戦国ラブライブ! 〜みんなで作る戦国時代〜 作:pocky@
ギリギリ年内に間に合いましたね……w なんとか約束は守りましたよw
さて、今回は高海vs徳川ですね!中々大変ですよ……。またまたとんでもない策が登場するので、そこは温かい目で見てくだされば幸いです^^;
ではどうぞごゆっくり。
深夜。空は快晴のようで、高く上がった月が内浦の海に反射する。一見すると、ただの穏やかな夜、なのだが、今宵はそうではないらしい。
「それじゃあ頼みましたわよ。くれぐれもお気をつけて」
「こっちはノープロブレムよっ♪ダイヤこそヘマしないでよぉー?」
「大丈夫、大丈夫!ダイヤちゃんは私と善子ちゃんで面倒みるから!」
「だからヨハネよ!!」
「聞き捨てなりませんわね!?えぇ!!?」
「あはは……そっちは大丈夫そうね」
「問題は本隊かなー、一応私たちで10000近い徳川を引きつけなきゃダメなんだし」
「そーだねー、みんな私を狙ってくるわけでしょー?」
「イェース!しかーし、心配はいらないわぁ!この小原家が必ずちかっちを守るわよっ♪」
「勿論、私たちも全力で千歌を守るから安心しなよ」
「鞠莉ちゃんと果南ちゃんの安心感が凄い……!」
「さすがお姉さん、って感じだね」
この2人は謎の包容力を持ち合わせており、特に小原軍なんかは『鉄壁の部隊』と言っても過言ではない。一方、松浦軍は速さに長けており、『神速』そのもの。敵からいい意味で逃げ回ることに関しては風魔党をも凌ぐだろう。
鉄壁と神速。最強のボディーガードである。
「では皆さん、いいですか?私たちの手で決着をつけますわよ!」
「「ハイッ!!」」
「みんな、くれぐれも死なないよーに!!これは絶対命令ねっ!!」
「「ハイッ!!」」
「よし、じゃあ行こう!!!」
「「オーー!!!」」
高海家出陣。
戦国ラブライブ!第68幕 内浦の戦い 開戦
徳川軍——
「申し上げます!!」
「何事じゃ」
「只今、高海軍が内浦城より挙兵したとのこと!!」
「……何?高海が挙兵じゃと?」
「へー、中々面白いことするじゃん」
「わざわざ死にに来てくれるとは!!殿!これでもう徳川の勝利は確実ですぞ!!」
「んー、そうだねー、忠勝頑張って」
「任せてくだされっ!!」
徳川陣営。高海が城から挙兵したとの情報を聞き、歓喜に沸いていた。なんせ兵力が圧倒的に勝る徳川側からしたら、怖いのは高海が籠城戦に持ち込み、高坂が援軍としてこちらにやってこられること。
しかし実際はどうだ。高海は籠城戦に持ち込もうとするどころか、内浦城からうってでたというではないか。徳川からすれば願ったり叶ったりである。
「皆の者!!!わざわざ敵が自ら出て来てくれたのだ!!この好機、絶対に攻め抜くぞ!!!」
「「オォッ!!!!」」
「徳川軍、出陣じゃぁぁぁあッ!!!!!」
「「オォーーーーーーーッ!!!!!!」」
気合十分、内浦全てを揺らすような雄叫びが轟いた。無論、高海本隊にも届いたことであろう。
徳川の進撃が始まった。
「………忠勝。多分一筋縄じゃいかないよ」
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高海本隊——
「申し上げます!!徳川軍、約10000が再び此方へ進軍を開始致しました!!!」
「……遂に来たね」
「そうだね」
「大分近い所まで来てたらしいから、カミングスーン……って感じかしら?」
「最終目標は内浦城まで引きつけること。そうすれば曜ちゃん達が後ろから徳川を崩して行ってくれるはずよ」
「んー、みんなには言ってなかったけど、城にはちょっとした細工もしておくようにルビィ達に頼んでおいたから思い切ってやりまショウッ!」
「じゃあ配置の確認だね。私と鞠莉さんが千歌ちゃん達の背後。果南さんが千歌ちゃん達の前で本隊を誘導する。後は私と鞠莉さんで遠距離攻撃も含めながら。千歌ちゃんと果南さんは出来るだけ徳川から離れることを意識してね」
「了解!千歌は任せといて」
「私と梨子で出来るだけ先鋒隊は倒したいわね……。引きつけながらだからディフィカルトだけれど」
「そこは出来る限りでやりましょう。実際、鞠莉さんの鉄砲隊ならすぐに壊滅させれそうですけど……」
「私たちの役目は徳川を引きつけることだからね、2人ともそこ忘れちゃダメだよー?」
「オゥ、まさかちかっちからライトな言葉が出てくるとは思いませんでしたねぇ」
「珍しく千歌がちょっといいこと言ったね」
「珍しくって何!?」
「あはは……千歌ちゃんの言う通りだね。鞠莉さん、まずは引きつけることだけ考えましょう」
「イェス!攻めるのは余裕が出来てからね!」
「よし、じゃあ持ち場につこうか。もうそろそろ来てもおかしくないからね」
「ではっ、各々抜かりなく〜☆」
それぞれが自分の持ち場へと散らばる。本隊の配置は先ほど説明した通り、千歌の軍を他の3人の軍が囲むような形。松浦が誘導し、小原、桜内で徳川から高海を守る。それぞれの長所を活かした完璧な布陣であったりした。
これより、徳川の到着を合図に、内浦を舞台とした大規模な追いかけっこが始まる。
「申し上げます!!!徳川軍、先鋒の本多忠勝軍が到着した模様!!背後より、大軍が続いております!!!」
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徳川軍——
「忠勝様!!!」
「何事だ!!」
「前方に高海、桜内、小原、松浦の軍を発見致しました!!」
「おぉ!!いきなり総大将のお出ましか!!それは話が早いの!!」
総大将の千歌がいる高海軍を早々に見つけ、たいそうご機嫌な忠勝様。
「皆の者!!!高海軍はあそこじゃ!!一気に攻め滅してしまおうぞ!!!」
「「オォーーーーーーーッ!!!!」」
士気があがった徳川軍はより一層進軍のスピードを上げる。目指すは高海本隊。この大軍が高海本隊へと猪突猛進、作戦も何もなしに真っ向からぶつかりにくるのだ。高海は少しでもミスが出れば一瞬にしてこの大軍に呑み込まれてしまうであろう。
しかし、戦で1番重要なものは数ではないのだ。
高海後方部隊——
「うっわ、すっごい数だね」
「10000の大軍とか初めて見たわよ」
高海後方部隊。こちらは少々見晴らしの良い高台に布陣中。本隊が徳川を引きつけている間に背後から攻め入るのがこの部隊のお仕事である。
また、徳川の本陣も捜索中。仮に見つけることが出来れば即座に奇襲する予定だ。
「あれだけ数が多いと動くのも大変そうですわね」
「そうだねー、それに比べてこっちの本隊の数はそんな多くないし、誘導役が果南ちゃんだから……」
「あっちはそんなに心配する必要はなさそうね」
「ええ。後はこちらがどれだけ動けるか、にかかってますわ」
「んまー、善子ちゃんもいるし、いっちょ暴れてやりますか!」
「ふっ……敵の殲滅ならこの津島軍に任せなさいっ!」
「果南さんからの連絡があったらすぐに出陣しますわよ。皆さん準備を揃えておくように」
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「皆の者!!!かかれぇぇえっ!!!!」
「……っ、想像以上ですね……!!」
「ちょ、ちょーっと数が多すぎるわ……」
本隊後方、桜内、小原軍。ある程度は作戦通りに進んでいたようなのだが、徳川の先鋒は本多忠勝。本多軍はその兵の数など関係なく、この狭い内浦をとんでもない速さで騎馬兵を走らせていた。梨子と鞠莉からしたら予想外なのである。
要するにかなり危ない状況にあった。
「鞠莉さん!!これじゃ……!!」
「城に着く前においつかれちゃうわよ!!」
流石の軍師2人にも焦りが浮かぶ。しかし、ここで慌てふためいて何も出来ないようでは軍師として失格であり、この先高海は生き延びていけない。
軍師の本当の戦はここからなのだ。
「……ちょっと手を出しますか、鞠莉さん」
「……ん、ん、んー。それしかないかしらね」
「でも……もし仮に相手が怯まなかったとしたらかなり痛いですよね……」
「んー、まぁ相手は本多忠勝公ですからねぇ……。ちょっとの威嚇射撃じゃ怯まない可能性の方が高いかもね」
「賭けに出ますか……?」
「いーや、ギャンブルはやめましょう。うちは高坂とか織田みたいな運はないだろうし」
「んー……じゃあ……」
焦る。緊張。もう直ぐそこまで本多忠勝の軍が迫っている。強敵。どうする。
並みの人ならば焦り、不安、緊張……がピークに達する頃なのだろう。そしてそれは梨子も例外ではなかった。その顔に汗が浮かび、必死に頭を動かそうとしているのか。
しかし、この状況を打開する頭脳、度胸がある者がいてこそ、その大名家は日の本に名を轟かすほどのものになれるのだ。
そしてそのキーマンともいえる人物は高海にも、いた。
「……梨子。貴女、火矢を使っているわよね?」
「火矢?あー……はい。使ってます」
「火矢で周りの木の根元をうってくれる?」
「……!そういうことですか!分かりました……!」
「後は私の鉄砲隊に任せなさーい♪」
梨子が家臣に命じて火矢を用意させる。彼女は元々園田軍にいたこともあり、その弓の腕前はかなりのもの。乗馬しながら小さな的をいることなんて朝飯前、というレベルなのだ。
一方、鞠莉の鉄砲の腕前も中々のものだったりする。その上、鞠莉の鉄砲は海外からの最新兵器なので、一撃で仕留めることも可能である。
「みんな!とりあえずこっちに逃げて!」
「先頭の皆さーん、本多は無視してとりあえずカムヒアー!」
「……いいですか、鞠莉さん」
「準備はオーケーよ……。頼むわね」
「はい……!」
梨子が家臣から火矢を受け取り、射撃体制に入った。すぐさま鞠莉も鉄砲を構える。
狙う先は木の根元。この2人は何がしたいのか、簡単に言うと本多のいく先、目の前に大木を倒したいのだ。それで本多の動きを少しばかり封じ、本隊へ余裕を持たせる、そういうことなのである。
梨子が弓を放った。それは綺麗な軌道を描き、見事木の根元を射止める。火が木に燃え移った。すると、すぐさま銃声が鳴り響く。鞠莉である。放たれた弾丸もまたその燃えている大木の根元を打ち抜く。
するとどうか。根元から燃えてただでさえ脆くなっていた木は、銃弾が貫通したせいで綺麗に傾き始める。
「……す、凄い……!」
「ほら、梨子!関心してる暇なんてないわよ!ほら次も!」
「あ、はいっ!」
「!?!?!?!?」
「殿!!危のうございますっ!!」
「皆の者!!引け!!引けぇぇいっ!!!」
目の前に燃え盛る大木が倒れてきて、動揺を隠せない本多軍。あたふたしている間にも次々に大木をぶっ倒していく小原、桜内の隊。本多のいく先は真っ赤に燃え盛る炎のみである。
「くっ……小癪な手を使いおって……!!」
「いかがいたしますか!!」
「………強行突破じゃぁぁぁあ!!!!!」
「無茶です!!!」
「ですよねー」
「ふざけてる場合ではないですぞ!!」
「むむむむ……一度引くか!?」
「それでは日が明けて高坂が!!」
「あぁぁぁ!!!ではどうすれば良い!!!」
進路を封鎖された本多軍は大パニックである。忠勝は頭を使うことはあまり出来ないようだ。
ただ単に大木を倒されたなら乗り越えていけばいいが、燃えているとなれば話は別だ。山を回っていくか、海へ飛び込むか。それとも引くか。忠勝の決断で全てが決まる。
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高海後方部隊——
「なんか燃えてるわよ」
「さっき銃声も聞こえたよね」
「そんな作戦ではないはずなのですが……」
高台の後方部隊。果南からの連絡待ちであるが、炎が上がっていたり、銃声が聞こえていたりと異様な状態となっている本隊を見て心配の色を隠せない様子。
因みに、この3人はアメリカ産の望遠鏡を使用中。
「………ねぇ、あれ」
「……えぇ、本多軍が」
「……絶対バタバタしてるよね」
「進路が塞がれたせいでってこと?」
「あー……。本隊も色々やってくれるねぇ……」
「………今しかないかもしれませんね」
「あ、ダイヤちゃんも思った?」
「ってか今いかなきゃ馬鹿じゃない?」
「……行きましょうか」
「もちろん」
「ヨハネに任せなさい!!」
本隊の動き……というか唐突に思いついた凌ぐために考えられた策に後方部隊は、乗った。
高海の攻撃が始まる。
お疲れ様でした!
いかがでしたでしょうか。んー、中々難しい……。戦シーンが苦手なんですよね。まぁご容赦ください。
次回は後編ですね。さぁ……勝つのは徳川か、はたまた高海か。高坂の介入なしで高海は戦いきることが出来るのか。見ものですね。
では次回は来年!
今年一年、この作品を見てくださった方々、ありがとうございました!来年も戦国ラブライブ!をよろしくお願いします^^