「おい!起きろ‼︎」
ガスッと腹を蹴られ目を覚ます
「ゲホッ⁉︎ガホ…」
「よお織斑一夏」
目の前に黒服の男がそんな事を言う
「おっお前は?」
「はっ!言うとでも?まぁいい…俺らはお前を攫ってきた誘拐犯だよ」
「目的は?」
「目的?そんなのお前の姉 織斑千冬の決勝の辞退だよ。」
そう黒服が言う
今俺は細い路地をモノバイクに跨りながら走る
このモノバイクは数打 IS的に言えば量産機 銀星号みたいな奴は真打と言い、IS的には専用機だ。
そしてこの数打 『九○式竜騎兵甲』と言い、軍史に残る名騎と言われる六波羅陸軍正式採用主力劔冑だが…もう旧式で九四式竜騎兵甲が六波羅の主力機となっている。
しかし…旧式と言われているが名機と言われるだけで性能が高い。
そしてこのモノバイクはその九◯式竜騎兵甲の待機状態だ。
「まだか⁉︎」
モノバイクのスピードはもう限界まで出している…なのだが、未だに着かない。
いっそ装甲して飛ぶか?
いや…流石に飛べば目立ち過ぎる
「ッ‼︎見えた!」
遂に一夏が囚われている工場を見つけた
そのままのスピードで、工場の扉を突き破り
「尽忠報国!」
劔冑は数打、真打問わずこう言った口上を言わなければならない。
モノバイクが弾け、俺の体に嵌っていく。
そして…一夏と誘拐犯の前に一騎の鎧武者が立つ。
「あっISだと⁉︎」
誘拐犯達が数歩後ろに下がる。
「セイッ!」
九◯式のブーストを蒸し、二人の誘拐犯に太刀を浴びせ倒す
更にそのまま一閃、二閃と更に誘拐犯を打ち倒す
最後に残った誘拐犯は一夏を人質にしようとするが…そんな事をさせる程甘くはない。
一夏に手を伸ばす誘拐犯だが…背中に凄まじい衝撃を受けそのまま前に倒れ気絶。
「一夏!無事か‼︎」
「光?」
「あぁ俺だ一夏、大事ないな?」
「あぁ…何で光が此処に?」
『後方から熱源、ISと断定』
九◯式が後方にISが接近を伝える。
「一夏よく聞け、直ぐにISが此方にくる。俺は迎撃するから一夏は何処かに隠れていろ。」
「なっ!光だけ戦わせる訳には行かない!俺も戦う!」
「一夏…生身でISと戦うなど無謀だぞ?其れに好きな人間がこんな下らない場所で死んで欲しくない。」
「えっ?」
一瞬惚ける一夏だが…
「早く隠れろ!ISは待ってくれないぞ!」
「あっあぁ‼︎」
慌てて手短な場所に隠れる一夏
直後、この場所に一機のISが突入してきた。
「貴様が一夏を攫ったのかぁ‼︎」
そう言いながら世界最強 織斑千冬が雪片で此方に斬り掛かってきた。
「ッ…」
雪片を太刀でいなす
「ほう…誘拐犯の癖に中々やる、私の一撃をいなす等」
こう世界最強は言うが、あれ位…いやあれ以上の物を何度も見てきた。
「……一夏が攫われたからって焦るな千冬、太刀筋がブレブレだったぞ。」
「なっ…光か⁉︎」
「あぁ俺だぞ千冬、一夏は助けたぞ…一夏出てきて大丈夫だぞ」
そう言うと隠れていた場所からヒョッコリと顔を出す一夏
「一夏‼︎…済まない光」
「ふっ…容易いことだ、何せ一夏は俺の夫になる人間だからな死なれては困る。」
瞬間場が凍ったと同時に
「お前みたいな束級ヘンテコ人間に一夏はやらんぞ‼︎」