キングは1匹! このコイだ!!   作:d.c.2隊長

4 / 14
地味に難産でした……やはり連戦となるとネタが被りますね。もっと突き抜けた方がいいんでしょうか……←

誰か私に式セイバーを下さい。お願いします何でもしますから!!


コイキングだってかえんほうしゃくらい吹ける

 クチバジムを攻略したアンバーが次に目指すことになるジムは、ハナダシティからしばらく歩いた所にあるイワヤマトンネルを抜け、シオンタウンという街に出た後にそこから更に歩き、地下通路を抜けた先にある街、タマムシシティのタマムシジム。しかし、所々に障害となるモノがある。

 

 ひでんわざ、という特別なわざがある。ひでんマシンという特殊なわざマシンを使うことで覚えられるひでんわざは、持っているジムバッチによって使用出来るか否かが決められている。そして、そのひでんわざを使うことで障害物を攻略していかなければならない。

 

 問題なのは、コイキングというポケモンはわざマシン、ひでんマシンでは一切わざを覚えられないというところだ。故にアンバーは、ひでんわざを覚えることが出来るポケモンをゲットする……。

 

 

 

 「ハッハー!! 木ごときが俺の道を阻んでんじゃねえ!!」

 

 「コッ!?」

 

 

 

 なんてことはする訳もなく、いつものようにコイキング“を”使って非常識にも道を塞ぐ木を斬り倒し。

 

 

 

 「ちっ、暗いな……火ぃ着けるぞ」

 

 「ココココ!?」

 

 

 

 コイキングの髭に火を着けて松明代わりにしたりして障害をクリアしていった。

 

 

 

 場所は変わり、ここはタマムシジム。そこはカントーのジムの中で最も女性トレーナーの数が多く、同時に女性しかいないジムで有名である。また、常にジムの外の壁にスケベジジィがいることでも有名である。なぜ捕まらないのだろうか。

 

 「でさ、ちょっと抱き付いただけで顔真っ赤にしちゃってさー」

 

 「可愛いねーその子。あはは……ん?」

 

 チャレンジャーが現れることもなく、暇潰しにお喋りをしているミニスカートの少女達……その内の1人が、ふとジムの天井付近の壁にある窓を見る。そして、その次の瞬間のことだった。

 

 

 

 「ダイナミックお邪魔します!!」

 

 【きゃああああっ!?】

 

 

 

 窓を蹴り破り、1人の男がジムの中に入り込んできたのは。しかも着地したのは、ジムの最奥……そこにある大きな木の根元に、1人の黄色い着物を着た少女がいた。その少女の名はエリカ……草タイプポケモンのエキスパートであるタマムシジムのジムリーダーである。

 

 「突然の訪問失礼」

 

 【訪問っていうか浸入じゃ……?】

 

 「チャレンジャーアンバー……ジムバッチを貰いに来たぜ」

 

 いつものように傲岸不遜、唯我独尊、威風堂々と腕を組み、所謂ガイナ立ちをしながら宣言するアンバー……しかし、エリカの返答はない。そのことを疑問に思ったのか、アンバーは首を傾げた後にエリカに近付く……そして、気付いた。

 

 

 

 「すやすや……」

 

 「……」

 

 【……】

 

 

 

 エリカはぐうぐう眠っている。

 

 

 

 「ビンタは流石に可哀想なので“めざましチョップ”!!」

 

 「きゃんっ!?」

 

 【ああっ! エリカ様!?】

 

 アンバーはエリカに“めざましチョップ”をした! こうかはばつぐんだ! エリカは目を覚ました! エリカは訳も分からずキョロキョロしている!

 

 頭を抑えながらキョロキョロしていたエリカだったが、まず手をチョップの形にしているアンバーが目に入り、自分を心配そうに見ているジムトレーナーとアンバーに敵意を向けているジムトレーナーが目に入り、最後にジムの割れた窓ガラスを確認し、再びアンバーに目を向けた。

 

 「挑戦者の方ですね?」

 

 「合ってるんだが、アンタ頭のネジが2、3本緩んでんの?」

 

 「ネジ? いいえ、これはカチューシャですし緩んでませ……あ、折れちゃいました」

 

 「うん? 俺のチョップのせいか……そりゃすまん。後で弁償しにタマムシデパートに行くか?」

 

 「まあ! いいんですか?」

 

 「ああ。そんじゃ、このジム戦が終わったら行くか」

 

 「ふふ、では早速始めましょう」

 

 2人の間でトントン拍子に話が進んでいるが、その裏ではエリカが問い掛けた段階で何人かのジムトレーナーがずっこけ、アンバーの暴言に敵意を向けていたジムトレーナーが物理的に襲いかかろうとし、それをエリカがカチューシャをブーメランのように投げて撃退し、戻ってきたカチューシャが割れれば先の行動を見ていた筈のアンバーが何事もなかったかのように謝罪し……この時、カチューシャの前にもっと弁償しないといけない物(窓ガラス)があるだろうとジムトレーナー達はツッコみたくなった……いつのまにかへぇ? デートかよと言いたくなるような状況が出来上がっていた。ありのままに起こった事を話したぜ。

 

 「私の使用するポケモンは4体で、その全てが草タイプ……では、参ります」

 

 「おう、胸を貸してやる」

 

 ((((それはエリカ様の台詞でしょう!?))))

 

 それぞれジムリーダーとチャレンジャーの立つ場所に立ち、御互いにモンスターボールを手に取る。ジムトレーナー達はツッコみたかったが、自分達の後ろで目を抑えながら倒れて呻いている者達と同じようになりたくなかったので口を開くことをやめた。人は学習する生き物なのである。

 

 「さあ、出てきな! コイキング!」

 

 「ココココー!!」

 

 「おいでませ、モンジャラ!」

 

 アンバーが繰り出したのは最早お馴染みの真っ赤なサンドバッグ……もとい、コイキング。今日もゴージャスな背ビレが眩しく煌めいている。対するエリカは名状し難きモノである触手の塊のような姿のポケモン、モンジャラ。見た目はアレだが、ちゃんとした草タイプのポケモンである。

 

 今更な話だが、水タイプのコイキングでは草タイプのタマムシジムは電気タイプのクチバジムと同様に非常相性が悪い。更にアンバーがコイキング1匹なのに対してエリカは4匹の草タイプポケモンがいる。間違いなく過去最大の難関と言えるだろう。

 

 「先手必勝です! “つるのムチ”!!」

 

 「コイキング! 俺に向かって“はねて”こい!!」

 

 モンジャラが体を覆う触手……もとい、蔓をムチのように伸ばして打ち付けようとするが、コイキングはアンバーに向かって“はねる”ことでムチを回避する。

 

 

 

 「お約束のコイキーック!!」

 

 「コッ!?」

 

 【自分のポケモンを蹴った!?】

 

 「ッ!?」

 

 「モンジャラ!?」

 

 

 

 そしてコイキングをオーバーヘッドキックで蹴り飛ばすアンバー。この流れは完全にお約束となり、あらゆるポケモン達が犠牲になること間違いなしである。

 

 そんなことは知らないジムトレーナー達はまさかの凶行に驚愕し、モンジャラは飛んできたコイキングを避けることが出来ずに直撃して吹き飛び、エリカの後方にある壁にめり込んだ。いちげきひっさつ。

 

 エリカは倒されたモンジャラを直ぐ様ボールに戻し、視線をアンバーへと移す。その目には自分のポケモンを蹴り飛ばすという理不尽な行動をし、己をポケモンを倒されたという怒り……ではなく、やたらキラキラと輝く好奇心があった。それは、どこかヒーローショーに目を輝かせる少年のように……見える人もいるんじゃないかな。

 

 「なんて乱暴な殿方でしょう♪」

 

 「なんで嬉しそうなんだ」

 

 「私の周りには今まで見なかったタイプですから……私、貴方様に俄然興味が湧いてきました!」

 

 (やべえ……俺の周りには居なかったタイプだ)

 

 どこか似通った思考をする2人だった。それはさておき、エリカが次に繰り出したのはクサイハナと呼ばれる頭に真っ赤な植物を乗せ、なんだか眠そうな顔をしているポケモン。

 

 アンバーは直ぐにコイキングの位置を確認する……すると、モンジャラに当たってから今の今までそうだったのであろう背ビレが地面に刺さって逆さまになっている哀れなコイの姿があった。

 

 「クサイハナ、“あばれる”!」

 

 「おしとやかな見た目の割にアグレッシブな技使わせんのな!?」

 

 「ゴゴゴゴッ!? ゴボッ!!」

 

 主人公アンバー、まさかのツッコまされる。そんな事をしている間にも当然コイキングは“あばれて”いるクサイハナの餌食になっているのだが。クサイハナは動けずサンドバッグと化しているコイキングをひたすら殴る蹴る殴る蹴る。右ストレート左回し蹴り右踵落とし左フック強烈な右アッパーでフィニーッシュ!! フルボッコだドン!!

 

 アッパーを受けたコイキングは背ビレが地面から抜け、上空を舞う。それは綺麗なアーチを描き……ポテッ、とアンバーの頭の上に落ちた。アンバーはそのコイキングの尾ビレの根元をガッシリと右手で掴み……。

 

 

 

 「生臭いわっ!!」

 

 「コッ!?」

 

 「まあまあ……たくましいですね♪」

 

 【正気に戻ってエリカ様!】

 

 

 

 その場に叩き付けた。エリカはそんなアンバーの姿を見て両手を頬に当て、妙に嬉しそうに笑いながら言ってのけた。こんなエリカを見たことがないジムトレーナーは涙目である。

 

 さて、とすっきりした表情でアンバーはエリカのクサイハナを見る。すると、クサイハナは疲れたように息を荒く吐いていた。“あばれる”という技はその場で力の限り、文字通り暴れる技だが、その後は疲れ果ててしまい、更には混乱までしてしまうリスキーな技なのである。なぜ疲れると混乱するのだろうか。

 

 しかし、疲れて混乱しているとなれば大きなチャンスであると言える。アンバーは今しがた叩き付けたコイキングを掴み上げて投擲する体勢を取り……この後はしばらく、音声のみでお楽しみ下さい。

 

 

 

 「おらあ!! (コイキングを)“なげつける”!!」

 

 「あっ、ああ! クサイハナ!」

 

 「見たか? これがコイキングの力だ」

 

 「貴方もコイキングもスゴいですね……色々と。ですが、私にはまだ2匹のポケモンがいますよ?」

 

 「何匹でも来な……返り討ちだ」

 

 「では遠慮なく……いって、ウツボット!」

 

 「コイキング! “たいあたり”だ!」

 

 「ウツボット、“しめつける”!」

 

 「くっ、なんつー締め付けだ……(コイキングを見ながら)」

 

 「ふふ、逃げられませんよ? これで何人ものトレーナー(のポケモン)を締め付けてきたんですから」

 

 「はっ。俺だって現状(ポケモンバトルで)百戦錬磨だ。この程度の締め付けで(コイキングが)ダウンする訳がないだろう! そら、(コイキングに向かって)動けや!」

 

 「くう!? そ、そんな……私の(ウツボットの)締め付けが……」

 

 「“じたばた”してこっちこい!」

 

 「あっ! そ、そんなに暴れたら……(コイキングが“しめつける”から)抜けちゃいました……」

 

 「そしていつも通りのシューッ!!」

 

 「ゃん! (ウツボットを越えて衝撃が)お、お腹にまでくるぅ……」

 

 

 

 「むほっ、むほほっ! あのエリカちゃんがあんな声で……ゴクリ」

 

 その日、タマムシジムの外で声を聞いていたジジイは眠れない夜を過ごした。

 

 

 

 

 「さあ、最後のポケモンを出しな」

 

 「ふふ、せっかちな殿方は嫌われますわよ?」

 

 「嫌いなタイプか?」

 

 「いえ、私は気にしません。それでは……出でよ、キレイハナ!」

 

 「ハナハナー♪」

 

 倒れたウツボットをボールに戻し、簡単な会話の後にエリカが出したのは、まるでフラダンスを踊る際の衣装を着ているような姿をしているポケモン、キレイハナ。

 

 突然だが、ポケモンが進化をする方法は幾つか種類がある。一定のレベルに達すること、これ以上ないほどになついた状態でレベルを上げること、ポケモンとポケモンを交換する“通信交換”を行うこと……そして、進化の石と呼ばれる特殊な石を使うことだ。

 

 クサイハナは“リーフのいし”と呼ばれる石を使うことでラフレシアというポケモンに進化する。が、“リーフのいし”ではなく“たいようのいし”を使うことでこのキレイハナに進化するのだ。

 

 「キレイハナ、“マジカルリーフ”!」

 

 「ハナー!」

 

 「コッ!!」

 

 「ちっ、厄介な技を……」

 

 キレイハナはくるんっとその場で踊るようにターンし、下半身を覆う葉っぱの部分から虹色に輝く木の葉を数枚飛ばす。するとその木の葉はまるで意思を持つかのように飛び、曲がり、コイキングの体を傷付けた。

 

 “マジカルリーフ”。ノーマル技の“スピードスター”や電気タイプの“でんげきは”のような技と同じ草タイプの必中技である。つまり、避けることはほぼ不可能なのだ。ましてや水辺では溺れ、陸上では“はねる”位しか出来ない上に効果抜群であるコイキングでは、このまま切り刻まれて終わるだろう。正にまな板の上のコイである。

 

 しかし、どんなダメージも耐え抜く尋常じゃねえ耐久性を持つコイキングと、ルールだ相性だ危機だ常識だをンなもん知るかで蹴散らしていくのが我らが主人公アンバーである。

 

 「コイキング、俺に向かって“はねて”こい!」

 

 「コッ!」

 

 (また蹴るつもりでしょうか……いえ、あれは……)

 

 コイキングはアンバーの指示通りに跳ね、アンバーは跳ねてきたコイキングをキャッチしてあるモノを取り出す。そのモノが何であるかを、エリカはポケモントレーナー特有の超視力で確認する。

 

 それは瓶のようにも筒のようにも見える、何かの容器だった。それを見て、エリカはアンバーがコイキングをきずぐすりか何かで回復させようとしているのだと考えた。そうはさせない……と言えたらいいのだが、アンバーはコイキングを抱えている為、アンバーを傷つける可能性が高くキレイハナに技を出させることが出来ない。そしてアンバーは手のモノをコイキングに……飲ませた。

 

 

 

 「必殺、“コブラチリソースかえんほうしゃ”!!」

 

 「ゴバアアアアッ!?」

 

 「ハナアアアアッ!?」

 

 「キレイハナーっ!?」

 

 

 

 瞬間、コイキングが白目を向きながら火を吹いた。アンバーは文字通り“かえんほうしゃ”機となったコイキングをしっかり持ち、その炎をキレイハナにぶち当てる。当然、草タイプであるキレイハナに炎は効果抜群である。因みに、コブラチリソースとはタバスコのおよそ1000倍、有名な激辛ソースのデスソースの150倍の辛さを誇る激辛ソースの名前。なぜアンバーがこんなモノを持っているかは誰にも解けない謎である。

 

 これによりキレイハナは戦闘不能に陥り、アンバー(だけ)は無事にエリカからレインボーバッチを手に入れることが出来たのだった。尚、このコブラチリソースはアンバーが忘れていった為、ジムトレーナー達によってジムの外にいるジジイの折檻用に幾度となく使用されることとなった。

 

 「まさかあんな方法で勝つなんて……なんでしょう、体が火照ってきてしまいました」

 

 「何意味深な発言してんだアンタは……股座がいきり立つじゃねえか」

 

 【嗚呼、あの純粋なエリカ様はどこに……】

 

 

 

 

 

 

 こうして、アンバーの第4の戦いは終わった。今回も強敵を相手に運良く勝ちを拾えたアンバーだが、今後彼女よりも強大で数も要るジムリーダーが出てくることだろう。しかし、それでもアンバーは戦い、勝ち続けるのだ。例えその身を削り、ボロボロになってでも。

 

 頑張れアンバー! 負けるなコイキング! 500円の魂を引っ提げて、目指すはポケモンマスター! さあ! 右手の人差し指を伸ばし、天高く掲げて叫べ!

 

 

 

 キングは1匹! このコイだ!!

 

 

 

 「この後、何故かエリカの自宅で夕飯を頂いた上に泊まることとなり、親御さんと妙に意気投合し、入浴中にエリカが乱入してきて“ゆうわく”されて“したでなめる”をしてきた後に“からではさんで”きたので俺は“みだれづき”と“トライアタック”で戦ったものの“みちづれ”され、その後何度かエリカとバトルした後、婿養子に入ることとなった……な、何を(略」

 

 「因みに、いちげきひっさつだったそうですよ……お、と、う、さ、ん♪」

 

 「!?」




私は何を書いているんだ(特に最後らへん)。

はい、ギャグでは珍しくもない“辛いものを口にして火を吹く”がトドメです。因みに私は子供舌で甘いものが大好きです。辛いものなんて食べたら舌が可笑しくなります。コブラチリソースなんて口にした日にはショック死するんじゃないでしょうか←

それでは、あなたからの感想、評価、批評、pt、質問等をお待ちしておりますv(*^^*)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。