東方蛇狐録~超古代に転生した俺のハードライフな冒険記~ 作:キメラテックパチスロ屋
それが、それぞれを競わせる
それぞれの目的のために敵にも味方にもなり
それぞれのために、醜く争う
だから、人間って面白い
by白咲楼夢
ザッ、ザッと地を踏みしめる音が二つ。
一人は紫の中華ドレスを着ており、日傘をさしながら優雅に歩いている。もう一人はその女性の後ろを、従者のように付き添いながら歩いていた。
先頭を突き進む少女の名は八雲紫。大妖怪最上位の中でも最も強力で、最も有名な妖怪の一人であった。後ろには金髪の髪に、金色の九本の尾を揺らしながら、彼女の式神が歩いている。
彼女の名は『八雲藍』、かつて玉藻前と呼ばれた、九尾の狐である。着ている服も紫と似ている中華服で、こちらは青と白が目立っていた。
そんな、鬼に金棒と化している二人は、とある山の獣道を歩いていた。
木々の隙間から、次々と妖怪が飛び出し、襲いかかってくる。
だが、
「藍」
「はい、紫様」
現れた妖怪は、光り輝く弾幕の嵐によって、次々と体を抉られていった。
もはや、勝負にすらなっていない。というより、彼女たちは現れる妖怪を障害物程度にしか捉えていなかった。
そんなこんなで、彼女たちは山の奥にあった洞窟に入っていく。中には低量の妖力で明かりを放つ術式が、いたるところに刻まれており、視界の心配は憂鬱に終わった。
そして妖怪をなぎ倒しながら歩くこと十分、とうとう洞窟の最奥にたどり着いた。
最奥は、まるで山を丸ごとくりぬいたかのような広さがあり、千人ほどいても戦闘に障害がないようにできていた。
そして紫は、その奥からこちらを見下ろしている巨大な影を睨んだ。
「さて、あなたが今回の件の首謀者ってことでいいのよね?」
「ガハハハハッ!! よくぞ来た、八雲紫ィ! この妖怪の裏切り者が!」
ズゥン、ズゥンという大きな足音を立てて、
十五メートルは確実にある人型の肉体。その頭から大きな二本角が突き出ており、見る者に凄まじい恐怖を与える。さらに手には巨大なハンマーを持ち、それを肩に担いでいた。
「これは……鬼、なのですか……?」
「ガッハッハ! いかにも! 俺は鬼の中の鬼……」
「嘘ね」
『鬼』という言葉に反応して、紫はそれをきっぱりと嘘と断言した。
一方藍は、相手が恐ろしく巨大という以外鬼に全て酷似していたので、鬼の上位種と認識して冷や汗を流していた。
だが、紫はその種族を知っていた。
「あなたの種族は『ギガンテス』。西洋大陸の妖怪ね?」
『ギガンテス』、それはとある一面を除いて鬼と酷似する種族だ。
通常、妖怪は妖力が大きければ大きいほど人型に近づいてくる。だが、そうはならない例外ももちろんある。それがギガンテスだ。
この種族は妖力が大きければ大きいほど体が巨大に変化していく。歴史では、最大で三十メートルを超える者もいたらしい。
十五メートルというのは、俗に言う大妖怪最上位クラスである。だが、彼女たちにはやはり負ける要因がなかった。
そのことを藍に告げると、緊張した顔がすぐにいつもの冷静な表情に戻った。
「確かに、俺一人じゃテメエらをぶち殺すには足りねえ。でも、これならどうだ?」
ギガンテスは巨大な指をバチんと鳴らす。すると、どこからともなく、大量の妖怪と……人間が現れた。
「……人間がなぜお前らと組んでいる?」
「ガッハッハ! 貴様らのことを気に食わない者は俺たち以外にもいるってことだ!」
「勘違いするなよ鬼よ。こいつらの後は貴様だ」
「ふんっ、やれるものならやってみろ」
人間、いや陰陽師たちのトップらしき人物が、ギガンテスと睨み合う。幸い、仲はあまり良くないらしい。
紫たちはすぐに戦闘体制に入る。
すると、十人ほどの陰陽師たちが前に出てきたかと思うとーーーーグサッ! と小刀を自らの胸に突き刺した。
「なっ!?」
藍がその行為に驚きの声を上げる。だが次の瞬間、巨大な術式の陣が死体を囲うように現れると、刻まれた術式が発動し、半透明な結界が洞窟全体を覆った。
すぐに紫はこの結界がなんなのか調べようとする。すると、ギガンテスが何か思い出したかのような動作で、口を開いた。
「ああ、言い忘れていたな。貴様らが大事にしている神社に大妖怪の群れを襲わさせておいた。その中には大妖怪最上位もいる」
その言葉に紫は思考を一瞬放棄してしまう。だがすぐに冷静になると、スキマを開いて博麗神社に向かおうとした。ところが、スキマはこの結界の中以外には開いてくれなかった。
「どうして!?」
「ハハハァ! この結界の能力はただ一つ。中の生物の外への脱出を封じる、だ。たとえそれが貴様の能力でも、この結界から逃れることはできない!」
陰陽師の男が高らかな笑いを上げて答える。
クソッ、やられた! 今の彼女は出産後で大量の霊力を消費している。大妖怪の群れが相手では、決して生き残れない。
ふと、前の敵を凝視する。数にすると千以上。一時間もあればなんとかできるが、それまでに彼女が生きているかどうか。
だが諦めるわけにはいかない。彼と約束したのだ。人間と妖怪が共存する世界を作ってみせると。
「……藍、最高速で敵を倒しなさい。結界が解除されたらすぐに撤退よ」
「はっ」
その言葉を合図に、タイムリミットのある戦いが、始まった。
♦︎
キラリと黒刀が輝く。そこから、滑るように刃が放たれ、目の前の人型妖怪の体を上下に分けた。
現在、博麗神社は戦場と化していた。
博麗とその妹は、大妖怪の群れに襲われていた。
数は三桁をギリギリ超えないほど。それだけの数の大妖怪が攻めてきているということは、それほどあちらも必死なのだろう。
相変わらず八雲紫からの連絡はない。彼女がやられることは万に一つもないだろうが、いずれにせよ敵の策にはまったのは確かのようだ。
「ヤァァッ!!」
続けて前にいた人型の妖怪に、炎と雷を融合させた斬撃を振り下ろす。
楼華閃七十二『雷炎刃』。妖怪は、二つに分かれた後、爆発し、塵と化した。
だが、まだ終わっていない。技を出して硬直している間を狙って、獣が人型になったような妖怪が二人、左右から飛びかかってくる。
彼らの爪がギラリと黒光りする。だが同時に、博麗の耳元から淡い光が溢れた。
「『八方鬼縛陣』」
言葉と共に、手の平を地面に当てる。
すると、そこを中心に巨大な赤い柱が出現し、周りにいた妖怪を消し去った。
右耳につけられた青い水晶のピアスを揺らしながら、ふんっ、と鼻を鳴らす。
彼女の水晶の正体。それは生前楼夢がつけていた
彼女はこれを楼夢から託されていた。曰く、誕生日プレゼントだとか。
話が脱線していたが、博麗は周りが見渡す。そこには、大妖怪相手に苦戦している焔花がいた。
焔花が弾幕の壁を張る。だが相手はそれをお構いなしに、強引に突っ込んで破った。
慌ててバックステップを踏みながら同じように弾幕を張る。だがやはり妖怪はそれを強引に破った。
だが、突っ込んでいる最中、一つの弾幕に顔から触れてしまう。直後、彼は首から後ろに吹っ飛んでいった。
カラクリは単純である。まず弱い弾幕を張って強引に破らせることで、こちらの攻撃は相手には通用しないと思わせる。
そして次に相手が突っ込んできた時、彼女は他の弾幕に紛れて超高圧縮された同じサイズの弾幕を放っていたのだ。妖怪は圧倒的な霊力が込められた弾幕に自ら突っ込んでいき、自ら跳ね飛ばされた。
とはいえ、それで死ぬほど大妖怪は貧弱ではない。だが、地面から立ち上がる瞬間。一瞬の隙を突いて、博麗の抜刀が煌めいた。
「『雷光一閃』」
雷を纏った高速の抜刀切りが、妖怪の首から上を切り飛ばした。
これで残りはおそらく三分の一ほど。だが、焔花には荷が重かったらしく、大量の汗を吹き出しながら肩で息をしている。
「焔花、大丈夫か?」
「……え、ええ……大丈夫よ、姉さん……大丈夫……」
「無理をするな。一旦休ーーーー」
焔花の身を案じて、博麗は一度彼女を座らせようとした。
その時、凶悪な殺気を感じて、急いで身構える。
なんと、そこには七匹の大妖怪が、前方から急接近してきたのだ。
博麗は抜刀すると、刀をクルクルと手で回す。すると、徐々に青い氷が、刀身を包み始めた。
完全に氷が包むと、回転を止め、傾いて前傾姿勢をとる。そしてそのまま、残像が見えるほどの速さで、一気に突っ込んだ。
「楼華閃『氷結乱舞』ッ!!」
そして、妖怪たちを一瞬で追い越すと、すれ違いざまに氷の七連撃をそれぞれに叩き込んだ。
断末魔を上げて、切断部分が砕け散り、ほとんどの妖怪は斜めに分離した。その頃には、声も、吹き出る血も、全てが氷に閉ざされていた。
「今がチャンスだ。この機会にお前は休め。回復したら遠距離から援護しろ」
「わ、わかった……ごめんなさい、姉さん」
「よし、じゃあ行け!」
博麗が背中をポンッと押すと、焔花は近くの木まで駆け出し、座り込んだ。
ーーーーこれで、あいつは大丈夫だ。
博麗はひとまず安堵する。だが、すぐに気を引き締めた。
まず、戦況だが、こちらが現在優勢だ。敵の数はすでに二割を切っており、いくら大妖怪であろうと、自分と同等、または近い存在が、八割ものなら惨殺されたなら、恐怖も覚える。士気も下がる。
対して、こちらはまだ無傷だ。焔花は怪我をしているが、博麗は息切れすらしていない。
引き続き、博麗は妖怪たちを駆除していく。その時だった。
「ッ! ……この妖力の重圧はッ!」
「……ハァッハハハハハ!! 人間には如きと思っていたがやるじゃないか! 面白い、我が直接相手をしてやろう!」
空から現れたのは、一人の大妖怪だった。
和風の装束に下駄、そして刀と八手の葉の団扇を帯刀している。
その種族は天狗。本来妖怪の山で、人間と共存計画賛成派に位置する種族だ。
だが、目の前にいるのはただの天狗ではなかった。
「我が名は『
その妖力の強さは大妖怪最上位。つまり、現天魔と同等の力を持った存在であった。
「さあ、我とひと勝負しようじゃあないか!」
「ッ! クソッ!」
博麗が吐き捨てると、直後、空中で衝撃波が散った。
ギャリギャリッ! という金属同士がこすれる音が聞こえる。どうやら相手の刀もこちら同様特別製のようだ。
空中で鍔迫り合ったまま、乱打戦が始まる。
まず、博麗は刀を払うと、同時に懐に潜り左の拳を突き出す。
だがそれを、翔天は腕で流すと、左手で団扇を抜いて風に斬撃を複数放った。
「『
それを、博麗は刀から同様に風の斬撃を放つことで、相殺する。
だがその隙に翔天は突進し、巻き込むように右の刀を振るった。
ゴォォォォオッ!! という風を切る音が聞こえる。すぐさま結界を張るが、それを叩き壊し、斬撃は博麗の体をかすめた。
「……痛ッ!」
その痛みでバランスを少し崩してしまう。その一瞬を見逃さず、いつの間にか団扇をしまっていた翔天が、左手に風を圧縮させてーーーー
どゴォォォォンッ!! 一気に解き放ちながら、強烈な掌打を叩き込んだ。
博麗の姿は地上に激突した後、砂煙によって見えなくなっていた。
だが、あの一撃は人間では耐えられない。そう確信し、翔天をわずかに気を緩めた。
そこから、一瞬だった。
「……『夢想封印・集』!」
突如、地上から、七つの色鮮やかな巨大弾幕が、翔天に集中するように飛んできた。
だが、それぐらいは翔天も予想していた。すぐに迎撃用の風を集めると、解き放とうとする。
「馬鹿め! そのくらい、我の風の前にはーーーー」
「弾けて……煌めけ!」
だが、風を放とうとした瞬間、博麗の言葉をトリガーに、七つの玉全てが弾けとび、太陽のように眩しい光を解き放った。
「ぐっ…ガァァァァァッ!?」
その、あまりにも眩しい光を直接その目で浴びてしまった翔天は、あまりの痛みに目を押さえ叫ぶ。
その瞳は、目の前で青白く輝く刀を持った、博麗の存在を、失念していた。
「これで終わりだ! 『天剣乱舞』!!」
動きが止まっている翔天に向けて、七つの青の斬撃が襲いかかる。
それらは彼の腕、胴、足などを切り刻む。そして止めにと、博麗がひときわ大きな斬撃を放とうとした時、
「……押し……潰されろぉ!」
突如、翔天がそう叫ぶ。
そして次の瞬間、博麗の体は空中から地面に叩き落とされていた。
「……カハッ!?」
突然叩きつけられた衝撃によって、苦しそうに肺の空気を吐き出してしまう。
起き上がろうとするが、体が重い。まるで地面に吸い寄せられているようだった。
そこで、視力が回復した翔天が降りてくる。そして、倒れている博麗を見ると、狂気のこもった声で高笑いした。
「ク、ククク、ハハハハハハァッ!! 今のは効いたぞォ! おかげで死にかけてしまった! だが、次はそうはいかん。ここからは、全力で捻り潰してくれるわッ!」
「……先ほどの発言から考えると、お前の能力は重力、または大気に関係する能力だな?」
その発言を聞いて、合っていたのか、再び翔天は笑い出す。
「なるほど、そこまで当てるとは! そうだ、私の能力は『重力を操る程度の能力』。その名の通り、私の半径五百メートル以内にあるもの全ての重力を操る力だ!」
その答えとともに、強烈な重力の
「みんなー、久しぶりー! 寝る子はよく育つと言いますが、夜寝なくても作者は昼寝るので高身長です! 美術センスが全くない、作者です」
「というかお前更新遅すぎだろ? 俺夏休みが始まった次の日にカラオケ行ってきたのを知ってるんだぜ? これについてはどう弁明してくれるのかなぁ? 狂夢だ」
「とうとう夏休みです! 夏休みは一日2千文字ずつ書き上げていく予定ですので、三日に一回は更新すると思います」
「それにしても、お前またカラオケ行ったのかよ。来週も再来週もまた行くんだろ?」
「カラオケとゲームこそ我が喜び」
「ちなみに作者は最近なぜか超次元サッカーゲームのえ⚫︎どう時代の3をやってるみたいだ」
「行くのだ、我がアイシーちゃんよ!」
「ちなみに上記のキャラをゲットするために、作者は昨日わざわざ一つ前の2のBZを買ってきました。てか地味にDS版で全カセット集めるなよ」
「意外と楽しいんですよ、あれ」
「そんなに鍛えて誰とやるんだよ?」
「……」
「……すまん、お前がボッチだったの忘れてた」