おやっさんはプロデューサー   作:デーモン赤ペンP@ジェームすP

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自分はPaPです。みりあちゃんやユッキが好きです

でもこの話には、かなりCoのアダルト組が出てくることになるでしょう

妄想してたら、何故かおやっさんとお姉さま方がほほ笑みながら仕事の話をしているシーンばっかり浮かんできてしまったから



だからと言ってPaを出さないわけじゃない(キッパリ


第一話 ―探偵の目覚め―

―都内某所の病院―

 

ある病室、窓は開いており、そこから降り注ぐ優しい日差しと吹きこむそよかぜが、今が春であることを知らせてくれる。だがその部屋はとても静かだった。風が揺らすカーテンのこすれる音が聞こえるくらいか

 

いや、呼吸音が二つしている。方やイスに座り、もう片方は病人用ベッドで眠っている、という違いがある点はあるものの、ふたつとも規則正しい音を立てている

 

 

 

「この男の人って、やっぱり『異次元転移装置』を使ったから現れたんだよね・・・ということは、成功は・・・してたんだ・・・でも」

 

 

 

イスに座っているのは、10代ぐらいの「少女」だった。きれいな茶色の髪をツインテールに結い、レンズの下部分だけをピンク色のフレームで囲まれたメガネをかけ、白衣をまとっている

 

そんな彼女の前には、病人用ベッドで眠る「男性」の姿が。見た目は20代から30代といったところか、顔たちは一言で言うなら「かっこいい」部類だ。それもイケメンというより、ハンサムといったベクトルの人種だろう

 

彼女の発言でわかるように、「彼女」というのは、先日「異次元転移装置」を開発し、「試運転を失敗」したことになっているあの子である。そして彼女の目の前でいまだに目をつぶったままのこの「男」こそ、その「試運転で成功」した例となった男である。見つけた時に背中を血濡れにした彼は、少女の親がもしもの時のために待機させておいた、腕利きの救護班によって一命を取り留め、すぐさまこの病院に搬送された。緊急手術で峠を越えた後は、彼女の両親や病院側の手まわしで、あれよあれよと言う間にこの病院に入院することになったのだった

 

あれから一週間がたった。その間に彼は一回も目を開けることはなかった。そのことが彼女を不安にさせるが、担当した先生が「大丈夫だ」と言ってくれたことで平静を保っていられている

 

 

「・・・でも、あれから装置はうんともすんとも言わなくなった。あの後『導線』は全部しっかり繋いだし、改めて見直した設計図に間違いやミスはなかったし・・・電力が不足しているわけでもなかったなのになんで?」

 

 

 

あれから彼女は、きちんとした成功を見るために努力した、しかしそれは、何故か上手くいかなかった。電源よし、『導線』よし、設計図と機械の見直しよし、では作動!をこの一週間でかれこれ5回ほどやったのだが、装置はまるで「自分の役目はここまでです。後は任せましたぜ、母さん!」とでも言わんばかりにうんともすんとも言わぬ、ただのしかばねと化してしまった

 

何が悪かったのか、故障もないのに再始動もしないというのはなぜなのか?そんなことをベッドを見ながら考えていると、病室の扉が開き、白衣を着た見た目40代ほどの男性が入ってきた。少し白髪の混じった髪を後ろに撫でつけた、なかなかのナイスミドルである

 

 

 

「先生、この人の容体は、大丈夫なんでしょうか」

 

「・・・全く問題ない。いや、長生きはしてみるもんだね、これほどまでに回復力に優れた人間は今までで見たことがないよ。当初運ばれてきた時なんか、『もう思い残すことは何もない』みたいな穏やかな顔してたのに、手術しだしてからというもの、どこにそんな力があったのか、驚くほどに回復しているよ。下手したら、この一週間以内に目を覚ますかもね。怪我の具合を見ても、もしかしたら歩き出したりしてね」

 

 

 

医者の言葉を聞いて、少女はホッとした。自分の実験に巻き込んだようなものである彼がもう大丈夫と分かったのだ。その安心は推して知るべしだろう

 

しかし話題に上っているその彼自身の回復力はすさまじいらしく、話を聞くに、背中の傷はもう治り始めているというのだから内心驚いた。ぱっと見だったが、あの傷はおそらく銃で撃たれたもの、下手したら死ぬようなけがだったのに、一週間で治りかけているという。さらにはあと一週間もしたら目覚める、もしかしたら歩き出すかもしれないという。けが人の体力ではない。医療の知識は聞きかじり程度だったが、それがどれぐらい異常なことかぐらいはわかる。

 

 

 

「・・・・・・・・・あなたはまだ60にもなってないでしょうが。でもそうですか。よかった」

 

「ふ~ん、珍しいねぇ、君が他人の心配なんかするなんて。明日は雨かな?」

 

「根拠のない非科学的な発言はあまり好きではないのですが・・・それに、最初から状態があの怪我だったとはいえ、自分の発明の結果死人が出ました~なんて、これからの科学者としての道に支障をきたしかねないだろうから・・・」

 

「またまたぁ、照れちゃって」

 

「っ、照れてなどいませんっ」

 

「どうしたどうした?お顔が赤いぞ~?まっかっかぁ」

 

「あ、赤くなどなってないっ!」

 

「しーっ、ここは病院だよ?」

 

「アーッ!クソッ、ムカツクこの医者ぁ~!」

 

「ハッハッハ、伊達に君が赤ん坊のころから知ってるわけじゃないよ」

 

 

 

・・・そんなこのナイスミドル、少女の知り合いらしい。そしてなかなか愉快な性格をしているようだ。天性の才能を発揮して開発者となり、人前で発表できるほどの頭や経験をもってしてもまだ11歳、年季の入った思考、そして昔から自分を知られているという点から、彼女が口げんかで勝つにはまだまだ時間がかかりそうである

 

 

 

「それでだ、話は変わるが『晶葉くん』、アレのことなんだがね」

 

「ハァ、ハァ・・・・・・『異次元転移装置』のこと、ですよね」

 

 

 

粗方茶化し終えて満足したのだろうこのいい性格したナイスミドルドクター。唐突に話題を変えてきた。振り回されて息切れしている彼女は、釈然としない何かを抱えながらも、転換された話題が、避けられないものと分かると落ち着いて医者がいいたいことであろう、装置について考えを巡らし始める

 

 

 

「あぁ。本当に『失敗』として発表してよかったのかい?まぁ、なんやかんやであの場にいたマスコミも全員が内密にしてくれることを約束したらしいけどさ?ものすごい結束力だったって聞いてるけど・・・君としてはその判断で納得しているのかなと思って」

 

 

 

あの後のことだ。試運転で成功しちゃったのを見たものの、出てきたモノがモノだっただけに、あの場の報道陣みんなの記憶は、きれいさっぱり頭のタンスの中にしまわれてしまい。男性が搬送されるのをみんなで付き添い、その後に「どうする?」みたいな雰囲気になった報道陣だった。開発者の彼女が「今回は失敗ということにしておいてくれ」という言葉と共に思い出した彼らは、「アッ、ハイ」と半ば気の抜けた返事の後帰っていき、今回の発表結果を報道したのだ。「失敗」という形で、取材に来たところ全部がである。優しい世界だ

 

 

 

「そう、ですね・・・あの後、考えられる手段はいろいろ手を尽くしたんですけど、全然動かなくって。そのことを考えると、『今回は』失敗、って言ったのは、間違ってなかったと思うんです」

 

「・・・本当に良かったのかい?今まで失敗作を世に公表したことのない君が、発表の場で失敗したっとなったら、これから大変だろうに」

 

「何もこれで諦めるわけじゃありませんし、私だって公表していないだけで、失敗作なんてたくさん作ってますよ。それに私はまだ11歳なんですから、一つや二つの失敗なんて、いくらでも巻き返せると考えてます」

 

「なるほどねぇ。そこまで考えられるなら大丈夫だろう、こちらから言うことは特になさそうで、一安心だ。ではこれで失礼しよう、次の診察に行ってくるよ」

 

「・・・」

 

 

 

 

何か考える表情から一転、すがすがしい表情を見せてほほ笑む彼女を見て、医者は納得したといわんばかりに頷き立ちあがって病室を出ようとする。それを目で追う少女だが、何故か医者は入口の引き戸を開けたまま、顔だけこちらを見て立ち止まっている

 

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・なんですか?」

 

「挨拶は人間関係の基本、そう言ったはずだよ?」

 

「・・・ありがとうございました、先せぃ・・・」

 

「まったく、ひねくれているのか、恥ずかしがり屋なのか・・・君もキリのいいところで帰るんだよ、『晶葉くん』。じゃあねー」

 

 

 

どうやら別れのあいさつ待ちだったらしい。少女は顔を横に向けて小さく挨拶した。聞こえるかどうか心配になりそうな小さな声だったが、このナイスミドルは突発性難聴なんて起こさなかった。しっかり聞こえたようだ

 

あいさつを律義に待つ方も待つ方だが、出ていく相手に何も言うつもりのなかった彼女も彼女だろう。いや、医者の方はまたからかい半分のところがあったのかもしれない。それでもあいさつに関して注意をしてあげられるだけ、良くできた人間だあることは確かだ

 

医者が引き戸から出ていく。それを逸らした顔そのままに、横目で追い、出て行くのを確認した

 

 

 

「・・・苦手だ、あの医者」

 

 

 

そうボソッっとつぶやいた。生まれてこの方11年という短い間でさえ、かなりの頻度で会うことのある相手だ。いじられ続けたせいで多少の苦手意識が生まれてはいるものの、それでもこんな偏屈な自分に付き合ってくれたりしてくれることには感謝している

 

 

 

「はぁ、とりあえずしなければいけないのはなんだろう、あの装置をいじっても何にも得られそうにないしなー新しい開発に着手するかな。待てよ?確か961プロダクションから依頼が入ってたよな・・・あと他には・・・」

 

 

 

いつものことだ、とため息をつき、これからのことを考える。最初にただのしかばね状態になった装置を蘇らせてやろうかとも思ったが、やっぱり駄目な気がしたので目標変更、新しい発明でもしてやろう、と意気込むがそこに待ったをかけるのが彼女のへの依頼だ。この少女、その技術力を買われて、さまざまな依頼を請け負っている。11歳にしてプロフェッショナルなのだ。そんな自分への依頼がいくつか入っていたのを改めて思い出し、納入期限と自分の興味をそそるものとで秤にかけて、どれから手をつけようか、どういう風に作り上げようか、と頭の中に設計図を書き始めたところで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろから、男の人の、声がした(五 七 五

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・Side――・

 

 

 

目を覚ますと、清潔感あふれる白い天井が俺の視界に入ってきた。ほのかに香る薬品のにおいからして、ここが病院の一室であると予想できる。確か「ミュージアム」の奴らに銃で撃たれたんだったか・・・

 

なのにあおむけに寝かせられているのはどういうことだ。あれほど深く食い込んだんだ。症状は頗る悪いはずだ。こういうとき、普通はうつぶせがベターだと思うんだがな。どのみち医療において素人同然の俺が考えても仕方がない。傷の具合は医者に聞けばいい

 

 

 

「・・・苦手だ、あの医者」

 

 

 

声が聞こえた。まだ幼く、高い声だ。10歳程の女の子だろう。なぜこの病室、らしきところにいるかはわからないがちょうどいい。上体をおこす。多少のけだるさは感じるものの、不思議と痛みは少なかった。麻酔でも打たれたのだろうか

 

 

 

「はぁ、とりあえずしなければいけないのはなんだろう、あの装置をいじっても何にも得られそうにないしなー新しい開発に着手するかな。待てよ?確か961プロダクションから依頼が入ってたよな・・・あと他には・・・」

 

 

 

体を起して見えた人物は、こちらに背を向けて丸椅子に座っている女の子だ。その子は見た目は予測通り10代、茶色い髪をツインテールにしており、白衣のようなものを着ている。言葉から推測するに、この少女はもうすでに「依頼」を請け負うプロであることがうかがえる

 

しかしそのことはいったん置いておきたい。何よりもまずしたいのは、情報の収集だ。現在地の情報、「あの夜」から何日経ったのか、聞きたいことはいくらでもあるのだ。はやる気持ちを精神力で落ち着かせ、なるべく静かな声で、こちらに背中を向けた少女に声をかける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぇ?」

 

 

 

帰ってきたのは、えらく気の抜けた返事と、少し口のあいた、呆けた表情をした少女の顔だった。目元はつり目で、ピンク色のアンダーリムのメガネが非常に似合っているように見える。白衣をまとったその姿は、科学者然としていて面白いほど似合っている

 

一瞬、「協力者」だった女のことを思い出したが、今はいい

 

 

 

「ここは病院、ということでいいのかな?できれば、お医者さんを呼んできてもらえないかな?」

 

 

 

子供と会話をすることがあまりなかったのがここで災いとなるとは思いもしなかった。依頼人が子連れだったとしても、依頼人という親を挟んで話すことが多かったため一対一(サシ)で話をしたことは、緊急を要する時以外、全然と言っていいほどない。「亜樹子」とも最後に会ったのが10歳になる前だったと記憶している。この年代の、しかも女の子と面と向かってしゃべることになるとは

 

 

 

「・・・・・・」

 

「どうかしたか?」

 

 

 

そんな過去のことを考えながら返答を待っていると、返事がない。何か異変を感じた俺は少女を注視した。少女の表情は強張り、青ざめている。聊か震えているようだ、丸椅子がカタカタと、小さくも不規則に音を刻んでいる

 

この表情を俺は見たことがある。「探偵」として駆け出しのころだ。泣いている子供を見つけて、泣きやまそうとした時、しゃがみこんで顔を見せた子供がある反応をしていたのを覚えている。それに近い

 

つまりこの後発生する現象は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きいいいいぃぃぃぃぃやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予測はしていたが、大きな叫びをあげて、少女は病室から飛び出していった。駆け出しのころに泣いていた子供だって泣きはしたが、まだ抑え気味な反応だった

 

 

 

「・・・何時まで経っても慣れないな。この感覚」

 

 

 

少し、昔の若さや古傷や思い出してしまった。コーヒーでも飲みたい気分だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は、生き残った・・・んだな」

 

 

 

少女が出て行ったあと、俺は部屋の中で考えていた。まさか背中をあれだけ深く撃たれたのにもかかわらずに生き残るとはな。自分の生命力というのにほとほとあきれる。全く悪運が強い

 

翔太郎に対してあれだけ恰好つけておいて生きていたなど、なんとなく気恥ずかしいものを感じるが、拾った命だ。傷が癒えたら事務所に戻るとしよう

 

翔太郎が俺を見たら、あいつはどんな顔をするか。泣くだろうな。あいつは誰かのために泣ける奴だ。簡単に泣くのは感情を隠すのが肝要な探偵としてはマイナスポイントだが、一人の人間としては好感が持てたものだ。そのあたりは事務所に戻ったら鍛えてやるか。あいつはまた文句をたれながらもちゃんと言われた宿題や訓練はやるだろう

 

窓から差し込む光に目を細めながら、外を眺める。そこから見えるのは、少なくとも俺の知る風都の病院から眺めることのできる景色にはないものが多い。いやほとんど見慣れないものだ

 

 

 

「・・・風都の病院ではない。ここはどこあたりだ・・・まさか東京か?しかしあのタワーから東京までとなれば、かなりの距離がある。搬送するならどう考えても風都か、その近辺の病院の方が近い。俺のケガはそれほどまでに手に負えなかったのだろうか」

 

 

 

外を眺めていて見えるのは、上の方には優しく輝く太陽、下には病院であろうこの建物の敷地内に植えられた緑の色が美しい草木、そして敷地外に広がる道とそこから広がるきれいな住宅街や立派なビル群が眼前に広がっている

 

部屋に備え付けられた白くて丸いデザインのアナログ時計は、1時を少し過ぎたあたりを示している。太陽の傾き具合を考えてみて、部屋の時計は正確な時を刻んでいるのがわかった

 

現在いる病室はどうやら高い位置にあるというのがわかる。そして住宅街やビル群の外見からして、ここが結構な都会のそばであることが推測できる

 

さらに思考を巡らせここがどこか考えるが、どれもこれも情報が足りなさすぎるな。やはり医者に来てもらったときにすり合わせを行って、その後に考えた方がいい。そう決断して待つことにした。したのだが・・・誰も来ない

 

 

 

「あの子が出て行ってから数分たったが・・・誰も来ないか。あの様子ではな。ナースコールを使わせてもらおう・・・んッ?」

 

 

 

そう考え、体を後ろに向けてコールボタンに手を伸ばす。その時、背中からわずかな痛みが走った。あまり痛みを感じていなかったが、やはり体を捻るとなると痛みが出てくるか。痛みに顔をしかめながら、コールボタンに手を伸ばしていると、ふと疑問が浮かんだ

 

 

 

(・・・俺が撃たれてから何日経ったか分らんが、銃で撃たれたにしては、思ったより痛みが少ない・・・?傷がいえるほど眠っていた?手術の技術が進んだ・・・?)

 

 

 

わけがわからない。撃たれた時は、その一撃で意識をすべて持って行かれそうになったというのに、今ではまるで治りかけの切り傷みたいな痛さしかないのだから。疑問に思いながらもコールボタンに手を伸ばしていると、廊下から誰かが歩いてくる音がする。数は二人。歩幅からして大人と子供だ。さっきの子供が医者を呼んだのだろう。そう考えコールボタンへ伸ばしていた手を引っこめ、上体を元に戻す。それと同時に病室入り口の引き戸が開いた

 

 

 

「失礼するよ。へぇ、もう起き上がれるのか。しばらくは絶対安静で様子見だと思っていたのに」

 

「・・・」

 

 

 

入ってきたのは見た目40代ぐらいだろうか、白髪交じりのオールバックに白衣をまとった男だった。半歩ほどスペースを開けて隣に立っているのは、先ほど奇声をあげて出て行った少女だ。距離感的に何らかの関係性があるだろう。そんな彼女が誰かを呼んできてこの男が来たとなるとなるほど。この男性が医者か。飄々とした雰囲気やまっすぐ延びた姿勢から、政治家だ、と言われても納得しそうな空気を感じる

 

 

 

 

「なるほど、確かにそれぐらいの傷ではあった。助けてもらって済まない。あなたの名前は」

 

「おぉっと、自己紹介を忘れていたねぇ。お互いの名前がわからないと何かと不便だ。ではまず私から。私はこの病院で医師をしている『篠原』。君の手術に携わった者だ。隣の少女は『池袋 晶葉』といってね。11歳だ」

 

「・・・ん」

 

「すまない、どうもこの子は人見知りが強くてね」

 

「気にする必要はない。こういった人間は何度か見たことがある」

 

「そう言ってもらえると助かる。じゃあ、君の名前を聞いてもいいかな?」

 

 

 

感謝の言葉と同時に、相手の名前を聞くと、相手は「篠原」と名乗る。医者であり、手術にも携わっていたのだという。ならば撃たれた時の状態と、先ほど感じた痛みとの差異に関して、何か知っているかもしれない

 

そんな彼の隣にいる少女は「池袋 晶葉」11歳。最後に「亜樹子」に会ったときの年齢に近い。さっきのことを思い出しているのか、どうにもすわりが悪そうだ。入ってきてからというもの、ずっとソワソワしていた。篠原の言葉を真に受けるならなるほど、部屋を出て行った際の行動に合点がいく。目覚めていないと思っていた相手から、近距離で言葉をかけられてパニックになったのだろう

 

人見知りの依頼人との会話に苦労した思い出を思い出しながら少女を見ていると名前を聞かれた。手荷物に自分の名前が書かれたものは持っていなかったため、相手は俺の名前を知ることができなかったようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鳴海 荘吉」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は名前を、篠原と、隣にいた池袋に伝えたのだった

 

 

・――・

 

こうして「鳴海 荘吉」は出会った

 

「協力者」だった女と同じ、科学者の彼女「池袋 晶葉」に

 

これから長い付き合いになる少女に

 

これからも彼には多くの出会いがある

 

 

 

なぜならここは、「アイドル戦国時代」真っただ中なのだから




みりあちゃんも川島さんも引けないじぶんに救いの手を差し伸べてくれたのは杏でした(SSR



更新は月一を目安に。今は飽きが来てないから書けるんだろうなー

あとデレマス、デレステやってるから遅れそう。

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