第1話 その出会い、始まり
「ピピピ、ピピピ」
目覚まし時計の音が鳴り、眠気を感じながら体を起こす。
「せっかくの日曜日なのに学校に行くのかよ...」
正確に言えば転入手続きをする為に行くのだが眠気には勝てず、頭から布団をかぶり目覚ましを取って時間を見たら
「8時40分…」
確か「明日9時までに来てくださいね」て言われていた気がするな…て、ことは…
「遅刻じゃん!!!!」
身支度をして朝食も食べず家を出る。
とんだ初日になりそうだ…やれやれだ。
階段をのぼり、横断歩道を渡ると目の前に立派な門が見える。
「ここが音ノ木坂学院か」
明日から卒業まで通う学校を前にしてそう呟く、ここは数年前に共学化した伝統ある女子校「国立音ノ木坂学院」、共学化したのは近くに新しい設備がある「UTX学院」ができたのと少子高齢化の影響によって廃校寸前になったからだという
「世知辛いものだな、しかし…」
共学化したといえ、まだ男子の数は圧倒的に少なく今年度は俺も含めて4人ぐらいだといっていたな…別の意味で不安になったぜ。
職員室に行き、そこから理事長室へ案内された。
「ここかな」
何とも重々しくいかにも偉い人の部屋!という扉の前にいる訳だか、故郷にいた時はこんな所に来たこともないから余計に緊張するな、けど突っ立てもしょうがない為、意を決して「コンコン」と二回ノックをする。
「どうぞ」
と女性の声がしたので恐る恐る中へ足を踏み入れる、すると椅子に座っていた人が立ち上がって自己紹介をしてくれた。
「ようこそ音ノ木坂学院へ、理事長の「南 日向」です」
「宜しくお願いします」
美人だ・・・20代くらいと言っても嘘に聞こえないほどだ、自分が想像していたのとまるで違う。しかし一つだけ気になることがある…あのトサカに見える部分はどうなっているのか、何かに針金でも仕込んでいると言われても信じてしまうぞ。
「はい、これで大丈夫ですよ」
転入手続きの為の書類を書き終え、それを理事長先生が一つ一つチェックしてくれて今ようやく終わった所になる。
「まだ慣れていないから分からないことや困ったことが
あったら何でも相談してね」
「はい、ありがとうございます」
トサカの事はまだ気になるけどいい人でよかった、これなら楽しく過ごせそうだ。そう思っていると南さんが真剣な表情をして尋ねてきた。
「ところで、比屋定君バイトとかする予定はあるの?」
「いえ、やるつもりはまだないですね」
「そう、なら良かったわ」
「…何でですか?」
「ここ最近、良くない噂や不審者がいるみたいだからもしするのなら気をつけてね」
「分かりました、けど大丈夫ですよ」
不審者か…やっぱり東京にはそういうのがいるのか、仮に来たとしても俺には誰にも言えないある「力」があるから平気だけどな。
午後12時半、手続きを終えちょうどお昼時になった。実は地元以外でご飯を食べたことがなく密かに楽しみにしていたのだ!どこかいい場所がないかブラブラしていると一つの看板が目に入った。
「ん、「GOHAN‐YA」?…定食屋か」
定食なら減りに減ったお腹を満たせるだろうし入ってみることにした、店内に入ると店員の元気な声が聞こえた。
「いらっしゃいませ!空いているお席へどうぞ!」
(なかなか人が入っているな)
奥の席に座り、メニューを開く。うむ和洋中全て揃っているのかどれにしようか…
「すいません、ハンバーグ定食のご飯大盛りで!」
無難なのを選んでしまったがいいだろう、でもから揚げ定食も魅力的だし餃子定食も捨てがたい…いや、さすがに食べすぎだな。
「お腹いっぱいだ~」
漫画に出てきそう大盛りのご飯をようやく平らげ、箸を置く。腹が苦しいがハンバーグも小鉢に付いてきたきんぴらも美味しく予想以上に満足になった。
しかし、お腹の具合も良くなったら軽くジョギングでもしてこようか…太るのだけは勘弁だからな。
「ここが秋葉原か、思ってた以上だな」
さすがオタクの街と言われるだけある…周りを見渡しても人、人、人だらけで頭痛くなりそうだ。
ある程度観光をしようと思ったけど、予想だにもしない混雑で家であるマンションに帰ろうと思い、踵を返した。
しばらく歩いた所で、少し離れた角から鞄を抱えていている男と、それを追いかけている人影が飛び出してきた。
男の腕には似つかわしくない青い鞄が抱えられていて、しきりに後ろを見て前方にいる俺には気付いていないようである。まぁどこから見てもひったくりだな…
「やれやれ…だな!」
その男に対して、自分の力…「スタンド」と呼ぶ力を発言させる、それは全身を灰色と黒色のロングコートで覆われ、背中には身の丈ある巨大な「大剣」が背負われていて頭部には西洋甲冑のような兜を被っている人型スタンドである。その「スタンド」が右拳で近くにあった自動販売機の横にあるゴミ箱を殴る。
「どけどけ…うわ!!!」
その瞬間、男の足元に何本かの空き缶が集まっていき、それを踏んでしまい男は頭から盛大に転び、手から離れた鞄が宙を舞う。
「よっと」
それを両手でキャッチし、男を追いかけてきたと思われる女の子に手渡す。その人はオレンジ色の髪色に頭の片側に髪を纏めていて、学校の帰りだろうか制服を着ていた。
「はぁ…はぁ…あ、ありがとう!!」
「いやいや、礼はいらないよ」
「そんな事ないよ、あ!お礼をさせてよ!」
「え…?いや、だ、大丈夫だから…」
「ダメ!!するの!!」
(拒否権がないのかよ!)
「自己紹介がまだだったね、私高坂穂乃果!よろしくね!」
太陽みたいな明るい笑顔を見せてくれた彼女との出会いが、俺の運命を大きく変えてしまうことになるなんて、この時は思いもよらなかった。
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スタンド紹介
スタンド名:「アウタースローン」
本体:比屋定 承一
破壊力‐B、スピード‐C、射程距離‐B
持続力‐C、精密動作性‐D、成長性‐A
能力
本体が指定した物質に別の物質を集める能力
指定するのは何でも良いが、集められる物質は射程距離内のものに限られる
集められるのは気体固体液体どれでも可能