東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~   作:キメラテックパチスロ屋

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私は花を愛すけれど人は愛せない

私が人を愛す時はその者が散る時だと思う


by風見幽香


U S C降臨

楼夢side

 

「うらァァァァァァッ!!!」

 

「ふんッ!!!」

 

俺の刀と幽香の日傘が交じり合う。そしてそのまま鍔迫り合いになるが俺には大した腕力もないため、すぐに後ろに吹き飛ばされた。

 

「ちぃっ!!」

 

俺は空中で体制を立て直し地面に着地する。そして間髪入れずに幽香に突っ込む。

 

 

幽香は近づいてきた俺に、まるで邪魔な虫を払うような感覚で日傘を振り払った。

だが俺は刀でそれを受け流すと、カウンターで斬撃を繰り出した。

 

幽香は回避を試みるが楼夢の斬撃があまりにも速過ぎたため完全に避ける事が出来ず幽香の顔に軽く掠った。

 

幽香はこの時悟った。この妖怪は今まで戦ってきた者達とは比べ物にならない程強いと。だがそれよりも新たな強者を見つけたことでの興奮が収まらなかった。

 

「ふふっ、いいわ貴方。ここからは全力で殺してあげる」

 

幽香は今度は全力で日傘を振るう。先程とは比べ物にならない威力の一撃が俺を襲った。

 

「『雷光一閃』ッ!!」

 

俺は一旦刀を鞘に収め、そのまま雷を纏い居合切りを放つ。

 

 

ズガァァァァァァァンッ!!!!!

 

 

二つの凄まじい一撃は激しい轟音と共に相殺された。だがそれは衝撃波となって辺りの地面を抉り、木々を吹き飛ばす。

 

二人の刀と日傘は交じり合った後そのまま静止していた。そしてそのまま鍔迫り合いになる。

幽香は今の一撃が相殺されたことに不満を抱くが、楼夢は()()()()という表情を浮かべていた。

 

「何かしらその表情。まるでこの一撃が相殺されると分かっていたみたいじゃない」

 

「ああ、分かっていたさ」

 

「……そう。随分無謀なことをするのね」

 

幽香はそう楼夢を嘲笑う。だが彼女は楼夢の戦略に気付いていなかった。

 

 

そう、楼夢の中で『雷光一閃』が相殺で終わる事は予想されていた。無論楼夢は手加減して放った訳ではない。むしろ一撃必殺と言っても等しい程の威力を込めたつもりだった。

 

だが結果は相殺。しかも相手はただ日傘を振っただけ。それだけの事で楼夢の全力の一撃は防がれたのだ。それは何故か?答えは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からだ。

 

これは理由があった。楼夢は誰よりも速い。刀を振れば音にも等しい程の閃光が奔り、見る者全てを魅了する。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

これは常識のことだ。ボクシングにはジャブとストレートと言う二つのパンチがある。

ジャブを撃てば一発の威力は下がるものの、それを連射できるようになる。

逆にストレートを撃てば一発に一撃必殺の威力が加わるがそれを連射しようとすると一発を全力で撃とうとするので一発一発の間にそれを撃つための力を溜めなければならない。

 

これは前者は楼夢に当てはまり後者は幽香に当てはまる。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だがこれにもちゃんとした理由があった。

 

「おい、幽香。俺が何故あんな無謀なことをしたのか教えてやろうか。ヒントは()()()()()()()()だ」

 

「鍔迫り合いの距離?……っ、まさかっ!?」

 

そこで幽香は思い出す。鍔迫り合いの時の相手との距離を。

 

鍔迫り合いとは刀の鍔と鍔が追り合う事を指す。逆に言えば自分の刀の鍔が相手の刀の鍔とぶつかる程相手と接近していると言うことだ。

 

つまり今幽香と楼夢は互いに武器を振れば届く距離にいるのだ。そこまで理解すると、幽香は後ろに飛ぶようにバックステップをした。だがーー。

 

「逃がすかよ!!」

 

俺は幽香以上のスピードで一気に間合いを詰める。そして懐に潜り込むと、左拳で渾身のボディーブローを放った。

 

「……ぐぅ!!」

 

俺の一撃は見事に幽香の腹に突き刺さる。幽香は突如のことでうめき声を上げ、足を止めた。

 

その隙を俺は見逃さない。俺は神速の斬撃を繰り出し強制的に接近戦に持ち込んだ。

 

「行くぜ、幽香!!」

 

楼夢は回転切りを中心に多種多様な斬撃を繰り出す。

ある場合は右左と交互に身体を半回転させながら斬撃を繰り出し、ある場合は二、三回転しながら巻き込むように斬撃を繰り出し、またある場合は切り上げる勢いを利用して刀を軽く手放し、重力に従って落ちてきた時に再びキャッチしながら刀を振り下ろす。

 

剣術の技の種類には限りがある。だが楼夢の剣術は無限。

それ故に読めない、いや読みようがない。

天衣無縫であり、それでいて完全無欠。

それが楼夢の狂華閃を元に編み出した剣術ーーーー。

 

 

 

 

 

 

ーーーー『桜花閃(おうかせん)』だ。

 

 

「あまり調子に……乗るなァァッ!!!」

 

幽香はそう叫び、零秒で巨大なレーザーを放った。が、楼夢はそれを難なく避け、その死角から攻撃した。

 

「桜花閃『風乱』!!」

 

楼夢は刀に風を纏わせ、五、六秒間の間に真空の刃を無数に繰り出す。

 

幽香は日傘を盾にするが、見えない斬撃に徐々に押されていた。その内いくつかが幽香に直撃するが、彼女が頑丈だったこともあり大したダメージにはならなかった。

 

だが楼夢は秒間で五、六回の斬撃を放つ。しかもそれを風を纏わせ強化し五秒間程連続で放ったのだ。

つまり幽香はこの五秒間の間に最低二十五もの斬撃を受けたのだ。それで軽傷という事は彼女が予想以上に頑丈という事なのだろう。

 

だが幽香は傷を負った事で動きを数秒間止める。その時間は楼夢が次の大技に移るには十分過ぎる時間だった。

 

「桜花閃『氷結乱舞』!!」

 

楼夢は刀に氷を纏わせ、幽香を仕留めにかかった。

 

 

一撃目。幽香の日傘に防がれる。二撃目。角度をつけるがこれも防がれる。三撃目。またもや防がれるが、日傘は幽香の腕ごと凍り付く。四撃目。幽香の身体を斜め上に切り上げる。五撃目。切り上げた刀をそのまま下に振り下ろす。六撃目。幽香の身体を一文字に切り裂く。

 

「これで……凍り付けェェェェッ!!!」

 

そして七撃目。今までの倍の密度の氷の斬撃をそのまま飛ばし、幽香を凍り付けにさせた。だがーー。

 

 

「こんなもので……私を倒せると思うなァァァァァァッ!!!」

 

幽香は半分怒り狂いながら叫ぶ。そして幽香を凍り付けにさせた氷は瞬く間に壊され始めた。

 

「ああ、俺も思っていないさ」

 

楼夢は先程の幽香の叫び声に答えた。そして刀を収め再び居合切りの構えを取る。楼夢の刀には炎と雷の力が集まり始める。

 

その密度は凄まじく、刀を鞘に収めた状態でも外気が震える程だった。

 

 

幽香が完全に氷を壊した瞬間、楼夢は小さく囁いた。

 

 

 

 

 

「桜花閃『雷炎刃』」

 

 

 

ーー瞬間、辺りは爆炎に包まれた……。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「……終わった…か………」

 

俺はそう言うと刀を鞘に収める。そして幽香の元に近づこうとした。だがーー。

 

「……なっ!?」

 

俺の両足にいつの間にか植物の蔦が絡まっており、足を動かすことが出来なかった。

俺は最悪の状況を考え、先程の爆炎の元に視線を向ける。そこにはーー。

 

「……今のは痛かったわよ」

 

先程倒した筈の敵、風見幽香が立っていた。

幽香は悪魔のように微笑みながら俺に話しかける。

 

「あらあら、どうやら貴方の足に蔦が絡まっているようね。仕方ないから助けてあげるわ」

 

幽香はそう言うと日傘を思いっきり振り切る日傘は俺の腹に直撃し、蔦ごと俺を吹き飛ばした。

 

「ガハッ……ゲホッ……っ」

 

「ごめんなさいね。どうやら力加減を間違えちゃったみたい」

 

俺は気力を振り絞って立ち上がり、身体の異常を確認する。

 

どうやらあばら骨がいくつか折れたようだ。だがそんなこと今の俺に関係ない。

 

「『テンション』」

 

俺は自分に強化魔法をかける。するとバチンッという音と共に身体の色が薄く桃色に変わった。

 

強化魔法『テンション』は身体の全ての細胞に自分の妖力とそれを調和させる神力ーー『妖神力』を流し込むことで身体能力を上げる魔法だ。

これを使うと身体の色が変わる理由は、細胞に妖神力を流し込むことによって細胞が妖神力で染まってしまい、細胞の色が薄い桃色になってしまうのだ。それによって肌の色も薄い桃色になるという事だ。

 

最初は妖力だけを身体に流し込んだが、細胞が濃く妖力の色に染まってしまい、細胞そのものが壊れ始めるのだ。よって神力を入れた結果、上手く調和されて今に至るという訳だ。

 

これで身体能力は倍になるが、それでも幽香の一撃を受けるだけで戦闘不能になるのは変わらないだろう。

俺は刀を引き抜き幽香に斬りかかる。幽香は再度日傘で防ぎ、含みのある表情で俺に囁いた。

 

「私ばっかり見てるだけじゃ駄目よ」

 

「どういう意味……だっ!?」

 

俺は本能に従って後ろに飛び退く。すると先程俺がいた場所に数十個のレーザーが放たれていた。

俺はレーザーが放った物を見る。それは一輪の花だった。周りをよく見れば同じような物が数十個咲いていた。

 

「(ちっ、完全に包囲されている。このままじゃーー)」

 

「あまり花ばかり見ていたら駄目よ」

 

「しまっーー」

 

突如目の前に幽香が現れ俺にその日傘を振るう。俺は刀で防御するが、そのあまりの威力に吹き飛ばされる。そして吹き飛ばされた場所を中心に数十個のレーザーが放たれた。

 

「ガアァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」

 

いくつものレーザーが俺を貫く。腹を抉られ、身体を焦がされ、四肢を貫かれた。

 

そんな言いようのない痛みと共に、俺は崩れ落ちる。その様子を幽香は傍観していた。

 

「……もうお終いかしら。残念ね。結局貴方はそこまでの存在だったのよ。さようなら、()()()()

 

 

()()()()』。幽香に言われたその言葉が、楼夢の頭の中に駆け巡る。

 

 

俺が雑魚だと?巫山戯るな。俺は雑魚じゃねえ。何だこの醜態は?誰だ、誰のせいなんだ?……コイツか……コイツのせいなのか。ーーーー

 

 

 

 

 

ーーーー()()()()()

 

 

 

殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル殺シテヤル。

 

 

「『ハイテンション』ッ!!!」

 

楼夢は突如立ち上がりさらなる強化魔法をかける。それによって肌の色も濃くなった。

 

「……殺シテヤルッ!!!」

 

「……さっきとは桁違いの殺気ね。良いわ、これで最後にしてあげる!!」

 

「死にやがれェェェェェェッ!!!」

 

幽香は日傘の先にありったけの魔力を込める。それと同時に楼夢は刀に全ての霊力を込めた。そしてそれらは同時に放たれた。

 

「『マスタースパーク』ッ!!!」

 

「『森羅万象斬』ッ!!!」

 

幽香の日傘から極太のレーザーが、楼夢の刀から超密度の斬撃が放たれた。

 

二つの攻撃は互いに均衡する。だがそれは突然破られた。

 

 

 

青白き刃は七色の光を切り裂きーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー風見幽香は青白い光に飲み込まれた

 

 

 

 

 

Next phantasm………。




~今日の狂夢『様』~~

「ゴミクズ共ォ!!俺様の説明教室始めるぞォ!!俺様みたいな天災目指して、死ぬ気で詰め込みやがれェ!!!」

「という事で今回は説明回。そして狂華閃を桜花閃に変更しました。作者です」

「タイトルのASCはアルティメットサディスティッククリーチャーの略だぜ狂夢だ」


「今回はテンションの説明ですね」

「ああ。知ってる人も多いと思うがテンションとはドラ●エの8や9で出て来た技だ。本来ならテンション5、テンション25、テンション50、テンション100と言うんだがこの小説ではめんどくさいのでテンション、ハイテンション、そして●●●に別れているぞ。ちなみにこの小説では普通のテンションが本作でいうテンション5、ハイテンションがテンション50、●●●がテンション100だ」

「●●●はまだ出てきていないので伏せております。まあ分かる人には分かりますが」

「ドラ●エを知らない人はドラ●ンボールでいう界王拳みたいなもんだと思ってくれ。では今回はここまで。次回もーーーー」


「「キュルッと見に来てね/来いよ!!」」







~~今回の没ネタ~~


楼夢が狂った時:

「……さっきとは桁違いの殺気ね。さっきに殺気をかけて。……なんちゃって」テヘペロ


理由:

あの場面であってなかったから。というか幽香さんのキャラが崩壊するので。

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