Accelerated Red Invader 作:4E/あかいひと
[幕間その1:意味深な伏線]
赤き侵略者は、理不尽に強く反応する。
壁を与えれば与えるほど、それに対して強く反応する。
…………だが、それは心の傷が為す反応。
その傷を為したのは…………その傷を生む原因は、なんだったのか。
真実を知らない侵略者は、今日も加速世界を駆け回る。
一つ言えることは。
彼が真実を知っていたら、その装甲はきっと、青く染まっていたのだろう。
◇◇◇
[幕間その2:レッドゾーンとザ・レッド]
うそ、このアバター強過ぎ…………?
なんて思っていたのもつかの間。やはりこのアバターは自爆特攻野郎だったことが判明。
あのPK襲来の時に《レッド》は《ザ・レッド》へと生まれ変わり、バイク装着による超強化ができるようになったのだが、またコイツがなんというか…………尖った性能だったのだ。便宜上変身能力を『レッドゾーンモード』、変身後の姿を『レッドゾーン』と呼称する。
レッドゾーンに変身する条件は、ザ・レッドでメーターには表れない限界速度まで叩き出すこと。かなりの助走距離が必要になるが、普段の対戦なら問題ない。
そしてレッドゾーンになると、視界の左下に、30秒のカウントダウンタイマーが現れる。つまり、バイク装着の制限時間は30秒間のみである。
30秒間という極めて短い制限時間だが、それが気にならなくなるぐらいのスペックが、レッドゾーンにはあった。
まず、通常技に《パンチ》と《キック》が追加され、必殺技に《レッドゾーンラッシュ》が加わる。ぶっちゃけどれもただのパンチとキックとそれらのラッシュでしかないのだが、まあそれはどうでも良い。
次に、異常なまでの攻撃能力。レベル1なのに、ただの《パンチ》でレベル4の相手を即殺できるという時点で『同レベル同ポテンシャルの原則』をブチ破ってる気がしないでもない。つか恐い。
そして何より…………レッドゾーンの速度。成る程確かに『危険域』を超えた速度によって変身できる姿なだけあって、静止状態からでも一瞬で音速を超えられるという凄まじい加速能力だ。しかもそれを維持できる。このスピードをパンチなどに上乗せできれば、レベル差があろうと一撃で勝負をつけられそうだ。
まあ、それだけで済んだら超絶強化万歳ッ!! だったんだけど。
さて、元々のレッド・インベーダーはよく自壊&自爆をすることで有名だったらしい。
そうこのレッドゾーンも、つまりはそういうことだ。
通常技を計10回放てば自爆、必殺技で決め切れなければ自爆、30秒超えたら自壊からの自爆、トップスピードを20秒出し続けたら自爆…………今把握しているだけでもコレだけあり、これから調べていく中でもっと判明していくことは自明の理だろう。超絶強化と引き換えに、俺はさらなる死にやすさを手に入れたのだ! …………嬉しくねー。
ま、ようやっと先輩のヴァーミリオン・デストロイヤーをスクラップにできたから満足したけど。
「ところで先輩。なんか《レッド》が《ザ・レッド》になったんすけど、コレって意味とかあるんすかね?」
「なんやて!!!?」
あ、なんかヤバい感じ?
「マジか…………マジかぁ…………なんや急に変身とかするよーなったからおかしい思ったら、まさかのソレかぁ…………!!!」
頭を抱えながら、先輩は呻き始めるが…………どうしたというのだろうか?
「あのなそーやん。今の所強化外装に《The》が付くんは、『
「セブンアークス?」
「まあ、詳しい説明はめんどーやからまた今度にするけど、要は最高性能を誇る、7つしかない強化外装やってことや」
うわなにそれ超欲しい。
いやまて、ウチのレッドにザ付きましたけど、それってまさか…………。
「七星外装級…………かどうかは分からんけど、そういうことちゃうか? 案外『
…………本当、なんで俺に赤色がくっついてきたんだろうね?
数々の厄介事を引き込んでくるこの呪いの色に、俺はため息を吐くしかなかった。
◇◇◇
[幕間その3:世田谷エリアでの一幕]
「というわけで俺、めっちゃ6大レギオンに対してキレてるんですよマインさん」
「脈絡ない上に一体どうしたってのよ」
世田谷エリア名物、レッド・インベーダーVSアンバー・マイン。双方珍しいタイプのアバターということもあり、見物人は意外といる。
そんな中で、俺は敢えてマインさんとの世間話をしようと思ったわけで。
でも、真剣さを帯びてしまった声音が、マインさんのいつもの奇襲を止めてしまった。がっでむ。
「いやね、つい一昨日の日曜日の話なんですが。あの《スーパーノヴァ・レムナント》の構成員にPKされましてね」
「ちょ、それ本当なの!!? 大丈夫だったの!!? 怪我とかしてない!!?」
「待ってマインさん、近い近い」
「あっ、その、ごめん」
思わずつかみ掛かってくる彼女に思わず焦る。心配してくれるのはありがたいが、ぶっちゃけリアルの方は擦り傷のみで特に問題はない。つかしおらしいマインさんの破壊力パネェ。
「いやー、なんとか返り討ちにしたんですけどね…………それよりも実に面白い情報が聞けたんですよ」
「…………今の流れ的に、絶対面白くはないわよね? まあいいわ、教えてくれるの?」
もちろん。
「その襲ってきた人も、構成員同士の会話からチラッと聞いただけらしいんですけど、『レッド・インベーダーの全損依頼は、6大レギオンの何処かからによるもの』らしいですよ?」
「…………え?」
ほんとマジおこですわー。いや、確かにポイント稼げたりしましたけど、後味も悪いですし。
「赤の王は練馬区で乱入された時にお話をして、そういうことをしそうな人ではないなーって感じだったんで、多分他のところなんじゃないかって感じっすね」
「…………成る程、どちらにせよ《赤》が目障りってわけね」
マインさん凄く理解力に長けてますね。俺も思うに、俺自身が鬱陶しいのとは別に、2代目赤の王であるスカーレット・レインを陥れる為の布石かとも思っていました。
ちなみに、なんでこんな唐突にそんな情報を垂れ流したかって?
「マジかよ」
「俺たちのベーダー殺すとか」
「万死に値する!! …………と言えばいいのか?」
「つかそんなことしたらマインちゃん泣いちゃう」
「世田谷のアイドルマインちゃん泣かすとかマジファッ○ン」
意外と好意的な人が多くて味方につけられそうなのと、情報拡散目的でね。
つか最後の奴ピー音掛かるからマジでやめようか!!?
「良かったですね、マインさん人気ですよ?」
「う、うるさいうるさい! と言うかコイツが全損したからって泣きはしないわよ!!」
「「「「うっそだー」」」」
そんな感じで、世田谷エリアのバーストリンカーによるマインさん弄りが始まるのでした。
「まあでも気を付けなさいよ? 私ですら、偶然とはいえアンタのリアル割れちゃったし」
「…………え!!!?」
知らぬうちにリアル割れしてるそーすけくんマジそーすけくん。