「ではこれより、リュウ君の力大研究大会を始めたいと思う」
「いぇーい」
キリリと眼鏡を掛け直し、教鞭片手の青山詠春。パチパチパチパチという乾いた拍手音がいくつか。まるで宴会でもするかのような妙なテンションのナギを始め、そこにはゼクト、アルも寛いで座っており、同じく万雷の拍手を送っている。
「……」
「なぁ相棒……」
「言うなボッシュ」
昨日の模擬戦から一夜明け、改めてリュウの現状把握をしようと朝からあの草原空間にリュウたちは来ていた。現場把握。なるほど目的はよく分かる。非常によく分かる。特に文句があるわけでもない。ただ……。リュウは今自分の周りにあるモノを呆れたような目で見ていた。まず、スーツを着た詠春の側にあるキャスター付き黒板。一体どこから持って来たのか。その隣には透明のボックスにハガキのようなモノが大量に入っている。何かの懸賞だろうか。疑問と言えば詠春の態度も何かアレだ。真面目にバカをやっているのか素なのかよく分からない。
「それではまず本日の主役、 リュウ君の登場です」
「おー」
テンション高いままのナギを含めた四人から、一際盛大な拍手で迎えられる。もっとも、リュウは最初から詠春の隣に立っているわけだが……。
「いやさっきからここに居るんですけど……」
「ではまずは最初のお便りから」
(スルーすか……ていうかお便りって……)
透明なボックスに手を突っ込み、ガサゴソとハガキを取り出す詠春。どうやらそれにリュウへの疑問が書かれているらしい。それを読み上げてリュウに答えさせるというスタイルのようだ。ハッキリ言って黒板の存在する意味がまるでない。ツッコミが追いつかないのでリュウは諦めた。
「えー、ペンネーム「馬鹿小僧の師匠」さんより。単語一つで魔法を発動できるようだが、どうやっているのか? だそうです。これは中々興味深い質問ですね」
「……」
誰が書いたか非常に分かりやすい。投稿者と思われる白髪子供に目を向けると、全くの無表情だ。
「えー、実はこの他にもペンネーム「チビジジイの弟子」さんと「天使の微笑み」さんからも同様のお便りが届いているようです」
「……」
さらりと二枚のハガキを掴みあげ、解説する詠春。リュウはペンネーム天使の微笑みさんに心底呆れた視線を向けた。このノリは何だ。ていうか自分で天使の微笑みとか痛くね? といった感情を込めて見る。
「おやリュウ。私の顔になにか付いていますか?」
笑顔である。めっさいい笑顔である。そして目だけ笑っていない。非常に怖い。これ以上は踏み込んではいけない領域のようだ。
「……ナギよ、後で話がある」
「……奇遇だなお師匠、俺もだ」
残り二人は二人で互いのペンネームが気に障ったらしく、魔力全開で睨み合っている。ズゴゴゴゴ、と周囲の地面が捲れ上がりつつある辺り、止めないと非常に危険な気がする。どうやらこの場にマトモな人間はいないらしい。わかり切っていたことだが。
「それではリュウ君、この質問に対する回答の方を頼む」
後ろで大バトルに発展しそうな二人を止める事なく、淡々と仕切る詠春の精神力は相当なものだ。日常茶飯事ってやつだから感覚が麻痺しているのだろう。一々気にしてはいけないようなので、リュウも詠春の精神を学ぶことにした。
「えーと、俺の使った魔法は…………実はよくわかってません。ただ普通の魔法じゃないような感じはします」
「ふむ……」
リュウの曖昧な回答に、ゼクトは顎に手をやった。
「初めて見たときからそんな気はしとったがな、発動体を必要としない点からも、恐らくはリュウしか使えん魔法なのじゃろう」
「日本のオンミョウジュツ? ってヤツとはちげーのか?」
「違いますよナギ。陰陽術と言えども、あれだけの力を触媒も詠唱もなしに行使は出来ません」
「へー」
取り敢えず分かっていることとして、リュウは事実と見解を語る事にした。あの魔法はリュウの持つ妙な力……【龍の力】を消費しているっぽいこと。あの姿になった時自然と使えるようになった事などだ。
「……で、その龍の力っていうのは、みんなが感じてる魔力でも気でもない力ってのがそうだと思う」
「じゃあ、それがなきゃリュウの使う魔法は使えねぇのかよ。何だよちくしょー、せっかく長ぇ呪文覚えなくて済むと思ったのに」
「残念でしたねぇ。ナギ。まぁ勉強は大事ですから」
「ケッ! 中退舐めんな!」
「……」
どうやらナギはリュウの使う魔法を教えて貰う気満々だったようだ。その動機が呪文が短くて楽だから、というのはまぁ分からない話ではない。
「ふむ、しかしリュウ、お主は普段はその魔法は使えぬのか? ワシには使えない理由が見えんのだが」
「え」
言われ、リュウは少し考えてみる。一番最初に使おうとしたのはまだこに身体になって間もない頃だ。そう言えば、変身出来るようになってからはこのままで魔法を使えるのか試していない。ひょっとしたら、弱い魔法くらいなら使えるようになってたりしないだろうか。思考の結果淡い希望が七割といったところだ。
「どうだろう……変身出来るようになってからは試してないですね」
「なら早速やってみようぜ!」
ナギに促され、そうだな、と頷く。駄目で元々。試すくらいなら問題ない。
「じゃあ、やってみる」
リュウは目を瞑り、いつかやったように右手を前に出してそこに意識を集中させだした。これまたいつかのように心なしか手のひらが暖かくなってきたような。何も起きなかったら恥ずかしいけど、まぁここは一つ我慢だと自分に言い聞かせ、呪文を唱える。
『パダム!』
瞬間、リュウが手を向けた先にボォゥと勢い良く焚き火程度の炎が巻き起こった。
「おお!」
「相棒!すげーじゃねぇか!」
「……で、出来た?」
ドラゴナイズドフォームでない状態での、始めての超常的力の行使。感動もひとしおだ。そして、変身時とは違い、少し脱力感がある。ちょっとだけ体力を消耗したような感覚だ。初級の魔法でこれという事は、中級、上級の魔法はまだまだ今の自分には荷が重そうである。だが何はともあれ、これで魔法はこの姿でも何時の間にか使えるようになっていたということがわかった。
「ほう、確かにリュウの言う所の「龍の力」に注視していると動きがありましたねぇ。どうやら先ほどの話で正解のようですね」
「はー……」
アルの解説を聞き流しつつ、何かまだちょっと感動の中にいるリュウである。
「さて、では一つ疑問が解決したところで次の質問は……」
相変わらず粛々と進める司会者詠春。ガサゴソとハガキボックスを漁る。気のせいか若干楽しそうなのは突っ込んではいけないのだろう。
「えー次のお便りはペンネーム詠春はムッツリスケべ……」
そこまで読みあげた詠春は、厳かに抜刀した。
「おわ!?」
「さて、これを書いた奴はだれだ?」
ヒュンと目の前を鋭い刃が通り過ぎ、ビビるリュウ。いきなり剣を抜くとか案外詠春は気が短いのだろうか。いや、逆にこうまで怒るということは、もしかしたら自覚があるのかもしれない。それはともかく残り三人を見てみると……明らかにナギの行動がおかしい。明後日の方を見て口を尖らせている。どうやら口笛を吹いているつもりのようだが、ふゅーふゅーと全く音が出ていない。これはもう誰が犯人か分からない訳がない。
「……質問の内容は「リュウは普通の魔法や気、アーティファクトは使えねーのか?」だ。さて、追加でナギには後で用があるので首を洗っておくように」
睨みつつ、刀で肩をトントンしている詠春に対し、ナギはあくまで知らんぷりを続けている。深く考えては負けだとばかりに一旦その事は置いておいて、リュウは質問について考えることにした。と言っても答えは一つしかない。
「うーん、分かりません。その辺については試したことがないので」
「そっか。んじゃ全部試してみよーぜ! まずは魔法、これ使っていいからよ」
そう言ってナギに渡されたのは先端に星が付いた小さな杖だ。
「いいか? それ持ってこう言うんだ。プラクテ・ビギ・ナル アール・デスカット(火よ灯れ)」
シュボ、とナギの持つ杖の先に火が灯る。最も初歩的な練習用魔法である。リュウも呪文だけは知っていたが、実際に自分がやるとなるとやはり少し緊張する。ナギがやったように杖を持ち、呪文を唱える。
「プラクテ・ビギ・ナル アール・デスカット!」
杖の先端に、小さな火が灯った。いきなりの成功だ。
「……ほう、初見から出来るとは意外じゃな」
「そうですねぇ。普通はコツを掴むまで多少なりかかるものですが……」
「ほぇー、相棒器用なんだな」
「……」
確かにこれはちょっと意外だった。ナギたちの使う魔法に対しての適性もあるということなのだろうか。ただ……リュウは、少々不思議な感覚に見舞われていた。ナギのやったデモンストレーション的な「火よ灯れ」を見た時、薄らと自分も出来そうなイメージが湧いたのだ。
「なら次は
「うい」
ナギは炎の魔法の射手は使えないのか、ただ発動に必要な呪文を教えるだけだった。そしてその通りにリュウが呪文を唱えると……今度は何にも起こらない。魔法の射手は発動しなかった。
「やっぱいきなりは無理だったか」
「……」
リュウはちょっと考えると、先程のイメージが今の魔法の射手にはない事が気になった。小さな事だが、ひょっとしたら何かあるのではないか。もう少し掘り下げる必要がある気がする。
「すみませんが、どなたか今の魔法の射手を、実際に撃ってみてもらえませんか?」
真面目な顔してそう問うリュウに、一同は怪訝な表情を返す。だがきっと何かの考えがあるのだろうと、ゼクトが名乗りを上げた。
「ならばワシがやろう。行くぞ、【魔法の射手・連弾・炎の三矢】」
リュウの前で、空に向かって放たれる炎の矢。しっかりとそれを「見た」リュウの脳裏に、ナギの時のような出来るイメージが薄らと湧く。それを確認したリュウがもう一度、同じように魔法の射手を唱えると……何とさっきは出なかった筈の炎の矢が出現し、虚空へと飛んで行ったではないか。これには皆一様に驚きの顔である。
「お、おいリュウ! なんで出来んだよ! さっきは出なかったじゃねーか!」
「……」
若干の精神的負荷を感じ、これがさっきとは違う魔力の消費かと感じつつ、何故今、魔法の射手が発動したのかリュウには思い当たる節がある。どうやら自分は、思った以上にスペックが高いらしい。まさか実際に“あのシステム”のような事を出来るとは思いもしなかった。
「あー……俺、多分“見た”技をソックリ会得できるっぽい……」
「なにぃ!?」
そう、この現象の正体は、恐らくリュウの記憶にある【スキルラーニングシステム】と同じ。その名の通り、戦闘中に“見た”技を自分のスキルとして習得することができるというシロモノである。勿論何でもかんでも出来る訳ではなく、制限はある。習得できるのは汎用技のみで、さらに難しい強い技ほど習得できる確率は下がる。個人の特殊能力に根ざしたモノなどは、当然覚えることは出来ない。
「っつーことはお前、見たことがありゃなんでも真似し放題ってことか?」
「いや、多分、見た時に自分も出来るイメージが湧けば、だと思う」
「しかしそれが本当なら凄いことじゃな」
確かに凄い事だ。努力して修得する技を、見ただけで真似できる。真面目に修行する人間からしたらぶん殴りたくなるような反則能力だ。
「例えば私の神鳴流の剣技なども、そっくり使えるようになるのだろうか?」
「簡単なものなら多分……」
「いやはや何ともこれは……さすがナギが見込んだだけありますねぇ。あ、それと魔力の波動は感じましたから、魔法自体は普通に使えるようですね」
「……」
思い掛けず発覚した反則能力はさておき、先程の質問に立ち返って見る。ナギ達の使う魔法はリュウにも使えるし、魔力自体も存在するようだが、魔力の量に関しては、あくまで普通。ナギのように桁違いに多い訳ではないというのがアル及びゼクトの分析結果だ。
「さて、では次はリュウ君が「気」を使えるかについてだが……」
「あーそれは無理じゃろ」
「へ?」
これはまぁ普通に使えるだろうと思っていたリュウに向けて、あっさりとした否定の言葉がゼクトから飛んできた。思わず間抜けな声を出してしまう。
「えーと……なんででしょう」
「うむ、気とは普通の人間でも微量じゃが放出しているものじゃ。しかしリュウからは件の「龍の力」がその役割を果たしておるせいか、気が感じられん」
「あー……」
「確かに。言われてみればそうですねぇ」
つまりリュウには「気」が存在しない。だから、例えば詠春の持ついくつかの剣技の様に「気」を使用する技をリュウが使ったとしたら、それは気ではなく龍の力によるものとなるだろう。そのような意味の事をゼクトは解説した。気が使えないという事で、何となくお前は人ではないと改めて示されたようで、ちょっと凹んだのは内緒である。
「では最後はアーティファクトですねぇ」
「うっし、じゃあ誰かリュウと
「え……」
仮契約。魔法使いとその従者としての契約を行う事で、従者に魔力の供給を行ったり呼び寄せたり出来る。そして最も大きな特徴は、仮契約の際にアーティファクトと呼ばれる従者専用のアイテムが手に入るのだ。これだけを見ればイイコト尽くしだが、リュウが若干引き気味な理由はその契約方法を知っているからだった。
「あのーすみません。つかぬことをお伺いしますが、その仮契約とやらは一体どのように行うのでしょうか?」
「なんだそんなことも知らねーのか? 魔法陣を二つ敷いて、一人ずつその中に入って呪文を唱えるんだよ。唱えた方が唱えなかった方を従者にするんだ」
「……へ?」
考えていたのとは全然違うマトモな方法である。リュウは安堵の溜め息をついた。どうやら取り越し苦労だったようだ。この場には男しかいないわけで、あの方法でなくて本当に良かった。
「まぁもう少し簡単に、一つの魔法陣に二人で入ってキス、でもできますが、リュウはそちらがお好みですか?」
「イヤイヤイヤイヤないから」
即座に全力の拒否で千切れんばかりに首を振る。そんなリュウのリアクションを満足気に眺めるアル。流石は天使の微笑み(笑)である。
「へぇ相棒、いいのかい?」
にやついてるフェレットがムカついたリュウが無表情でその尻尾の辺りを足でぐりぐりしてると、何時の間にやらナギとゼクトにより魔法陣が二つできあがった。
「では誰がリュウ君と仮契約するかだが……」
詠春がそう言いながら三人を見ると……
「俺俺! 俺しかいねーだろ!」
「いやここはワシが請け負おう」
「いえいえ、ここは後学の為にも私が……」
と、魔法使い三人が殊更やかましく盛り上がっていた。餌を待つヒナか何かのように見えたことは胸の内にしまっておくリュウである。
「仕方ない。リュウ君、誰がいい?」
「……えっとじゃあゼクトさんで」
「うむそうだろう、ワシが適任じゃな」
「なんでだよリュウ!」
「私ではご不満ですか?」
「いやだって……」
ナギは何か暴走しそうだし、アルは怪しいし、そうなると自然とゼクトしか残らない。ごく単純な消去法の結果である。要するに一番マトモそうなだけだった。
「ふふん、負け犬どもは下がっておれ」
「……」「……」
他二人を差し置いて選ばれた事に気を良くしたらしいゼクトが、挑発気味に呟いた瞬間……ピキリと空気が冷え込んだ。リュウの目からはナギとアルが静かに火の付いた爆弾のように見える。
「さて、では二人とも魔法陣へ」
詠春に言われ、リュウとゼクトがそれぞれ魔法陣へと入る。足を踏み入れたと同時に陣から穏やかな光が溢れ出し、二人を包み込んでいく。
「…………」
ぶつぶつとゼクトが呪文を唱えると、徐々に光がリュウの周囲に集い、収束していく。
(なんかくすぐったい……)
光が両者を取り巻き、今まさにゼクトの呪文が終わりかけたその時…………まるで何かに拒否されるかの様にパシンと大きな音がし、光が弾け飛んだ。
「ぬ?」
「あれ?」
仮契約の証であるカードはどこにも出来ていない。ゼクトが確認したところ、リュウとの間に出来る筈の魔力の通路も形成されていない。
「やーいどうしたお師匠ー! 呪文でも間違えたかー!」
さっきの発言に対する意趣返しの様な野次がナギから飛んできている。いつもは無表情のゼクトも流石にムッとした顔をして見せた。中々貴重な瞬間である。
「もう一度やってみるかの」
「はい」
再び同じ工程が繰り返される。だが、やはり契約が終わろうと言うところで光が弾かれてしまった。その後、仕方ないとナギ、アルが挑戦するも、結果は全く一緒であった。
「ふむ、どうやらリュウは仮契約はできないようじゃな」
「え……そうなんですか?」
「そうとしか考えられん。リュウの持つ「龍の力」のせいか、又は魂レベルで何かあるのかは定かではないがの」
「そう……ですか……」
リュウはどういう訳か仮契約が出来ない体質らしい。魔法のエキスパートである彼らがそう言うなら本当なのだろう。発覚したこの事実に、内心リュウは結構がっかりしていた。仮契約と言えば、さっきもチラッと話が出たとおりキスでの方法がポピュラーだ。つまり何かの折に、仮契約を口実にして女の子とちゅっちゅできる可能性があった……筈であったのだ。無論相手が男の場合は絶対にノゥだが。しかしそんなゲスい発想も、仮契約自体が出来ないとなると断念せざるを得ない。世の中そうそう都合良くは出来ていないのだ。
「さて、名残惜しいが以上で今日のリュウくん研究大会を終わろうと思う」
「いぇーい」
何時の間にか閉会の挨拶をする詠春。相変わらずノリの良いナギだけがテンション高い。どうでもいいがボッシュもいつの間にかギャラリー側に入って拍手していた。その楽しそうな顔がやっぱりムカつくリュウである。さーて取り敢えず終わったーとリュウが肩をコキコキ鳴らしていると、笑顔のままでナギ、アル、ゼクトが立ち上がり、何やら準備体操のようなことをしだした。傍では詠春が再び抜刀。周囲を魔力の嵐が渦巻いて行く。
「ナギお前! 誰がムッツリだオイ!」
「うおぁ!?」
猛烈な斬撃がナギ目掛けて飛んで行く。咄嗟に伏せるリュウとボッシュ。ナギは杖を一振りし、正面から斬撃を相殺。ここに大乱闘スマッシュアラルブラが始まった!
「どー見てもムッツリだろ! ていうか誰が馬鹿小僧だお師匠てめー!!」
「負け犬呼ばわりは感心しませんねぇ」
ゼクト目掛けて乱れ飛ぶ雷の矢! あとついでに重力球! 両者には遠慮の欠片もない!
「何じゃ心の狭い奴らじゃのう」
それらを華麗にかわしつつ、やはり魔法の矢で応戦するゼクト。ハッキリいって無茶苦茶レベルの高い争いだが、その発端は無茶苦茶レベルが低い。何やってんだろうかこの人たちは。頭上を飛び交う恐ろしい攻撃の渦に、リュウは呆れと、想像できないこれからの生活に対する僅かな楽しみのようなものを感じているのだった。
ちなみにこのくだらない争いは、巻き添えを食ったリュウが怒りのドラゴナイズドフォームとなるまで続いたという。