「……篠ノ之は反省文100枚と一週間の自室謹慎とする」
「…はい」
あの無人機の襲撃の後、光は直ぐさま医務室に運ばれていき俺、鈴、箒は千冬姉に校長室に来る様に言われた。
本当なら今直ぐにでも光の元に行きたかったが…
バシン
校長室に着くや鈴は箒の姿を見て平手を打つ。
「アンタの所為で!光が‼︎」
ヒステリックに鈴が叫びながら箒の胸倉を掴む
情に熱く、困った人が居たら直ぐに助ける様な人物である鈴だ…この様な行動はある程度は予測は出来ていた。
「鈴……止めろ」
更に平手を打とうとする鈴を止める。
「何で止めるのよ一夏⁉︎コイツの所為で!」
分かってる…俺だって、箒に怒りたいし何か言いたいが…
「鈴が箒を殴っても光が喜ばない…其れは俺が箒に何か言ってもそうだ、光はそんな事をやっても喜ばないだろ。」
「でも!」
「鈴止めろ」
其れでも反論しようとする鈴だったが、千冬姉の一言で渋々引き下がる。
「其れでは…IS学園襲撃の報告をします、学園長。」
「えぇ頼みます。」
学園長と呼ばれた、男性 轡木 十蔵が一言いう。
「では先ず…襲撃してきたISを見てみた所…搭乗者が入る所が無く、人間も入っていませんでした…つまりあのISは無人機です。」
千冬の発言でこの場に居た人間、IS学園生徒会長とIS学園の教師陣がざわつく。
其れもそうだ、ISは人が乗っていないと動かないのだ…各国がISコアの量産と同時に同時進行で躍起になりながら、やっているのだが…成功例は零で研究をしては悉く失敗していた。
未だに実用化…成功が出来ていないISの無人化
そして無人ISでのIS学園襲撃…もし無人化に成功した国があるのなら、どの国にもバレないように密かにデーターを取るはず、其れをせずに態々IS学園に襲撃を掛ける事が出来る人物など…
「成る程…今回の無人ISでの襲撃は篠ノ之束博士の仕業だと…貴女はそう思っているのですね。」
今回の発言は先程よりは騒音はマシだった。
轡木 十蔵の問いに肯定とばかりに千冬が頷く
「ほぼ確実に束が今回の襲撃の首謀者です。」
「そうですか…其れでは今回の報告は此れで…」
「待ちなさい‼︎」
轡木 十蔵が報告の終了を告げようとした所其処にIS学園の教師…然も女尊男卑に染まった人間が待ったをかける。
「なんでしょうか?」
「黙りなさい!何でこの神聖なIS学園に…まだ千冬様の弟はまだ許せるけど、何でISを動かせない男風情が学園長をやっているのよ‼︎」
甲高い声で場違いの事を撒き散らす
此れだから、女尊男卑に染まった人間はと此処に居た…殆どの人間が心の中で溜息を吐く。
「後!織斑光の専用機を没収しなさい‼︎あれは余りにも高性能機過ぎるわ!其れに明らかに搭乗者の織斑光は専用機を持て余しているわ!だからこの際織斑光から専用機を没収して、織斑一夏に使わせるべきよ!なんせ千冬様の弟なのだから。」
余りにも馬鹿馬鹿しくて、頭が痛くなった学園長
凄まじくおめでたい頭で馬鹿らしい事を言うこの教師に周りの人間達は冷ややかな目で彼女を見る。
一夏や鈴は怒りが爆発する寸前なのか肩をプルプル震わせている。
この発言を千冬が額に青筋を立てながら反論する。
「つまり…貴女は身を挺して生徒を守った光を馬鹿にしているのか?」
「えっ?」
てっきり自分の肩を持つかと思っていた、彼女はポカンとするが…どの世界に自分の家族を馬鹿にされ喜ぶ人間がいるだろう?
「其れに光が専用機を持て余している?巫山戯るなよ?言っておくがな…光はお前よりもISの扱いは上手いぞ、其れに一夏は私の弟だから?巫山戯るな‼︎」
「ヒィ⁉︎」
怒声と共に放たれた殺気に情けなく悲鳴をあげる。
「私の弟だからISの扱いは上手いだろう?巫山戯るのもいい加減にしろよ?一夏は一夏だ、私ではないんだ!……学園長。」
「えぇ…其れでは今回は此れで…」
「織斑先生‼︎」
バンっと扉を勢い良く開ける人物、今迄無人機を詳しく解析していた山田麻耶は先程まで走っていたのだろう、肩を上下させている。
「どうしたんだ⁉︎山田君!」
「そっ……其れが!」
俺が目を開けると其処は真っ白な殺風景な空間に居た。
「此処は…」
身に覚えがある、この殺風景な空間はあの…
「やっほー!」
そう軽い感じの声を此方に投げ掛けながら、ぴょんぴょんと空き缶が跳ねて此方に向かってきている。
そうこの、珍妙な空き缶と初めてあった場所がこの殺風景な空間なのだ。
そしてこの空き缶が
「何の用だ?まさか…俺は死んだのか?」
俺をインフィニット・ストラトスの世界に転生した神なのだ。
「あぁ…別に光ちゃんは死んでいないよ、ちょっと光ちゃんに忠告をしに呼び出したんだ。」
俺に忠告?はて……俺は一体何か悪い事をしただろうか?
「やっ…別に光ちゃんは何にも悪い事してないから安心して?……ただ。」
「たっ大変です!皆さん!………第2の男性操縦者が現れました‼︎」
「新たな男性操縦?」
「えぇ」
何処が不味いのだろう?
この世界には星の数ほど男がいるし、そんなのは直ぐにぽこぽこ出てくるだろう。
「其れがそうでもないのよ、このインフィニット・ストラトスの世界では織斑一夏君しか男でISを動かせないのよ。」
「成る程……つまり」
「光ちゃんが考えてる様に第2の男性操縦は」
「俺と同じ」
「「転生者」」
「転生には…原作がある世界に転生させる場合にはルールがあって、転生者は一人までってなってるの、じゃないと原作が滅茶苦茶になるからね……前に馬鹿が二桁単位の転生者を原作がある世界に転生させたのよ。」
成る程…神の世界でもそんなルールがあるのか、割と中々貴重な話を聞いた。
「其れで今回此方に寄越した転生者については……取り敢えず糞野郎よ。」
「随分ざっくり言うな…」
「そりゃあ、転生者を送った神に聞いた所……転生したら必ずハーレムを作るとか言ったり、織斑一夏君に彼女がいるって知ったら知ったで一夏の魔の手から救い出すとかほざいてね。」
「頭が痛くなってきた…」
「でしょ?…因みに転生者特典は織斑千冬並みと篠ノ之束並みのスペックだけど、どうせ光ちゃんは兎も角、織斑一夏君にも負けるね。」
何と阿保なんだ…転生者って皆んなこうなのか?
「あぁ…最後に光ちゃんはかなりダメージ負ってるからね?取り敢えず今は…光ちゃんのISの治癒機能で治癒してるけど…目覚めるのはかなり遅くなるからね?」
「正宗があるのにか?」
「えぇ」
「重症だな」
「そりゃあもう、重症だよ。あっ転成者は別に殺して良いからね。」