東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~ 作:キメラテックパチスロ屋
堕ちるは赤目の地獄門
進むは混沌の瑠璃色世界
前にも後ろにも進めない
そんな私が大好きだ
by白咲楼夢
楼夢side
「──────はぁ、宴会?」
「そう、宴会。戦争が終わった後だし交流するいい機会だからね」
そう諏訪子は俺に説明する。ちなみに、俺は戦争から三日も眠っていたようだ。まあ、全身ボロボロ、左腕があの後、使い物にならなくなって黒く腐敗していた為、先程わざと切り捨てておいた。一応俺は妖怪なので回復術さえ掛けておけば数日後には治るだろう。
だけどね、いくら俺だからといって、怪我人に殺傷力大の弾幕を放つなんて可笑しい。吹き飛ばされた後、俺がどれだけ頑張って洩矢神社に戻って来たか分かるか?
挙句には変な誤解まで招いているし。未だに俺は早奈との誤解を弁解し切れていない。
───っと、話が色々と変わったが今回の説明をしよう。
今回の件とは勿論大和との宴会である。場所は大和の神社でやるらしい。まあ、あそこは結構広いからな。
「ふー、やっと帰れるわ。戦争が終わったと思ったら信仰してもらえなかったりで一度も家に帰ってなかったから」
いい忘れたが、神奈子が此処にいる理由は、あの後諏訪国の村の人々に神奈子を信仰するようにと宣伝したらしいが、村人達はもし神を入れ替えると諏訪子の祟りが来ると恐れているらしく、神奈子を信仰する者は誰もいなかった。
そんで、現在は表向きには神奈子を、しかし。実際は諏訪子がその実務を行うことで、なんとか解決したらしい。
この神社の名前も“洩矢神社“から“守矢神社“に改名したみたいだ。
「別に俺はいいけど」
「それじゃあ決まったね。今日の夜は宴会だ!」
「宴会って今日なの!?」
「人の話はちゃんと聞くべきだよ」
「お前は神だろ!」
俺は諏訪子に相変わらずキレのある鋭いツッコミを入れる。そして神奈子がやけに上機嫌なのは宴会があるからだろう。
「まあ、宴会までに時間があるから休んでいいよ。........言っとくけど私は早奈のことは認めてないからね」
「認めるも何も勘違いだって言ってんだろ!」
取り敢えず傷が疼くからお言葉に甘えて部屋で横になろう。
俺は部屋に着いた後、布団に倒れ込むように仰向きになり、意識を落とした........
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「それでは、本日は大和と諏訪の交友を深める為に........乾杯!」
「「「「「乾杯!!」」」」」
現在此処は大和の神社である。今日此処では宴会が行われていた。
「あ、神奈子それ私の酒だよ!」
「私が最初に取ったからこれは私の物だ!」
「返せ!」
「だが断る!」
「姉さん、これどうぞ」
「あら、ありがとうございます」
「須佐之男、相変わらずのシスコンだな」
「シスコンの意味は分からないが、言いたいことはだいたい分かった........」
「ふふふ、楼夢さ~ん」
「キュルあっ!?早奈、何時俺の後ろに回り込んだ!?」
「『キュルあっ!?』なんて可愛いですね~。そう言えば酔った楼夢さんはどうなるんでしょう?」
「こ、こういう時は........!?狂夢、あれ寄越せ!」
『ほらよっと』
「さ~捕まえましたよ~、ろ☆う☆む☆さん」
「さ、早奈、これを飲め!」
「あら、やっと乗り気になったんですね。........それにしても珍しいお酒ですね~」
ゴクッ
ドゴオオオオオン
「け、計画通り........かな?」
「酷ェ........」
そんなこんなで宴会場はカオスになっていた。
先程俺が早奈に飲ませたのは“奈落落とし“を改良した物だ。
普通は飲むと体内で爆発するが、改良版は脳内にしかダメージを与えない為、相手を気絶させるにはピッタリだ。まあ、相手が飲んでくれれば........だが。
後、狂夢の趣味で爆発の効果音が何故か聞こえる設定になっている。まあ、無事気絶ゲフンゲフン、眠らせることが出来たから良しとしよう。
「それにしても、お前も結構飲むんだな」
「仮にも俺は八崎大蛇と呼ばれた大妖怪だぞ。神酒の二十や三十で醉うかよ」
俺の周りには神酒が入っていた瓶が三十個程転がっていた。だが俺はまだ全然酔ってない。
しかし、これ以上飲むと全ての酒が消えるので持って来ておいた奈落落としでも飲んでおこう。
「フハハハハ、誰か面白いことをしろー!」
酔っ払った一人の神がそんなことを叫ぶ。それに賛成した神々が集まって誰がするかを決めていた。
俺は巻き込まれない為に少し離れておこう。
「あら、楼夢はやらないのですか?」
「やるって何をだよ?言っとくが俺には持ち芸も何もないぞ」
「皆さーん、楼夢が今から面白いことをしてくれるみたいですよー」
「話を聞け!」
天照の声に此処にいる全ての神々は俺に注目する。取り敢えず天照を睨み付けた後、俺は必死に脳内を作動させる。
不味い、何度も言うが、俺は持ちネタなどという物は持ち合わせてない。それなのに周りの期待は大きくなるばかりだ。........頭が痛くなってきた........。
「大丈夫ですよ、楼夢さん!」
「な、まだ気絶して一時間も経ってないのに........どうやって起きやがった!?」
「気持ちの問題です」
「気持ちでどうにか出来る物なのか........?」
早奈は早奈で、普通奈落落としの効果で気絶したら妖怪でも、最低三時間程はかかる。だが、目の前の少女はそれで気絶して、僅か二十分で復活したのだ。
流石、常識に捕らわれてはいけないということを、教えてくれる。
「それよりも何が『大丈夫』なんだ?どう見てもオワタ状態なんだが........」
「ふふふ、楼夢さんって踊れましたよね?」
「ま、まあある程度は........」
「それなら私が笛を吹くので楼夢さんは踊ってください」
「........マジかよ!ってまさかぶっつけ本番か?いくらなんでもそれは無い........よな........?」
「さあ、ちゃちゃっと終わらせましょう!」
「........ええい、ままよ!」
早奈は俺の服の袖をグイグイ引っ張って無理矢理宴会場の外へ連れてかれる。そしてそれに釣られて、全ての神々が外に出て囲うように円になって注目した。
ていうか、踊りならもうちょっと考えてからやってくれ........。
そんな俺の心の声が虚しく辺りに響く。
「題名は『月』です。皆さん、ご注目ください」
その声を合図に、早奈が笛を吹き始めた。
........成程、かなり上手い。これは俺も負けられないな。
「踊れ“舞姫“」
俺は腰の刀を二つの扇に変えると、音楽に合わせてゆっくり、ゆっくりと舞う。
青白い月の光を浴びながら、楼夢は舞う。
月光が扇に当たって光が反射される度に、辺りは一瞬照らされ、また暗闇に戻る。
月の光は、スポットライトのように楼夢だけを照らし、それ以外の場所へは光は届かなかった。
だが、そんなことを気に留める者は誰一人もいなかった。
月光の光を浴びながら、時には冷たく、時には優しい月を身体で表現する今の楼夢の姿に、全員魅了され、息一つ出来ないのだ。
ーー今の楼夢の姿を表すと『神々しい』以外の言葉が見付からなかった。
ーー“白塗の巫女“は舞う。これまでのことを、全て白く染め上げて........
ーー“白塗の巫女“は舞う。染め上げた台本に、新たな歴史を描いて........
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ふぅ、........終わったか」
俺は舞姫を元に戻すと、鞘に収めた。何故俺が踊れるかというと、実は白塗の巫女だからなのか、師父の趣味なのか、小さい頃に習わされたのだ。
思ったんだが、本当は俺は“白塗の神主“の筈なのに今思えば巫女をやってたのも全部師父に無理矢理
「流石に疲れましたね。それにしても、皆さんお揃いで固まってどうしたんです?」
早奈の一言で、硬直状態の神々は一斉に我に返る。そして、大音量の拍手の雨が俺達に降り注いだ。
「楼夢様ァァ!!最高でしたァァァァ!!」
「楼夢姉様ァァ!!結婚してくださいィィ!!」
「楼夢姉様ァァ!!これから桃姫と呼ばせてくださいィィ!!」
「俺も桃姫と呼ばせてくれェェェ!!」
「「「「「桃姫!!桃姫!!桃姫!!」」」」」
「俺は男だ!!」
「やばい、桃姫が怒ったぞ!」
「怒った桃姫、通称“鬼姫“でどうだ?」
「あ、なんかしっくり来るな」
「NA☆NI☆GA☆DA☆?」
「「「「「い、いえ、なんにも!」」」」」
「そうかそうか........聞こえてたぞ」
「「「「「お許しください!!」」」」」
「許すわけねェだろ!!」
ピチューん
「 モウヤメルンダア」
「HA☆NA☆SE☆」
「死にたくなァい!」
「もうダメだ........おしまいだァ........」
「逃げるんだァ........」
「失せろ、ゴミクズ共ォ!!!」
ーー当日、真夜中の大和の神社で、断末魔が聞こえたという........
~~今日の狂夢『様』~~
「更新遅れてすいません!中間テストとかで色々忙しかったんです!作者です」
「ちなみに結果は?狂夢だぜ」
「国語はクラス内で下から三番目になりました」
「駄目じゃん!流石ゴミクズ」
「人生オワタ\(^ω^)/」
「反省しなさい」
「そんなことより、地味に“奈落落とし“って色んな使い道がありますよね」
「話しを変えやがった。まあ、アレは戦闘でも日常でも使えるからな」
「楼夢さんが使った応用の他にどんな使い道があるんですか?」
「直接投げて使うとかだな。アレは結構な衝撃を与えても爆発するから」
「まあ、取り敢えず使い道を間違えるとただの凶器になることは分かった」
「そんなの当たり前だろ」
「どうしてこういう物ばっか作るのかねェ........」
「分からん!」