Girls und Heiligenschein   作:ケツのインゴット

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第三話 Military Reservation 01478-B

 

 

「起きろ!訓練生!」

 

SPARTAN‐Ⅱ候補生として拉致されてきた次の日。

 

まほの意識は頭に響く大声によって浅い覚醒を果たした。

 

「起きろと言っている!訓練生!言葉の意味が分からんのか!」

 

つづいて鋭い痛み、右足を棒か何かで叩かれたれたのを感じる。

 

今度こそはっきりと目を覚ました。

 

 

 

目の前にあの時の男がいて、しかしまほをあの時の比ではないほど鋭くねめつけていた。

 

先ほどまほの足を叩いたであろう警棒を、今度は火花を散らせながら振り上げて怒鳴る。

 

それで叩かれたらたまらないと、半ば転げ落ちるようにしてベッドから降りた。

 

周りの子供たちも大体同じ反応をしていた。

 

「俺はメンデス上級曹長だ」

 

昨日見かけた丸刈りの男の子の隣にいる男が声を張り上げた。

 

「残りはお前らの教官だ。全員彼らの指示に従え」

 

彼は宿舎の奥を指さした

 

「全員でシャワー室に行った後、ここに戻り、全員で着替えろ」

 

まほも含め、皆もあっけにとられていた。

 

「ちんたらするな!さっさと行け!」メンデスが突然隣の男の子に警棒を押し付けた。

 

火花が散るのが見え、男の子はベッドに倒れこむ。

 

 

 

それを見たまほは、弾かれたようにシャワー室に走った。走りは少し自信がある。いつもみほをおいかけていたから。

 

一番乗りでシャワー室に到着したまほは、女性は慎みを持ちなさいと常日頃言っていた母に内心謝りながら寝間着と下着を脱ぎ捨て、飛び込むようにシャワーの個室内に入った。

 

ひどく冷たいシャワーだ。それでもしっかりと体を洗う。

 

洗い終わったあと、まるでシャトルランの様にベッドに引き返し、用意されていた上下グレーのトレーナーに着替える。

 

トレーナーの胸には〈Maho‐212〉の刺繍がされていた。

 

 

 

メンデスに急かされ、言われるがままに外に出るとまだ空は青みがかかっていて、太陽は出ていなかった。

 

メンデスに十五人ずつの列を三列作れと言われ、まほは初めて自分と同じ境遇の子供たちが75人ほどいることを知る。

 

教官たちにどやされながらも、どうにか列が出来た。まほは3列目だ。

 

 

 

まほは今考えるべきでは無いことと理解しつつ、みほが今何をしているか、自分がいなくなって大丈夫かなどを想像した。もう帰れないと言われた以上、想像する他無いのだから。

 

「挙手跳躍運動を始める!」メンデスが叫ぶ「百回だ。やれ」

 

教官たちが腕を挙げて飛び跳ねるのを見て、まほもそれに倣い運動を始める。

 

猛抗議している女の子もいたが、すぐに警棒の火花で黙らせられていた。

 

ああはなりたくないから従った。

 

百回が終わるころには、先ほどシャワーを浴びたときの様に全身が濡れていた。

 

 

 

ようやく終わったと思ったが、それは勘違いだとすぐに知る。

 

「よし、では腹筋を百回だ。やれ」まほは眩暈がするのがはっきりと分かった。

 

腹筋が終わったあとはスクワット、さらにそれが終わった後には屈伸が続く。

 

途中二度も吐き、鼻水と涙が止まらなかったが、どうにか全て終わらせた。

 

まさに息絶え絶え。そこに水のボトルが運ばれてくる。

 

まほは今までしたことが無いほど乱暴にボトルを引っ掴み、一気にあおった。

 

だが勢いが付きすぎたのか、脱水防止で塩の入った水はまほの気管支を駆け巡った。

 

まほは酷くむせ、何度もせきをした。

 

そうこうしているうちにメンデスが次の指示を出す。

 

「次は走る。俺についてくるんだ!」

 

まほと他の子供たちもよろよろと立ち上がり、メンデスの後を追って走り始めた。

 

 

 

とっくに体力の限界は迎えていたが、それでもまほは走り続けた。

 

気が付くとドームが目の前にあり正門には”海軍士官学校”と書いてある。

 

どれだけ走ったのかわからないが、とにかく目的地には着いたようだ。

 

建物の前には前時代的、というよりは古代的な服装をした女性が見えた。古代ローマの彫像の様な格好だ。

 

そんな格好をしたした女性が何故こんなところに?まほはそう疑問に思ったが、女性の頭の周りを回っている光点を見て疑問が氷解した。

 

Vidで見たことがある。あれはAIだ。

 

そのAIはメンデスをねぎらい、まほ達に自己紹介をしてきた。

 

名前はデジャと言うらしい。そして授業があると告げられた。

 

またどうせ碌なものではないだろう。そう思っていたが、いい意味で裏切られることになる。

 

 

 




禁句[中途半端じゃね]


※Vid-要はTV的なもの

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