沖縄県 我那覇島 PM13:00
沖縄本島から数キロ南下した所にあるのが「我那覇島」、俺(承一)の生まれ育った島である。
人口は約千人ぐらいで島の産業のほとんどが漁業であり、マンゴーなどと言ったフルーツの類はあまり育てていない(但し個人で育てているのがあり、とても美味い)
島の形が二等辺三角形に似ているから島民は「三角島」と呼ぶこともあり、さらに形が少し酷似している「宮古島」からは「兄弟島」なんて呼ばれている。
観光名所と言えば、島の中心に位置する五百年ほど前の城跡ぐらいしかなく後は、白い砂浜程度のものだろう。
と言った具合に俺の生まれ故郷の話をμ’sの面々に話した所、凄い盛り上がりをみせてくれた(主に砂浜のところで)
「そんなに羨ましいのか?」
「羨ましいよ~~」
「そーなのかー」
「すごい棒読みだよォ!!?」
そんなやり取りをしながら本島から出ている高速船に乗り込む。これが島に行ける唯一の手段である。
時間にすれば二十分程度であるがその道中は、綺麗な海を見て騒ぐμ’sのアホ代表(穂乃果、凛)から目を離しておけなかったからそれ以上の時間が掛かったような気がする。
船から降り、島の風を感じる・・・久しぶりの故郷だ。一ヶ月だけ離れていただけでこんなに懐かしいと思うんだな。けどもう一つの事も忘れてはいけない・・父を殺した奴がここにいるかもしれないことを・・・
「承君!早く早く~!」
「ああ、今行くよ」
穂乃果に呼ばれ足早に歩き出す、・・・・ところで彼女達は泊まるのかな?ここにはホテルは数軒しかないからな
「ここに泊まるのか・・・」
「うん!そうだよ!」
何処に泊まるのか興味本位で彼女達と見に来たら・・・島で一番高い「リゾートホテル」だった。確か一人一泊7~8000円ぐらいしたはずなんだけど・・・・もしかして
「私が先に払っておくから、みんなは部屋に行っても構わないわよ」
・・・・やっぱり、まぁこのメンツで払えるのは真姫ぐらいしかいないのは分かっていたけど
「でも、ホテルって払うのはチェックアウトの時だと思ったけど違うのかしら」
絵里の言うとおり、普通ではそうなのだがやはり高い所は違うのか・・?そう考えてた時、カウンターの奥から一人の男性が出てきた。
「私共のホテルは全てを含んでいますから」
身長は190cmだろうか青いスーツに星型の絵柄が入ったネクタイを締め、髪型はソフトモヒカンをしている男性だった、その人はカウンターから出て俺達の目の前まで来て一礼をした。
「あの・・全てを含むというのは・・?」
「言葉足らずでしたね、つまり部屋にある飲料水や当ホテルに併設されているプール、レストランの食事などといったものを含むということです。」
「先払いにさせていただくのは、せっかく楽しい旅行ですので後で払うより初日に払っていただいた方が、帰る時に楽しいままお帰りいただける為です」
「な、なるほど・・・」
「紹介が遅れましたが、私は当ホテルのオーナーを務めています「神場崎 渚(かんばざき なぎさ)」と申します」
丁寧な挨拶をされ、俺達もおもわず頭を下げる。
「では、私はこれから所用で出かけますので・・・どうぞごゆっくりしていってください」
そう言って出口に向かっていった。
「じゃあ、俺もそろそろ行くよ」
「え~~、承君行っちゃうの・・」
「後で戻ってくるから大丈夫だよ」
穂乃果達と別れ、実家に行く為ホテルを出る。
~~~~~*****~~~~~
ホテルから少し離れた所にある公園、二人組みのバイク乗りが近くにあるファストフード店のコーラを飲みながら休んでいた。
「この後、どうしよっか?」
「そうだな・・じゃあ隣の島まで行ってみるか!」
楽しげに談笑する二人、だがその近くにいたとある男には気づかなかった・・・ふらふらした足取りで今にも倒れそうだが確実に前を進む男に・・・
「・・・・・、・・・・」
ブツブツと何を言っているのか、分からなかった。
男は足元にあった石に引っ掛け倒れそうになるが、近くにあったバイクに手をついたことによって転倒は避けられたが・・・
「あ!せっかく磨いた俺の単車が・・!」
「それに、何だ?油みたいのもついているぜ」
「ほ、本当だ・・・汚ったね~」
布で汚れを落としながら、それを付けた男の方を睨みつける。
「クソッ!!あの野郎!」
「お、おい・・やめておけよ」
激高した仲間を抑えようとするが、怒りが収まらず男に向かって大声で言った。
「ふらつきながら歩いてんじゃねえよ!!この酔っ払い野郎が!!!」
しかし、言われた男は何も言わずそのまま歩き続けた。
「何か気味悪いぜ・・・あいつ」
「はっ!ビビッて何も言えないんだろうよ!!」
高笑いしているせいか見えていなかった・・・・歩くのをやめ、こちらを静かに睨みつけている男のことを、
男の背後から「影」が出てきたことにも・・・・
「はぁ~ようやく収まったぜ、こんなにイラついたのも久しぶりだな」
「さっさと行くとしますか、腹が減ったからな」
「ん・・・?」
「どうした・・?」
バイクに腰掛けてながらコーラを飲んでいた男が急にそんな声をあげる。
「何か熱いな・・・」
「そりゃここは沖縄だからだろ」
「い、いや・・・そういう..ゴボッ・・じゃなくて」
「何か..ビチャ・・変なんだよ..ゴホッ・・」
「た、確かに何か変だぞ・・・」
男の言葉が途切れ途切れで、何かがこぼれる音もした。そのまま男は連れの方を向き直る。
彼は見てしまった、その目で・・・・仲間の喉元が焼けただれ、血の独特の臭いが漂い飲んでいる物と血が混じりあった液体がこぼれ続けているのが・・・
「ヒィ!!何だそりゃ!!!」
「ゴボッ・・お、俺はどうなってい・・・ガバァッ!!!」
そう言った瞬間、喉から大量の血が噴出し男は絶命した。
その血が顔にかかる、かかった箇所から焼けるような感覚に襲われた。
「うぎゃぁぁぁぁ!!何だぁ!!!」
その場から逃げようとした時、足元の液体で滑り血溜りに顔から突っ込む・・・顔と喉が焼けただれ、彼も絶命した。
その様子を遠くから見ていた男は、不敵な笑みを見せその場から立ち去る。
いかがだったでしょうか?
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