戦国ラブライブ! 〜みんなで作る戦国時代〜 作:pocky@
どうも、ポッキーです。
いやー、海未ちゃんいいですね、やっぱり。
バランスが取れますよ、いるだけで^^ 何で殺したんだろう……(殴
今回は海未ちゃんの運命が決まる回ですね。高坂に入るのか、家臣団に拒否されてのたれ死ぬのか……^^;
そして、新たな敵、登場です。
それではごゆっくり。
前回感想をくださった
左京大夫さん
ウィングゼロさん
ありがとうございました!
「な、ななななな……!?」
「ちょ、ちょっと待ちいや」
「あんた……。何で……!?」
「……海未ちゃん」
「海未。貴女……死んだんじゃなかったの?」
戦国ラブライブ! 第51幕 強行突破
こちら高坂家。現在、凄まじい台風が音ノ木坂城に襲来中。
“死んだ”と目されていた園田海未が、高坂家臣団の目の前に現れたのだ。
「お久しぶりです」
「お久しぶりってあんたね……」
「どういうことなん?これは」
「あはは……。さっき散歩してたら、海未ちゃんとばったり……かな?」
「イミワカンナイ」
「何?さっき穂乃果が隠していたのってこれなの?」
「あー、うん」
「こういう大事なことは早く言いなさい。隠す必要なんてないでしょう」
「ご、ごめんなさい……」
「絵里。穂乃果を責めるのはやめて下さい。全て、私が頼んだことですから」
「そうなの?……でもね、まだ何が起こっているのか分からないから、一度整理させてくれるかしら?」
「そうやね……。うちも頭がこんがらがってきた……」
高坂の皆様、完全に混乱中。無理もないだろうが。死んだはずの人間がいきなり現れる、そんな非現実的な現実を目の前にした時、人間はどのようにその状況を飲み込むのだろうか。
「海未ちゃん」
「どうしました、穂乃果」
「いきなり出てきて大丈夫なの?」
「ええ、私に考えがあります」
「……本当に大丈夫?」
「……正直自信はあまり」
「やっぱり……」
「ですが、何とかなります……何とかします」
「穂乃果、心配なんだけど」
「大丈夫です」
「……本当に?」
「大丈夫……だと思います」
「いや、自信なさ過ぎるよ!?」
「ばっ!?声が大きい……」
「穂乃果ちゃん?どうかした?」
「あ!?うん?何でもないよ!?」
(演技下手ですか……。あれ、デジャブですね、これ)
「……何海未ちゃんとひそひそ話してるのかな?」
「あははー……。ちょっとね」
「ちょっとって何?海未ちゃん」
「……私ですか!?」
「貴女しかいないちゅん」
「少しばかり、穂乃果の耳に入れておきたいことがありまして」
「ふーん……。どんなこと?」
「……話さなければならないのですか?」
「………うーん、まぁいいや。女の子に秘密はつきものだからね♪」
「ありがとうございます」
こういう時のことりは怖い。最早“ことり”ではなく、獲物を狙う“鷲”に近いものがある。
「……海未、色々説明してもらえるかしら。まだ信じられないのよ」
「ええ。死んだ人間がココにいるんだもの。ちゃんと説明してもらわないと困るんだけど」
「はい。勿論そのつもりです。こちらにも説明する義務がありますし」
海未は1つ短く息を吐く。どんな園田節が炸裂するのだろうか。
「まず、私が死んだ、という情報から説明します」
「最大の謎やん」
「……簡単に言うと、その話は嘘です」
「は?」
「いや、ちょっと待って。嘘?何言ってるのよ」
「すみません、詳しく説明するので質問は後でもいいですか?」
「ええ。そうしましょう」
「馬鹿でも分かるようにお願いね」
「誰が馬鹿よ!!!」
「誰もにこちゃんが馬鹿とは言ってないわよ?」
「あら、にこっち自覚あるん?」
「ぐぬぬ……」
「うん、ちょっと静まろうか、みんな」
「私が死んだ……という情報は、そもそも各国を翻弄する為に流した情報なんです。それが高坂にも入ってしまった……ということですね。星空の情報伝達力には恐れ入りますよ」
「……何でそんな嘘の情報を?」
「私の行動の為ですね」
「……ん?」
「殿の際、私は死んだとなっていたのですが、実際にはある程度粘った後に織田勢から逃れることが出来たんです」
「ふむ、よく分からんな」
「それで、逃れた時に思いついたんです。織田の情報を少しばかり集めて回ろう……と」
「……はい?」
「ちょっと待って。織田の情報を集める?え、じゃあ貴女、勝手に織田領で間者してたわけ!?」
「はい。大変身勝手な行動だと分かってはいたのですが、これが好機だ……と思ったので」
「本当、身勝手すぎるわよ……」
「すみません。その行動を楽に行う為に、“園田海未”は死んだ、という情報を流させてもらいました」
「……本当に?」
「どういうことでしょう?」
「本当に海未ちゃんは死んでないんかって話」
「ええ。現にここにいるじゃないですか」
「……偽物だとしたら?」
「なっ……。希、ちょっと言い過ぎよ」
「うん。さすがにちょっと……」
「せやけど、信じられるん?」
「………」
沈黙。
希は勘だけは異常に鋭い。希の前では、嘘はそう簡単に通らないであろう。
「……では、希。証拠はありますか?私が死んだという」
「それは……」
「ですよね。別に晒し首を見たわけでもないですし、遺体を見たわけでもない。ただ耳で聞いた情報にすぎないんです。私が死んだというのは」
「それじゃあ、あの手紙はなんなん?」
「あの手紙……?」
「せや。穂乃果ちゃんや、うちらに向けて書いた遺書みたいな手紙は」
「ああ……。ここは戦国ですよ?いつ死んでもいいように、遺書を書くのは当たり前です」
「……まあそうね。一応私も書いてあるわ」
「ということです。希、信じていただけますか?」
「………うん」
希は少し首を傾げつつも、納得の返事をした。
「それでは続きを。これまでの期間、私は変装して織田の情報を嗅ぎ回っていました」
「それで?どんな情報が得られた?」
「まず、織田は今、高坂を相手にしている暇はない……ということです」
「……と、言いますと?」
「現在、1570年……。元亀元年ですよね」
「ええ、そうね」
「織田が高坂攻めをかがげたのが1567年末期。そして、高坂が上洛したのもその時です」
「……それで?」
「その後、織田も色々ありまして……。68年には上洛し、そしてその後は周りの国々の大名、小大名を潰していったわけです。大方、関東の高坂を潰す為に周りをしっかり固めよう、という話でしょうね」
「ふむふむ。それじゃあ義昭公の護衛は高坂、そして織田もすることになったわけね」
「そして1570年、今年に入ってからですね。織田に少しばかりの危機がありまして……」
「あの織田が危機?……強くてもそういうことはあるってことだね」
「朝倉攻めの最中に、浅井の裏切りがあったんです」
「浅井……あの浅井が!?」
「はい。朝倉と織田との同盟関係にあった浅井ですが、昔からの付き合いである朝倉を優先し、織田を襲いにいきました」
「どうやって?」
「金ヶ崎にて、浅井朝倉によって織田が挟みうちにあったんです」
「金ヶ崎って……。山やん!?」
「はい。してやったり……という感じでしょう」
「それで?織田はどうなったの?」
「信長を先頭に、撤退しました。殿の木下秀吉、池田勝正、明智光秀の活躍で何とか戻ってきた……という感じでしたね」
「さすが織田ね……。家臣の層も厚いわけよ」
「とまぁ……。ここまでしか分からないですね。この辺りで高坂へ戻ろうと思いましたので」
「十分よ。織田がいっぱいいっぱいと分かればこちらのものだわ」
「中々いい仕事したのね。さすが海未だわ」
「ありがとうございます」
「海未が死んでなかったってなると、かなり戦力的に楽になるんじゃない?軍師もまた3人衆になるわけでしょ?」
「ええ。またエリーと海未と頑張るわよ」
「完璧ね。高坂の層がまた厚くなったわ」
「周りの大名達も巻き込んどいてよかったやんな」
「うん!しかも、謙信さんと、武田さんとも同盟を結んでるから、もう怖いものなしだよ!」
「ま、武田はまだ信じられないけど」
「高坂の時代が来そうね……これは」
「とりあえず、織田を倒さないとどうにもならないわ。現段階の目標は、織田討伐。みんな、いい?」
「「はい!」」
再び園田海未……を加えた高坂家。織田討伐に向けてまた活気が出てきたのだが———
ある者達が高坂に牙を剥く。
「海未ちゃん、どこからあんな情報もってきたの?」
「ああ……歴史の勉強ですよ」
「れ、歴史?」
「はい。日本史です」
「あはは……。よく覚えてるね、海未ちゃん」
「当たり前です。といっても、少しマニアックな部分は好きで勉強したのですがね」
「……凄いね、海未ちゃん」
「というか穂乃果。貴女、金ヶ崎の戦いを知らない……なんてことはないですよね?」
「うん、知らないよ」
「ふざけないでください?」
「いつやったの?そんな戦い」
「どんな戦いですか……。多分、貴女が爆睡している時ではないですか?先生が言っていましたよ」
「え、じゃあ黒板に書いてない……?」
「はい。メモしておきました」
「じゃあそんなの覚えてるわけないよ」
「……黒板に書いてるのですら覚えてないくせに何を言っているんですか」
「はい、ごめんなさい」
「全く……。しかし、この先、何が起こるか分かっているのはかなり楽ですね」
「勉強したからね!」
「穂乃果は覚えてないですけど」
「あはは……。ま、まあ、何とかなるよ!」
「ええ。もう習った日本史は半分信じてないですよ」
「どうして?」
「高坂という謎の大名が北条を倒し、関東を治めている時点で、歴史が変わっているではないですか」
「あ、そっか」
「ですので、これからは何が起こるか分からない……ってことです」
「でも、そっちの方が面白くない?」
「……そうですね。新たなμ'sと紡ぐ物語……。それはそれで面白そうです」
「だよね!そうこなくっちゃ!」
「大変です、大変ですぅう!!!」
花陽の大絶叫が聞こえてくる。これは、高坂に危険が迫っていることを教える“緊急アラーム”である。
「……騒がしいですね。何かあったのですか?」
「うん……」
穂乃果がゴクリと唾を飲む。その様子を見た海未も、ただ事ではないと瞬時に察する。
「戦……ですか」
「そうだね。もうやるしかないよ」
「……頑張りましょう」
「うん。じゃあ大広間に行こうか。みんないるはずだよ」
「はい」
軍師・園田海未の初陣が始まろうとしている。
敵は“五色備え”の猛将を保持する、かつての帝王であった。
お疲れ様でした。
いかがでしたか?
時系列整えるのが難しい……^^; なんかもう1570年になってるし。
信玄もう死んじゃうし(←
まあ大目に見てください(殴
次回はその敵が登場します。
……五色備えで帝王っていったらねぇ?好きな方はもうお分かりですね?
お楽しみに。