俺の相棒は最強の遺伝子ポケモン   作:吾輩がネコである

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お待たせしました。最新話です。

あと、今回のサブタイを見て変な想像をした方。後で職員室に来なさい。


第六話 キノコ狩りとカセキホリダー

「あ、見っけ!」

 

 エイセツシティの南西に位置する迷いの森。その奥地にてミナトはあまり使った事のない嗅覚を頼りにとあるモノを探していた。

 

「これでやっと3個目か。出来れば10個位は確保したいな」

 

 そう言うミナトの手の中にあったのは「かおるキノコ」と言うキノコだ。これはゲーム内においては換金アイテムとして使われており、恐らくXYにおいては最も換金に使用されたアイテムだと思われる。

 このアイテムは基本的にはミアレシティのとある高級レストランのお土産として持たされるのだが、実はこの迷いの森でも少数ではあるが入手することができるのだ。

 ミナトはそれを思い出し、旅の軍資金に当てようと思ってキノコ狩りをしているのだった。

 

 まさに、キノコ狩りの男である。これで赤と青の蜘蛛男スタイルだったら完璧だった。

 

『ミナト』

 

 と、そんなキノコ狩りの男であるミナトに声を掛けてくる者が居た。彼の友人にして相棒のポケモンであるミュウツーだった。

 ミュウツーもまた、ミナトのキノコ狩りに協力していた。

 

「おう、ミュウツーか。今し方3個目のかおるキノコをゲットしたところだ」

『そうですか。実は私の方ではそのキノコが群生している場所を発見しました。見積もって12、3個はあったかと思います』

「マジか!!」

 

 ミュウツーからの報告に歓喜の声を挙げるミナト。その表情は喜色に染まっており、今にでも踊りだしそうだった。

 

『しかし、今更ではありますがそのキノコが何だと言うのです?食用だと言うのならキノコに限らず木の実や山菜、それに街で買い込めば当分の食料には困らないのでは?』

 

 そこでミュウツーからの質問が飛んでくる。思えばキノコ狩りの目的についてしっかりと説明していなかった。

 

「おう。このかおるキノコはな、換金用のアイテムだ」

『換金……ですか?』

「ああ。今ここにあるから分かっているとは思うがこのかおるキノコはな、その名の通り良い香りのするキノコでな。普通に売ると一つ辺り6,250円で売れる」

『なるほど、それで?』

「しかもウルップさんの弟子……実際はジムトレーナーなんだが、キノコマニアらしくてな。かおるキノコを10個程度纏めて持って来たら7万円で買い取ってくれるらしい」

 

 普通に売ったら62,500円なので、7,500円の得となる。それを聞いたミナトは俄然やる気を出してキノコ狩りに繰り出したのである。

 

『なるほど。動機は理解しました。で、そのキノコを売ったお金を旅の資金にすると言う訳ですね?』

「そゆこと。いつまでもウルップさん達におんぶにだっこのヒモ野郎じゃ格好がつかないからな。旅立ちを期に自立するって感じだ」

 

 ミナトが手の中にある香ばしい匂いを撒き散らしているキノコを見つめながら言うと、ミュウツーが表情を綻ばせた。

 

『その志は立派です。そんな言葉が聞けて私も心から嬉しく思います』

「お前は俺のオカンか」

 

 目元を拭うような動作をしながらそう言ったミュウツーにミナトが真顔でツッコミを入れる。一種の夫婦漫才のようなやり取りに、たまたま通り掛かったらしい野生のボクレーが草むらから二人の様子を見てクスクスと笑いを零しながら去って行った。

 

「さ、駄弁るのはここまでだ。ミュウツー、お前が見つけたキノコの群生地まで案内してくれ」

『分かりました。行きますよ』

「え、あ、ちょっ。いきなりサイコパワーで持ち上げないで!?あといきなり加速するのもダメ!ダメなの!ら、らめぇええええええええ!!」

 

 その日、気色悪い悲鳴をあげながら迷いの森上空を一人の青年がポケモンと共にジタバタしながら飛行する様が目撃されたが、ここ数日の間に何度かあった事なので特に騒ぎになるような事は無かったと言う。

 

 

   ☆

 

「あー……ヒドイ目に遭った。危うくパンツにシミが出来るトコだったわ」

 

 その日の晩。そんな事を呟きながらミナトは、真っ暗なななしの洞窟の中に居た。ミュウツーは近くには居ない。もっと他にキノコが無いか探して来て欲しいと頼んで迷いの森に向かってもらっているのだ。

 

 もっとも、かおるキノコ自体はもうある程度数が揃っており、キノコマニアのトレーナーに売り渡す分は確保できているので、あまり必要無い。これはミュウツーを離れさせる為のその場限りの方便であった。

 

「さて、こっちも作業を再開しますか」

 

 そう言ってミナトは、頭に被った作業用ヘルメットに付いたヘッドライトの電源を入れ、近くに転がしておいた小型のピッケルとハンマーを手にする。

 そして、目の前にある洞窟の壁を炭鉱夫よろしくカンカンと掘削し始めた。

 勿論、この掘削行為にも理由がある。それはつい先日、ウルップ達にミュウツーを紹介し、更にパートナーとして旅立つ事を発表した日の時の事だ。

 

「ねえ、ミュウツーはどうしてあのどうくつのなかにいたの?」

 

 それはウルップの幼い娘が抱いた素朴な疑問だった。正直、ポケモンがそこに居着いたと言う事は過ごし易い環境であるとか、生活の拠点足り得る何かがあった位の理由しか無い。だが、幼い少女からしてみれば、何か特別な理由があったのだろうとしか思えなかったようだ。

 だが、そんな彼女の小さな質問が、ミナトの脳内にある一つの可能性を見出す事となった。

 

『……どうして、でしょうね。私もよくわかりません。漠然と世界を巡り、ある日あの洞窟にたどり着いて、そこに居着いたとしか。思えば、何かに引き寄せられるような感覚がして、あそこに洞窟に入ったような気がしますね』

「ふーん、そうなんだ……」

 

 ウルップの娘はミュウツーの答えにどこかつまらなさそうに相槌を打った。何か特別な答えを期待していたらしい少女にとって、ミュウツーの答えは漠然としていてよくわからないモノだったに違いない。

 しかし、ミナトにとっては違った。

 

何か(・・)に引き寄せられた、ねえ……)

 

 ミュウツーの答えを聞いていたミナトは、XYのゲームにおけるミュウツー関連の出来事を思い返していた。ななしの洞窟内でミュウツーを捕獲すると、それと同時にミュウツーに対応しているメガストーンを入手できるのだ。

 この世界の内容とゲーム世界の内容が全く同じとは言い切れないが、それでもリンクしている事があるのもまた事実だ。

 それを鑑みた上でミュウツーがななしの洞窟に引き寄せられたと言うのであれば、それは恐らくミュウツー自身に対応するメガストーン……ミュウツナイトと共鳴したからではないかと言う仮説がミナトの頭の中で出来上がる。

 

(こりゃあ、調べてみる価値は有りそうだな……)

 

 その翌日。ミナトは早速ミュウツーを伴ってななしの洞窟を訪れた。なお、その際に初のサイコパワーによる飛行を体験し、みっともない悲鳴を上げた最初の時でもある。

 ミュウツーに洞窟内部で何か感じないか、と問い掛け洞窟内部をサイコパワーで調べさせた結果、少し変わった反応がするらしい壁を探し当てた。しかし見た所そこは唯の壁。メガストーンと思しき鉱石類は見当たらなかった。恐らく壁の中に埋まっているのだろう。

 残念ながらその日は掘削用のアイテムを持っていなかった為、ミュウツナイトの採掘は見送る事となった。

 それ以降、ミナトは何かと理由を付けて一人になるとななしの洞窟でひっそりと炭鉱夫よろしく壁をカンカンと削る作業に没頭するようになった。

 相棒であるミュウツーにも秘密である。理由は単純。サプライズプレゼントだ。

 

「カンカンカン、カンカンカン、カンカンカンカンカンカンカンっと!」

 

 普通に掘るのもつまらなくなったのか、突然三三七拍子で掘削し出すミナト。そのへんからリズムに乗ってピッケルにハンマーを打ち付けるようになる。

 4ビートでピッケルを叩き、一定時間が経過したら今度は8ビート。そこから16ビートでハンマーをピッケルに打ち付ける。

 

「……だあぁ!流石に16ビートはキツイって!」 

 

 腕が痛くなったので止めた。小さいとは言え鉄製のハンマーを使って16ビートのリズムで打ち付けたらそうなって当然である。8ビートの段階で少し怠くなっていた位なのだからそのへんで止めておけばよかったのだ。

 あーあ、と地味に痛い腕をブンブン振りながらミナトは壁を一瞥し、即座に二度見した。

 先程までカンカンしていた壁の一部にゴツゴツと角ばった透明な鉱石の様な物が露出していたのだ。よく見ると一部が少し掛けてしまっている。どうやらハンマーでビートを刻んでいる最中に削ってしまったようだ。

 今度は注意深く周りの岩石を削り取っていく。すると徐々にその透明な鉱石の全体像が見えてくる。鉱石その物の大きさはハンドボールと同じかそれより一回り大きい程度。それだけを見れば唯の大きなガラス玉か水晶と言った所だろう。

 だが、たった一つだけガラスや水晶ではないと言い切れる特徴があった。その鉱石の真ん中には揺らめく炎のようなマークが。理系学者的な観点で言えばDNAの二重螺旋構造の一部を切り取ったようにも見える。そのマークは三色に分かれており、白と濃さの異なる二種類の紫色で構成されていた。その色合いはミュウツーの身体の色を思わせる物だ。

 

「あ……った」

 

 ミナトは呆然と呟いた。だが、その内心では歓喜していた。これは間違いなくミュウツナイトだ。ミュウツナイトにはXとYの二種類が有り、それぞれによってメガシンカする形態が異なる。ミナトにはその区別がつかなかったが、それでもミュウツナイトである事には違いないはずだと喜んだ。

 ミナトは慎重にピッケルとハンマーを振るい、そのメガストーンを掘り出してその手に取る。その瞬間、ゼルダシリーズお馴染みのごまだれ~なBGMを口ずさみながらメガストーンを掲げた。

 また、それだけに飽き足らず今度はミナトの脳内に、ファイナルファンタジーシリーズお馴染みのファンファーレが鳴り響き、そしてそのままチョコボのテーマを口ずさみながら踊りだした。

 

 

 結果、途中から何故かキタキタ踊りに移行するも構わず踊り続けてしまい、キノコ探しから戻って来たミュウツーにその様子を目撃されて脳の病気かと本気で心配される事となったであった。




さて、今回は(かおる)キノコ狩りと進化の石「メガストーン」を掘り出すお話でした。サブタイ的に後者は無理矢理感が否めませんね。(´Д`;)ヾ ドウモスミマセン

それより、今回のサブタイ(主に前半部分)で変な想像した者。

後日指定の場所に100万持って来る様に!



ジンバブエドルでなッ!!

(そして場所を指定しない)

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