Accelerated Red Invader   作:4E/あかいひと

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さて、前回までの『心意習得編』は終わり、今回からは『戦慄のメタルカラー編』をお送りしまぁす!


第3章→即斬即射の狂乱女帝
ギア15-超獣軍隊の愉快な二人組


10月。俺がバーストリンカーになって半年が過ぎた頃。

最近では加入こそしなくとも、パドさん以外のプロミの面々とも仲良くなり、練馬区に(もっと言えば『パティスリー・ラ・プラージュ』に)足を向けることが苦にならなくなったため、その日も『プロミに顔を出しに行くかー』というノリで、駅に向かおうとしていた時のこと。

 

「あら、赤井じゃない」

「あ、ども平野さん」

 

アンバー・マインの中の人、平野真希さんと鉢合わせた。

 

「珍しいわね。基本的にアンタ、日曜日は上にいるでしょ?」

「たまにはこうやって出歩きたいんですよ。あと最近練馬の方のみんなとも仲良くなったので、対戦がてら顔を見せに行こうかと」

「……………………急に、レギオンに入ったりは、しないわよね?」

 

いきなり不安そうになる平野さんの様子に少し面食らい、ゴホンゴホンと咳払いをして口を開く。

 

「少なくとも、今はまだ考えてませんよ。どうも、先輩が世田谷にレギオンを作りたいらしくって、その根回しをしている最中みたいで、そこに誘われてはいますけど」

「そう、安心…………じゃなくて、勝手にレギオンに加入して逃げようったって、そうはいかないんだからねっ!」

 

そんな、本音だだ漏れで言われても萌えるだけなんだが…………。

 

「それはそうと、今の口ぶりから察するに、予定自体は固まってはいないのよね?」

「う、うんそうですけど」

「だったらさ…………その、良かったらでいいんだけど…………タッグマッチの、コンビをやってくれないかしら?」

「ふへ?」

 

え、え? タッグマッチって言いましたこの人?

 

「そ、その、勘違いしないでよね!? ちょっとそういう経験もしたいなって思った時、面識があってこういうことを頼めそうな相手が、偶々アンタってだけなんだから!」

「あ、はい」

「で…………ちょっと、付き合ってくれないかしら?」

 

ふむ…………確かに俺もタッグマッチの経験はなく、そういったことをしたいと思う。だから、この話は本当に渡りに船である。

 

「分かりましたマインさん。こんな暴走族で良ければいくらでも」

「あ、ありがと…………」

 

というわけで急遽、マインさんとのタッグマッチを行うことになったのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

基本的に通常バトルと大差はないとはいえ、2VS2だと相方のコンビネーションなどが大事になってくるため、最初に通常対戦で練習することで基本戦術を決め。

 

「マインさん、《ウッドランド・ランチャー》《エバー・フォックス》のペアがいるけど、どする?」

「うー…………この2人、心臓に悪いからあまり戦いたくないのよね」

 

撹乱奇襲なんでもござれ、ただの戦闘には興味はないと豪語する世田谷の生んだ《遊撃兵(ゲリラ)》ウッドランド・ランチャーに、狐型エネミーを操る《獣軍隊(アニマルアーミーズ)》エバー・フォックス。両者の奇襲力は、走っている間はヒャッハーな俺でも驚かされ、負けることがそれなり。特に視界の遮られる市街地の形が残るステージや木々の生い茂るステージなんかはもう絶望すら感じてしまう。

 

そして、そんな2人のコンビが、無駄に相性が良くて、無駄に強いことには違いないだろうし。

 

「まあでも、最初は負けても仕方ないと思えば、良いのかもね。乱入してみましょ?」

「オーケー!」

 

マッチングリストのタッグマッチの欄にある名前をタップし、俺たちの意識は戦闘フィールドに吸い込まれるのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

「「…………最悪」」

 

フィールドについて最初の一言。だって世紀末フィールドだもん。市街地戦では確実に向こうの方が強い。だってゲリラだもん。

 

「でも、やることは変わらないわ。ベーダー、準備」

「あいよっ!」

 

相棒の《ザ・レッド》…………に乗り込まず、

 

「《トランスフォーム-《ザ・マッハ》》!!」

 

車体に触れながら、コマンドを口にする。

 

すると、相棒の配色がオレンジ色に、前輪が変形、車輪が4つになりそれに合わせたフォルム調整がなされ。

 

《ザ・マッハ》

レベルアップボーナスで得た相棒の新たな形態にして、ある程度の速度と破壊力を犠牲にした代わりに《ザ・レッド》での自滅カーニバルが分解以外消失しているという、なんとも素晴らしいバイクである。もちろん、レッドゾーンモード同様分解したパーツを纏うことも可能だ。

 

とまあそんな長々とスペックについて思い返すわけにもいかんので、サッサと乗り込み、必殺ゲージを貯めていたマインさんを後ろに乗せる。

 

「ガイドカーソル確認OK! いつでも出れるよ!」

「私も大丈夫よ、お願い!」

「イエスマム!」

 

薄暗い退廃したステージを舞台に、俺たちは轟音とともに走り始めるのだった。

 

 

 

 

「「「……ケッ、リア充が」」」

 

 

 

 

聞こえなーい聞こえなーい。

 

 

◇◇◇

 

 

基本的には、対面しない間は走行。スナイプされる場合はマインさんの視覚に入るところまで移動し、通常の地雷設置技《マインマーカー》か、空中設置技《エアマーカー》を使い、レベル3必殺技《パラライズマイン》にて麻痺らせる。彼らの最大の武器である脚を奪えば、あとはザ・マッハによる『マッハ55モード』にて潰しにかかる。

 

これが密林ならさらに酷いことに────っ

 

「前方300メートル先、狐型エネミーを発見!!」

 

黒い顔をした、白い体毛の狐が、こちら目掛けて駆けてくる。

マインさんも認識したのか、俺の背後より手を出した。

 

「分かった、《エアマーカー》!!」

 

エネミーの進行方向に、琥珀色の印が現れる。これが空中に浮く当たり判定もシビアな空中地雷。

超小型エネミーは、おそらくなすすべなく…………

 

 

 

 

 

「かかったなアホがッ!!」

 

 

 

 

 

狐型エネミーが、その姿を変え…………現れたのは、狐の形をした頭部、特殊な形のボウガンを構えた腕、狩人のような装備を纏っているアバター《エバー・フォックス》が現れた。

 

そしてフォックスは、マーカーを跳躍で躱し、空中にて俺たちを照準し、そのボウガンから矢を放ってきた。

 

「チィッ…………奇襲力が上がってやがる!!」

 

無論、矢が到達するまでに回避することは可能。だがその回避行動はこの場合だと命取り…………ウッドランド・ランチャーの姿が見えない以上、避けた方向に砲撃されかねない。

 

「マインさん、あの矢に合わせてマーキングできます!!?」

「無茶言ってくれるわね!! 《エアマーカー》!!」

 

口ではそう言いつつも、しっかり進行方向にマーキングして相殺してしまうあたり、やはりマインさんは流石だなと思わされる。

 

「とりあえず、一旦降りてください!! こっからはパターンBで!!」

「分かったわ!!」

 

彼女が後ろから華麗に飛び跳ね、クルクルと回って着地する間に、俺は相棒を急加速させる。

 

「GoGoLet'sGo!! MachGo(5)Go(5)!!!」

 

規定速度まで到達し、ザ・レッド同様分解、装着の流れで、レッドゾーンと比して少し小さい…………それでも、オレンジ配色でザ・マッハの意匠を受け継いだ巨躯の人型:マッハ55が現れる。

 

「とりあえず去ねやァ!!」

 

マッハ55の名に恥じぬ…………とまではいかないが、それでもフォックスをブチ抜くには十分な速さで以って、その拳を突き出そうとし、

 

「……なーんつって」

 

しゃがみ、脚部の車輪に前進を任せ、頭上を通り過ぎていくミサイルランチャーをやり過ごした。

 

「ほう、流石は我が宿敵!! 今のを交わすかよ!!」

 

野太い声が響いたその先に居たのは。

 

「だがしかぁし! 今日の戦争は我々の勝利であることは揺るぎないッ!!」

 

ゴリラフェイス、軍人風のジャケット、加速世界でも珍しい、『名前で複数の色を指定されている』迷彩柄のアバター。武装する獣の描かれた巨大な旗を左腕で建て、右肩にロケットランチャーを構える戦争屋。

 

「……《遊撃兵(ゲリラ)》よう。俺も人のこと言えねーけど、色詐欺だろ」

「五月蝿いわッ!!」

 

両者ともに緑系だというのに…………その射撃強化外装がとても羨ましかった。

 




え、デュエマからクリーチャー出すの赤色侵略者だけじゃなかったん!?
→出したくなった。反省も後悔もしていない。なお、元ネタを知りたければ『超獣軍隊 ゲリランチャー』と『超獣軍隊 フォックスリー』で画像検索をかけましょう。

予定ですが、侵略軍という名のレギオンを作りたい。

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