戦国ラブライブ! 〜みんなで作る戦国時代〜   作:pocky@

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どうも、ポッキーです。
前回は絶体絶命で終わりましたなぁ…。

さて、今回はどうなるんでしょうなぁ?(←



前回ご感想をくださった
ウィングゼロさん
しょーくんだよ!さん
ありがとうございました!




第33幕 貴女の為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果ッ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果を敵兵の狙撃から助ける為、自ら体を張って銃弾をくらった海未。

 

 

 

 

その銃弾をくらった右肩からは大量の血が流れでていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海未ちゃん!!?海未ちゃん!!!」

 

 

 

 

 

 

「くっ…。無事ですか…?穂乃果…」

 

 

 

 

 

「私は大丈夫だよ!!それより海未ちゃ…」

 

 

 

 

 

「い、いえ。私のことはいいんです。貴女が無事なら」

 

 

 

 

そう言って海未は微笑んだ。

 

 

 

 

「良くないよ!!穂乃果が良くないの!!」

 

 

 

 

「殿!!大丈夫ですか!?殿!!」

 

 

 

 

「大丈夫です。…少し痛みますが、気にすることはないです」

 

 

 

 

少し痛むとか、そういうレベルの話ではない。

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん!!大丈夫!?」

 

 

 

 

「ゆ、雪穂…!!海未ちゃんが…!!」

 

 

 

 

「海未ちゃんが…!?凄い血じゃないですか!?早く手当てを!!」

 

 

 

 

 

「大丈夫です。抑えていれば何とか」

 

 

 

 

「大丈夫なわけないよ!!海未ちゃんはいっつもそうやって…!!」

 

 

 

 

「それは穂乃果も一緒じゃないですか」

 

 

 

 

「…何で笑ってられるのさ。痛いでしょ…?なのに何で…!!」

 

 

 

 

「さぁ?どうしてでしょうね?私にも分かり…」

 

 

 

 

 

「大変にございます!!!!」

 

 

 

 

園田の足軽が血相を変えて駆け寄ってくる。

 

 

 

 

「…織田が来ましたか?」

 

 

 

 

「何故それを…?」

 

 

 

 

海未は全てを悟っていたかのようだった。

 

 

 

 

 

「貴方の顔に書いてありますから…。それで?信長はどこの方角から来ているのですか?」

 

 

 

 

「情報通りでは、この付近…。南からでございます」

 

 

 

 

「…そうですか。なら退却は何とかなりそうですね」

 

 

 

 

「…何故そのように落ち着いていられるのですか?一大事のはずなのに…」

 

 

 

 

「私にはわかりません。どうしてでしょうね…?」

 

 

 

 

「…海未さん。今織田が来たって…」

 

 

 

「…はい。もうじき到着しますので、早く逃げてください」

 

 

 

 

「分かりまし…?逃げてください…って何ですか…?」

 

 

 

 

「そのままの意味です。雪穂が穂乃果を連れて逃げるのです」

 

 

 

 

「わ、私が…?」

 

 

 

 

「海未ちゃんは!!?海未ちゃんはどうするのさ!!」

 

 

 

 

「私ですか?私はこの様に手負いの為、ついて行っても役にはたちません。それ故…」

 

 

 

 

「役にたつかたたないかなんてどうでもいいよ!!早く逃げるよ!!」

 

 

 

 

「いえ、私はここに残ります」

 

 

 

 

「何で…。何でそこまでするんですか…?一緒に逃げましょう!!」

 

 

 

 

「言ったでしょう?私を連れて行っても役にはたたないと」

 

 

 

 

「で、でも!!」

 

 

 

 

「雪穂。あの夜の約束は忘れたのですか?」

 

 

 

 

「でも…」

 

 

 

 

「早く!!海未ちゃん!!」

 

 

 

 

「…穂乃果。貴女が早く逃げなさい」

 

 

 

 

「だから海未ちゃんも一緒に…!!」

 

 

 

 

「…私は私に出来ることをします。今課せられている私の使命は、穂乃果の退却の援護をすること…。殿として、ここに残ります」

 

 

 

 

「使命なんてどうだっていいよ!!殿なんかなくなって…走れば絶対逃げ切れるから!!」

 

 

 

 

「私は走れそうにありません…。そろそろ肩の方が限界みたいですし」

 

 

 

 

「じゃあ、じゃあ…!!」

 

 

 

 

「雪穂」

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

雪穂は下を向いたままだった。気のせいかどうかは分からないが、雪穂からは光るものが落ちていた。

 

 

 

 

 

「雪穂。穂乃果を…。よろしく頼みましたよ」

 

 

 

 

「は…い…!!」

 

 

 

 

「うみちゃ…!!」

 

 

 

 

「…お姉ちゃん!!早く逃げるよっ!!」

 

 

 

 

「嫌だ!!海未ちゃんを残してなんか行けないよ!!」

 

 

 

 

「何をそんな心配しているのですか…。まだ死ぬとは決まってませんよ?」

 

 

 

 

「でも…でも!!」

 

 

 

 

「私の剣術を舐めないでください?」

 

 

 

 

「…利き手使えない人がそんなこと言ったって説得力ないよ…」

 

 

 

 

「ふふっ…。それもそうですね」

 

 

 

 

「何で笑ってられるの…?海未ちゃん死んじゃうかもしれないのに!!!」

 

 

 

 

「さぁ?何故でしょう?」

 

 

 

 

「殿!!織田がそこまで来てます!!」

 

 

 

 

「…そうですか。分かりました。…ということですので、穂乃果」

 

 

 

 

「やだぁ…!!」

 

 

 

 

「お姉ちゃん…!!行こう!!」

 

 

 

 

「嫌だ…!!!」

 

 

 

 

 

駄々をこねる穂乃果。まあ無理もないだろう。

 

そんな穂乃果に海未はより近寄り、穂乃果の涙を拭き取ってやる。

 

 

 

 

 

 

「言ったでしょう?貴女に涙は似合わない…と」

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

「最後に貴女の笑顔が見たいです…穂乃果。お願いします」

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

穂乃果は顔をあげ、涙でぐちょぐちょのその顔で無理矢理笑顔を作った。

 

いつも見せる笑顔ではなかったが、海未は十分満足したのだろう、海未は最高の笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

「敵襲!!!!」

 

 

 

 

 

「さあ…穂乃果。逃げなさい。早く。生き延びてください」

 

 

 

 

「嫌だよ…。海未ちゃんがいないなんて…」

 

 

 

「大丈夫です。生きて帰りますから」

 

 

 

「…絶対だよ」

 

 

 

「はい」

 

 

 

 

 

穂乃果は雪穂に手を引っ張られ、その場から走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

「ダメですね…。危うく泣いてしまう所でした…」

 

 

 

 

 

「殿!!殿…やり遂げましょう!!」

 

 

 

「…勿論です」

 

 

 

 

(いたぞぉぉ!!)

 

 

 

(園田だぁぁあ!!)

 

 

 

 

(いいか!!絶対に取り逃がすな!!)

 

 

 

 

(オォォォ!!!)

 

 

 

 

 

「最期の大勝負…ですね」

 

 

 

 

 

 

使うことが出来ない右腕に変わり、海未は利き手と逆…左手で刀を握る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…穂乃果、貴女を必ず助けます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

上杉謙信——

 

 

 

 

 

「謙信様。やはり関所は閉められておりましたな」

 

 

 

 

「あぁ。見た所、織田の家臣たちがこっちで張っているようだな」

 

 

 

 

「ええ。柴田、池田、丹羽の旗が見えますぞ」

 

 

 

 

 

「ふむ。かなり凄い顔ぶれだな」

 

 

 

 

 

「それほど本気なのでしょう」

 

 

 

 

 

「…武田の関所をこじ開けようと思うたが、失敗したからの…。ここはしっかりやらねばならんな」

 

 

 

 

「左様。穂乃果様達を助ける為に」

 

 

 

 

「よし。いくぞ、皆の者。こちらの関所をこじ開けるぞ」

 

 

 

 

 

「「オォ!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

上杉領側関所——

 

 

 

 

「…殿の予想通り高坂は武田の方へ向かったのか?」

 

 

 

 

「さぁ?拙者に聞かれても困る」

 

 

 

「そうなのではないか?いくら待てども高坂は来ない…。そういうことだ」

 

 

 

 

「残念じゃのぉ…。暴れてやろうかと思うたのに」

 

 

 

 

「木下殿、そなたはもう少し落ち着いた方がよいと思うぞ」

 

 

 

 

「もぉぉしあげます!!!」

 

 

 

 

 

「何事じゃ…。それと…もぉぉしあげますとはなんぞや」

 

 

 

 

 

「そんなことはどうでもいいのです!!北側…。関所奥、越後より、上杉謙信が攻めて参りましたぁぁあ!!!」

 

 

 

 

 

「…は?」

 

 

 

 

 

「謙信が攻めてきただと…?」

 

 

 

 

 

「数は?いくら程ですか?」

 

 

 

 

 

「…約5000」

 

 

 

 

「5000…?我々の倍はあるではないか!!」

 

 

 

 

「ふむ…。仕方ない。受け身になっても関所を破壊されて終わりじゃ。迎え討とう」

 

 

 

 

「丹羽殿…。確かにそれが敵策かもしれんな」

 

 

 

 

「信長様も高坂を討とうと指揮をふるっておられるのだ!!我らもやるぞぉぉぉ!!!」

 

 

 

 

 

「「オォォォォォ!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

園田軍——

 

 

 

 

 

殿をつとめていた海未率いる園田軍は、信長軍の猛攻により、ほぼ壊滅状態であった。

 

 

 

 

 

道には討ち死にした園田の足軽達が転がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「くっ…。地獄絵図ですね…」

 

 

 

 

 

(良いか!!園田海未だ!!早いうちにしとめてしまうぞ!!)

 

 

 

 

 

海未は左で刀を振り、右肩を庇いながらも、毎日の稽古で培った身のこなしで何とか織田を相手にしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そんな海未も絶対絶命のようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…囲まれましたか。…そうですか」

 

 

 

 

 

 

(園田海未!!覚悟!!!)

 

 

 

 

 

 

(皆の者!!かかれぇぇ!!!)

 

 

 

 

 

 

(オォォォ!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未は左手に持っていた刀を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…穂乃果。私はここまでのようです…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴女との約束を守れませんでしたね…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すみません、穂乃果…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…しっかり生きてください。私の分まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…戦のない世を作ってくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私園田海未——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果の幼馴染で…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴女の下につくことが出来て…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸せでしたよ、殿—————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未の目から涙が落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刀が海未を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第33幕 貴女の為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




海未ちゃぁぁぁぁあ!!!(海未ちゃん推し
書きながら悲しくなってました…。
ま、人のために…っていうそんな海未ちゃんだからいいんでしょうな。


さぁ、穂乃果ちんとユッキーは逃げ切れるんでしょうか?
謙信は高坂の逃げ場を作れるのでしょうか?

お楽しみに。



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