

『…………』

 

少女の言葉に鏡から出ている右腕は何も答えない。

そして右腕から先が徐々に鏡から生み出され、顔が、足が、胴体が鏡から吐き出された……それまるで、騎士のような出で立ちであった。

 

『クキャキャ!?ケケケーーー』

 

『ハァァ……ハッ!』

 

静かに鏡の中から現れた黒い騎士は、怪物が立ち上がろうとした瞬間走り出して勢いのまま怪物の顔面に飛び蹴りを喰らわせる。

怪物は悲鳴を上げながら二転三転と観客席を跳ね、続く黒い騎士の二段蹴りを喰らって爆散した。

 

『あ、あの……た、助けてくれて……ありがとうございます…』

 

『………』

 

『い、痛い!!あぁ………』

 

『………』

 

『あっ……!』

 

少女の言葉に無言を返した黒い騎士は、別の方から聞こえる小さな悲鳴と残虐な嘲笑の元へ駆け出していく。

そして、そこまででカメラの映像も途切れた。

 

『………いかがでしたでしょうか。映像のハイエナのような怪物、そしてそれに引きずられていた少女を助けた謎の黒い騎士。仮に、我が番組では、彼、または彼女を「仮面ライダー」と定義します。あの黒い仮面ライダーの姿は皆さんに、どう、映りましたか……?』

 

『そうだね。私としては彼、もとい仮面ライダーに賞賛の嵐を送るよ。彼の身元が分かれば大々的に表彰を贈りたいところなんだが……まあ、無理だろうね』

 

『何故でしょう?』

 

司会の言葉に、黒い仮面ライダーに対して好意的な意見を述べた壮年の男が残念そうに息を吐く。

そこへ司会が最もらしい疑問をぶつけた。

 

『仮面ライダーがどのようにして現れてどのようにあな化物を倒したかい?化物と同じように鏡の中から現れて、素手で、仕舞いには武器を使わずに蹴りだけで化物を倒してしまった。その威力は、スマホのカメラでは霞み、ブレてしまうほどのスピード。そして化物が爆散してしまう程の破壊力と分かれば私のような立場の人間としては、どんな手段を使ってでも彼……仮面ライダーを手元に置きたくなるからだ』

 

『なるほど……』

 

『それに、彼の声を聞いたかい?くぐもっていてよく聞き取れなかったが、あれは確かに男の声だった……』

 

『あっ!!』

 

司会の男が素っ頓狂な声を上げた。

恐らく、壮年の男の言葉で司会も黒い仮面ライダーの正体が男であることに気付いたのだろう。

目が点となった表情でスクリーンの最後の映像、黒い仮面ライダーが駆け出していく姿を食い入るように見つめる。

 

『貴方は、何が言いたいのよ。まさか、男がIS同等の性能を持つ何かを手に入れたとでも言いたいのかしら。下らない。良い?男は所詮私たち女の下僕なのよ!この仮面ライダーだとかの中身が男として、結局は私たちの小間使いよ!』

 

 

「うっわ、酷い言い方するな、この人」

 

カウンターに立っていた真司が顔を顰める。

画面にいる女は、ご丁寧にも女権団体所属という名札が付いている。

 

「俺たちは人間の自由と平和を守る仮面ライダーなのに!」

 

「………最高にイかれてるよ、お前……」

 

目をキラキラと輝かせて熱弁する真司に呆れて物も言えなくなる。

 

「……そういえば、蟹刑事、大丈夫かな」

 

ぽつりと真司が言葉を漏らす。

蟹刑事……須藤雅史は、IS学園にて俺と戦闘になったために完膚無きまでに叩きのめした。

そして変身を解かれてボロボロの状態で帰ろうとした所を、背後から何者かに刺されて重傷を負ったらしい。

今はIS学園の教員(真司曰く、眼鏡かけてて巨乳でロリ)の対処で直ぐに病院に搬送されて入院中との事だが……

 

「あんな奴でも、見舞いぐらいには行ってやらないとな」

 

「………お前は本当に、人が出来た奴だよ、真司……見舞いの品がラッキョウじゃ無ければ、な」

 

「え?そうか?」

 

「………」

 

訂正、お人好しの重度のバカ、だ。

重傷を負った人間の見舞いにラッキョウを差し入れるバカは世界広しといえどこのバカしかいないね。

 

「いやー、アギトが褒めるなんて珍しいから嬉しいな」

 

「………ああ、もうそれで良いから、カフェオレ1杯くれよ」

 

あまりのバカさ加減に頭痛がしてきた頭を片手で押さえ込んでふるふると顔を振る。

そしてポケットから取り出したスマホ(婆さんに持たされた)を弄っていると、喫茶店花鶏の扉が開かれる音が聞こえた。

 

「ふぇ〜……な、なんだか、凄いお店……!」

 

田舎感丸出しの女だ、花鶏の中をキョロキョロと首を動かしている気配が伝わってくる。

しかもやたらスンスンと鼻をひくつかせて「良い匂い〜」などとほざく始末だ、こういう奴は無視するに限る。

 

「あ、いらっしゃい」

 

「ふぇっ……?………」

 

「………」

 

「………」

 

「………あの、何かご注文は……?」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

真司の声掛けにフリーズベントを喰らって動けなくなった女(もちろん比喩だ)は、まるで人形のように活動を停止した。

真司の方もこうなることは予想外だったらしく、俺の方を見て気まずそうに目を逸らす。

 

「………はぁ。おいあんた、そこに突っ立ってないで座れよ。ただの冷やかしだって思われるぞ」

 

「はひぃっ!?……ふぇ、わ、私?」

 

「こんな真昼間からガラガラの店に俺とこいつとお前以外誰がいるんだよ……」

 

眉を寄せてバカ真司を指差す。

しかし目の前の女は未だ理解が及んでいないようで、自分の顔を指してこてん、と首を傾げている。

こいつもある種真司とは似たり寄ったりのバカなのかも知れない。

 

「じゃ、じゃあ……し、シツレイします」

 

ギクシャクとした足取りでカウンターにちょこんと座った女。

なぜ俺の隣に座る???という疑問が喉の直ぐそこまで出掛かったが、ひとまずそれを置いといて真司が注いだカフェオレを口に含む……うむ、真司の癖に美味い。

 

「………」

 

「………」

 

「…………え、っと……ご注文は…?」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「……お前だよ!!」

 

「ふぇぇ!!?」

 

こいつ、反応が超絶遅い、反応速度もバカだ。

 

「わ、私ですか?え、えと、じゃ、じゃあ彼のと同じ奴を……あの、おね、お願い、します……」

 

おどおどと俺のカフェオレを指差しながら戸惑いがちの視線を俺と真司の間で泳がせた女は、それっきり黙りこくってしまった。

 

「……真司」

 

「お、おう」

 

チッ、と舌打ちしたいのを懸命に堪えて真司に向かって顎をしゃくる。

俺の意図したことが分かったようで、真司も新しいコップにカフェオレを注ぎだした。

 

「………」

 

「………」

 

「…はい、どうぞ」

 

「あ、あり、ありがとうございます……」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

…………………静か……、そう、静かだ。

蓮と真司が喧嘩しているのをカフェオレを飲みながら見ているのは飽きがないからとても楽しい。

かと言って静寂が嫌いなわけではない、むしろ時に1人で過ごすのも良い……まあ、人間態のドラグブラッガーに邪魔されるのが常だが。

………だが、今のこの雰囲気、これは嫌いだ。

全ての原因はこの、田舎感丸出しの女の所為だ。

さっきからこいつは、俺と真司を交互に見つめながら喧しくカフェオレを啜ってやがる。

もうちょっと静かに飲めよ……頼むから。

 

「えーっと、君、どこの学生?」

 

気まずい雰囲気と俺のイライラを察した真司が田舎女に気の引いた質問を投げかける。

 

「あ、IS学園です!IS学園の理緒って言います!」

 

………何故か田舎女の反応は早かった。しかも勢いが強かった。

カウンターを両手でバンッと叩いてみを乗り上げるように名乗りを上げた。

 

「………」

 

「えっと………」

 

「…ご、ごめんなさ……」

 

ダメだ、こいつは真司と同じく空気を読めない。若しくは空気を読まないバカ、だ。

真司が純粋なバカ、だとすればこいつは天然物のバカ、だ。

純粋なバカならやりようによっては扱いやすいが、天然バカは意図せず自分で暴走するから扱いに困る、ハッキリ言って苦手な女だ、こいつは。

 

「ただいま、真司ちゃん」

 

「真司くーん、お留守番ありがと……あれ、お客……さん?」

 

気まずい雰囲気の中、たった三人、ひたすら無言で過ごしていると、再度花鶏の来店音が響き、見知った2人の声が聞こえた。

しかもこの2人は、今のような場合、非常に頼もしく思える2人だ。

能天気なバカ真司を完封した女も、これで少しは気まずさが無くなるだろう……。

 

………それは、残念ながら間違いだった。

 

「ふ、ふ、ふぅ、ふぇぇぇぇぇぇ…ん」

 

「な、泣いたァ!?」

 

「………は…」

 

両手の指で目尻を抑えながら号泣する女を前に、俺と真司は開いた口が閉じないまま、互いに見つめ合って唖然としていた。

 

「ちょ、ちょっと、大丈夫?……2人とも、後で訳を聞くから」

 

「まったく、花の女の子を泣かすなんて、漢の風下にも置けないね!」

 

女の泣きじゃくる姿に花鶏に務める2人の女性………婆さんと神崎優衣が俺と真司へ般若の表情を垣間見せ、優しく女の肩を抱いて宥めかせる。

それをすぐそばで視線を泳がせて、俺はやけくそな気持ちでカフェオレを喉に押し込んだ。

 

 

 

 

その後、泣き止んだ女が、自分の自己紹介をして、花鶏に来た理由を話すまで、俺と真司の2人が針の筵に座ってるような居心地を感じ続けていたのは………言うまでもない。




んー、さっきまでニコニコのリュウガタグのついた動画をずっと見てましたが……本当リュウガ強いよね……。
しかも須賀貴匡さんの演技力とか……スーツアクターの高岩成二さんと岡元次郎さんが半端なかった………こいつぁ、勝てるわけがねえぜ……
これでリュウガがサヴァイヴしたらもっと収拾がつかなくなるんでしょうね。
あー、あとリュウガ戦闘シーン撮った生徒は黛薫子に拉致られて新聞部に強制入部されました。グットラックモブ子

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