戦国ラブライブ! 〜みんなで作る戦国時代〜 作:pocky@
最近展開が早くて申し訳ありません、ポッキーです。
なんともう20幕!!恐ろしいですね、ええ。
まぁ、今回ものんびり見ていってください。
しょーくんだよ!さん、毎回ご感想ありがとうございます!
ハワイアンズさん、評価ありがとうございました。
新潟・春日山城。かつて上杉家の居城として栄えた名城…。
しかし、それも今となっては昔のことである。
「いいか!謙信を絶対に逃すな!!見つけ次第すぐさま確保しろ!!」
「「オォー!!!」」
大群が春日山城へと侵入してくる。
この城主・上杉謙信を捕らえるために。
「ははは…。私が逃げるとでも思っておったのか?」
「直江よ」
戦国ラブライブ! 第20幕 上杉
宇佐美軍の先鋒を務めていた直江景綱の目の前に現れたのは———
「謙信様…!!!」
「謙信様、か。…謀反人などに様などと呼ばれる筋合いはないわ」
謙信は右手に持っていた刀を鞘から抜き、静かに構える。
「…私は逃げも隠れもせぬぞ。どこからでもかかってくるがよい!!」
「…上杉謙信を発見した!!!直ちに取り押さえよ!!!」
「「オォーーー!!!!」」
謙信の姿は、無数の兵に囲まれて消え失せた。
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「穂乃果様…!!」
「あ、あれは…」
春日山城に到着した穂乃果達を待っていたのは、物凄い数の兵が城を攻めている様子だった。
「あ、あそこに謙信様が…!!」
「…よし、みんな!戦の準備は出来てる!?」
「「オォッ!!」」
「…謙信さんを見つけたら、すぐに保護してね!!」
「「オォッ!!」」
穂乃果は、手に持っていた刀で春日山城を指す。
「突撃ぃぃぃい!!!!」
「「ワァァァア!!!」」
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「無様ですねぇ…。謙信 さ ま?」
「…」
その頃、春日山城内では謙信が縄でぐるぐる巻きにされ、宇佐美の前に突き出されていた。
「ははは…。もう返す言葉もございませんか?」
「…」
謙信はあの後、約100人もの兵を1人で斬っていた。かかりくる敵を次から次へとぶった斬り、最後のあがきとしては凄いものであった。
しかし、そのあがきも虚しく、かけつけた宇佐美軍に一瞬のうちに捕らえられてしまった。
「さて…。川中島へと向かいましょうか。そこが貴方の処刑場所です故」
宇佐美は立ち上がり、謙信を繋いでいる縄を持って歩き出す。
謙信もつられて歩き出す…歩かざるをえなかった。 謙信はもはやペットと同じだった。
謙信は全てを諦め、眼には少しも光がない。闇に支配されていた。
そして、その場にいた者全てがこれで終わった…と思っていた。「これで終わった」と。
「申し上げます!!」
しかし、「これで終わった」は幻想に過ぎなかった。
「高坂軍が攻めて参りましたぁぁあ!!」
「何だと?」
「高坂が何故攻めてくる!!」
上杉家臣団に動揺が広がる。
何故同盟も結んでいない高坂が攻めてくる?
何のために?
そして、更に嫌な情報がもたらされる。
まさに、このタイミングを待っていたかのように。
「申し上げます!!」
「次は何だ!!」
「川中島にて、武田軍が高坂軍に敗戦!!全軍撤退の命令が出たとのこと…!!!」
「何ですって…?武田が負けた…?」
「おい、宇佐美!!まずいぞ…!!いかがする!!」
景綱が定満の肩を掴み、激しく定満を揺らす。
その揺らされる宇佐美は魂が抜けているかのように無表情だった。
「…」
「おい!宇佐美!!」
「殿ぉぉぉお!!!早くお逃げください!!高坂が城内に…っ!!?」
3人の目の前で、綺麗な赤色のしぶきが吹く。
「…お待たせしましたな。謙信様」
「お、お前!!」
「鬼小島…!!?」
「な、なななな…」
3人の前で宇佐美の家臣を斬りつけて登場した弥太郎の姿は凄いものだった。
あちこちに返り血をうけ、鎧は真っ赤に染まっている。一体、何人を殺してきたのか。
「これはこれは…。お久しぶりです。宇佐美殿、直江殿」
「宇佐美、逃げよう。これはまずい」
「もう知りません」
「お、おい!宇佐美!!」
定満は全身の力が抜けたのか、すとん、とその場に身体を落とす。
メンタルはかなり弱いようだ。
「宇佐美殿…。誠に綺麗な姿勢ですな…」
そう言った弥太郎の手には刀が握られている。
「おい!鬼小島!!」
「…いかがされました?直江殿。…貴方から始末しましょうか?」
「い、いや…」
「…そうですか。それでは、宇佐美殿。御免」
弥太郎は何の躊躇もなく定満の首を目がけて刀を振り下ろした。
鮮血が辺りに飛び散る。そして、その首は落ちた。
「当然の報いじゃ…。謙信様に手をかけようなど…。100年早いわ!!」
景綱はすぐさまその場から逃走した。侍なのに情けない…。
景綱が群馬付近で落ち武者狩りに刺されるのはその後の話である。
「さぁ、謙信様。今縄を…」
シュルシュルと弥太郎が縄を解いていく。
「…何故助けにきた」
「何故って…。穂乃果様に聞かれたらいかがですか?」
「穂乃果殿…?」
「よし!さぁ、謙信様、行きましょう」
「行くって…何処へいくのだ」
「決まっているでしょう?」
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「あ!謙信さん!!」
城外で待機していた穂乃果のもとに、弥太郎が謙信を連れてくる。
「無事でよかったぁ…!!」
穂乃果は満面の笑みであるのに対し、謙信は対照的な仏頂面だった。
「何故助けにきた…!!そなたと私は同盟を結んでおらぬだろう!?」
「どうしてって…そりゃあね?」
「私は真面目に聞いておるのだ」
「志…ですよ」
「志だと?」
「はい。亜里沙ちゃんから聞きました。謙信さんが戦のない世を作ろうとしていたこと」
「亜里沙殿から…」
「私は志を同じくしている人を見捨てる事は出来ないんです。…例え、同盟を結んでいないとしても」
「そなたはめちゃくちゃだな…」
「あはは…。こういう人間ですから」
仏頂面であった謙信の顔も少し緩み始めた頃、穂乃果が語りかける。
「前に、謙信さんは乱世では夢や理想は塵と同じ…って言いましたよね?」
「…言ったな」
「それで、謙信さんはこういう言葉を知ってますか?」
「言葉?」
「塵も積もれば山となる…」
「塵も積もれば…?」
「はい。ほんの小さな塵でも、積もれば山になる。その戦のない世を作ろうっていう塵も積もれば…。私が言いたいこと、分かりますか?」
「…何となくな。しかし、それは険しい道だぞ?上手くいく保証もない。それでも行くのか?」
「可能性を感じたなら進め…。後悔なんてしたくないんです。だって、目の前に道があるんだから…!!」
「可能性…か」
「謙信さん、じゃあちゃんと聞きますね…」
「一緒に行きませんか?戦のない世を作る為に。夢という塵を、大きな山にする為に!」
「相変わらず面白いことを言うのだな、穂乃果殿は。…勿論だ。この上杉謙信、その夢へとお供いたそう!!」
2人は硬い握手を交わし、今ここに上杉謙信が高坂の仲間となった。同じ志のもとに。
握手をしていた謙信の顔は綻び、それは久しぶりの心からの笑みであった。
お疲れ様でした。
ようやく上杉編終了だね。長かった。
とりあえず、これで一区切り付けさせていただきます。
なので、今日中にこれまでの話をまとめたものを投稿したいと思います。
細かい設定など、色々語りますので。
第1シーズン終了!!(←