戦国ラブライブ! 〜みんなで作る戦国時代〜   作:pocky@

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どうもポッキーです。
よかったですね、皆さん。内浦の戦いはまだ終わりそうにないですよ(←

いやはや、前回のあとがきにも書いたとおり、榊原がやられてないとなると、これは一体どうしたものか。
善子ちゃぁぁぁあ!!!!

今回は曜&エンジェルがメインです。
どうぞごゆっくり。


前回感想をくださった
左京大夫さん
諸葛亮さん
ありがとうございました!



第71幕 覚醒

 

 

 

 

 

 吹き出した鮮血は、あたりは赤く染めた。

 

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ!第71幕 覚醒

 

 

 

 

 

 

「……くっ…」

 

「……ぁ、ぇ……?」

 

「ほう……。まさかお主の代わりに斬られる奴がおるなんてな」

 

 

 

 刀を振りかぶった康政を目の前にし、ただ目をつむることしか出来なかったボロボロの天使。しかし、その間に入り、自ら斬られたのは津島軍の重鎮かつ、善子の側近であった。

 

 

 

「……え、う、嘘」

 

「ぶ、無事ですか?殿……っ」

 

「あ、あな、た……どう、して!!」

 

「……当たり前じゃ、ないですか。殿を、お守りする、のが我々の、役目、ですから」

 

「……ゃ、やだ、し、死なない、でよっ!!」

 

「……ははっ、それは、いくら、殿のお願い、でも……無理な、お願いのようで、す」

 

「ねぇ……!!ねぇ…!!お願いよぉ……!!!」

 

「泣かないで、くださいよ殿……。殿の、涙が塩辛い、です」

 

「んな、何、言ってんのよっ!!」

 

「ははっ、少しは、元気が、でましたか……?」

 

「……そんなわけ」

 

「しかし、先ほどの、殿とは大違い、ですぞ」

 

 

 再び側近はニカッと歯を見せて、善子に笑いかけた。しかし、その息は次第に浅くなっているようだった。

 

 

「……と、の」

 

「……何よ」

 

「……お願い、を聞いてください、ますか?」

 

「……何よっ」

 

「絶対、に、死なないで、ください。そ、して、高海、家を導いて、あげて、ください……!」

 

「……どんなお願いよ、全く」

 

「……頼み、ましたよ。堕天使ヨハネ、様っ!!!」

 

「っ!」

 

 

 

 側近は最後の力を振り絞り、善子の背中を押して、ばたりと息絶えた。しかし彼は、今の善子……もとい、堕天使ヨハネには十分すぎるほどの勇気と、力を与えたようにも見えた。

 ヨハネの目が変わる。その傷だらけの身体に鞭をうち、涙を振り払い、康政と再び対峙する。

 

 

 

「友情ごっこはもういいか?」

 

「えぇ、十分よ。その友情ごっこってやつのおかげで目が覚めたわ」

 

「そうか。まぁ何度やっても結果は同じだ」

 

「誰が。悪いけど、私があんたの首を貰うわよ」

 

「ほぉ?よくもまぁそんな身体でそんなたわけた口をきけるな」

 

「こんな身体だからこそ、言えるのかも知れないわよ?リトルデーモン?」

 

「……何を言っているか分からんが、まぁよい。次は斬る」

 

「それはこっちの台詞よ」

 

 

 

 ヨハネは再び刀を握った。

 康政と向き合う。

 

 

 じりじりと康政との距離を詰め、視線で威嚇する。

 

 

 

 

 刹那——

 

 

 

 

「っ!?」

 

「……遅いわよ、榊原さん?」

 

 

 先に動いたのはヨハネであった。刀を康政めがけて切り上げる。

 刀は間一髪で致命傷を免れた康政の頰を掠めていた。血が垂れていく。

 

 

「傷が、ついちまったじゃねぇか」

 

「いいじゃない。とってもお似合いよ」

 

「そうか、似合ってるか。……なら」

 

 

 

 次は俺のターンだ、とばかりに康政がヨハネに襲い掛かる。刀を振り回し、避けるヨハネの隙が見えた所を狙っているようだった。

 しかし、今の善子は津島善子ではなく、堕天使ヨハネなのだ。

 

 

「……隙が、ない!?」

 

 

 襲い掛かる刃をいとも簡単に避けていくヨハネ。そのボロボロの身体からは想像も出来ない軽やかな身のこなし、そして自身の刀でそれを弾くことにより完璧な防御体制を保っていた。

 

 

「もう十分?」

 

「何を言っておる」

 

「そろそろ、私が攻撃する番でもいいかしら?」

 

「攻撃前に斬ると宣言されるとは……拙者も舐められたものだな。……津島善子ぉぉおッ!!!!!」

 

「…………」

 

 

 ヨハネのあんたなんか今から攻撃します、と言っても余裕で倒せるわとでも言わんばかりのその物言いに、康政はキレた。

 完全に舐めきられたことを武士のプライドなるものが許さなかったのだろう。

 

 瞬間、康政が鬼の形相でヨハネに飛びかかる。

 

 

 

 

 

 しかし、相手は天から堕ちても尚食らいつき、漆黒の翼を大きく羽ばたかせた堕天使であった。

 

 

 

 

 

 

「……なっ」

 

 

 

 

 

 

 飛びかかった康政を受け流す。

 

 

 

 

「今………っ!!!」

 

 

 

 

 

 

 振り下ろした刀は、鎧を切り裂き、あたりに真っ赤な花を咲かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 渡辺軍——

 

 

 

 

「殿!!徳川の大群がもうそこまで来てます!!このままでは持ちませぬ!!!」

 

「そんなっ……!」

 

「まずいですぞ殿……!!このまま本隊にあの大群が流れ込んで来たとしたら!!」

 

「こっちもこっちで精一杯なのにもつわけないじゃん!!」

 

「あぁ!!いかがいたしますか殿!!」

 

「撃っても撃っても敵が減らないんじゃもう…っ!」

 

「殿!!!!」

 

 

 

 渡辺軍本隊。先鋒隊が吹き飛ばされ、その後に続く隊も次々と突破されていた。要するに、本隊はもう真っ裸。分散させていた徳川の大群が一気に本隊めがけて突っ込んでくる。

 

 

 

「申し上げます!!!」

 

「何!!!」

 

「ダイヤ様……黒澤軍がもうじき此方の本隊と合流出来るとのこと!!」

 

「……!」

 

「殿、黒澤殿が力を貸してくださるのなら、まだ分かりませぬぞ!!」

 

「うん、でも到着までに私たち……持つ、かな」

 

「何を言っておられるのです!!持つとか持たないとかではないでしょう!!持たせるのですよ!!」

 

 

「持たせる……」

 

 

「どうしたのですか殿!!!いつもの元気はどこへいったのですか!!海でなければ、渡辺曜はそんなものなのですか!!!」

 

「貴女様はお父様のような立派な船乗りになるのでしょう!!!それがこんな小さな渡辺軍という船の舵をとることが出来ないでどうするのですか!!!殿!!!!」

 

 

 

「困った時こそ全速前進、それが貴女様でしょう!!!!」

 

 

 

「——!!!」

 

 

 

 衝撃が走ったかのようにも思えた。そうだ、それが私なんだ、と。

 無鉄砲でもいい。信念は、『全速前進』。合言葉は『ヨーソロー』。

 再び強い意志をもって、へっぴり船長・渡辺曜が、その舵を切る。

 

 

 

 

「行くよみんな!!!!全速前進、ヨーソロー!!!!」

 

 

 

「「オォーーーーー!!!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 船は、嵐に揺れる荒波への航海に挑む。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 津島軍——

 

 

 

 

「か……はっ……!?」

 

「言ったでしょう?悪いけど、私が貴方を斬るってね」

 

 

 

 ヨハネvs康政。挑発に乗った康政を上手く受け流し、その背中をぶったぎったのは津島軍総大将であった。

 

 

 

「殿!!一度本陣に戻りましょう!!このままでは!!」

 

「……ぐ、そんなわけには、いか……ん!!」

 

「しかし殿!!」

 

「……いいわよ、早く連れて行きなさい」

 

「……はい?」

 

「早く連れてけっていったの。じゃないとあんたの殿様の首、落とすわよ?」

 

「……!!おま、え!!情けの、つもりかッ……!!!!」

 

「殿!!あまり喋ると!!」

 

「早く。残念ながら、津島善子はもう人を斬る力は残っていない。だからここまで追い詰めて、首をとれなかったのは私の失敗。ほら、早く」

 

「………」

 

「……お、い!!!」

 

「早く!!」

 

「……感謝申し上げます、津島様」

 

 

 

 駆けつけた榊原家臣は、周りにいた他の家臣を集めてすぐさま傷を負った主君を本陣へと運んでいった。

 

 

 

 

「よかったのですか?殿」

 

「……えぇ。実際、もう体力とか色々辛いのは事実だし」

 

「……そうですか」

 

「まったく、これだから本当の堕天使にはなれないのよね」

 

「ははっ、それもそうですな。殿は我々を堕とす堕天使というより、我々を導いてくださる天使様、という感じですから」

 

「誰が天使よ!」

 

「ははっ、いえ、なんでもありません」

 

「本当減らず口よねぇ……。あ、そうだ」

 

「いかがなさいました?」

 

「あいつ、城に連れて帰ってくれる?」

 

「……!承知いたしました」

 

「帰ったら津島全員で弔うわよ」

 

「……承知」

 

「はぁ、まったく、私を庇って死ぬとかどんだけアホなことしてくれてるんだか」

 

「……いいんじゃないですか?彼も本望でしたよ」

 

「…そ。ならいいけど。ほら、さっさと連れてく!」

 

「はっ、承知しました。おい、みんな!」

 

 

 

 こちらもまた、榊原戦の功労者である側近であったものを城へと運んでいく。

 そして善子は空を見上げた。

 

 

 

 

 

「……ありがとう、勝ったわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 渡辺軍——

 

 

 

 魔法の言葉『ヨーソロー』により勢いづいた曜が舵をとる渡辺軍。かかりくる敵を鉄砲で打ち払っていた。

 しかし、数が数。相変わらずピンチであることは変わりがないようである。

 

 

 

「殿!!もうこちらまで来てしまいます!!」

 

「おっけー、分かった。本隊に向かって来てる兵の数はどれくらい?」

 

「約2500とのこと!!」

 

「うっわ、5倍もあるね。そっか。うん、じゃあこうしようか。まず、分散させてた渡辺軍をこの本隊に集めて、ひとつにしよう。分散してるっていってもほとんど倒されちゃったから、あれなんだけど……。まぁそうすれば500にはなるかな。後は、もうぶっつけ本番だけど、渡辺の鉄砲隊のみんななら出来るよね」

 

「……何をですか?」

 

 

「三段構え」

 

 

「……三段構え?……三段構えってあの高坂のですか!?」

 

「うん、そうだよ。実際練習もしてないからあれだけど、ダイヤさん達が到着するまでにこの隊を持たせる方法っていったらこれしかないと思う」

 

「いや、しかし」

 

「うん、不安なのは分かるよ。私だってみんなに打たせるタイミングとかよくわからないし。でも、やるしかないんだ。じゃないと渡辺は終わる」

 

「……承知しました。我々も出来る限りのことはします」

 

 

「おっけ。まぁ、なんとかなるよ!こういう劣勢の時こそ全速前進だよ、みんな!!」

 

 

「「オォッ!!!!」」

 

 

 

 渡辺曜の秘策かつ奇策、三段構え。しかも練習は一切したことがないというぶっ飛び具合。さらには馬防柵がない上に、相手には弓兵隊もいる。少しでもタイミングがずれれば終わりのこの策であるが、賭けにでる価値はあるのだろう。今、この渡辺軍を救うとすれば、この三段構えが成功する他はないのだから。

 船は転覆するか、黒澤軍の到着まで持ちこたえ、形勢逆転するか。

 

 

 

 

 

 ここが、へっぴり船長率いる渡辺軍のターニングポイントだ。

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
いかがでしたかね?
ちょっとヨハネ中心だったんで、厨二感バリバリだしてみたんですが()
まぁいいです。

次回はなぁ、もう決まってるんですが、あえて言いませんw
とりあえずAqours全員集合です。

一応この内浦合戦の結末まではもう頭の中では出来上がってるので、ぼちぼち更新していきますので。
ではまたよろしくお願いします。

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