東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

93 / 292

三つ目の鏡に火が灯った

……そんな気がした


by白咲楼夢


巫女の襲来

 

白咲神社の境内の中。そこには四つの人影があった。その内三つは地面に倒れふしており、もう一つはそれらの容態を観察しながら立っていた。

 

「ふむ。一人一人がやっと大妖怪クラスまで上がったか。三人合わせると大妖怪最上位でも苦労するだろうな。ーーーーんで、そこにいるやつ、いつまでこっちを見てるんだ?」

 

そう問うと楼夢はくるりと後ろを振り返り、近くの木に斬撃を放った。

切られて数秒後に、空間がズレたかのように木が倒れる。そしてそこから、一般的な白と赤の巫女服を着た黒髪の女性が飛び出してきた。

 

「......いきなり切りかかるとは、随分なもてなしだな」

「あいにくと俺はこちらを観察している小動物をもてなすほど、人格が出来てなくてな。ま、潰れたら所詮そこまでの存在ってわけだ」

 

黒髪の女性は楼夢を嘲笑するが、軽く流し『小動物』という言葉を強調しながら煽った。

 

女性はその言葉が頭にきたのか、キッと睨むと腰につけてあった刀を構えた。

 

「調子に乗るなよ妖怪。神聖な神社を汚した罪、貴様の死を持って償ってもらおう。私の名は博麗(はくれい)楼夢(ろうむ)!博麗双子の巫女の長女だ!」

「おー奇遇だね。俺も楼夢って言うんだ。白咲楼夢、世間じゃ『産霊桃神美(ムスヒノトガミ)』とか言われてる縁結びの神様だ」

 

『楼夢』という同じ名前に少し驚いて、楼夢は自己紹介する。

どうやら彼女は、楼夢たちをこの神社を荒らしていた妖怪として勘違いしているようだった。なので楼夢は自分の正体を明かしたのだが

 

「はっ、貴様が神だと?笑わせる。貴様ごとき、この私が退治してくれる!」

 

刀を引き抜き、戦闘体制に構える博麗ちゃん(同じ名前なので名字)。だが彼女は先ほどの戦いを見ているので、一応楼夢が自分より上ということはわかっているらしい。だが相手の力量を理解した上で、彼女の目は何か自信に満ちていた。

 

だがそれでも、彼女は勘違いしている。楼夢はただの神ではなく、八百万の神最強、妖怪最強の名を持つ男なのだ。

 

「ハァッ!!」

 

博麗は刀を楼夢に向けて振り下ろす。常人では捉えられない速度の斬撃。だが楼夢にとってはちょっと野球が上手い子供がストレートを投げたくらいにしか感じなかった。

 

「よっと」

 

楼夢は親指と人差し指で刃をつまみ、博麗の攻撃を止めた。すぐに引き抜こうにも、楼夢がきっちり掴んでいてガチャガチャと音を立てるだけだった。

 

楼夢は博麗と目を合わせると、ニヒルに口元を三日月に歪めた。

 

ーーさあ、蹂躙を始めよう......。

 

「ぐぼがァッ!!」

 

まず邪魔だったので右足のつま先で博麗の腹を蹴り上げた。それはクリーンヒットし、博麗の一瞬意識を落としながら空中で一回転させた。

 

博麗はすぐに意識を取り戻すと、受け身を取って地面に着地する。と、同時に数枚の霊力の込もった御札を投げつけた。

 

だがそれは楼夢が常時放っている濃い妖力によって近づくだけで灰になった。

 

博麗の驚愕した顔が手に取るようにわかる。ここで彼女は気づいただろう。確かに博麗楼夢は大妖怪と互角に戦えるほど強い。だが目の前にいるのはその最も強い大妖怪ーー『大妖怪最上位』が百人束になっても勝てない、数十億いる妖怪の頂点ーー『伝説の大妖怪』だということに。

 

「だ、だったらこれなら!」

 

体に霊力を流して強化し、そのまま楼夢に突っ込む。

強大な力を持つ者こそ、最も溺れ、技術を磨かないでいやすい。その言葉を信じて、博麗は純粋な刀術勝負に持ち込もうとした。そしてそれは、楼夢との戦いの中で最もしてはいけないことだった。

 

何度も、何度も、何度も、別々の速度で別々の角度で別々の攻撃をしかける。

 

だが、通用しない。

 

全ての斬撃が、まるで刀に磁石が仕込まれているかのように楼夢の刀に吸い込まれ、防御される。

 

「神霊『夢想封印』!!」

 

刀術の距離で自分の博麗の秘術ーー『夢想封印』を放つ。七つのカラフルな巨大な霊力の玉が楼夢を襲った。

 

だが、通用しない。

 

当たる寸前で、それらは全て綺麗に二つに分かれ、光となって消え去った。

 

「く、くそぉ........っ!!」

「破道の四『白雷』」

 

博麗の肩近くに、指を押し付ける。

 

そしてそこからレーザー状の雷撃が放たれ、博麗の体を()()した。

 

「ご、ごほっ........!?」

 

そのあまりの激痛に、その場に崩れ落ちた。

だが、楼夢はその時博麗の瞳にまだまだ光が灯っていることに気づいた。

 

「神霊斬『夢想斬舞』!!」

 

最後の抵抗、とばかりに博麗は虹色に染まった刀身を楼夢に振りかざした。

 

七色の七連撃が凄まじい光と共に放たれた。

 

「楼華閃『氷結乱舞』」

 

だが、そんな美しい斬撃は、冷たい風と共に凍りついた。

一撃目、二撃目、三撃目と、辺りに明るいカラフルな光が放たれる。だがそれは同じタイミングで冷たい光と衝突し、相殺され、ダイヤモンドダストとなって消え去った。

 

「ァァァアアアアアアッ!!!」

 

最後の一撃。それに文字通り全身全霊をかけて、博麗は目の前の悪魔に斬撃を放った。だが一際大きい冷たい光が真上を通り過ぎ........()()()()()()()()()()()()

 

「........ぁ、ぁああぁ........っ!?」

 

小さな口から漏れたのは、絶望の声だった。

カラン、と切られた刃が宙に舞い、地面に落ちた。

それと同時に、博麗は力無く地面に膝から崩れ落ちた。

数多の戦いを共に乗り越えた愛刀の刃が、ダイヤモンドダストになりキラキラと博麗の前を通り過ぎた。

 

そして楼夢はーーーー冷たい瞳で、言い放った。

 

「あばよ、侵入者」

 

その声と共に、冷たい温度の刃が振り下ろされた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

白咲神社内の寝室、そこでは四つの布団がしいてあった。そこに横たわっているのは、美夜、清音、舞花、そしてーーーー博麗楼夢であった。

 

彼女の体は鈍器で殴られたかのように青く腫れており、楼夢がつけたはずの刃の切り傷はどこにもなかった。

 

楼夢は最後の止めの時、あえて刃の腹の部分で博麗を切っていたのだ。言うならみね打ちというやつである。

 

(博麗楼夢........か)

 

楼夢が彼女を生かしたのは別に情が沸いたからという訳ではない。

知ってる通り、白咲楼夢は元人間で当時の白咲神社に仕える巫女であった。いや、そもそも楼夢という名は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

『白塗の巫女』。それは白咲神社において最高の階級であると共に、最強の剣士を意味する称号でもあった。そして当時なったものには『楼夢』という名が与えられるのが掟であった。

そう、彼は『白塗の巫女』になった時に『楼夢』という名を与えられたのだ。そして彼は『初代白塗の巫女』と呼ばれたが、実際は記録に載っていないだけで自分は『二代目』ということに気づいていた。

 

そう、歴史の中で、白咲楼夢は()()()()のである。そしてついさっき戦った少女ーー博麗楼夢。ここまで情報があれば、何かピンと来ないはずが無い。

 

「........考え過ぎ........かな」

 

あくまで推測にしか過ぎない。だがありえる話だ。だが今日ここでどうしようが展開は変わらない。なので今日のところは諦め、部屋を出ようとしたその時

 

「ぐっ........うぅんぅ........?」

 

博麗の目が唐突に覚めた。彼女は辺りをキョロキョロ見ると、楼夢を発見し警戒する。

 

「ここは........どこだ?」

「俺の神社の中だよ。ったく、ずいぶんと嫌われちまったようだな」

 

軽く舌打ちすると、博麗の布団の前に座り込みくつろぐ。

 

「........なぜ私を助けた?」

「別に。ただお前に少し興味があっただけだ。それよりも何か俺に言うことがあるんじゃねえか?」

「........助けてくれて、ありがとう」

 

疑問を出した博麗に、疑問で楼夢は返した。その目はいつものような明るい光ではなく、死を連想させる冷たい光を宿していた。

 

だが、お礼を言われた瞬間、楼夢の表情は一変した。

 

「うんうんそれでいい。最低限の礼儀はできてるんじゃん。よしよし照れちゃって」

 

さらさらとした美しい黒髪を、楼夢は明るい表情に変わると同時に撫でだした。

 

突然のことでしばらく博麗は固まってしまった。だが落ち着いて整理すると、目の前の大妖怪兼神様に頭を撫でられているのに気づいた。

すぐに振り払おうとするが、その気持ちはメチャクチャ上手い、気持ちいい撫でられ方をされて消し飛んだ。

 

そうこうすること十分。楼夢はまだ博麗の頭を撫でながら聞いた。

 

「そう言えばお前これからどうすんだ?」

 

その言葉に、博麗は少し答えたくないと言う表情をする。

元々、彼女がここに来た理由は旅で運悪く食料問題を起こしていた時にこの神社を見つけたのが事の始まりだった。何か食べ物をもらおうと境内に入ろうとして、楼夢と美夜たちが戦っているところを見てしまった。この後は存知の通り、神社を荒らしている妖怪を退治して食料をもらおうと戦い、一方的にやられて今に至る。

 

この話を聞いた時、楼夢は非常に微妙な表情になった。話を聞く限り、目的地もなく全国をさまようつもりだったらしい。なんでも最強の剣士になりたいんだとか。

その気持ち、分からなくもないが事前準備はちゃんとしておけと楼夢は心の中で突っ込んだ。

 

その時、楼夢に一つのアイデアが浮かんだ。

 

「なあ、もし行くとこないんだったらここで巫女でもしないか?俺は剣術に関しては世界一と自負しているし、お前の望む力が手に入るかもよ?」

「........なぜ私なんだ?聞けばお前の娘たちもこの神社で巫女のようなことをしているのだろう?」

「美夜たちは巫女であっても妖怪だからね。しかも最近じゃ彼女たちにも信仰が溜まって神格化しつつあるからね。ということで俺は人間の巫女であるお前が欲しい」

「........分かった」

 

楼夢は三日月のように口を歪めながら博麗を勧誘した。しばらく沈黙が訪れたが、彼女はやがてゆっくりと楼夢に頷く。

 

「お前........いや貴方様の剣術の実力は私よりも遥かに高い。ここで修行すればさらに私は強くなりそうだ」

「........ふふ、それでいい人間、いや博麗。下手に信仰するよりも、欲望を追い求めていた方が俺も信じられるんでね。まあこれから気楽に楼夢様と........そういや俺ら同じ名前だったな」

「だったら........『トガミ様』と呼んでいいだろうか?」

 

けらけらと自分と彼女の名が同じということに笑う。そんな彼を見て、博麗は楼夢の神名である『産霊桃神美(ムスヒノトガミ)』から取って『トガミ様』という呼び名を楼夢に提案した。

 

「んじゃそれでいいや。それじゃあ今後もよろしくね、博麗」

「ああ、こちらこそよろしく頼む」

 

楼夢が手を差し出し、それを博麗は握る。そして握手をした。

 

 

こうして、白咲神社に新たな巫女、博麗楼夢が加わった。





~~今日の狂夢様~~

「投稿送れてすいません!ちょっとリアルが忙しくて更新できませんでした!作者です」

「もう卒業式のシーズン。そんなことよりゲーセン行きたい。ドラゴンクエストモンスターズジョーカー3プロフェッショナル略してDQMJ3Pを愛するこの男!狂夢だ」


「ちなみに何が忙しかったんだ?」

「ほらこのシーズンってDQMJ3Pが発売されたしモンハンXXも出たじゃないですか。それを進めるのが忙しくて........」

「とりあえず死ね」

「ひ、酷い!まあそれもありますが作者ぶっちゃけ後数日で引っ越すんですよ。どことは言いませんが」

「それでまた小説の更新が遅れると?」

正解(エサクタ)!というわけでこの小説を楽しみにしている方にはすいませんが、引越し後は一ヶ月は更新できないと思います」

「まあこのクソ小説を楽しみにしているやつなんざいないだろうが」

「こ、心にくるなぁ........。というわけで、次回もキュルッと見に来てね!!」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。