女神達の奇妙な冒険   作:戒 昇

4 / 66
早いですが、3話の投稿です。今回から新たなスタンドがでます


第3話 メイビス・シャドウその①

「うーん…」

 

今は昼休み後の5時限目の授業の最中である。本来集中すべきであるが、俺は数十分前のことで頭が一杯だった

 

「君達があの「μ’s」なのか!?」

 

「うん!もしかして気付かなかった?」

 

「名前ぐらいしか知らないから、わかんなかったよ…」

 

「無理もありませんね、東京を中心に活動していますし…」

 

「遠征ライブも、被災地ぐらいしか行ってないものね」

 

まさかテレビなどで話題が持ちきりの人たちに生で会えるなんて、しかも同じ学年の同じクラスなんて普通の人なら喜ぶ所なんだが…

 

「それにしても、「ストーカー」がいるなんて…」

 

「「「……」」」

 

三人とも下を俯いて黙ってしまった・・

 

無理もないと思う、ただでさえ学院との両立で忙しい上に悪質なストーカーがいるとなると、ストレスが溜まる何て物じゃない…下手をすれば疑心暗鬼に陥って、外に出られなく可能性だってあるかもしれない。

 

すると、俯いていた穂乃果が顔をあげる。

 

「お願い!私たちを…「μ’s」を助けて欲しいの!」

 

「ほ、穂乃果…」

 

「穂乃果ちゃん…」

 

穂乃果の話を要約すると、数ヵ月前から現れ始めたらしく、最初の頃はライブの度に9色の花束を送っていて熱心なファンだと思っていたが、その内ライブが終了した後、こっそり自分達の後をつけて歩くようになったという。

メンバーの中には、家の近所まで付いてきたこともあったことも話してくれた。

 

「なるほどな…」

 

「最近では、ライブを開く度にそのことが気がかりになってしまい集中ができませんし…」

 

「なりより楽しいはずのライブが楽しめないのが一番辛いよ」

 

それを言う南さんはとても悲しそうな顔をしており、見ているこちらも胸が痛む気持ちになる。

それと同時に、その「ストーカー」に対する怒りの様な感情も沸いてきた。

 

そこで、俺はある提案を思い付いた。

 

「・・・次のライブはいつやるんだ?」

 

「明後日の8日の水曜日に、学院の講堂でやるよ」

 

「なら俺も一緒に行っても大丈夫か?」

 

「「「え~~~!!!」」」

 

「前もって準備するより、ボディーガードみたいに着いていったほうがいいだろ」

 

「しかし、それではあなたにも危害が…」

 

「なにある程度の護身術は身につけてあるから問題はないよ」

(いざとなったらあの「力」もあるしな)

 

「それに本当に危なくなったら警察でも呼べばいいしね」

 

「ありがとう~~!!」

 

いきなり穂乃果が俺に向かってダイブをしてきたので咄嗟に両手で受け止めた。

 

「あ、あぶないだろ」

 

「だってだって、本当に嬉しかったんだよ!今までずっと不安だったからッ!」

 

そう言った穂乃果の体は若干震えており本当に怖かったと感じられ、俺はまだ見ぬストーカーに対して、静かな怒りを感じていた。

 

 

 

 

~~~~~~*****~~~~~

 

 

 

放課後

 

俺はとある一室に向う為、広い学院内を歩いていた。

 

「メモ用紙に書いてあるのはこの辺なはずだけど、それらしいのは…ないな」

 

あの後、穂乃果から「みんなに承君のことを紹介したいから放課後部室に来て」とメモを渡されていたが…

一言で言うなら「雑」しかないな、さっき職員室で聞いたらこの地図間違っているとまで言われた…昨日の秋葉原案内は奇跡だったのかな…?

 

そんな事を考えていると、ようやく目的の場所へ着く。

一見すると何も書かれていない扉で、ガラスがはめてある所にカーテンがかかっており、その隅に小さく「アイドル研究室」と書かれていた。

「コンコン」とノックするも返事がない、仕方がなく扉を開けた瞬間…

 

「「「「「「「「「ようこそアイドル研究室へ!」」」」」」」」」

 

「へ…?」

 

綺麗に揃った声で出迎えられておもわず変な返し方をしてしまった、中には穂乃果、園田さん、南さん以外にも六人の女の子が椅子に座っていた。

 

「来るのが遅いから、ちょっと心配したよ~」

 

「お前が渡した地図が間違ってなければもう少し早く来れたかもな」

 

「え、そ、そうなの…?」

豆鉄砲に当たった顔をする穂乃果に、園田さんは頭を抱えてしまう。

 

「全く、穂乃果は…」

 

「あはは・・・」

 

南さんは苦笑いする光景を見ると恐らくこういう事は日常茶飯事だろうと思っていると、奥に座っていた女の子が立ち上がった。

 

「ちょっとこいつが本当ににこ達のボディーガードになるわけ!!?」

 

黒髪でツインテールで、学院の制服の下にピンク色のシャツ(?)みたいのを着ている女の子だった、そして何より穂乃果より背が低いのが特徴だった。

あの背格好だ、おそらく一年生だろう。

 

「元気のいい一年生だな、でも先輩をこいつ呼ばわりはいけないかな」

 

「誰が一年生よ!!」

 

「承君、にこちゃんは3年生だよ~」

 

「え……マジで!?」

 

「驚き過ぎよ!全く」

 

「すみません、先輩とは知らずに」

 

衝撃的だった、まさかあんな(失礼だが)で3年生とは新手の年齢詐称かと思ったわ…いや、本当にね。

 

「じゃあ改めて紹介するよ、アイドル研究部の部長の

 

「矢澤にこ」ちゃんだよ!」

 

「ふん!」

そっぽ向かれてしまったが、仕方があるまい…

 

「こっちにいるのが、3年生の「絢瀬絵里」ちゃん!」

 

穂乃果曰く、ロシア人とのクォーターらしい…通りで日本人離れしたスタイルだと思ったよ。

「よろしくね!」

 

「その隣にいるのが、同じ3年生の「東條希」ちゃんだよ」

「よろしゅうなぁ」

 

すごい美人だけど、関西弁を喋っているから出身は向こうになるのかな?、それにしても矢澤先輩と同じなんて信じられないほどだな。

 

続いて一年生の紹介となった。

「じゃあ、一年生を紹介するよ!まずは作曲担当の「西木野真姫」ちゃん!」

「よろしく」

「元気いっぱいの「星空凛」ちゃん!」

「よろしくにゃ~」

「にこちゃんと同じくらいアイドルが好きな「小泉花陽」ちゃん!」

「よ、宜しくお願いします」

 

これまた個性的なメンツだな…そう言えば、小泉さんは昨日の定食屋で見かけた気がしたけど人違いかな?…いや多分そうだろうな、山盛りになったご飯茶碗を持ってたからな。

 

「じゃあ俺も自己紹介を…」

 

「大丈夫だよ、もうみんなには承君のことは伝えてあるから」

 

「早ッ!」

 

「で、どうするの?ボディーガードて言っても付きっきりという訳にもいかないでしょう」

 

確かに西木野さんの言うとおりだ、しかしこっちも授業内容を犠牲にしてある案を思いついた

 

「それなら大丈夫、俺がつくのはライブの始まる直前から、みんなが帰るまでになるから」

 

「確かにそれだとあなたに対する負担は減りますが…」

 

「いくらストーカーと言えど始める前に事を起こしてライブを中止にはさせたくはないだろうし、家に帰れば手は出しにくくなると思ったんだ」

 

「どうかな?穂乃果?」

 

「うん、それでいいよ!みんなは?」

 

「まぁ穂乃果の決定ならいいわよ」

 

「うちもそれでいいと思うよ」

 

「全く~しょうがないわね」

 

「私は別に大丈夫よ」

 

「凛もそれでいいにゃ!」

 

「私も大丈夫です!」

 

そんな訳で俺は彼女達の一日ボディーガードを務めることになった、何事も起きなければいいと願いつつ今日の所は解散となった。

 

 

 

 

 

~~~~~*****~~~~~

 

 

 

 

 

 

4月8日水曜日 講堂内

 

「結構集まってきたな…」

 

この日は午後3時から開放され、開演の十分前の段階で満員になった。

俺は舞台袖から観客席を見ており、不審者が来てないかを確認していたが、今の所はそんな人物はいなかった。

 

そこへライブ衣装を着た穂乃果がやってきた、本番前にダンスの最終確認をすると聞いていたので、今日のライブが終わるまでは顔を見せないと思っていたから、少し驚きながら彼女の方を向く。

 

「いよいよだね」

 

緊張と不安からかいつもより静かな穂乃果の頭に手を置きながら励ましの言葉をかける。

 

「穂乃果、今は嫌な事は忘れて全力で楽しんで来い!

 ストーカーは俺が何とかするからな」

 

「承君・・うん!!」

 

そして午後4時、開演となった。

俺は講堂の舞台裏にいる、ここなら客席で何かあった場合すぐに駆けつけられるからな。

そう意気込んでいたのが30分前だった…だが一向に異変は現れなかった。

(さすがに学校内じゃ手は出さないか…)

そう思ってた時だった。

 

 

俺の後ろで金属音が響くのが聞こえてきた、咄嗟に振り返った所、細長い金属棒が倒れていた。

不審者が侵入してきたかと思ってい為、構わず向き直ったが…

 

確かあそこには物なんてなかったはず…嫌な予感がした為、再び振り返ると、そこには黒色のマントを羽織った人のようなものが金属棒を振り下ろそうとしていた所だった。

 

「くッ!「アウタースローン」!!」

 

振り下ろされた棒を両腕で防ぎ、バックステップで距離をとる。

 

「まさか、俺のこの力と同じ奴がいるなんて…」

 

ユラリと体を動かすあれが…恐らく「ストーカー」の正体なのだろう。

…自分にしか見えない「スタンド」と呼ばれる存在だと直感で解る。

 




ここでスタンド紹介です

スタンド名:メイビス・シャドウ
  破壊力‐C、スピード‐D、射程距離‐A
  持続力-A、精密動作性-E、成長性-なし
本体:神楽坂 信行
能力:自身の射程距離内の「影」に潜行できる、潜行中は攻撃できないが相手も攻撃を加えることができない。さらに「影」として映ったものを武器にできる(例えば「包丁」が映ったなら「包丁の影」を使うことができる)

感想・ご意見お待ちしています

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。