俺の相棒は最強の遺伝子ポケモン   作:吾輩がネコである

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第三話 ポケモンの村

「ふう。ここが“ポケモンの村”か……」

 

 迷いの森と呼ばれる鬱蒼とした森を抜けた先にある色とりどりの草花が生い茂る場所。その入口に当たる場所でミナトは息を吐きながら呟いた。

 

 ポケモン世界にやって来て、ウルップに保護された日。行く宛のなかったミナトはウルップの一家の元に居候させて貰える事となった。夕方頃に戻って来たウルップの奥さんや二人の子供達に自己紹介し、驚かれはしたものの何とか打ち解ける事が出来た。

 

 それから数日が経過し、ウルップ一家にも少しずつ馴染み始めたミナトだったが、ウルップ家に居候し始めた当初からモヤモヤと心の奥底で気になっていた事があった。

 

 それはこのポケモン世界にトリップしてから最初に接触したポケモン“ミュウツー”の事であった。

 

 現実世界の日本に居た際に知っていた設定や情報としては、『ミュウの遺伝子をベースに生み出された人工ポケモン』、『極限まで戦闘能力を高めた最強の存在』、『ポケモンの中で最も凶暴で、優しい心など存在しない』、『自らを生み出した人間に強い敵対心を抱いている』などと言った強さや凶暴さを強調した内容のものばかりであった。

 しかしTVアニメ版においては知的で哲学的な面を持った性格が描かれるなど、凶暴と言う言葉から掛け離れた印象を抱かせる存在であった。

 前者であるゲーム版のミュウツーを「動」や「剛」と表した場合、後者のミュウツーは「静」や「柔」と言った言葉で表現する事ができる。

 このようにメディア作品によって対照的な内容で描かれるミュウツーは、初代から設定で最強であるとされている事もあって非常に高い人気を誇っていた。

 

 斯く言うミナト自身もミュウツーは好きなポケモンの中でもかなりの上位にランキングしている。今思えばそんなポケモンと実際に遭遇する事が出来て感激ものであった。

 だが、そんなミナトの脳裏に焼き付いているのは物哀しい雰囲気を纏った寂しそうなミュウツーの姿。ホンの僅かな時間しかミュウツーと接していないが、それでも雰囲気やミナトを洞窟から退去させた時の言動から“彼女”は「柔」のミュウツーであると彼は感じていた。

 

 そんなミュウツーの事が頭から離れなかったミナトは遂に行動を起こすことにした。ミナトはウルップに事の次第を相談し、ポケモンの村まで行きたいと申し出た。

 もちろん、ウルップには反対された。迂闊に近付くのは危険だ、と。

 

 だが、そんな事は百も承知であった。それでもミナトは、ミュウツーと再び相見えたいと考えていた。ウルップからは会ってどうするのかと問われ、それに明確な答えを用意する事は出来なかった。ただ、会いたい。会わなければならない、とミナトの意志は堅かった。

 

 その強固な石や鋼のように揺るがない意志を感じたらしい(もしかしたら単に諦められたのかもしれないが)ウルップは、ポケモンの村への道順を記した手書きの地図を手渡しこう言った。

 

「まあ、あれだよ。頑張れよ」

 

 それは無事に帰って来いと言う意味なのか、それともそれ以外の意味が含まれていたのか。或いはただなんとなく出た言葉だったのか。ウルップの「頑張れよ」と言う言葉に隠された意味をミナトが理解する事は出来なかった。

 しかし、その言葉を聞いて僅かばかりの勇気と言うか、元気が湧いてきた気がした。

 

 そんなやり取りもあって、ミナトは貰った手書きの地図を手にポケモンの村へとやって来た。迷いの森が薄暗く、また入り組んでいた事もあって辿り着くのに何時間も掛かってしまったが何とか到着できた。

 

「すぅ~……はぁ~……」

 

 先程までの鬱蒼とした湿り気のある森とは異なり、爽やかな香りと優しい風を感じる草原を前にミナトは、一度深呼吸をした。

 迷いの森で感じていた物とはまた違う自然の空気を取り込み、なんだか心が安らぐような感じがした。

 

「ん?」

 

 とそこで、ミナトは視界の端で何かが動いたような気がした。

 違和感を感じた先に視線を向けると、ミナトの腰くらいある草むらの中からこちらをジッと見つめる影があった。

 その影は警戒しているようだが、同時にこちら側に対して興味があるのか少しずつ近付いて来ていた。

 

 ミナトもその影をジッと見つめていると、その影は草むらの中からようやく姿を現した。

 

 真っ黒な顔にツンと突き出た鼻。そして全身にまるでコートを着込んでいるかのようなフサフサの白い体毛を纏っている。そして臀部から生えている尻尾は少し自信なさげに垂れている。

 目の前に現れた四足歩行の犬に似通った特徴を持つポケモンをミナトは知っていた。

 

「トリミアンか」

 

 ミナトの目の前に現れたポケモンの名はトリミアン。トリミングから名前を捩ったと思われるこのポケモンは、このカロス地方では主に女性から人気の高いポケモンとされている。

 その理由は、元々の愛らしい見た目に加えて、ボサボサに生えている体毛をトリミングする事で様々なスタイルに変える事が出来る為だ。カロス地方のマダム達の間では、トリミングしたトリミアンを連れている事が一種のステータスにもなっているらしい。

 

 そんなトリミアンが、恐る恐ると言った様子でミナトに近づいてきた。何処か怯えているように見える。その時、ミナトはウルップが話していた事を思い出した。

 

――ポケモンの村って呼ばれている場所がある。そこには人に捨てられたポケモンや、心無い人間を見限って逃げてきたポケモンが集まって暮らしているんだ。

 

 ミナトは、このトリミアンもそんなポケモン達の一匹なのだと理解した。どこか怯えたようにも見える様子から、このトリミアンは捨てられたポケモンなのだろう。いや、もしかしたら虐待されて、トレーナーから逃げて来たのかもしれない。

 そのどちらかは推し量れなかったが、このトリミアンが人間に対して一種のトラウマのようなものを抱いているのかもしれない。それでも、このようにミナトに歩み寄ろうとしているのはそのトラウマと向き合おうとしているトリミアンなりの努力なのかもしれない。

 そしてこれにはきっと、ここに時折来ているというウルップの影響もあるのだろう。

 

 ミナトはそんなトリミアンの様子を複雑な心境で見守った。

 

 しばらくして、トリミアンがミナトの元へとやって来た。不安気な眼差しでミナトを見上げるトリミアン。そんな彼(或いは彼女)に、ミナトは穏やかな笑みを見せ、ゆっくりとしゃがんだ。

 

「初めまして、トリミアン。頑張ったな」

 

 ミナトの口から出たのはそんな言葉だった。ミナトはゆっくりとその手を差し伸べると、トリミアンの頬を優しく撫でてやった。

 ミナトの指先がトリミアンに触れた瞬間、トリミアンがビクリと震えたが、友好的な態度を見せたお蔭か警戒を解いてくれた様で、顔をミナトの手に擦りつけてくる。

 

 可愛い。

 

「よぉ~しよしよしよしよしよし!!よぉ~しよしよし!!」

 

 トリミアンの可愛さにミナトの中で何かが爆発した。某動物王国の様な高い声を出しながら一心不乱にトリミアンを撫でて可愛がる。普通なら嫌がられそうなものだが、冷静さが迷子な状態とは言えその撫で方は優しいらしく、トリミアンが嫌がる様子は見られなかった。

 

 そうしてしばらくトリミアンとじゃれていると、ガサガサと草むらが揺れる音がした。それも複数の音が様々な方から聞こえて来たのだ。

 ミナトはトリミアンを撫でる手を止めて周囲を見渡す。すると草むらから現れたのはヤヤコマやフラべべ、ヤブクロン、ゾロアと言ったポケモン達。

 

 どうやらトリミアンを可愛がっていたミナトの声を聞きつけて集まってきたようだ。

 

 次々と姿を現した野生のポケモン達に少し圧倒されるミナト。と、そこでとある事を思い出した。

 

「あーそうだった。ウルップさんからポケモンフーズ預かってたんだった」

 

 ミナトはそう言って背負っていたリュックサックを下ろし、中からポケモンフーズの入った缶ケースとそれを入れる為のプラスチック製の皿を複数枚取り出す。

 ミナトはそれを適当に並べ、皿の中にポケモンフーズを盛り付けた。

 

「ほれ、お前達。ウルップさんからの差し入れだぞ」

 

 ミナトがそう言うと、ウルップと言う言葉に反応したポケモン達が一斉にポケモンフーズへと群がった。むしゃむしゃガツガツとポケモンフーズを頬張るポケモン達は幸せそうな表情を浮かべている。

 そんなに美味いのだろうか、と缶ケース内に余っていたポケモンフーズを一つ摘んで口に放り込んでみる。外はカリカリ、中はサクサクと言ったスナックの様な食感のポケモンフーズ。原材料は木の実を用いているのか、ほのかに甘い味がした。

 具体的な例で挙げるなら、カロリーメイトのフルーツ味と言ったところだろうか?人間からしてみれば少々好みの分かれる味ではあるが、ミナトは悪くはないと思った。

 

「あっ……肝心な事を忘れてたな」

 

 と、そこに来てミナトは自分が一体何の目的でポケモンの村にやって来たのかを思い出した。自分の目的――それはミュウツーと再会すること。それに一体何の意味があるのかはミナトにもよくわからない。だが、ミュウツーと再び会わなければならないという確信があった。

 

 ミナトは、トリミアン達がポケモンフーズを平らげるのを待って彼らからミュウツーが居ると思われる“ななしの洞窟”へ案内してもらおうと考えた。

 

 それから少しの間、トリミアン達がポケモンフーズを頬張る様子を眺めながら、周囲を見回したり時折気に入っていた曲のフレーズを口ずさんだりしながら時間を潰した。

 

 やがて、ポケモン達が満足そうに食事を終える。そして、ミナトにお礼のつもりかそれぞれが一回鳴き声を上げた。

 

「満足したみたいで良かった。さて、君達に聞きたいんだが、この近くに洞窟かなんか無いか?」

 

 ミナトはさり気無い様子でそう質問した。が、ポケモン達の反応は顕著だった。

 

 皆が一斉に悲鳴を上げ、ヤヤコマの様に飛べるポケモンは飛び去り、それ以外のポケモンは慌てた様にミナトの前から走り去ってしまった。トリミアンもその例に漏れず、草むらの向こうへ消えていってしまった。

 

「あ、あれぇ……?」

 

 ミナトは呆然とポケモン達が消えていった草むらを見つめる。ミナトは失念していた。ミュウツーはその強さのあまり周囲のポケモンからも恐れられていると言う現状を。

 しまったな、と頭を掻くがもうすでにポケモン達は走り去った後だ。はあ、と溜息を一つ零して、ミナトは自力で探す事にしたのだった。

 

   ☆

 

 ななしの洞窟を求めて三千里……ならぬ三十分弱。それらしき洞窟は思いの外あっさりと見つかった。もっとも、その洞窟の入口前には川が流れており、そこを渡らなければ洞窟には立ち入れない場所だった。

 本来ならば、ポケモンの力を借りて波乗りで渡るのだろうが生憎ミナトにポケモンは居ない。いずれはポケモンと共にカロス地方を巡ってみたいなと言う小さな願望もあったのだが、ウルップ達の話やウルップ家で見たテレビ番組の内容から厳しいトレーナー事情と言うものを少しではあるが認識し、ゲーム感覚で旅に乗り出せば痛い目に遭う事は間違いない、と思いとどまっている。

 

 何より、今はミュウツーに会う事が先決だ。

 ミナトは出来る限り川の中から突き出している石などを足場にし、時には足を川の中に突っ込みながら向こう岸へと辿り着く。

 

 ようやっとの思いで辿り着いた“ななしの洞窟”。その入口を前に、ミナトは緊張感をほぐす様に一度、二度と深呼吸をする。

 そして最後に気合を入れるつもりでパン!と顔を叩く。ちょっと力を入れすぎたせいか頬がジンジンと痛むが、この程度の痛みがなんぼのもんじゃい!と鼻息をふんすと吐いて、洞窟の中に足を踏み入れる。

 

 洞窟の中は薄暗かった。だが、ミナトが洞窟で覚醒した時よりはだいぶ明るい。恐らく、ミナトが目覚めたのは日が出ていない時間帯で、余計に洞窟の内部が暗くなっていたのかもしれない。

 一回目と二回目の内部の明るさの違いに関して、そう勝手に解釈していると……。

 

『……ここに、何の用ですか。人間』

 

 ミナトの脳内に、最近聞いたはずの……しかし何処か懐かしくも感じられる女性的な声が、冷たく響き渡るのだった。




ミュウツーと再び会わねばならない。

何故かって?それはお前――――――















物語が進まないからに決まってんでしょうがああああああああああッ!!!!!(発狂)

こちとらさっさとミュウツー様PT入りさせて主人公とカロス地方全土をjourneyさせたいんじゃああああああ!!
そんでもってちょこちょこポケモンをゲッツ!させて時偶ミュウツー様で無双っぽい事して、モブトレーナーから賞金とか巻き上げて軽くブルジョワ気分を満喫させたりだとか、途中で登場予定のヒロインキャラとイチャコラさせたりとか色々やってみたい事があるんじゃああああい!!!
畜生めえええええええ!!
特にヒロインキャラで色々と○○だったり××とかしちゃったりして紳士諸君を歓喜させるネタとかやりたいんだああい!
おっぱいぷるうぅんぷるぅん!!

でも明日から仕事が忙しくて時間があんまり取れないんじゃあああああ!!
ごちうさ難民ならぬ執筆難民救済してくれええええええ!!!!

嫌ああああぁぁぁぁぁ――――――。


その後、奇声を上げて発狂していた猫耳フードの変質者がパトカーで連行されていくのだった……。


上記のとおり、次回更新は早くても来週末くらいになりそうです。

無駄過ぎる痛い後書きキャプション芸、失礼いたしました。

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