俺の相棒は最強の遺伝子ポケモン   作:吾輩がネコである

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もうサブタイトルが適当な件について


第八話 ほちぃ

「なあ、ミュウツーさんや」

『何でしょう』

 

 エイセツシティを旅立ったミナトとミュウツー。

 二人はエイセツシティからハクダンシティ方面へと繋がる21番道路「デルニエ通り」をのんびりと西方面へ歩いていた。

 

「エイセツシティにサヨナラバイバイして旅立った訳だが、こうやってしばらく歩いてみると俺達には色々と足りないものがあるなと気付かされて来る訳ですよ。良いかい?」

『とりあえず最後までちゃんと聞いてあげますから、結論はちゃんとまとめて言って下さいね』

 

 どこか遠く面倒な言い回しで語りかけてくるミナトにミュウツーはやれやれと言った様子で答える。少し前までならこれらの立場は逆だったのだが、今回はミナトがその役目を担うようだ。

 ミュウツーの「最後まで聞く」と言う言質を取ったミナトは満足そうに頷いて続きを口にし始める。

 

「中でも俺達に必要なのは“仲間”だ」

『私が居るではありませんか』

 

 ミナトの発言に、ミュウツーが口を挟む。最後まで聞くと言っておきながらの発言ではあるが、それだけにミナトの発言内容が許容出来ない。或いは口を納得のいかない内容だったのだろう。

 捉え方によっては一種の嫉妬のようなものを感じさせるミュウツーの発言に、ミナトは少しニヤニヤといやらしい笑みを浮かべて言った。

 

「チッチッチッ。そうじゃないんだよなぁ~!」

『……………』

 

 どこぞのシェフのようなムカつくドヤ顔をしながら気障ったらしい言い方をするミナト。その笑顔はまさに「殴りたい笑顔」とも呼べるものだ。

 もしここにミナトの高校時代の友人でよくつるんでいたチャラ男が居たら、

 

「ぎゃははははっ!やべえ、うぜえ!」

 

 と下品な笑い声をあげながら叫んでいた事だろう。

 一般的に見てもイラッとする笑顔であり、それを一番近くで見ていたミュウツーも例外ではなかった。

 

『……………』

 

 ミュウツーは静かに右手を持ち上げて、その拳にサイコパワーを集中させる。

 

「え、あ。ミュウツーさん、ミュウツーさん!冗談だから!軽い出来心だから!?怒っちゃやーよ!?」

『問答無用です』

 

 直後、平和だったデルニエ通りに一人の男性の悲しい断末魔が響き渡り、驚いたチルット達がバサバサと止まっていた木から飛び立つのであった。

 

 

  ☆

 

「あぁん、痛い……」

『自業自得です。で、さっきの話の続きですがなぜ仲間が必要なのでしょうか?』

 

 瞳の端にきらりと涙を光らせながら痛みを訴えるミナトをミュウツーがバッサリと言葉の刃で切り捨て、中断された話の続きを促す。

 中断したのはミュウツーのせいじゃないか……と、小さく恨み言を呟きながらミナトは話を再開した。

 

「俺は念願のポケモントレーナーとなった。それはわかるよな。発破掛けたのはお前なんだから」

『ええ』

「それでだ。ポケモントレーナーってのは、ポケモンを仲間にして育てる人間達の総称だ。ポケモントレーナーたるもの、ポケモンをモンスターボールで捕まえて仲間に加えてなんぼだからな。せっかく旅立ったのにポケモン捕まえなきゃ損じゃねって話よ」

『私が居れば十分ではないですか。自慢では無いですが、その辺の輩に負ける程軟ではありません』

「んなこた百も承知だよ。ミュウツー一体だけのパーティーで旅とか何だよそのヌルッヌルの縛りゲーは。縛りになってない縛り付けるぐらいなら最初っから縛り無しのノーマルモードで良いから!」

 

 ミナトがそう言うと、ミュウツーは眉を顰めて不満そうな雰囲気を出す。

 

『私は最初から二人でポケモンバトルの最強への道を目指すつもりだったのですが……』

「それはそれで面白そうだから困る」

 

 これがゲームだったらチャレンジしてただろうなとミナトは思う。

 

『ならば共に……!』

「それでも俺は他のポケモンもほちぃ。更に言えば可愛い系のポケモンがほちぃ」

 

 一瞬嬉しそうな声で二人だけで最強を目指そう的な事を言い掛けるミュウツーだったが、それにかぶせる形で発言したミナトにバッサリ却下される。

 そんなミュウツーの表情は不満を隠しきれない表情であったが、身に纏う雰囲気はシュンとしたものであり、顔文字で表すなら「 (´・ω・`) 」である。

 

(ちょっと可哀想な事言ったかな……)

 

 と、罪悪感に苛まれたミナトがミュウツーに声を掛けようと手を伸ばした。

 

 

 

 その時であった。

 

 

ドゴオオオオオオオンッ!!!

 

 

 

 突然、ミナト達の耳に大きな炸裂音が響いてきた。

 

「『!!』」

 

 ミナトとミュウツーは互いに周囲を警戒する。辺りを見回すが、自分達の周辺に変わった様子は見られない。自分達が何者かに襲撃を受けたと言う訳では無い様だった。

 

『ミナト、あれを!』

 

 と、そこで何時の間にか空中で周囲を見回していたミュウツーが何かを見つけたらしく、ミナトを呼ぶ。

 ミュウツーが森の方を指差しているので何だろうかと視線を向けるが、見えるのは緑の生い茂った木々のみである。

 

「ミュウツー、何を見つけたんだ!?」

『向こうの方角へ森を抜けた先から大きな土煙が上がっています。距離もそう遠くありません』

 

 ミュウツーの報告を聞いたミナトは少し黙考した後に、どう行動するべきかを決めた。

 

「とりあえず、その土煙の上がっている方へ行ってみよう。何があるかは解らないが、放って置くと後が怖いからな」

『わかりました。先行するのでついて来て下さい』

 

 ミナトの下した判断にミュウツーは了承の意思を示し、異常が発生している地点を目指して先行する。そのスピードは決して遅くはないが、後続のミナトを気遣ってかなりスピードを落としたものだった。

 

「さあて、鬼が出るか蛇が出るかってな!」

 

 ミナトもまた、先行するミュウツーに置いて行かれないように足元に気を付けつつ森の中へと突撃して行った。

 

 

 

 森の中を駆ける事数分。整備されていない道を走って来た事もあってミナトは結構息が上がっていた。

 だが、目的の場所はもう目の前と言った所らしく、ドゴオオオン!と言う轟音が大きくなってきており、周囲には何らかの原因で宙に舞った砂埃が蔓延していた。

 

 ケホケホ……と、走っている途中に鼻や口、更には目にまで侵入してきた埃に咳き込み、目元を拭っている内に先程までの鬱蒼とした森から開けた場所に出る。

 ミュウツーが空中に静止した事から目的地に着いたのだろうと、ゴミの入った目を拭って何が起こっているのかを確認しようとする。

 

 すると、ミナトの目に飛び込んできたのは……

 

 

 

「お願い、もう止めてルカリオ!正気に戻って……っ!!」

 

「グルウアアアアアアアアアアッ!!!!!!」

 

 

 両腕を広げながら悲痛な声で豹変してしまった相棒を説得しようとする金髪ポニーテールの少女と、猛り狂いながら理性の感じられない血走った瞳で少女を睨み付ける様に凝視するポケモン「メガルカリオ」の姿であった。




次回はもっと早く更新できるといいな~とヲモトル。





【最近のうp主事情】
何回やっても何回やっても、嫁ルウシェが出ねえ……。
頼むからワイのところに嫁に来てくだしあ。
以上。読者的にどうでもいいうp主事情でした。

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