東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~ 作:キメラテックパチスロ屋
籠の中の鬼は何時何時目覚める?
貴女は私、私は貴女
じゃあ本物の私はだぁれ?
by東風谷早奈
???side
私は現在大きな爆発音がする所に急いで飛んで向かっている。あそこには諏訪子様や楼夢さんが戦っている筈........
私は遠目で二つの人影を見つけると、それに向かって急降下して地面に降りて走った。
やがて二つの人影がはっきりと見えるようになる。そこで私が見た物とはーーーー
ーーーー身体中傷だらけで地に膝を着いて肩で息をしている諏訪子様と、同じく肩で息をしていて、でもその表情は勝ちを確信している敵の神だった。
敵の女性の神は地に膝を着いて動かない諏訪子様に徐々に近づいて行く。やめて!このままじゃ諏訪子様が........
早奈は自分でも気づかぬ内に足をガタガタと震えさせていた。息は荒く、その表情を見れば彼女が焦っている事は明白だった。
ーーどうして私は何も出来ないんだろう........
ーーどうして私はこんなに弱いのだろう........
そんな考えばかりが彼女の頭に映る。すると........
ーーチカラガ、ホシイカ?
誰だ。........けど、そんなことはどうでもいい。力が、力が........
ーーワタシノヨウケンヲノメバ、チカラヲアゲル。タダシ、ソノダイショウトシテオマエハーーーー
早奈の心臓の鼓動が徐々に早くなっていく。その声を聞く度にドクンッと早くなるが、それは急に収まった。
「代償?関係無いですよ!力さえ得られればーーーー」
ーー私はどうなったって構わない!!
ーーそして、緑髪の少女の瞳は黒く染まった........
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
楼夢side
「おーい、天照。歩けるか?」
「あ、はい、大丈夫ですよ。神は人間より再生能力が高いですからね」
「........なんで姉さんを心配して俺には何もないんだ?」
「「須佐之男だから」」
「わーお、息ピッタリ」
そんなこんなで俺達は諏訪子達と合流する。どうやら勝ったのは神奈子のようだ。
「素晴らしい戦いだったぞ、洩矢諏訪子」
「こちらこそだよ、八坂神奈子」
二人は近づき握手をしようとする。だが、その時何か黒い物体が神奈子に放たれた。
「神奈子、退いてろ!」
「........え、!?」
「“羽衣水鏡“!!」
俺は神奈子の前に立ち羽衣水鏡を貼る。だがそれは凄まじい威力で結界に次々とひびを入れて行く。
ガッシャァァァァン
「ちぃ!........歯ぁ食いしばれよ神奈子!」
俺は神奈子にタックルし、吹き飛ばす事で、俺達は射程圏内から外れる。そして黒い物体が飛ばされた方に向くと、そこには有り得ない人物がいた。
「そ、そんな........早奈........だよね........?」
「........」
「答えてよ!」
諏訪子の問いにいつもなら答える筈だったが、早奈は終始無言だった。
俺は【人間状態】になった後、
「成程........能力の暴走か........」
俺は舞姫を抜こうと柄に手を掛ける。すると
「そこまでだっ!!」
何時の間にか約十人程の神が早奈を囲んでいた。どうやら軍の生き残りらしい。
「天照様!此処は我々にお任せをっ!行くぞ、お前ら!!」
「「「おぉ!!」」」
「ま、待ちなさい!」
天照の静止も効かず、神達は同時に早奈に突っ込む。突如、早奈の身体から諏訪子並の神力が溢れ出るが、神達は無視し、そのまま突っ込んだ。
「........無意味........」
早奈の身体から紫の光を帯びた黒い光が溢れ、次々と神の元へ放たれた。
「グ........ぎゃあああああっ!!」
その光に触れた神は、形も残らずに消えていった。殺されたのではない。これはーーーー
「ヒィッ!!い、命だけは........あァァァァァァ!!」
ーーーー
「「ざ、“
気付けば俺と狂夢は同じ事を無意識に喋っていた。
早奈は次に俺の方に向きその黒い光を放つ。俺はそれをジャンプしたりする事で回避する。
「星十字“スターライトクロス“!!」
俺は神力で作った二本の剣で早奈を縛ろうとするが、早奈はルーミアの闇のように呪いで身体を覆う事によって俺の術は消滅する。
「一体何が起こっているんだ、楼夢!?」
「いいかお前ら、よく聞け。どうやら早奈の能力が突然暴走しているらしい。というわけで協力を頼む」
「ああ、勿論だ........戦わなくてもあれが充分危険って事に変わりはないからな」
「彼女が放つ黒い呪いには触れては行けませんよ........。あれに触れれば楼夢は当然、我々のような神でも存在が消滅し、生き返る事は不可能になります」
「じゃあ、全員散開!」
俺がそう言うと全員がそれぞれで早奈に攻撃する。須佐之男は天叢雲から炎を放ち、神奈子はオンバシラで叩き付け、諏訪子は鉄の輪で切り裂き、天照は太陽の光を雨のように乱射するが早奈の呪いの壁には傷一つ付かない。
そして俺達は先程まで戦争をしていたのだ。霊力や神力が残り少なく、戦いで出来た傷が身体を蝕む。
特にやばいのは天照だ。彼女はまだまだ余裕そうな表情をしているが立っているのがやっとだろう。
「はあっ........はあっ........くっ........」
天照はとうとう神力が枯渇し地面に膝を着く。勿論それを早奈が見逃す筈がない。
「........“金縛り“」
突如、天照が膝を着いている地面から黒い鎖がいくつも現れ、天照の動きを封じた。
「“
次に、彼女がそう呟くと呪力が風と共に一箇所に集まり巨大な黒い旋風を生み出す。そしてそれは天照を飲み込むように放たれた。
「クソッ!!“桜花八重結界“!!」
俺は瞬歩で天照の前に移動し、八重の花弁の形の結界を貼る。旋風はその結界にぶつかると次々と亜空間に吸い込まれるが質量が大き過ぎる為全体の二割程が結界を飛び越えて俺の左腕に当たった。
「ぐぁ........くっ........!」
「楼夢!大丈夫ですか!?」
「まあ、なん........とか........な........」
全ての旋風を亜空間へ送り終えると、俺は天照を抱え、また瞬歩でその場から離れる。
「姉さん!大丈夫ですか?」
「ええ、なんとか........。それより楼夢の腕を........」
天照が言う通り、俺の左腕は悲惨な事になっていた。あの呪いが含まれた旋風に少しでも当たったせいなのか、俺の左腕は黒く染まっており、腕として機能しない。おまけに体力と共に妖力、霊力は残り僅か。これはかなり積んでいる。
『馬鹿野郎!!元々アイツは敵なんだぞ!放ってきゃぁ無駄な傷を負わずにすんだのによ!』
「生憎だが俺は目の前で死にかけている奴を見捨てる程非情になれないんでね。........まるで俺に生きて欲しいと言うような口ぶりだな」
『てめえが死んだら俺も死ぬんだ。まだやりたい事がいっぱいあるのに死んでられっかよ!』
「そうか........なら一つ頼みがある........」
「皆もだ........俺の話を聞いてくれ........」
ここにいる全員が今の言葉で俺の方に向く。さて、作戦を教えようか........
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「作戦は分かったか?」
「ああ、いつでもいいぞ」
「これが成功すれば早奈は助かるんだよね?」
「ああ、勿論」
「私も消滅する訳にはいけないんでな。頼んだぞ、楼夢」
「はいはい。天照には俺の神力を貸す。だからそれで思いっきり攻撃しろ」
「はい。成功を祈りますわ........」
「誰にだよ........」
「「「「........」」」」
「よ、よーし........行くぞ!」
俺の掛け声で、まず俺と神奈子は前線に立ち、それぞれで遠距離攻撃を行う。
「覚悟しろ!!」
「俺達が相手だ!!」
神奈子はオンバシラからレーザーを放ち、上手い事に早奈をこちらに寄せ付けないでいる。
「オラァァァァァァ!!乱弾“マルチプルランチャー“!」
俺は神力で作った大きな玉を後ろに七つ浮かばせる。そしてそこから大量の緑色のレーザーが早奈に向かって放たれた。
早奈は呪いで身体を覆い、防ぐと同時にその注意を俺達に向ける。........それでいい........。
「呪いは早奈だけの物じゃないよ!“金縛り“」
早奈の注意が俺達に向いた隙に、諏訪子が現れ、早奈に地面から鎖で拘束の呪いを掛ける。
「行くぞ、姉さん!」
「ええ、須佐之男!」
「神剣“
「“
諏訪子が後ろに下がった直後、天照と須佐之男が緑と赤の剣で早奈を覆っている呪いを切り付けた。
「最後は俺だァ!!」
呪いの壁を失った早奈に向かって俺は走る。だが、それを見越していたかのように早奈が強引に立ち上がり俺に向けて呪いを放つ。
「........よ、避けて、楼夢!!」
諏訪子の叫びも虚しく楼夢と呪いの距離は五メートルを切った。楼夢は全速力で走っていた為急に止まる事は出来ず、黒い光に飲み込まれるーーーー
ーーーー瞬間、全員の耳に一つの音が聞こえた。
「影狂“後ろの正面ーーーー」
『ーーーー誰だ?“』
その音が響くと、早奈の後ろの空間が突如、ひび割れ、そこから一つの白い影が出て来る。白の脇がない巫女服を着た影の持ち主ーー狂夢は早奈の二メートル程後ろを取り、身体を沈め、右拳を溜める。
早奈は逸早くそれに気付き、楼夢に放った呪いを中断して、狂夢の方向に黒い壁を作る........が
「俺の道を邪魔する奴はーーーー
ーーーーミンチ決定で死に晒せェ!!」
バッリィィィィィン!!!
ボガァァァァン!!!
狂夢は腰を落とし、スリー・クウォーターからアッパーとフックの中間ブロー“スマッシュ“を右斜め下から左斜め上に叩き上げるかのように放った。
早奈の呪いの壁は、急いで作っていた為普通より薄くなってしまった。狂夢はそこを突き、壁を貫いて早奈に攻撃したのだ。
勿論闇雲に当てた訳ではない。狂夢がスマッシュを当てた場所。そこは顔ではなくーーーー
ーーーー心臓だった。
ドクンッ!!
そんな音と共に早奈の動きはまるで時間が止まったかのように動かなくなった。
そして同時に、楼夢が早奈の目の前に接近する。
「これで........最後だァ!!」
ーー神様。もしこれがアンタの書いたシナリオだとしたらーーーー
ーーーーまずはその巫山戯た運命を白く塗り替える!!
「花封“
楼夢は右手で早奈の額に触れる。すると、下から薄い透明な桃色の霊力で出来た花弁が五つ浮き出て早奈ごと蕾に戻るかのように包み込む。そして、蕾が再び開花しーーーー
ーーーー早奈の神力は封じられた。
「封印........完了........と........」
俺はふらふらと地面に倒れ込む。諏訪子達が何か言っているが........もういいや........
ーーもう........寝ちゃおう........
こうして、俺達の諏訪大戦は幕を閉じた........
~~今日の狂夢『様』~~
「後書きよ、私は帰って来たァァァァァァ!!」
「はしゃぎ過ぎ!!でも本心はパートナーが帰って来て嬉しい。作者です」
「戦場から無事帰還した後書きの支配者こと狂夢だ」
「というわけで今章のメイン“諏訪大戦“が終わりました。どうでしたか狂夢さん?」
「まあ、今回俺の出番も合ったし決めゼリフも決まったから結構よかったと思うぜ」
「決めゼリフって決めましたっけ?」
「んじゃ、言ってやろう」
「ミンチ決定で死に晒せェ!!」
ズッドォォォォ
メキッ
「........チーン」
「あ、骨折れた........テヘペロ」